Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

配信ダウンロード売上では分からない2006年以降のヒット曲

2000年代以降に流行した曲を知るためには、CD売上データだけでなく、日本レコード協会が認定しているダウンロード売上をチェックすることが必須であることは、以下の記事「歴代配信ダウンロード売上ランキング」で述べたとおりである。

 

billion-hits.hatenablog.com

  

2010年代中盤以降は、YouTubeをはじめとしたストリーミングサービスが普及したことにより、ストリーミング再生数のデータもチェックしないと流行は分からなくなったが、それまでは着うたフルにより楽曲を配信するサービスがピークを迎えていたので、ほとんどの流行歌はダウンロード売上ランキングを確認して押さえることが可能である。

 

特に日本レコード協会が配信認定を始めた2006年以降の人気曲はダウンロード売上をメインにチェックすれば大半を押さえることができる。2005年までは、CD売上をメインに参照しつつ、ダウンロード売上を補足的に参照していくのが良いだろう。

 

ただし、2006年以降のヒット曲も、一部の曲はダウンロード売上で人気を把握することができない。主な理由は以下のとおりである。

 

  • 楽曲販売方法をCDに限定するなど、ダウンロード販売に消極的だった
  • 何らかの理由で日本レコード協会に認定申請を出していない
  • 所属レコード会社が協会の正会員・賛助会員ではないため、認定対象外である

 

また、上記の理由に当てはまる歌手は、大きく4つの勢力にまとめることができる。以下にて勢力ごとに説明していく。

 

 

 

ジャニーズ勢

 

ジャニーズ事務所所属アーティストはデジタル市場への音源解禁をほとんど行っていない。嵐が2019年秋に突如多くの主要曲をデジタル市場に全面解放し、驚きを以て受け止められたことは記憶に新しい。

 

嵐の場合は、この先、ダウンロード売上やストリーミング再生数、MV再生数が積み上がれば、楽曲人気を把握することが可能になることが予想されるが、嵐以外のアーティストは今でもほとんどデジタル未解禁のままで、CD限定販売という手法を続けている。CD売上は現在楽曲人気指標として機能していないので、ジャニーズの人気曲を定量的に把握することは大変困難な状況に陥っている。

 

とはいえそれでは話が終わってしまうので、可能な限りCD売上を使ってジャニーズ勢の人気曲を抽出することを試みる。個人的にはCD売上が楽曲人気指標としての役割を終えたのは2010年だと考えているので、2006年から2010年までの楽曲*1をCD売上で分類してみたところ、結果は以下のとおりとなった(2011年以降のジャニーズ勢の人気曲をどうやって定量的に把握するかはまた別の機会にトライしたい)。 

 

CD売上100万以上

 

 

該当期間中、ジャニーズ勢が出したCDミリオンはこの1曲。この曲は上記歴代配信ダウンロード売上ランキングにおいて言及した配信ミリオン95曲と同列のヒットとして扱える(ジャニーズ商法などの個別具体的な販売手法に言及すると話が複雑になるのでここでは考慮しない)。

 

CD売上50万以上

 

  • 嵐「truth」


嵐 - truth [Official Music Video]

 

 

  • 嵐「Monster」


嵐 - Monster [Official Music Video]

 

 

大ヒット曲としてはミリオン1曲を押さえるだけで十分なのだが、CD売上50万以上の中ヒット曲もそこまで多くはないので、余裕があれば押さえておきたい。

 

CD売上25万以上

 

対象作品多数であることから、ここでは25万枚以上のCDセールスを一度でも記録したことがあるアーティスト(すでに上記で挙げたアーティストは除く)と、そのアーティストの対象期間中の最大売上曲を1曲ピックアップする。

 

 

トイズファクトリー

 

ジャニーズの陰に隠れがちではあるが、レコード会社トイズファクトリー所属歌手も、当時は楽曲の配信リリースに消極的な姿勢を取っていた。ジャニーズ同様一切解禁しようとしなかったり、解禁したとしてもCD発売から数年が経過してから、という手法をよく取っていた。

 

また、解禁後にダウンロード売上を積み上げたとしても、日本レコード協会への認定申請をしていないと思しきケースも見られている。トイズファクトリーは2012年末まで日本レコード協会に非加盟で、2013年より賛助会員となっており、今なら過去曲も含めて申請可能なはずだが、上記背景が何らかの影響を及ぼしているのかもしれない。

 

このため、トイズファクトリー勢のヒット曲はダウンロード売上からは読み取ることができない。代表的な歌手を以下に示す。

 

