Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

2016年配信曲のダウンロード売上ランキング【2016年のヒット曲】

この記事では2016に配信された楽曲のヒットを、主にフル配信ダウンロード売上を通じて振り返る。

 

2005年までは音楽の聴き方の主流はCDを購入することだったため、楽曲人気を把握する主要な手段は依然としてCD売上チャートを確認することであった。しかし2006年以降は配信市場が無視できない規模に拡大。ミリオンセラーがフル配信ダウンロードで続々誕生するようになり、完全にCDに代わる音楽の聴き方の主流に躍り出た。

 

そのような状況にも拘わらず、楽曲人気指標としての役割が期待されていたオリコンは配信売上の集計を一向に開始せず、CD売上チャートだけを提示し続けた。そのCD売上チャートも、楽曲人気に関係しない要因によって特定アーティストにより過度に独占されるようになったため、楽曲人気指標としては使用不可能になった。

 

そんな中でもCD売上を楽曲人気指標として誤用する動きはなかなか改善されず、そうこうしているうちに、スマートフォンの普及によりこれまで着うたフルが牽引してきたダウンロード市場が2010年代に入って一気に縮小を始めた。

 

ダウンロードに代わって音楽の聴き方の主流となったのがストリーミングであり、日本国内で先陣を切って普及し始めたストリーミングサービスがYouTubeである。この変化に伴い、以降は徐々に楽曲人気を計る方法もダウンロード売上からMV再生数に移行していくこととなる。

 

2016年はこのような変化の過渡期だったことを踏まえ、ダウンロード売上をメインに取り上げつつも、MV再生数データにも適時触れながら、ヒットシーンを振り返っていくこととする。

 

累計配信売上は日本レコード協会のダウンロード認定で確認する。2016年配信曲で最終累計50万ダウンロード以上を記録した全曲のデータをランキング化した表は以下のとおり。このうち2曲が配信ミリオンを突破している。

 

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(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちら↓) 

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(歴代アーティスト別ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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また、2016年に公開されたMVで2020年12月31日時点で5,000万再生を突破している曲は以下のとおりである。このうち4曲が2億再生を突破している。

 

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(歴代MV再生数ランキングはこちら↓) 

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なお、ここではあくまでもダウンロード発売が解禁された年や、MVが公開された年で楽曲を振り分けて表を作成している。

 

 

この年活躍したアーティスト

 

以下アーティストの活躍は個別記事を設けて詳細解説しているので、記事へのリンクをあいうえお順に並べた。

 

安室奈美恵

宇多田ヒカル

back number

星野源

米津玄師

 

ミリオン(100万)達成曲解説

 

「恋」は10月に発売された星野源の9thシングル。最高視聴率20.8%を記録した大人気ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌に起用された。前向きになれる明るい曲調や「恋ダンス」と呼ばれたキャッチーな振り付け、対象を限定しない普遍性の高い歌詞が支持され、配信ダブルミリオン、MV2.3億再生を記録する一大ムーブメントを巻き起こした。

 

初動の勢いは凄まじく、ダウンロードミリオンは発売3ヶ月後の2017年1月に突破した。発売3ヶ月以内での配信ミリオン達成は、2010年代発売曲では他に米津玄師「Lemon」、松たか子「レット・イット・ゴー~ありのままで~」、西野カナ「会いたくて 会いたくて」の3曲しかない。

 

また、MVの1億再生突破も所要143日で達成された。これは当時歴代2位、今でも歴代6位のスピード記録である。このMVは途中で広告が被せられているが、もし広告がなかったら記録はもっと伸びていたかもしれない。


星野源 – 恋 (Official Video)

 

星野源はこの他にも2015年発売の「SUN」75万ダウンロードを売り上げており、この時期大活躍していた。

 

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RADWIMPS前前前世 (movie ver.)」新海誠が監督を務めたアニメ映画「君の名は。」の劇中歌で、映画公開1ヶ月前の7月から配信のみで先行発売された。映画は興行収入250億円を記録するほどの社会現象となり、楽曲も勢いのあるキャッチーなメロディーや映画にリンクした歌詞が支持され、配信ミリオン、MV2.5億再生を達成する大ヒットとなった。 


前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV

 

RADWIMPSは監督がファンだという縁もあって本映画の劇中音楽全ての制作を担ったが、「前前前世 (movie ver.)」以外にも「なんでもないや」75万ダウンロードスパークル (movie ver.)」50万ダウンロードを売り上げており、一大ムーブメントを築いた。

