Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

歴代ストリーミング再生回数ランキング

2020年のBillboard JAPAN Hot 100年間1位はYOASOBI「夜に駆ける」が獲得する結果となった。この年間総合1位を牽引した指標がストリーミング再生数であり、「夜に駆ける」は集計期間中にストリーミング2.7億再生を記録してストリーミング指標における年間1位も獲得した。

 

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この「CDリリースなしで年間総合首位」という結果は、もはや楽曲人気を広めるうえでCD発売がマストではなくなったこと、新たな音楽の聴き方としてストリーミングが主役に躍り出たことを象徴する出来事である。

 

ストリーミングとはオンライン上の音源にアクセスして聴くことを指す。以前はCDやダウンロードにより楽曲を購入してオフラインで聴く方法が主流だったが、ストリーミングの普及により音楽視聴環境は大きく変わった。

 

今では音楽業界の収益構造も変化しつつあり、広告収入型ストリーミングや定額制音楽配信サービスが新たな収益源になってきている。YouTubeなどの無料視聴サービスは前者に該当する。対して現在一気に普及が進んでいるSpotifyApple music、LINE MUSICなどで消費者が毎月定額を支払うことで享受できる聴き放題サービスは後者に該当する。この定額制のことを英語でサブスクリプション、略してサブスクと呼ぶ。

 

サブスクリプションサービスが日本に上陸したのは2015年だが、Billboard JAPANは早くからこの動向を捕捉しており、2017年末の時点では国内音楽チャートの中で誰よりも早く全国網羅的なストリーミング再生数の集計体制を整えていた。そして2021年9月15日、Billboard JAPANは国内でストリーミング1億再生を突破した楽曲が合計100曲に到達したことを発表した。

 

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Billboard JAPANは各曲の累計再生数が1億、3億、5億を突破の都度、及び5億以降は1億上積みされる都度タイムリーにその事実を公表する。2億及び4億に関しても上記記事内など折に触れて突破済みであることを公表する。細かい桁数まで累計再生数を公表することはしていないため、例えば1億認定を受けた曲の実際の再生数が1億1,000万回なのか、1億9,999万回なのかは分からない。しかし、認定までに要した日数で昇順に並べることで、同じ認定でもどちらの方がより高い再生数になっている可能性が高いかを推し量ることは可能である。具体的には、1年で1億再生を突破した曲の方が、10年かけて1億を突破した曲より多く再生されていることがほとんどだろう、と考えることができる。*1

 

ちなみにオリコンストリーミングランキングが発表する数字はビルボードと比べ精度が低い。理由は以下の3点が挙げられる。

 

  1. チャート開始がビルボードより1年遅い2019年であり、2018年以前の再生数が集計できていないこと
  2. ビルボードと違いSpotifyを集計対象に含めることができておらずデータの精度に信頼がおけないこと
  3. 主にこのことから全体的な再生数水準がビルボードより2割ほど小さくなっており、楽曲人気を過小にミスリードしていること

 

オリコンはかつてCD売上の集計で有名だったが、音楽の聴き方のCDから配信への移行に対応せず、配信売上の集計を一向に開始しなかった。そのうえCD売上を楽曲人気指標として扱う姿勢も変えなかったため、配信が普及した2006年以降に高配信売上曲の人気過小評価と高CD売上曲の人気過大評価を蔓延させる原因を作った。オリコンはもはや楽曲人気指標ではなくなってから10年以上が経過しており、楽曲人気が知りたいという場合においてはほぼ必要のないデータになっている。

 

なおオリコンが配信市場を無視している間に音楽の聴き方として主流に君臨していたダウンロード購入とMV再生に関する歴代ランキングは当ブログで以下のとおりまとめている。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

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楽曲人気指標はCD売上→ダウンロード売上→MV再生と変遷していき、ついには現代の音源ストリーミング再生に行き着いた。ストリーミングランキングは現代の楽曲人気を計る上で参照が欠かせない指標である。

