RADWIMPSは、ボーカル野田洋次郎を中心に結成され、2005年に「25コ目の染色体」でデビューしたバンド。デビュー以降ジワジワと人気を拡大・維持していき、2016年には大ヒット映画主題歌を担当したことで大きな脚光を浴びるなど、現在まで約20年に渡りヒット曲を大量輩出している。
RADWIMPSがブレイクした2000年代中盤はダウンロード市場が普及し始めていた時期だったため、楽曲人気は主にダウンロード売上を通じて把握できる。RADWIMPSの累計フル配信ダウンロード売上は535万で歴代16位となっている。また、2020年代以降に新たな楽曲人気指標として台頭したストリーミング再生回数においても一定の規模を記録している。
ここではデジタル指標を参照しながらRADWIMPSのヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、RADWIMPSのデジタル人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)
- デビュー~2015年
- 2016年 -『君の名は。』-
- 2017年~2019年 -『天気の子』-
- 2020年以降 -『すずめの戸締まり』-
- まとめ
- 【参考】RADWIMPSの人気楽曲ランキング(バージョン違い合算版)
上記で挙げた楽曲をリリース順で並べた表も以下に示す。

デビュー~2015年
RADWIMPSは2001年に結成され、野田洋次郎の大学受験や多少のメンバーチェンジを経ながらも、メジャーデビューに至るまでCDリリースやライブ活動を行い、着実にファンを増やしていった。
2005年11月には満を持してメジャーデビューとなり、シングル「25コ目の染色体」をリリース。2010年に10万ダウンロードを突破する人気曲となった。
2006年2月には通算三作目にしてメジャー初となるオリジナルアルバム『RADWIMPS 3〜無人島に持っていき忘れた一枚〜』をリリース。アルバム曲の中では「最大公約数」がフル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、「セプテンバーさん」がストリーミング1.3億再生、「トレモロ」がストリーミング5,000万再生を記録する人気曲になっている。
2006年5月にはシングル「ふたりごと」をリリースし、フル配信25万ダウンロード、MV5,000万再生を記録。意外にもこの曲がCDシングル表題曲では唯一の25万ダウンロード達成曲となっている。これはRADWIMPSがCDシングルに拘らない形でヒット曲を多く出していたことも大きいが、初期の楽曲ではこの曲が代表曲と言って間違いないだろう。なおアルバムには後奏が異なる別バージョン「ふたりごと ~一生に一度のワープver.~」が収録されており、こちらはストリーミング5,000万再生を記録している。
続く7月にはシングル「有心論」をリリースし、表題曲はフル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.0億再生、MV4,000万再生を記録した。
シングルヒットが連発した勢いに乗り、12月には早くも4thオリジナルアルバム『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』をリリース。アルバム曲の中では、「me me she」がフル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.3億再生、MV4,000万再生、「いいんですか?」がフル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.1億再生、MV3,000万再生、「05410-(ん)」がフル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.3億再生を記録している。
こうして人気拡大期を迎えたRADWIMPSだが、普通であれば多くのアーティストはこの期を逃さず新曲を次々とリリースして人気のピークを築き上げるものである。しかしRADWIMPSは非常にマイペースな活動を維持し、なんと翌2007年は新作を一切リリースしなかった。今思うとこのマイペースさが人気の波をなだらかにし、息の長い人気に繋がったのかもしれない。
2008年1月には待望の新曲「オーダーメイド」をリリースし、デジタル指標では10万ダウンロードを売り上げた。
この曲のヒットで弾みをつけ、次々と新作をリリースするのがブレイクする多くのアーティストが取る動きだが、RADWIMPSはマイペースな活動を継続し、なんと2008年はこの曲以降一切の新作をリリースしなかった。