Mr.Children

 

Mr.Childrenのダウンロード売上ランキングは次のとおりである。

 

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Mr.Children旧曲のフル配信を一切行わない姿勢を長い間貫いていた2017年になってようやく配信限定ベスト「Thanksgiving 25」発売という形で主要なシングルCD表題曲がダウンロード解禁された。この経緯から、ダウンロード認定を受けた曲は自己最高の25万ダウンロード認定を受けた「here comes my love」をはじめとした2010年代中後期のシングルのみとなっている。


Mr.Children 「here comes my love」Music Short Film

 

したがって、2006年以降発売曲のヒットを把握するために、まずジャニーズ同様、2006年以降の楽曲のCD売上を参照し、分類してみた。結果は以下のとおり。

  

  • 50万以上:「しるし」


Mr.Children 「しるし」 MUSIC VIDEO

 

  • 25万以上:「箒星」「フェイク」「旅立ちの唄」「GIFT」「HANABI

 

しかし、このデータだけでは次の重大な欠点がある。

 

  • HANABIのヒット規模が過小評価されてしまう
  • 「365日」がヒットしていたことが把握できない

 

HANABIに関しては「コード・ブルー」主題歌として長く起用され続けていることから非常に長く人気を維持しており、上述の配信解禁時には一番人気となり、Billboard JAPAN Download Songsでは2017年8位→2018年23位と推移した。前後にランクインしている作品のダウンロード売上を踏まえれば確実に25万以上はダウンロードされているはずだが、上述のとおり発売当時の2008年はまだトイズファクトリーが協会非加盟だったせいか、未だ認定を受けていない。ストリーミングでは5,000万再生認定を受けているので、ダウンロード認定も受けることは可能だと思うのだが。

 

そこで出番となるのが、YouTubeにおける動画再生数である。ミスチルの場合、公式ライブ映像を比較的多くYouTubeに上げており、その中で「HANABI」は自身最大となる7,000万再生を突破している。

 

ライブ映像にしては異様に高い再生数なのは、上記のリバイバルヒットが生じた2017年以降、公式チャンネルがそれまで上げていたフルMVを非公開としてしまったことにより、公式で唯一フルサイズでアップロードされた動画となっていたためである。

 

非公開状態が続いていたフルMVは2020年4月に再度公開されたため、今後はフルMVが再生数を稼いでいくことが予想される。なお、非表示とする前の再生数はリセットされておらず、2017年までに2,000万回再生を稼いでいた状態から再生数を伸ばしていくこととなる。


Mr.Children 「HANABI」 MUSIC VIDEO

 

また、非シングルCD化曲かつMVが存在しない「365日」ライブ映像6,000万再生を突破しており、「HANABI」に次ぐ自身2位の再生数となっていることから、この曲の人気がCDシングルなしで発売されたアルバム「SENSE」の売上を牽引したことが導ける。「SENSE」は78万枚を売り上げ、Billboard JAPAN Top Albums Salesでは2011年の年間1位を獲得している。


Mr.Children「365日」Mr.Children TOUR POPSAURUS 2012

 

ちなみに2010年代に発売されたMr.Childrenのオリジナルアルバムは「SENSE」以降では3作。2012年11月に発売された「[(an imitation) blood orange] 」77万枚を売り上げ、Billboard JAPAN Top Albums Salesでは2013年の年間2位を獲得した。この作品の収録曲のうち最もMV再生数を稼いでいる曲は「常套句」で1,000万再生となっている。


Mr.Children 「常套句」 MUSIC VIDEO

 

2015年に発売されたアルバム「REFLECTION」58万枚を売り上げ、Billboard JAPAN Top Albums Salesでは2015年の年間4位を獲得。この作品の収録曲のうち最もMV再生数を稼いでいる曲は「足音~Be Strong」で2,000万再生となっている。


Mr.Children 「足音 〜Be Strong」 MUSIC VIDEO

 

このような形で、CD売上とMV再生数を組み合わせれば、なんとかミスチルの人気曲を定量的に把握することは可能であった。この調子で他の歌手も見ていく。

  

ケツメイシ

 

ケツメイシのダウンロード売上ランキングは以下のとおりである。

 

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ケツメイシは2000年代前半からヒットを飛ばし続けていたが、ダウンロード認定を受けている曲は不自然に2012年以降に発売された曲のみとなっている。勘の良い人は気づくと思うが、これらの曲はすべてavexに移籍して以降に発表された曲である。ケツメイシトイズファクトリー時代に着うたフルやiTunesで楽曲を配信することはしなかった。