 

そこで、最新の楽曲人気事情を把握すべく、2021年9月15日時点で大ヒット基準の1億再生を突破している100曲を上記要領に従ってランキング化した歴代ストリーミング再生数ランキングを以下に示す。

 

  • 1-31位(2億再生以上)

 

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  • 31-65位

 

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  • 66-100位

 

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3億再生以上達成曲の楽曲解説

 

1位 YOASOBI「夜に駆ける」

 

1位は国内史上最多となる累計6億再生を達成したYOASOBI「夜に駆ける」。2019年12月に発売された、YOASOBIにとってデビュー曲となる本曲はネット小説「タナトスの誘惑」を音楽で表現した曲となっており、アニメ仕立てのMVや小説を踏まえた歌詞が視聴者の想像を掻き立てる形で人気を拡大した。中毒性のある速いテンポのリズムも支持された。

 

音源ストリーミング以外にも、YouTubeではMV2.4億再生、アートトラック1.4億、THE HOME TAKE(一発撮り歌唱映像)1.1億再生合計4億以上の再生数を記録している。Billboard JAPAN Hot 100では通算6週1位を獲得し、冒頭に述べたとおり2020年の年間1位に輝いた。

 

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2020年末の紅白歌合戦では角川ミュージアムからの中継でTV初歌唱を披露し、大きな話題を呼んだ。 


YOASOBI - 夜に駆ける / THE HOME TAKE

 

2位 BTS「Dynamite」

 

2位はBTS「Dynamite」。2020年8月に全世界で発売されたこの曲は、新型コロナウィルスの流行で落ち込みがちな世相を元気づけてくれるようなポジティブなダンスナンバーとして人気を博した。自身初の全英詩曲だったこともありアメリカでも受け入れられ、アメリカのBillboard Hot 100でアジア圏のアーティストとしては坂本九以来57年ぶりの週間1位を獲得した。日本でも、この快挙の報道や「THE MUSIC DAY」「日本レコード大賞」への出演などが話題となり、多くの踊ってみた動画が投稿されるなどUGCも盛り上がりを見せた。

 

特にストリーミングチャート初登場から所要55週での5億再生突破は史上最速記録である。今なお再生数は積み上げられており、その天井は未だ見えないままとなっている。Billboard JAPAN Hot 100では2020年18位→2021年上半期3位と推移している。 


BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV

 

3位 Official髭男dism「Pretender」

 

3位は国内史上初5億再生突破曲となったOfficial髭男dism「Pretender」。2019年4月に配信された本曲は切ないラブソングになっており、印象的な韻を踏むメロディーや共感性の高い歌詞が支持されたことや、主題歌となった映画「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」が興行収入29億円を記録する人気となったことをきっかけに、髭男を大ブレイクに導く特大ヒットとなった。

 

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ストリーミングだけでなく、MV3.3億再生、フル配信100万ダウンロードも記録しており、歴史的な数字を各指標で打ち立てた。Billboard JAPAN Hot 100では通算7週1位を獲得し、年間でも2019年3位→2020年2位と推移している。 


Official髭男dism - Pretender[Official Video]

 

4位 優里「ドライフラワー

 

4位は優里「ドライフラワー。優里は2019年12月に「かくれんぼ」を配信してインディーズデビューを果たした男性シンガーソングライターで、男性目線で彼女との別れを歌った「かくれんぼ」が泣ける曲として話題となった。「ドライフラワー」はこの「かくれんぼ」のアンサーソングとして2020年10月に配信された。同じ失恋を今度は女性目線で歌ったこの曲は「かくれんぼ」から連続したストーリー性が一層の感情移入を呼ぶ形で大ヒットとなった。

 

ストリーミングでは男性ソロシンガーとしては史上最速で4億再生に到達した。YouTubeではMV(ショートver.)7,000万再生、THE FIRST TAKE(一発撮り歌唱映像)7,000万再生ディレクターズカットver.4,000万再生合計1.8億以上の再生数を記録している。Billboard JAPAN Hot 100では2021年上半期1位に輝いており、年間でも1位獲得が期待されている。

 

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優里 『ドライフラワー』Official Music Video(ショートver.)