2009年1月には1年ぶりとなる待望の新曲「おしゃかしゃま」を配信限定リリースし、フル配信10万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV5,000万再生を記録。3月にはこの曲も収録した5thオリジナルアルバム『アルトコロニーの定理』をリリースした。
前作に続くアルバムのヒットで弾みをつけ、ここから次々と新作をリリースするのが多くのアーティストが取る動きだが、やはりマイペースな活動が続き、2009年はこれ以降一切の新作がリリースされなかった。
2010年6月には1年以上ぶりとなる待望の新曲「携帯電話」「マニフェスト」を同時リリース。このうち「マニフェスト」のみが10万ダウンロードを記録していることから、楽曲人気は「マニフェスト」に軍配が上がったようだ。ただどういうわけか次のアルバムには「携帯電話」のみが収録され、「マニフェスト」は一度もアルバムに収録されないまま10年以上が経過している。相変わらずマイペースな活動ぶりである。2010年の新作リリースはこの2作で終了した。
2011年は1月に待望の新曲「DADA」をリリースし、Billboard JAPAN Hot 100で自身初の週間1位を獲得した。ただ意外にもこの曲は今のところデジタル指標では認定を受けていない。
3月には6thオリジナルアルバム『絶体絶命』をリリース。アルバム曲の中では、「君と羊と青」がNHKサッカー中継のテーマソングに起用されたことで人気となり、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング2.0億再生、MV4,000万再生を記録した。実はCDシングル化されていない本曲が『絶体絶命』収録曲中最大売上を記録していたのである。本曲は夢や目標を追うがむしゃらさが歌詞やスピード感のあるロックサウンドで表現されている。
RADWIMPS - 君と羊と青 [Official Music Video]
2013年10月には16thシングル『五月の蝿/ラストバージン』をリリースし、「ラストバージン」がストリーミング5,000万再生を記録した。同年12月には7thオリジナルアルバム『×と○と罪と』をリリース。本作の収録曲の中では、アルバム曲の「会心の一撃」が一番人気となり、フル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.1億再生を突破した。
なお、デビューからこの期間まで、地上波音楽番組への出演は一切行わなかった。
2016年 -『君の名は。』-
2016年には大きな転機が訪れた。RADWIMPSが劇中歌を手掛けた映画『君の名は。』が興行収入250億円を記録する特大ヒットとなったことで、RADWIMPSの楽曲も大ヒットとなったのである。これを機に人気楽曲が再び増加し、第二の全盛期とも言える時期に突入していった。
『君の名は。』は新海誠が監督を務めたアニメ映画で、監督がファンだというRADWIMPSに楽曲制作を依頼し、主題歌だけではなく劇中音楽全ての制作を担う運びとなった。このうち「前前前世 (movie ver.)」が映画公開1ヶ月前の2016年7月から先行リリースされ、実質的なリードトラックとして機能した。映画公開のタイミングでは、この曲で自身初となる地上波音楽番組への出演を果たし、精力的なプロモーションを展開。勢いのあるキャッチーなメロディーや映画にリンクした歌詞がたちまち評判となり、フル配信100万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV3.4億再生を記録した。ダウンロード売上の推移は以下のとおり。
- 配信開始から2ヶ月後の2016年9月に25万ダウンロード突破
- 3ヶ月後の2016年10月に50万ダウンロード
- 4ヶ月後の2016年11月に75万ダウンロード
- 配信開始から7ヶ月後の2017年2月にミリオン達成
見てのとおり、映画公開以降は毎月25万ダウンロードずつ積み上げる猛烈な勢いでダウンロード売上を重ねた。年末には自身初となる『NHK紅白歌合戦』への出演をこの曲で果たしたことで年を跨いで売れ続け、配信開始から1年も経っていない2017年2月にミリオンを突破するに至った。
映画が公開されたタイミングではBillboard JAPAN Hot 100でも自身2曲目の週間1位を獲得。年間でも2016年2位→2017年9位と2年連続TOP10入りする大ヒットとなった。
なお2016年当時はBillboard JAPANが所謂AKB商法で得られたCD売上の反映率制限を設けていなかったことから、Hot 100の年間1位はAKB48となっている。翌年以降は制限がかけられ、AKB商法による年間1位獲得は不可能となったことから、制限適用が一年早ければ「前前前世」が年間1位であり、もはや楽曲人気では実質的な年間1位と言って差し支えない。これも踏まえ、当ブログでは「前前前世」を2010年代のヒット曲10選に選出している。