 

そこでケツメイシの場合もまずはシングルCD売上を参照してみる。2006年以降に発売されたシングルCDでは、「旅人」が唯一25万枚超えとなる34万枚を売り上げている。本曲を収録したアルバム「ケツノポリス5」70万枚を売り上げ、年間でも2007年の8位に入った。 


ケツメイシ「旅人」

 

ただ、ケツメイシの場合もCD売上だけではヒットを把握するのに十分ではなく、やはりMV再生数でヒットの情報を補うことができる。ケツメイシは一部の曲しかMVを公開していないが、MV再生数トップは「バラード」で、なんと1億再生を突破している。この曲のCD売上は4万程度であり、CD売上だけ見ていては気づくことができない人気である。


ケツメイシ『バラード』PV

 

続く再生数2番手は「友よ~この先もずっと・・・」であり、再生数は7,000万。この曲は自己最高の25万ダウンロード認定を受けているが、それよりも大きなヒットの規模感が得られる。冒頭でも述べたが、2010年代後半になるとダウンロードよりもストリーミングやMV再生数が音楽を聴く方法の主流となっており、ダウンロード25万というデータだけで評価を終わらせることはできなくなっている。


ケツメイシ / 友よ ~ この先もずっと・・・ MV

 

BUMP OF CHICKEN

 

BUMP OF CHICKENのダウンロード売上ランキングは以下のとおりである。

 

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見てのとおり、「リボン」が自己最高の25万ダウンロード認定を受けているに留まっている。


BUMP OF CHICKEN「リボン」

 

BUMP OF CHICKENケツメイシのように途中で移籍したわけではないが、やはり不自然に直近の楽曲しか認定を受けていない。バンプの場合はCD発売から時間をおいて着うたフル・iTunes解禁するようにしていたただ、「天体観測」のような時代を超えた人気曲であれば時間差解禁後も徐々にダウンロード売上を積み重ねていると思われ、そのような曲が10万ダウンロードに達していないのは不自然である。ミスチル同様、トイズファクトリーが協会非加盟だった2012年以前の曲が認定申請できない状況になっている可能性がある。

 

そこで、やはりCD売上とMV再生数を参照して人気曲を把握することになる。2006年以降に発売されたシングルCDを対象に売上を分類した結果は以下のとおり。このうち「カルマ」はほぼ50万枚に近い49万枚を売り上げ、年間でも2006年の9位を獲得した。収録アルバムorbital period」68万枚を売り上げており、Billboard JAPAN Top Albums Salesでは2008年の10位に入っている。

 

  • 25万以上:「カルマ」「涙のふるさと」「花の名」「メーデー」「ゼロ」


BUMP OF CHICKEN『カルマ』

 

続いて、MV再生数に目を向ける。自身1位は「天体観測」で、MVは1億達成を突破しているバンプはCDシングル・アルバムともにミリオン未達成なのだが、現在に至る人気を考えると意外であり、これはちょうどCDから配信への移行期にブレイクが重なったという時代的な不運によるものも大きいと思われる。MV1億達成により晴れて名誉ある大ヒットの称号を手にすることとなった。


BUMP OF CHICKEN『天体観測』

 

ゆず

 

ゆずのダウンロード売上ランキングは以下のとおりである。

 

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見てのとおり、「雨のちハレルヤ」が自己最高の25万ダウンロード認定を受けているに留まっている。


ゆず「雨のち晴レルヤ」

 

やはり2000年代の楽曲がない。ゆずは当初ダウンロード販売に消極的で、iTunesに全楽曲を解放したのは2011年であったことも影響しているが、一方で、「栄光の架橋」のように2010年代前半にリバイバルヒットしてダウンロードを積み重ねたと思われる曲が認定されていないことは違和感である。やはりトイズファクトリーが協会非加盟だった2012年以前の楽曲は認定申請できない何らかの事情があるのだろうか。

 

栄光の架橋については震災を受けて応援歌としても使われる場面が増えたこともあり、レコチョク年間ダウンロードランキングで2011年以降7年連続TOP100入りしており、普通に認定を受けていれば相当なダウンロード売上になっていると思われる。

 

さらに勿体ないことにMVもYouTubeにアップロードされていない状況が長らく続いていた…のだが、2020年4月になってついに公開された。このMVが今後再生数を5,000万以上稼いでいくようなこととなれば、この曲の人気が長い年月を経て初めて定量的に可視化できるようになるかもしれない。今後の推移に注目である。


