米津玄師「Lemon」のMVがYouTubeの集計で国内史上初となる8億再生を突破した。この一報を受けて、「歴代MV再生数ランキングはどうなってるのだろう?」と考えた人も多いのではないだろうか。
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YouTubeは2010年代に日本国内でサービスが普及するにつれて、次第に音楽の聴き方の主流に君臨するようになっていった。音楽の聴き方は2000年代前半まではCD、2000年代後半は配信ダウンロードにより楽曲を購入する方法が主流だったが、YouTubeの普及によりオンライン上の音源にアクセスして聴くという方法に変化していった。この方法をストリーミングと言う。
ストリーミングの普及に伴って音楽業界の収益構造も変化しつつあり、広告収入型ストリーミングや定額制音楽配信サービスが新たな収益源になってきている。YouTubeに関しては基本的に消費者は無料で音楽を視聴できるので前者に該当する。対して現在一気に普及が進んでいるSpotifyやApple music、LINE MUSICなどで消費者が毎月定額を支払うことで享受できる聴き放題サービスは後者に該当する。この定額制のことを英語でサブスクリプション、略してサブスクと呼ぶ。
この音楽の聴き方の変化に伴い、今どの曲が人気なのかを知る手段も変化を続けている。2000年代前半まではCD売上枚数が楽曲人気に直結していたので、CD売上の集計で有名なオリコンランキングを確認すれば良かった。
2000年代後半からは配信ダウンロード売上を併せて確認しないと楽曲人気を把握できなくなったが、オリコンは配信売上の集計を一向に開始しなかった。そのため、CD売上が楽曲人気指標であるという古い認識がなかなかアップデートされなかった。このことは歴代配信ダウンロード売上ランキング関連記事でまとめている。
billion-hits.hatenablog.com
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こうして高配信売上曲の人気過小評価が続く間にダウンロード市場も縮小し始め、代わってストリーミング市場が台頭してきた。YouTubeはその先駆けであるが、YouTubeがメインとするサービスは音源だけではない動画配信であり、Spotifyなどの音源ストリーミングサービスに先んじて動画ストリーミングサービスが普及したことは、世界各国の動向とは異なる日本音楽業界の特徴として挙げられる。
したがって、2010年代に人気を博した楽曲を把握するためには、上記ダウンロード売上と併せてYouTubeのMV再生数を確認することが必要となる。そこで、2023年12月31日時点の歴代MV再生数ランキングを以下に示す。これまでに32曲の国内MVが2億再生を突破している。
(集計対象MVや集計方法は下記画像内注釈を参照)
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