RADWIMPSはこれまで個性が強く大衆受けしないような楽曲を多く輩出しており、その結果としてミリオンクラスの大ヒット曲はまだ出ていなかった。これまでのマイペースな活動ぶりを考えると敢えてヒットの最前線には出ないようにしていたようにも思われたが、ここにきて大衆性の強い楽曲を出して積極的なプロモーションを行い大きな実績を残した。楽曲の幅の広さを見せつけたという意味では大きな意義のある活躍だったと言えるだろう。
映画『君の名は。』は劇中歌を全てRADWIMPSが手掛けているため、そのサウンドトラック『君の名は。』はRADWIMPS名義でリリースされており、「前前前世 (movie ver.)」も本作に収録されている。併せて収録された他の劇中歌も人気となり、「なんでもないや (movie ver.)」がフル配信75万ダウンロード、ストリーミング1.0億再生、「スパークル (movie ver.)」がフル配信50万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、「夢灯籠」が25万ダウンロード、ストリーミング1.0億再生を記録している。
この4曲が歌入りの劇中歌で、他の収録曲は全てインストゥルメンタルであることから、歌入り曲は全曲ヒットしたことになる。それぞれが映画の要所を締める位置で使用され、楽曲を聴くことでそのシーンを思い返し、世界観に浸ることができる楽曲内容になっていたことで1曲1曲が確かな人気を獲得した。
2016年11月には8thオリジナルアルバム『人間開花』を発売。本作には『君の名は。』劇中歌のうち、「前前前世」と「スパークル」の2曲がoriginal ver.で収録された。
「前前前世 (original ver.)」はmovie ver.にはないブロックが追加されたバージョンとなっている。このブロックはmovie ver.完成後に新海監督の要望で急遽追加されたもので、劇中でもこのブロックが追加された音源が使用された。そのためmovie ver.は厳密には劇中で使用された音源というわけではない。このoriginal ver.は劇中音源を更にアレンジして作られたもので、「前前前世」は合計3バージョン存在していることになる。劇中音源は未発売なので劇中でしか聴くことができない。original ver.はフル配信10万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録した。
「スパークル (original ver.)」はmovie ver.と比べ間奏が2分ほど短くなっている。元々movie ver.は劇中の展開に合わせて間奏が非常に長く作られており、合計演奏時間は8分を超えていたので、自然な楽曲のバランスに整えられたバージョンと言うことができる。カラオケで「スパークル」を入れるときは、長い間奏で微妙な空気になることを避けるためoriginal ver.を選択することを推奨する。
本曲はフル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.1億再生、MV2.5億再生を記録した。MVは映画の映像をこのアルバムのために再編集し制作されたもので、アルバムの初回限定盤DVDに収録されている。YouTubeに公開されているのはその予告映像として位置づけられたショートバージョンである。
スパークル [original ver.] -Your name. Music Video edition- 予告編 from new album「人間開花」初回盤DVD
「君の名は。」関連曲以外のアルバム曲では、ドラマ『フランケンシュタインの恋』主題歌に起用された「棒人間」が10万ダウンロードを売り上げる人気曲になっている。
2017年~2019年 -『天気の子』-
2017年5月には20thシングル『サイハテアイニ/洗脳』を発売し、1曲目の「サイハテアイニ」がフル配信10万ダウンロードを売り上げた。2017年は『君の名は。』ブームの翌年だったが、この年の新作発売は今作のみ。
2018年は2枚のシングル発売を経て、12月に9thオリジナルアルバム『ANTI ANTI GENERATION』を発売した。収録曲で一番人気となったのはアルバム発売1ヶ月前に配信で先行発売されていたアルバム曲「そっけない」。フル配信10万ダウンロード、ストリーミング2.0億再生、MV6,000万再生を突破しており、特にストリーミング再生回数は自身最多記録となっている。
本曲は恋愛におけるリアルな温度感を描いたバラードナンバー。発売から約2年後の2020年にABEMAオリジナル恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない』主題歌に起用されたことで人気が普及した。
RADWIMPS - そっけない [Official Music Video]