ゆず「栄光の架橋」Music Video

 

2010年代以降の曲は早くからYouTubeにMVがアップロードされていたケースが多いので、再生数を見ていくと、自身1位はアニメ「HUNTER×HUNTER」主題歌「表裏一体」5,000万回再生を突破している。2位は「友~旅立ちの時~」3,000万回。3位は「OLA!」で2,000万回。これらは上記ダウンロード売上ランキングとは全く異なる様相であり、ダウンロード売上1位の朝ドラ主題歌「雨のち晴レルヤ」の再生数は1,000万回である。異なる媒体で異なる曲が支持されているということは、それだけ支持層の裾野が広いということが言えるだろう。


ゆず「表裏一体」

 

湘南乃風

 

湘南乃風のダウンロード売上ランキングは以下のとおりである。

 

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見てのとおり、「え、この1曲だけ?」という違和感を抱いて当然の内容となっている。湘南乃風発売から時間をおいて着うたフル・iTunes解禁するようにしていたほか、配信したとしてもdwangoなど一部サービスに限定して展開していた。

 

湘南乃風の最大シングルCD売上表題曲は2006年に発売された純恋歌。ストレートな歌詞のラブソングが口コミで広がり、ノンタイアップながら50万枚を記録。また、着うた「フル」は当時未解禁だったが、楽曲の切り売りである「着うた」は解禁されており、レコチョク2006年着うた年間1位となった。ただし日本レコード協会における「着うた」ダウンロード売上認定はやはり一切受けていない。


湘南乃風 「純恋歌」(オリジナルver.)

 

CD売上最大はダントツで「純恋歌」なのだが、MV再生数をチェックすると様相は異なる。再生数自己最高睡蓮花5,000万となっており、2番手である「純恋歌」の3,000万に大きな差をつけている。「睡蓮花」のCD売上は10万枚だが、これだけではヒット規模が過小評価になってしまうので要注意だ。カラオケで最もカロリーを消費する夏うたとして定番化し、長く歌われ続けていることが再生数の伸びに繋がっているものと思われる。


「睡蓮花」MV

 

インディーズ勢

 

日本レコード協会はその名の通り日本のレコード会社によって構成されている一般社団法人だが、協会に加盟していない独立系レーベル、いわゆるインディーズから発売された楽曲については、日本レコード協会のダウンロード売上認定の対象外となっている。ここでは特に人気の捕捉が難しい以下の2曲をピックアップする。

 

ゴールデンボンバー「女々しくて」

 

「女々しくて」は言わずと知れたゴールデンボンバーの代表曲。発売は2009年だが2011年に替え歌「眠たくて」がCMに起用されたことをきっかけに、Mステ出演などを通じて知名度が徐々に広がっていき、オリコンカラオケランキング51週連続1位を記録するなど長く愛されている人気曲である。

 

この曲はレコチョクダウンロードランキングにおいて「恋するフォーチュンクッキー」を抑えて2013年の年間1位を記録していることから、相当なダウンロード売上になっているはずだが、前述の理由から認定対象外となっている。切り売りの着うたも含めれば100万ダウンロードを突破したという報道もあったが、フル配信だけのダウンロード売上は不明だ。当時数字を出しているダウンロードチャートが日本に存在しなかったのは非常に痛い。

 

切り売りの着うたの合計ダウンロード売上では、楽曲のどの部分が支持されたのかが分からないうえ、楽曲の一部分のみが支持されているに過ぎない可能性もあるので、一概に人気指標として使うことができない。当然、CD売上で人気をつかめる時代でもなくなっている(この曲の売上は10万枚)。上記で挙げたカラオケ1位記録は偉業ではあるが相対評価の域を出ない。

 

となればやはりMV再生数をチェックすることになるのだが、ここでも勿体ない現象が起きている。なんと非公式にアップロードされたMVの再生数が公式のそれを上回っており、なおかつ両者で再生数が分散してしまっているのである。この現象についてゴールデンボンバー本人は取り締まるつもりがないことを表明していることから、この状況は今後も放置される可能性が高い。

 

再生数は、非公式動画が5,000万再生となっている。公式動画は1,000万再生を突破していた…のだが、2020年3月に公式チャンネルの移行に伴い削除されてしまった。新チャンネルから改めてアップされた公式MVの説明欄には「旧チャンネルでの同動画の再生回数:1,600万再生」としっかり備忘記されてはいるものの、再生数がリセットされてしまったのは非常に勿体ないことだ。再生数を引き継いで動画のアップロード元チャンネルを変更することは可能なので、方法を知らなかったのだとしたら尚更である。


ゴールデンボンバー「女々しくて」MV

↑は公式ver.