 

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MV2億再生達成曲解説

 

ピコ太郎PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」は、お笑いタレント古坂大魔王が扮するピコ太郎が2016年8月に動画配信した1分少々の楽曲である。9月にジャスティン・ビーバーがお気に入りの動画としてTwitterで取り上げたことなどにより、中毒性の高いリズムが世界的に人気を広げ、MV1.4億再生を記録した。なお公開から所要113日での1億達成は国内MVとしては当時歴代1位で、今でも歴代5位のスピード記録となる。

 

関連動画も数多く公開されたが、特に11月に公開されたPPAP (Long Version)」が最も多い3.8億再生を記録した。このバージョンは2017年頃から原曲を大きく上回るMV再生数ペースとなり、今ではダントツで自己最高再生数となっている。ちなみにこの動画は世界の名門レーベルUltra Musicから配信されたもので、これとは別にピコ太郎個人のチャンネルから配信された同内容の動画もあり、こちらも別途1億再生を突破している。参考までに原曲と全部合計すれば6億再生を超える。


PIKOTARO - PPAP (Pen Pineapple Apple Pen) (Long Version) [Official Video]

  

米津玄師「LOSER」は9月に発売されたソニー移籍第一弾シングル。テンポの早い曲調になっており、MVで本人が踊るキレのあるダンスとともに高く支持された。発売当時はノンタイアップだったにもかかわらず楽曲は徐々に普及していき、2018年にはホンダのCMソングに起用されて人気が再燃した。累計は配信75万ダウンロード、MV2.7億再生を突破している。


米津玄師 MV「LOSER」

 

周知のとおり米津玄師はこの年から前人未到の快進撃が続くこととなる。

 

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トリプル・プラチナ(75万)達成曲ピックアップ

 

花束を君には4月に配信された宇多田ヒカルの活動休止明け最初の配信シングル。NHK朝の連続テレビ小説とと姉ちゃん」主題歌に起用され、お茶の間に浸透した。母親への想いを歌う内容も支持され人気を博し、売上は75万ダウンロードを突破した。


宇多田ヒカル - 花束を君に

 

9月にはこの曲も収録した6thオリジナルアルバム「Fantôme」も発売され、CD70万枚、配信10万ダウンロードを売り上げている。

 

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ダブル・プラチナ(50万)達成曲ピックアップ

  

サイレントマジョリティー」は4月に発売された欅坂46のデビューシングル。軍隊のような衣装、統率されたダンス、若者の自我の開放を訴えるようなメッセージ性の強い歌詞、センターを務めた平手友梨奈の存在感はそれまでの大人数アイドルグループの楽曲にはない個性を有しており、それが支持される形で配信50万ダウンロード、MV1.5億再生を突破した。これは何れも自己最高記録であり、CD売上のように握手券等の特典によって盛られた数字でもない。本曲が欅坂46最大の人気曲と言える。


欅坂46 『サイレントマジョリティー』

  

もし当時年間ダウンロード売上チャートがあったらどうなっていたか

 

2016年は「恋」「前前前世」「PPAP」など強大なインパクトで圧倒的な知名度を誇った大ヒット曲が多く、これらの楽曲は音楽チャートを確認せずとも流行が体感できるほどであったため、人気が過小評価される場面はあまりなかった。

 

それでも、当時楽曲人気指標として最も有名だったオリコンが配信売上の集計を一向に開始しなかったことなどから、2016年の音楽チャート上ではこれらの大ヒット曲が適切に上位表示されたとは言い難い。この「流行と音楽チャートとの乖離」への問題意識が深まったことで2017年以降はようやく楽曲人気チャートの再建・再発掘の流れが出来上がったものの、国内に総合楽曲人気チャートが存在しないという不健全な状況は2006年から2016年にかけて11年間継続していた。

 

この11年間はダウンロード売上を全国網羅的に集計した年間ランキングを誰も作れずに終わっているが、日本レコード協会のダウンロード認定を用いれば、もし年間ダウンロード売上ランキングが存在していたらどのような様相になっていたかを推定できる。具体的には、2016年配信曲2016年12月までに認定されたダウンロード数*1を確認することで年内のダウンロード売上を推定し、ランキング化した。その結果は以下のとおりである。

 

