Billion Hits!

フル配信ダウンロード売上、MV再生回数、ストリーミング再生回数、Billboard JAPANランキングデータなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

歴代アーティスト・トータル・ストリーミング再生回数ランキング

令和時代以降に流行した曲を知るためには、Billboard JAPAN日本レコード協会が認定しているストリーミング再生回数のチェックが必須であることは、以下の記事「歴代ストリーミング再生回数ランキング」でも述べたとおりである。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

流行という意味では曲に限った話ではなく、アーティスト人気に関しても同様のことが言える。アーティスト人気を計る指標として有名なのはオリコンのトータル・セールスであったが、長きに渡り配信売上がこの指標に組み込まれなかったことや、楽曲人気に関係しない要因でCD売上を積み増す動きが定着した今となっては、この指標でアーティスト人気の量を計ることは不適切になっている。

 

トータル・セールスがアーティスト人気指標として機能していた時代においては、B'z最も多くのCDセールスを記録したアーティストであることは広く知られているが、最も多くのストリーミング再生回数を記録したアーティストは誰なのかは、残念ながら認知普及機会が乏しいのが現状である。

 

そこで、Billboard JAPANと日本レコード協会のストリーミング再生回数認定データを用いて、アーティストごとに再生回数を合計し、降順に並べることで、歴代アーティスト・トータル・ストリーミング認定総数をランキング化した。

 

 

 

 

TOP10アーティスト&代表曲解説

 

1位 YOASOBI

 

1位は57.6億再生を記録しているYOASOBI。2019年にデビューした2人組女性ボーカルユニットである。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100の年間では2020年8位→2021年2位→2022年2位→2023年1位と推移している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

自身最大再生数となっている楽曲はデビュー曲「夜に駆ける」で、いきなりの特大ヒットとなった本曲はBillboard JAPAN Hot 100通算6週1位を獲得。年間では2020年1位→2021年3位→2022年15位→2023年34位と推移している。YOASOBIは小説を音楽で表現することを特徴としており、「夜に駆ける」はネット小説「タナトスの誘惑」を原作としている。アニメ仕立てのMVや小説を踏まえた歌詞が視聴者の想像を掻き立てる形で人気を拡大した。中毒性のある速いテンポのリズムも支持された。累計では歴代1位記録となる10.4億再生を突破しているほか、YouTubeではMV2.7億、THE HOME TAKE(一発撮り歌唱映像)1.4億合計4億以上の再生数を記録している。


www.youtube.com

 

2位 Official髭男dism

 

2位は57.5億再生を記録しているOfficial髭男dism。2018年にデビューした男性4人組ピアノポップバンドである。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100の年間では2019年3位2020年1位→2021年3位→2022年3位→2023年3位と推移している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

代表曲は2019年4月に発売された「Pretender」。本曲は映画「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」主題歌として2019年に発売された切ないラブソングで、印象的な韻を踏むメロディーや共感性の高い歌詞が支持されたことや、映画が興行収入29億円を記録する人気となったことなどから特大ヒットとなった。各指標の数値はフル配信100万ダウンロード、MV4.9億再生、ストリーミング8.5億再生を突破している。Billboard JAPAN Hot 100では通算7週1位を獲得し、年間でも2019年3位→2020年2位→2021年20位→2022年26位→2023年44位と推移している。


www.youtube.com

 

3位 BTS

 

3位は43.9億再生を記録しているBTS。2014年に日本デビューした男性7人組K-POPダンス&ボーカルグループである。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

世界的人気を誇るBTSは日本での人気も飛び抜けており、アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100では2018年3位→2019年10位→2020年5位→2021年1位→2022年5位と推移した。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

自身最大再生数となっている曲は、自身初の全英詩ナンバーとなった「Dynamite」。新型コロナウィルスの流行で落ち込みがちな世相を元気づけてくれるようなポジティブなダンスナンバーとして人気を博した。アメリカでも受け入れられたこの曲は、米Billboard Hot 100でアジア圏のアーティストとしては坂本九以来57年ぶりの週間1位を獲得。日本でもこの快挙が大きく話題になったことで完全に特大ヒットの軌道に乗ることとなった。累計では8.7億再生を記録。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2020年18位→2021年2位→2022年14位→2023年86位と推移している。


www.youtube.com

 

4位 back number

 

4位は38.0億再生を記録しているback number。2011年にメジャーデビューした男性3人組ロックバンドである。アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100では2019年6位、2021年7位→2022年8位→2023年6位と推移している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

自身最大再生数となっている楽曲は「水平線」。この曲は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった全国高等学校総合体育大会の運営を担当していた高校生による1通の手紙をきっかけに制作された。遣り場のない悔しさや悲しさを哀愁漂うサウンドに乗せて歌った本曲は当時コロナ禍で苦しんでいた多くの人の心に強く寄り添い、大きな支持を集めた。累計では5.7億再生を突破しているほか、MV2.1億再生も記録。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2021年28位→2022年9位→2023年13位と推移している。


www.youtube.com

 

5位 Mrs. GREEN APPLE

 

5位は34.3億再生を記録しているMrs. GREEN APPLE。2015年にメジャーデビューした男性ボーカルロックバンドである。アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100では2020年10位、2023年2位を記録している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

自身最大再生数を記録している楽曲は「青と夏」。爽快なバンドサウンドで奏でられたアッパーな夏うたで、映画青夏 きみに恋した30日主題歌として書き下ろされた。楽曲が持つ瑞々しさは青春を強く感じさせるものであり、特に学生からの支持が集まったことで、新たな夏うたの定番曲の座を獲得した。累計では4.9億再生を突破しているほか、MV1.4億再生も記録。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2018年84位→2019年40位→2020年35位→2021年80位→2022年56位→2023年20位と推移しており、毎年夏になると浮上することで6年連続年間TOP100入りを果たしている。


www.youtube.com

 