 

尤も、非公式とはいえ5,000万再生を突破している時点でヒットしたことは把握できるが、最初から一本の動画に統一されていれば1億再生も狙えたであろうし、大変惜しい。

 

HY「366日」

 

「366日」は2008年に発売されたHY5枚目のオリジナルアルバム「HeartY」収録曲。ドラマ「赤い糸」主題歌に起用されたことなどから人気となり、カラオケの定番として長く愛されている。現在も人気は持続しており、2018年に上白石萌歌がCMでカバーしたことも話題となったことなどから、なんとBillboard JAPAN Streaming Songsでは2019年の79位にランクインしている。

 

HYは基本的にシングルCDを発売しないので、この曲もシングルCD売上としての記録は残っていない。アルバム「HeartY」の売上は46万枚だが、この数字は「366日」のヒット規模を表すには過小評価であろう。例によって切り売りの着うたも含めたダウンロード総数という形なら450万という数字も出てはいるが、フル配信のみ絞った数字は不明だ。清水翔太によるカバーが25万ダウンロード認定を受けていることを考えると、本家はダウンロードミリオンとなっていてもおかしくないと思われる。

 

MVも、制作はされているが、大変勿体ないことに長らくYouTube上では非公開となっていて、代わりに2019年3月にアップロードされたライブバージョンが3,000万回再生を稼ぐ事態になっていた。ライブバージョンにも拘らず公開から約1年半でここまで積み上げていることを考えれば、MVが当初から公開されていれば1億再生となっていてもおかしくなく、色々と惜しい。

 

なおMVは2020年9月に非公開状態が解除された。新規公開ではなく、あくまで非公開としていただけなので、動画公開日は2010年11月のままとなっている。このため、再生数は10年以上かけて稼がれたものではないことには十分に注意したい。


HY - 366日 (Official Music Video)

 

A-Sketch

 

レコード会社A-Sketchに関しても、所属アーティストの一切の楽曲が何のダウンロード認定も受けていないため、ダウンロード売上でヒットが把握できない。A-Sketchは配信リリースに消極的だったわけではなくむしろ積極的なのだが、これにはA-Sketch日本レコード協会の正会員ではなく準会員であることが背景にあるようだ。ゴールドディスク認定はA-Sketchも含む準会員の作品が認定を受けている例もあるが、ダウンロード認定ではごく僅かの例外を除き準会員の作品の認定は無いため、準会員はインディーズレーベル同様認定対象外になっているものと思われる。

 

A-Sketchに所属している(いた)主なアーティストはONE OK ROCKflumpoolTHE ORAL CIGARETTESフレデリック三浦春馬などが挙げられる。ここではONE OK ROCKflumpoolを例に取り上げる。

 

ONE OK ROCK

 

ONE OK ROCKはメディア出演をほとんどしないながらも、ライブ出演やタイアップなどを通じて徐々に知名度を拡大していったため、ブレイクのきっかけとなった曲を挙げることは難しいのだが、2010年に発売され自身初のオリコンTOP10入りとなった「完全感覚Dreamer」、2012年に発売され映画「るろうに剣心」主題歌に起用された「The Beginning」の2曲はステップアップのきっかけとなった人気曲なのは間違いない。

 

極めつけは2016年、2010年発売のアルバム「Nicheシンドローム収録曲「Wherever you are」がドコモのCMソングに起用されたことを受けて人気が爆発。2017年から公表開始したBillboard JAPAN Download Songsの年間では2017年39位→2018年50位→2019年78位と推移する超ロングセラーになっている。この曲がダウンロード10万未満になっているはずがなく、通常通り認定されていれば相当なダウンロード売上になっているはずである。フル配信ダウンロード売上不明となっているのは非常に惜しい。

 

「Wherever you are」はMVも未制作なので、MV再生数でヒットを把握することもできない。MVに代わる公式動画もアップされておらず、非公式ライブ動画がアップされ再生数を数千万回稼ぐが結局削除されることが繰り返されるという極めて不健全な状況になっている。長らく大ヒットを証明できる公式な数字が存在しない事態が続いていたが、2020年に入りBillboard JAPAN Streaming Songsにおいて、累計ストリーミング再生数が1億回を突破したことが明かされ、ようやくこの事態が解消された。

 