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年内25万ダウンロード突破曲数は前年の13曲から微減の10曲。ただ、年内50万ダウンロード突破曲数は前年の1曲から3曲に増加した。携帯電話がフィーチャーフォンからスマートフォンに急速に取って代わられたことよる着うたフル市場の急激な縮小フェーズが終了し、平均ダウンロード売上水準の下げ止まりを思わせる動向となっている。そんな中で、RADWIMPS前前前世(movie ver.)」が年内唯一の75万ダウンロード突破を果たした。

 

また、2013年まで配信でも上位に楽曲を送り込んでいたAKB48は2014年、2015年に続き1曲もTOP20に入っていない。2015年12月発売の365日の紙飛行機は2016年に入ってから50万ダウンロードを積み上げるヒットを記録したが、2016年発売曲は1曲も10万ダウンロード突破認定を受けていない。

 

AKB48はAKB商法によって楽曲人気に関係なく常時CDミリオンセラーを出せる体制を確立しており、この年のオリコン年間チャートも必然的にAKB48が上位を独占したが、3年連続でダウンロード売上との乖離が激しい結果になったことによって、漸くCD売上チャートが楽曲人気指標として機能していないことへの理解が進み始めた。

 

CD売上チャートは既に2011年から楽曲人気指標として使用できない状態になっていたのだが、2013年までは、CD売上チャート上位を独占していたAKB48が実際に大人気を獲得していたため、その事実がなかなか理解されなかった。そのため、CD売上チャート上位に入ることの人気アピール効果も暫く不適切に持続することとなり、その分多くの配信ヒット曲が脚光を浴びにくくなる状況が続いた。

 

流行とは本来、「一定の楽曲人気を獲得→音楽チャート上位進出→流行を追う層も存在を認知→ムーブメント化」という流れで形成されるが、音楽チャートの機能不全と市場移行期が重なったことで流行が形成されにくくなった。歴史的に見ても2012年以降しばらくの間は明らかにヒット曲が減少した。

 

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※2021年3月20日時点のデータをもとに作成

 

この歪な事態を招いた責は全面的に当時の音楽チャート作成者に帰属しており、AKB48に直接批判を向ける話ではない。AKB48が2013年まで大人気を獲得していたことは事実であり、詳細は下記記事でまとめている。

 

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2016年のBillboard JAPAN年間チャート

 

Hot 100

 

Billboard JAPAN Hot 100「社会への浸透度を計る」ことを明確に理念に掲げ、CD売上以外の要素も加味して作成されている総合楽曲チャートである。CD売上チャートによる楽曲人気のミスリードが続く中、2008年に誕生したこの音楽チャートは楽曲人気の可視化を目指してひっそりと試行錯誤を続けていた。

 

2015年までの集計対象はCD売上ラジオエアプレイiTunesダウンロード売上ルックアップ(PCによるCD読取数)TwitterMV再生数歌詞表示回数を基に推定したストリーミング再生数の合計7指標だったが、2016年2月からは、新たに外資マーケティングリサーチ会社GfKジャパンからデータを提供してもらえるようになった。

 

この結果、iTunesだけでなくレコチョク・mora・mu-mo等国内主要ダウンロード販売サイトの売上が集計可能となり、ついに全国網羅的なダウンロード売上の集計体制が築かれた。

 

配信ダウンロード市場が無視できない規模に拡大したのは2006年だが、当時の主要楽曲人気指標だったオリコンをはじめ、誰も網羅的なダウンロード売上チャートを開始しなかったことで、国内に総合楽曲人気チャートが存在しないという状況が生み出された。しかし2016年になって漸くビルボードが国内で初めて全国網羅的ダウンロード売上を指標に組み入れた音楽チャートを実現させ、総合楽曲人気チャート復活に向けた大きな一歩を踏み出した。

 

ビルボードがこの成果を実現させるまでの約10年間、他に誰も網羅的ダウンロード売上チャートを作らなかったことは、音楽業界全体で猛省すべきである。唯一網羅的ダウンロード売上が分かるデータベースである日本レコード協会ダウンロード認定も取り上げられる機会が乏しく、この10年の間の配信ヒット曲は十分に脚光を浴びることができなかった。

 

この事態の改善に向けた重要な成果を達成したビルボードは、この年総合楽曲人気チャートとしての合格点クリアまであと一歩というところまで近づいた

 

2016年のBillboard JAPAN Hot 100年間TOP10は以下のとおり。参考記録として、各曲のダウンロード売上も併記した。

 