この他のアルバム曲のうち「正解(18FES ver.)」は『RADWIMPS 18祭』のために書き下ろされた楽曲で、実際に『RADWIMPS 18祭』でパフォーマンスされた際の音源である。本曲は新たな卒業ソングの定番として普及してきており、人気を受けて2024年には正式なスタジオレコーディング音源「正解」がリリースされている。各指標の累計は両バージョンの合算でフル配信10万ダウンロード、ストリーミング1.0億再生を記録した。YouTubeではMVの他にLive Videoが2020年に公開されており、こちらがMV4,000万再生を記録している。
2019年には再び新海誠監督とタッグを組み、アニメ映画『天気の子』の劇中音源を『君の名は。』同様RADWIMPSが全て制作した。映画は興行収入140億円を記録する大ヒットとなった。
RADWIMPS名義で7月に発売したサウンドトラック『天気の子』の収録曲のうちリード曲として扱われたのは「愛にできることはまだあるかい」で、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV1.4億再生を記録している。本曲は無情な定めに立ち向かう映画の内容にもマッチした壮大なバラードナンバーで、勇気や希望を与えてくれる曲としても支持された。
RADWIMPS - 愛にできることはまだあるかい [Official Music Video]
他、「グランドエスケープ (Movie edit) feat.三浦透子」もフル配信25万ダウンロードを記録している。
このサウンドトラックには歌入り曲が5曲収録されていたが、このうち4曲はMovie editとして収録され、「愛にできることはまだあるかい」のみMovie editとフルバージョン両方が収録されていた。11月には、この5曲のフルバージョンのみを収録したコンパクトな内容の『天気の子 complete version』を発売している。このタイミングで配信された「大丈夫」のフルバージョンはフル配信10万ダウンロード、MV3,000万再生を記録した。「グランドエスケープ feat. 三浦透子」のフルバージョンもストリーミング5,000万再生を記録した。
2020年以降 -『すずめの戸締まり』-
2022年には話題映画二作の劇中歌を担当した。一作目は3月に公開された実写映画『余命10年』で、小松菜奈と坂口健太郎が主演を務めており、興行収入は30億円を記録。この主題歌として制作された「うるうびと」はストリーミング1.0億再生を記録した。本曲はサウンドトラック『余命10年 〜Original Soundtrack〜』に収録されている。
二作目は新海誠監督のアニメ映画『すずめの戸締まり』。三度目のタッグとなった本作も興行収入140億円を記録する大ヒットとなった。主要劇中歌のうち「すずめ (feat. 十明)」がストリーミング1.2億再生、「カナタハルカ」がストリーミング1.3億再生を突破している。「すずめ」はLiryc Videoが公開されており、こちらもMV1.0億再生を突破している。両曲はサウンドトラック『すずめの戸締まり』に収録されている。なお劇中歌制作には作曲家の陣内一真も参加しており、サウンドトラックの名義はRADWIMPS/陣内一真となっている。
このうち「カナタハルカ」は映画の締めくくりに使用されたバラードナンバー。絶望も希望に変えていくような強い愛情に至る運命的な過程がドラマティックに表現されており、鑑賞後の深い余韻を与える楽曲になっている。
RADWIMPS - カナタハルカ [Official Music Video]
まとめ
以上まで見てきたとおり、RADWIMPSは敢えて人気のピークを作らないかのようにスローな活動ペースを維持しながらも、要所で大ヒット曲を輩出することでデビュー以来20年近くに渡り活躍を続けている。ヒットに浮かれることなくマイペースに個性を表現し続けるさまは正に職人である。
RADWIMPSは2000年代中盤にデビューしたアーティストでありながらCDシングル化されていない楽曲のヒットが多いのも特徴で、人気楽曲ランキングではTOP10中実に9曲がCDシングル化されていない楽曲となっている。人気楽曲を把握するツールとしての配信売上・再生回数指標の重要性が分かるデータである。
上記ヒット曲を手元に所有したい場合は、入り口として8thオリジナルアルバム『人間開花』をお勧めする。
この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。
【参考】RADWIMPSの人気楽曲ランキング(バージョン違い合算版)
本記事で示したデジタル人気楽曲ランキングには、同一楽曲が複数バージョンでランクインしているケースもあるが、当該売上・再生回数を合算して取り扱った場合の人気楽曲ランキングも、最後に参考として掲載する。