とはいえ「Wherever you are」のようなケースは稀であり、ONE OK ROCKの人気曲も基本的にはMV再生数を参照することで把握できる。ワンオクはこれまでMV再生数1億達成曲を3曲輩出しており、これは米津玄師Official髭男dismに次ぐ単独3位記録である。自己最高再生数となっているのは、1億7,000万再生を突破している「The Beginning」である。


ONE OK ROCK - The Beginning [Official Music Video]

 

次いで「Clock Strikes」「完全感覚Dreamer」1億再生を突破している。


ONE OK ROCK - Clock Strikes [Official Music Video]

 


ONE OK ROCK 「完全感覚Dreamer」

 

flumpool

 

flumpoolは2008年に当時としては珍しい配信限定シングル「花になれ」でデビューした4人組男性ロックバンド。au KDDILISMO」CMソングに起用されたことでこれがいきなりヒット。本曲を収録したデビューミニアルバムUnreal24万枚を売り上げた。

 

ヒットした「花になれ」は例によって切り売りの着うたも含める形で150万ダウンロードという数字も出てはいるが、フル配信のみのダウンロード売上は不明。ただ10万未満になっているはずがなく、普通に認定を受けていればかなりの数字になっている可能性がある。当初から配信限定シングルを連発するかなり時代の先端を走っていた売り方をしていたのだが、一切の認定を受けていないのは非常に惜しい。

 

MV再生数では2010年発売の君に届けがその「花になれ」を上回り自身1位の再生数を記録しており、その数字は2,000万再生を突破している。同名映画主題歌に起用されたことで話題となり、Billboard JAPAN Hot 100でも週間1位を記録した。この2曲がflumpoolの2大人気曲といって良いだろう。


flumpool "君に届け" Music Video

 

その他

 

ダウンロード売上でヒットが把握できないアーティストはほとんど上記の4勢力に該当するのだが、例外もある。以下にて2組ピックアップする。

 

マキシマム ザ ホルモン

 

マキシマム ザ ホルモンは非常にマイペースな活動を続けている。2006年に「恋のメガラバ」がCD売上チャートTOP10入りし、翌2007年に発売したアルバム「ぶっ生き返す」31万枚のセールスを記録して完全にブレイクしたのだが、以降に発売したCDシングルは2008年の「爪爪爪/「F」」、2011年の3曲A面「グレイテスト・ヒッツ〜2011-2011〜」のみ。オリジナルアルバムも2013年に発売した予襲復讐1作しかリリースしていない。その間ダウンロードやストリーミングを解禁することはなく、「予襲復讐」に至ってはCDレンタルすら禁止した。

 

ということで、マキシマムザホルモンのダウンロード売上の記録は当然一切残っていない。さらにMVも全曲はYouTubeに公開していないので、マキシマム ザ ホルモン人気曲の捕捉はジャニーズ並みに難しくなっている。そんな中でもMV再生数データを見ると、自身1位は予襲復讐の2,000万再生となっている。


マキシマム ザ ホルモン 『予襲復讐』 Music Video

 

秋川雅史

 

秋川雅史といえば、2007年に千の風になって」がCDシングルミリオンを記録した男性テノール歌手。「千の風になって」以降にCDシングルミリオンとなった作品はすべて販促商法に頼ったものであるため、事実上、100万人が購入した最後のCDシングルといえる。

 

そんな大ヒット曲であるが、ダウンロード売上においては何の認定も受けていない。それもそのはずで、この曲は当時着うたフルなどの配信を解禁していなかった。CDで聴いてほしいという意向があったと言われている。この曲はまさにCDシングル売上が楽曲人気指標だった時代の最後の大きな打上花火だったのである。


秋川雅史/千の風になって

  

まとめ

 

以上までが、ダウンロード売上でヒットが把握できないアーティストの一覧である。これと歴代配信ダウンロード売上ランキングを合わせれば、2000年代後半以降のヒット曲は9割方押さえることができると言って過言ではない。YouTubeのMV再生数ランキングも押さえれば、ほとんど完璧だ。

 

2020年以降はストリーミングサービスの普及が一層進むことが予想されるため、ストリーミングランキングが楽曲人気指標の主流になると思われる。今後はストリーミング再生数のチェックがヒットを掴むうえで欠かせなくなるだろう。

 

なお、日本レコード協会のダウンロード認定は下記サイトより検索することができる。

 

www.riaj.or.jp

 

*1:厳密には、2006年から2010年までのオリコン年間チャート集計期間中に発売された楽曲を対象とした