 

5位 King Gnu「白日」

 

5位はKing Gnu「白日」。ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」主題歌として2019年2月に配信で発売された。かねてより音楽ファンの間では注目を集めていたバンドだったが、ドラマ主題歌への起用やメディア出演を機に認知が普及し、洗練されたサウンドやボーカル井口理のファルセットに耳を奪われた人が続出し大ヒットした。

 

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ストリーミングは指標チャートインから111週をかけて4億再生を突破しているほか、MVでも3.6億再生を突破している。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2019年4位→2020年5位と推移している。 


King Gnu - 白日

 

6位 LiSA「炎」

 

6位はLiSA「炎」。この曲は映画「鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌として2020年10月に発売された。既にアニメ「鬼滅の刃」は主題歌の「紅蓮華」ともに社会現象化していたこともあり、その映画は公開前からヒットが期待されていたが、蓋を開けると歴代1位となる興行収入400億円を突破する天文学的大ヒットとなった。

 

その主題歌である「炎」は映画の内容に沿って制作された重厚なバラードナンバーに仕上がっており、キャラクターの生き様を描いた歌詞などが感動を呼ぶ形でこちらも音楽チャートで前人未踏の勢いを見せ、ストリーミングでは3億再生を突破したほか、配信100万ダウンロード、MV2.1億再生など各指標で歴史的な数字を記録した。

 

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この高動向によりBillboard JAPAN Hot 100では1位常連のSexy ZoneNMB48を2位止まりにする形で週間1位街道を驀進し、合計8週1位を獲得するなどして、2020年9位→2021年上半期2位と推移した。


LiSA 『炎』 -MUSiC CLiP-

 

7位 Official髭男dism「I LOVE...」

 

7位はOfficial髭男dism「I LOVE...」。この曲はドラマ「恋はつづくよどこまでも」主題歌として2020年1月に配信で発売され、2月にはCDでも発売された。恋人に限らない様々な形の愛をテーマにした普遍的な歌詞が支持されたほか、ドラマが最高視聴率15.4%を記録する人気となったことなどから大ヒットした。

 

ストリーミングでは自身2曲目となる3億再生を突破しているほか、配信100万ダウンロード、MV1.4億再生も突破するなど各指標で歴史的な数字を記録した。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2020年の4位にランクインした。 


Official髭男dism - I LOVE...[Official Video]

 

8位 LiSA「紅蓮華」

 

8位はLiSA「紅蓮華」。表題曲はアニメ「鬼滅の刃」主題歌として起用され、2019年4月に配信ダウンロード発売、2019年7月にCD発売、2019年10月にストリーミング解禁と段階的に主要サービスで発売された。楽曲がアニメにマッチしていたことや、「鬼滅の刃」が社会現象と呼べるほどの歴史的ブームとなったことから大ヒットした。

 

ストリーミングでは3億再生を突破したほか、配信100万ダウンロード突破の偉業も達成している。YouTubeではMV(ショートver.)8,000万再生、THE FIRST TAKE(一発撮り歌唱映像)1.1億再生を突破した。Billboard JAPAN Hot 100では2019年26位→2020年3位と推移した。


LiSA 『紅蓮華』 -MUSiC CLiP YouTube EDIT ver.-

 

9位 Official髭男dism「宿命」

 

9位はOfficial髭男dism「宿命」。表題曲は熱闘甲子園のテーマソング。大ブレイク直後の新曲として注目を集めたことに加え、ブラスアレンジが印象的なサウンドや、高校球児の葛藤や情熱を表現した歌詞に支持が集まり、大ヒットした。現在までの累計は配信25万ダウンロード、ストリーミング3億再生、MV1.1億再生となっている。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2019年10位→2020年7位と推移し、2年連続の年間TOP10入りを果たした。