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(TOP100はこちら↓)

www.billboard-japan.com


当時のビルボードもCD売上の比重が高いことは否めないが、年間TOP10がAKB48グループ、坂道シリーズ、嵐だけで埋め尽くされたオリコン年間シングルチャートと比べれば偏りが緩和されている。特筆すべきは、年内配信売上1位2位のRADWIMPS前前前世」、星野源「恋」がその並びのままTOP3に入っていることである。2015年までは高配信売上曲をチャート上位に送り込めていないケースもあったビルボードだったが、網羅的ダウンロード売上集計が実現したことで、配信ヒットの可視化精度が格段に上昇したことが読み取れる。

 

さらには、ダウンロード売上ではなくMV再生数を主力に爆発的な人気を獲得したピコ太郎「PPAPペンパイナッポーアッポーペン)」も年間TOP10に送り込むことに成功した。この曲や「前前前世」はCDシングル化されていないため、CD売上チャートではヒットどころか存在すら認知不可能である。ビルボードの相対的な楽曲人気指標としての功績は著しい。

 

一方で、年間1位はAKB48「翼はいらない」となった。この曲はダウンロード10万未満、MV・ストリーミング3,000万未満となっており、楽曲人気を示す証拠を何も有していない。ほぼCD売上だけのポイントによりHot 100の年間1位となったことは、集計方法の試行錯誤を続ける過程で生じたビルボードの失敗であった。

 

そもそもAKB48の前年2015年のHot 100年間TOP10入りは「僕たちは戦わない」が8位に入ったのみであり、なぜ2016年は年間TOP10に4曲も入るほど年間順位が回復したのか疑問を持つ人も多いと思われる。この理由は、2015年まで所謂劇場盤と呼ばれる販路限定握手券付CDを集計対象外としていたところ、2016年から新たに集計対象に加えたことによるものである。

 

劇場盤が集計対象外となっていたころのAKB48のCD売上はと拮抗する程度の枚数に収まっていた。ところが劇場盤を加えたことでその数字は100万~200万枚前後上乗せされ、獲得ポイントも大膨張した。

 

劇場盤を集計対象とした背景は下記ブログ執筆者がビルボードに直接問い合わせをしたことで公式な回答が判明している。

 

www.imaoto.com

 

公式回答を要約すれば、集計対象の網羅性の拡充を意図したという内容であった。集計対象の網羅性は確かに楽曲人気チャートとして最も重要な要件であり*2、CD以外の指標も数多く集計対象にできているという観点から、ビルボードは発足当時からCD売上チャートに代わり国内で最も楽曲人気チャートに近い存在になっていると言える。

 

とはいえAKB商法という楽曲人気に関係しない要因によって生み出された莫大なCD売上をそのままポイント化してしまっては楽曲人気の可視化が阻害されてしまう。2017年以降は1週間のCD売上が多すぎる場合のポイント換算率を低くする計算方法が導入されたことでこの問題は解決したが、2016年は対策が施されず、楽曲人気チャートとしては失敗と言える年間結果となった。

 

さらに、Hot 100の順位を決定する総合ポイントも、現在でこそ2016年2月分まで遡及公開されているものの、当時は非公開になっていた。これも楽曲人気規模の絶対量の把握を困難にするものである。こうした欠点により、当時のビルボード楽曲人気チャートとしての合格点には達していなかった

 

しかし、ビルボードが劇場盤の集計を開始したことは一方で重大な事実も炙り出した。オリコンが集計するAKB48総選挙投票券付CD売上実際より約100万枚少ないことが判明したのである。「翼はいらない」のビルボードにおける年間集計期間内のCD売上は250万枚。対してオリコンでは151万枚となり、100万枚もの差異が生じていた。

 

www.billboard-japan.com

 

www.oricon.co.jp

 

どちらがより正確な売上枚数なのかは混乱が生まれたが、ビルボードの方が正確なのではないかという予測が次の二点から導かれた。

 

  1. 「翼はいらない」にはAKB総選挙投票券が封入されており、その総選挙における投票数は毎年のように過去最高を更新していたが、この動向は投票券を封入したCDシングルの売上がオリコンで2014年以降170万枚前後で横這いとなっていたことと整合しない。
  2. 2015年の投票券封入CDシングルである「僕たちは戦わない」の出荷枚数は300万枚を突破していることをレコード会社が発表しているが、オリコンの数字を正とすると100万枚以上の売れ残りが発生していることになり、実際にこうなっているとは考えにくい。

 