6位 あいみょん

 

6位は32.4億再生を記録しているあいみょん。2016年にメジャーデビューした女性ソロシンガーソングライターである。アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100では2019年1位2020年4位→2021年9位→2022年9位と推移した。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

この大人気の原動力となった曲がマリーゴールドである。本曲は夏に合うセンチメンタルなラブソングで、ノンタイアップでありながらも、音楽フェスでの披露などを通じて懐かしさを感じさせるサウンドが支持を広げた。そして年末歌番組での集中的な披露を決定打にして人気が爆発することとなった。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

Billboard JAPAN Hot 100では令和第一週目の週間チャートで自身初となる週間1位を獲得。年間でも2018年48位→2019年2位→2020年8位→2021年38位→2022年36位→2023年39位と推移している。本曲は記念すべき国内アーティスト史上初のストリーミング1億再生突破曲にもなっており、まさに新時代を切り拓く大ヒットとなった。累計は6.2億再生を突破しているほか、MV3.2億再生も突破している。


www.youtube.com

 

7位 優里

 

7位は30.1億再生を記録している優里。2019年にインディーズデビューした男性ソロシンガーソングライターである。アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100では2021年4位→2022年4位→2023年7位と推移している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

優里はまず2019年に発売したインディーズデビュー曲「かくれんぼ」が男性目線で彼女との別れを歌った泣ける曲として話題となり、その1年後に「かくれんぼ」のアンサーソングとして発売したドライフラワーが特大ヒットとなり大ブレイクした。同じ失恋を今度は女性目線で歌ったこの曲は「かくれんぼ」から連続したストーリー性が一層の感情移入を呼び起こした。累計では7.5億再生を突破しているほか、YouTubeではMV(ショートver.)8,000万、THE FIRST TAKE(一発撮り歌唱映像)1.1億、ディレクターズカットver.(フル)1.5億合計3億以上の再生数を記録している。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2021年1位→2022年5位→2023年14位と推移している。


www.youtube.com

 

8位 Vaundy

 

8位は28.7億再生を記録しているVaundy。2019年に本格的に活動を開始した男性ソロシンガーソングライターである。アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100では2022年7位→2023年4位と推移している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

自身最大再生数を記録している楽曲は「怪獣の花唄」。本曲はキャッチーなメロディーにエモーショナルな歌唱、忘れていた少年時代の情熱を取り戻そうとする歌詞等が聴きどころとなっており、これまでの楽曲で見せていたシティポップ路線とはガラッと異なり、王道J-POPとも言えるようなロックサウンドが展開されている。累計では5.7億再生を突破しており、Billboard JAPAN Hot 100の年間では2021年100位→2022年51位→2023年3位と推移。発売以来水面下でのロングヒットを続けていたが、2022年の年末にNHK紅白歌合戦に初出場し本曲を歌唱したことで人気が爆発、発売から2年以上を経た2023年に楽曲人気がピークを迎えることとなった。


www.youtube.com

 

9位 King Gnu

 

9位は27.2億再生を記録しているKing Gnu。2019年にメジャーデビューした男性4人組ミクスチャーロックバンドである。アーティスト人気指標Billboard JAPAN TOP Artistsでは2020年3位、2022年6位を記録した。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

大ブレイクのきっかけとなった曲が2019年2月に発売された配信限定シングル「白日」である。本曲はドラマイノセンス 冤罪弁護士」主題歌に起用されたことや、この頃から徐々に解禁し始めていたメディア出演を機に認知が普及。洗練されたサウンドやボーカル井口理のファルセットに耳を奪われた人が続出した。累計では6.4億再生を突破しているほか、MV4.6億再生も記録した。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2019年4位→2020年5位→2021年31位→2022年62位→2023年80位と推移している。


www.youtube.com

 

10位 Ado

 

10位は25.5億再生を記録しているAdo。2020年にメジャーデビューした女性ソロアーティストである。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

アーティスト人気指標Billboard JAPAN Artist 100の年間では2021年6位2022年1位→2023年5位と推移している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

自身最大再生数となっている楽曲は「新時代」。本曲は人気アニメ「ONE PIECE」の2022年8月公開映画作品ONE PIECE FILM RED」の主題歌で、そのメインキャラクターであるウタの劇中歌唱をAdoが担当しており、ウタの楽曲として発売された。作詞作曲は中田ヤスタカが担当しており、海外でトレンドになっていたシンセサウンドが印象的な仕上がりの一曲。そこにAdoの伸びやかな歌唱表現が乗ったことで楽曲は多くのリスナーを惹きつけた。累計は4.7億再生を突破しているほか、MV1.5億再生も記録。Billboard JAPAN Hot 100では通算6週1位を獲得し、年間でも2022年7位→2023年6位と推移している。 


www.youtube.com

 

まとめ

 

このアーティスト・トータル・ストリーミング認定総数ランキングは、令和時代に突入した2019年以降に大きな人気を獲得していたアーティストをほぼ漏れなく可視化している。2018年以前の人気アーティストに関しては下記ダウンロード売上データを用いれば概ね把握できるので、合わせて参照すれば2006年以降に人気を博したアーティストはほぼ網羅できる。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

今後もストリーミングは音楽の聴き方の主流に君臨する見込みであるため、ストリーミング再生回数を稼ぐ大人気アーティストは今後ますます増えていくものと思われる。流行を追ううえでストリーミング再生回数チェックの重要性は非常に高く、市場動向も含め今後の動きからも目を離すことはできない。