Official髭男dism - 宿命[Official Video]

 

10位 あいみょんマリーゴールド

 

10位はあいみょんマリーゴールド。この曲は2018年8月に発売され、ノンタイアップでありながらも、音楽フェスでの披露を重ねながらストリーミングを中心に懐かしさを感じさせるサウンドが支持を広げていき、年末歌番組での連続的な披露を決定打に大ヒットに至った。

 

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ストリーミングではこの曲が記念すべき国内アーティスト史上初の1億再生達成曲とされている。最終的には指標チャートインから所要2年4ヶ月で3億再生に到達した。MVも2.5億再生を突破している。Billboard JAPAN Hot 100の年間では2018年48位→2019年2位→2020年8位と推移している。 


あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 

11位 Official髭男dism「115万キロのフィルム」

 

11位はOfficial髭男dism「115万キロのフィルム」。この曲は元々ノンタイアップだったが、人生を映画に例えながらユーモラスにプロポーズの意志を表現した捻りのある歌詞やミドルテンポに載せた軽快なバンドサウンドがじわじわと人気を広げていき、「Pretender」での大ブレイクとともに数字を積み上げる形でストリーミング3億再生を記録した。MVは制作されなかったが、YouTubeではアートトラック5,000万再生、ライブ映像4,000万再生を突破している。


Official髭男dism - 115万キロのフィルム[Official Live Video]

 

年間ストリーミング再生回数ランキング

 

ストリーミング再生回数の年間ランキングはBillboard JAPANにより2017年から公開が開始されている。各年のヒット曲を振り返っている以下記事内で言及している。

 

2017年Billboard JAPAN年間チャート総括【2017年のヒット曲】

2018年Billboard JAPAN年間チャート総括【2018年のヒット曲】

2019年Billboard JAPAN年間チャート総括【2019年のヒット曲】

2020年Billboard JAPAN年間チャート総括【2020年のヒット曲】

 

(2010年代のヒット曲十選はこちら↓)

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まとめ

 

以上までの11曲が国内で3億再生以上を記録している楽曲となる。他にも12位以下の89曲が1億再生を突破している。今後音楽の聴き方の主流がストリーミングになっていくことが確定的であることからしても、ストリーミング1億再生以上を記録する大ヒット曲は今後ますます増えていくものと思われる。

 

思えば10年以上前の2000年代後半は音楽の聴き方がCDから配信に移行したことが全く考慮されず、ひたすらCDヒットの減少が嘆かれ、まるでもう高人気楽曲は出ないとでも言うかのような悲観的誤謬が蔓延していた。2010年代後半になってようやく新しい音楽の聴き方が捕捉され、再生数で楽曲人気を計ることがスタンダード化してきている。こうなれば、今後どんな大ヒット曲が誕生するのか(=どんな曲が1億再生を達成するのか)、未来への期待は高まるばかりである。

 

この歴代ストリーミング再生数ランキング記事は暫く2021年9月15日時点のデータとして保存するつもりだが、一定のスパンで最新の再生数データにアップデートしていく予定である。

 

*1:なお、日本レコード協会のストリーミング認定数を参照してもよい。日本レコード協会では各曲の累計再生数が3,000万、5,000万、1億、5億を突破した都度その事実を認定する。このことから、ヒットの最低ボーダーラインは3,000万、大ヒットのボーダーラインは1億と考えることができる。また、Billboard JAPANと日本レコード協会の認定数情報を統合し、3,000万、5,000万、1億、2億、3億、…という刻みで並べ、同一認定は認定所要日数の早い順で並べる、という手順で歴代ストリーミング再生数ランキングを作成することも可能である。なお両者の再生数調査方法は共通してGfK Japan(ジーエフケー・インサイト・ジャパン株式会社)の提供データを基にしているため、両者のデータは公表タイミングがずれる以外、基本的に整合するものとして考えることができる。