オリコンはこの処理を具体的に公表していなかったが、この結果を受けて多くの問い合わせが来たためか、2017年2月に、これまでもAKB48のCD売上を減少させていたと読み取れるプレスリリースを発表した。

 

実は事態が顕在化する前の2015年には、SMAP世界に一つだけの花のCDダブルミリオン記録の優位性を守りたいジャニーズ事務所オリコン圧力をかけたため「僕たちは戦わない」のCD売上が200万枚を超えないように調整されたとする記事が出回っていた。事態の顕在化により、この記事を根拠のない噂に過ぎないと否定する自信は揺らいでしまったと言える。

 

tocana.jp

 

結果的には、ビルボードは2016年の年間チャートの失敗と引き換えに、正しいAKB48のCD売上実態を世に知らしめたと言える。いずれにしてもビルボードが最も楽曲人気指標に近い公式な総合チャートであることは間違いないため、2016年の年間チャートも今からでも押さえておきたいところである。

 

Top Singles Sales

 

Hot 100を構成する各指標の年間ランキングも紹介する。CDシングル売上チャートTop Singles Salesの年間TOP10は以下のとおり。

 

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(TOP100はこちら↓)

www.billboard-japan.com

 

オリコンビルボードかに拘わらずCD売上は楽曲人気指標として一切使用できなくなっている。既述のとおり2015年までのビルボードは所謂劇場盤と呼ばれる販路限定握手券付きCDの売上を集計対象外としていたが、2016年からは集計対象に追加した。その結果、2016年以降のビルボードのCD売上チャートはオリコンとほぼ同等の順位結果が出るようになった。

 

Radio Songs

 

続いてラジオエアプレイチャートRadio Songsの年間TOP10も紹介する。ラジオは楽曲人気指標として侮れない存在であり、実際にラジオが配信ヒットを拾い上げることに一定程度成功していることを示すため、各曲のダウンロード売上も併記した。

 

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(TOP100はこちら↓)

www.billboard-japan.com

 

パワープレイの対象となった曲や洋楽アーティストの楽曲の割合が多くはなるが、 年間TOP10中過半が一定程度のダウンロード売上を記録していることが分かる。さらに年間1位2位のRADWIMPS前前前世」、星野源「恋」の並びは年内ダウンロード認定数1位2位と同じである。ダウンロード売上の集計体制が整うまでの間、ラジオはHot 100の構成要素としてダウンロード売上の代わりに配信ヒットを拾い上げる指標という重要な役割を占めていたのである。

 

そのラジオエアプレイチャートも、ダウンロード売上の網羅的集計体制が整ったこともあってか、2016年を以て発表が終了し、Hot 100構成要素の顔を退くこととなった。ただし、Hot 100の構成要素としては今も生き続けており、2017年以降のラジオ指標の順位動向は、指標別推移が分かるサービスChart Insightで確認することができる。

 

Hot Albums

 

2015年下半期から発足したビルボードの総合アルバム売上チャートHot Albumsの年間TOP10も紹介する。

 

Hot Albumsの構成要素はCD売上、配信ダウンロード売上、ルックアップ(PCによるCD読取数)の3指標である。換算比率は非公開だが、大雑把に「CD売上100枚=配信36ダウンロード」として集計されているようである。

 

アルバムもかつてはCD売上が作品人気指標の筆頭だったが、シングルCDほどではないにせよ、徐々にその中身は「アルバム人気の量」から「アーティスト人気の濃度」に変化してきている。この傾向を踏まえてか、CDよりもダウンロードの方が3~4倍ほど高いウェイトになっている。

 

アルバムのダウンロード市場は年間に10万ダウンロードを超える作品が出るかどうか程度の小さい規模であるため、CD売上が順位決定の大きな要素であることに変わりはない。それでもそのまま集計するよりはCD売上の人気指標としての機能不全を幾分緩和することができている。

 

このチャートの発足により、アルバムにおいてもCD売上だけで作品人気を計る時代は終了した

 

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(TOP100はこちら↓)

www.billboard-japan.com

  

年間1位となった宇多田ヒカル「Fantome」はCDでは年間3位だったが、ダウンロードで年間1位を獲得するほどの高売上だったことがこの結果を後押しした。年間2位のRADWIMPS君の名は。もCD売上では年間6位だったがダウンロード売上年間2位が総合順位上昇に貢献した。なお2016年発売作品で日本レコード協会より2016年内に10万ダウンロード認定を受けた作品はこの2作しかない。

 

嵐「Are You Happy?」はCDで年間1位となったが当時は配信ダウンロード未解禁であり総合では年間4位となった。年間3位となった三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「THE JSB LEGACY」もCDを主力とした売れ行きとなったが、こちらは配信でも解禁されており、総合では嵐を上回った。

 

5位以下も星野源「YELLOW DANCER」など、配信売上の加点が高い作品が、CD売上順位に比して総合順位を上昇させている。

 

まとめ

 

以上が配信ダウンロード売上を用いた2016年のヒットシーンの振り返りである。既述のとおりこの時期は既にCD売上だけのランキングが楽曲人気指標として一切機能していないので、楽曲人気を語るうえでは配信ダウンロード売上やMV再生数のデータをチェックするようにしたい。

 

(前年2015年配信曲のダウンロード売上ランキングはこちら↓)

billion-hits.hatenablog.com

  

(次年2017年のヒットシーン振り返り記事はこちら↓)
billion-hits.hatenablog.com

 

この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp

 

おまけ・プラチナ(25万)達成曲一覧

 

AI 「みんながみんな英雄」
JY 「好きな人がいること
RADWIMPS 「夢灯籠
宇多田 ヒカル 「道」
ケツメイシ 「友よ ~ この先もずっと・・・」
安室 奈美恵 「Mint」
宇多田 ヒカル 「真夏の通り雨
Perfume 「FLASH
手嶌 葵 「明日への手紙(ドラマバージョン)」
藤原 さくら 「Soup」
WANIMA 「ともに」
平井 堅 「魔法って言っていいかな?」
Flower 「やさしさで溢れるように
Suchmos 「STAY TUNE」
西野 カナ 「Dear Bride」

  

おまけ・ゴールド(10万)達成曲一覧

 

西野 カナ 「Have a nice day」
西野 カナ 「あなたの好きなところ」
BUMP OF CHICKEN 「アンサー」
藍井 エイル 「翼」
SPYAIR 「RAGE OF DUST
AI 「みんながみんな英雄 (フルバージョン)」
藤原 さくら 「好きよ 好きよ 好きよ」
aiko 「もっと」
ポルノグラフィティ 「THE DAY」
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE 「Feel So Alive」
中田 ヤスタカ 「NANIMONO feat.米津玄師」
back number 「僕の名前を」
EGOIST 「KABANERI OF THE IRON FORTRESS
ジャスティン・ビーバー 「Sorry」
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE 「Welcome to TOKYO」
ナオト・インティライミ 「Overflows~言葉にできなくて~」
BIGBANG 「BANG BANG BANG」
欅坂46 「二人セゾン」
上白石 萌音 「なんでもないや(movie ver.)」
清水 翔太 「My Boo」
西野 カナ 「君が好き」
乃木坂46 「サヨナラの意味」
Dream Ami 「トライ・エヴリシング」
EXILE ATSUSHI 「糸」
Aimer 「蝶々結び」
ピコ太郎 「PPAPペンパイナッポーアッポーペン)」
ケツメイシ 「さらば涙」
綾野 ましろ 「ideal white
RADWIMPS 「棒人間」
RADWIMPS 「前前前世 (original ver.)」
乃木坂46 「今、話したい誰かがいる
ワルキューレ 「一度だけの恋なら
BLUE ENCOUNT 「Survivor」
DREAMS COME TRUE 「あなたのように」
ブルーノ・マーズ 「24K・マジック」
A応P 「全力バタンキュー
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE 「MUGEN ROAD」
一青 窈 「他人の関係」
RADWIMPS 「スパークル
松田 聖子 「薔薇のように咲いて 桜のように散って」
家入 レオ 「僕たちの未来」
安室 奈美恵 「Dear Diary」
三浦 大知 「(RE)PLAY」
Nissy(西島隆弘) 「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」
欅坂46 「世界には愛しかない」
Aimer 「茜さす」
Aimer 「カタオモイ」
乃木坂46 「裸足でSummer
サカナクション 「多分、風。」
Aimer with chelly (EGOIST) 「ninelie
TrySail 「High Free Spirits
aiko 「カブトムシ」
宇多田 ヒカル 「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎

 

*1:最終累計ではなく、2016年内に計上された売上

*2:人気となっている曲が集計ルール上チャートにランクインできないという事態は最悪のケースであり、絶対に避けなければならないことであるため。特に当時は、配信限定発売曲の人気動向をCD売上チャート上で捕捉できないという問題があった。