Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

YOASOBIのストリーミング・MV再生回数&フル配信ダウンロード売上ランキング

YOASOBIは2019年に「夜に駆ける」でメジャーデビューした音楽ユニット。コンポーザーのAyaseとボーカルのikura(幾田りら)による2人組である。デビュー曲でいきなり大ブレイクを果たし、その後も現在進行形でヒット曲を大量輩出している。

 

YOASOBIがブレイクした時期は新たな音楽視聴方法としてストリーミングサービスが拡大を始めた時期であるため、楽曲人気はストリーミング再生数やMV再生数を通じて把握する。ただしその人気の高さから既に市場が縮小している配信ダウンロード売上でも一定規模の数字を叩き出している。ここではストリーミング、MV、ダウンロードの配信3指標をもとにしながら、YOASOBIのヒット史を追っていく。

 

ストリーミング再生数ランキングは以下のとおり。これまでにストリーミング再生数3,000万以上を記録した曲は11曲で、認定総再生数は17.8億(歴代3位)となっている。

 

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(ランキング作成方法および歴代ストリーミング再生数ランキングはこちら↓)

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続いてMV再生数ランキングは以下のとおり。MV再生数もストリーミング再生数同様1億が大ヒットのボーダーラインとされている。ここでは日本レコード協会のストリーミング認定に準拠し、3,000万再生以上を記録したMVを抽出する。これまでに7曲が3,000万再生以上を記録している。

 

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(歴代MV再生数ランキングはこちら↓) 

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最後にダウンロード売上ランキングは以下のとおり。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は5曲で、認定総ダウンロード売上は90万となっている。

 

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上記で挙げた楽曲を配信開始日順で並べたうえで楽曲人気データを一覧化した表も以下に示す。

 

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2019年

 

YOASOBIは小説を音楽で表現することを特徴とする。ユニット結成の発端はソニーミュージックが運営する小説&イラスト投稿サイト「monogatary.com」で、このサイトのスタッフがサイト活性化の策として「このサイトに投稿された小説を音楽にするユニット」を構想してAyaseに声をかけ、Ayaseがボーカリストとしてikuraに声をかけたことで2019年10月にYOASOBIが結成された。

 

デビュー曲「夜に駆ける」はネット小説タナトスの誘惑」が原作になっている。なお「タナトスの誘惑」は4分ほどで読めるショートショートである(注:R15)。

 

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アニメ仕立てのMVや小説を踏まえた歌詞は視聴者の想像を掻き立てるものになっており、中毒性のある速いテンポのリズムとともに支持され、デビュー曲ながら発売後徐々に話題が広がっていき、2020年1月にはSpotifyのバイラルチャート*1で1位にもなった。

 

本格的に大ヒットし始めたのは2020年4月。この時期は新型コロナウィルスの流行が始まったことにより緊急事態宣言が出され、国民全員がステイホームを余儀なくされた。強制的に増加したおうち時間はヒット予備群にいた本曲を発掘するには十分な時間だったようで、徐々に音楽チャートの順位を上げていく。

 

このタイミングで本人らがメディア出演を増加させ、実際に歌唱することは一度もないながらも、トークや作品紹介を精力的に行った。さらに、2019年11月よりスタートした、一発撮り歌唱映像を公開する人気YouTubeチャンネルTHE FIRST TAKEのおうち版THE HOME TAKEの動画も公開された。この企画が当たり、該当動画再生数は1.1億再生を突破。楽曲も大ヒットの軌道に乗ることになった。

 

Billboard JAPAN Hot 100では6/1付から3週連続で週間1位を獲得。その後も楽曲の広がりとともに著名アーティストやYouTuberなどによる歌ってみた動画の投稿が急増したことなどにより、猛烈な勢いで総合ポイントを積み上げ続け、断続的に3週1位を上積みして通算6週1位を獲得した。

 

各指標の累計数値は配信50万ダウンロード、MV2.4億再生、ストリーミング6億再生を突破している。特にこの時期音楽視聴環境の新たな主流市場に躍り出たストリーミングの再生数が市場拡大の後押しもあって猛烈な勢いとなり、歴代1位の再生数を記録するまでに至った。

 

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この猛烈な特大人気が可視化する形でBillboard JAPAN Hot 100の年間でも2020年の1位を獲得。デビュー曲にして年間1位獲得という快挙達成となった。また、CDリリースなしでの年間1位獲得は本曲が初の事例となり、音楽試聴環境のCDから配信への移行を印象づけることにもなった。

 

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ここまで大きなムーブメントとなった背景には、暗い世相に覆われてしまった2020年という年に本曲のテーマが合っていたこともあるのかもしれない。


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2020年

 

2020年は「夜に駆ける」が音楽チャートを席巻し続けたが、その間もYOASOBIは次々と新曲を発表し、話題を途切れさせることはなかった。まず1月に2nd配信シングル「あの夢をなぞって」を発売。本曲の原作小説は「夢の雫と星の花」である。

 

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「夢の雫と星の花」は、予知能力を持つ二人の高校生男女の、花火大会で告白する予知夢を見てから大会当日までの揺れる恋心を描写した恋愛小説になっている。この青春の瑞々しさを音楽とMVで表現した「あの夢をなぞって」はストリーミング1億再生、MV4,000万再生を突破する大ヒットとなった。


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5月には3rd配信シングル「ハルジオン」を発売。本曲では初めてプロの小説家とのタッグが組まれており、橋爪駿輝の小説「それでも、ハッピーエンド」が原作となっている。小説は失恋で心に傷を負いながらも懸命に前を向こうとする女性を主人公として描いている。この主人公の心の動きが歌詞や曲調で絶妙に表現された「ハルジオン」はストリーミング2億再生、MV6,000万再生、フル配信10万ダウンロードを記録する大ヒットとなった。


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7月には4th配信シングル「たぶん」を発売。原作となる同名小説は、2020年1⽉に「monogatary.com」 で行われた、YOASOBIの新曲の原作⼩説を募集する「夜遊びコンテストvol. 1」で⼤賞に輝いた作品である。本作は別れを選んだカップルの最後の朝を描写したショートショートである。

 

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楽曲はYOASOBI初のミドルテンポナンバーに仕上がっている。作品の舞台が同居していた家の中というパーソナルスペースであることから醸し出される温かさと、その同居生活がゆっくりと終わりに向かっていくことの切なさが歌詞と曲調で表現されている。そのストーリー性に共感が広がる形で楽曲はストリーミング1億再生、MV4,000万再生を突破した。


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9月には5th配信シングル「群青」を発売。本曲はアルフォートとのコラボ作になっており、同CMのストーリーテキスト「青を味方に。」を原作として制作された。

 

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このテキストは絵を描くことを生業に選んだ若者の背中を押す内容となっており、「群青」の歌詞も「好きなものへ向き合う葛藤」を表現したものになっている。そのメッセージ性は絵に限らず何らかの夢を追う若者を勇気づけることとなった。楽曲中に取り入れられた合唱パートがもたらす高揚感も支持される形で「群青」はストリーミング2億再生、MV5,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。なお翌年1月にTHE FIRST TAKEに再度出演した際はこの曲が歌唱曲に選ばれており、そのTHE FIRST TAKE ver.MV4,000万再生を突破する人気となっている。


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12月には6th配信シングル「ハルカ」を発売。本曲は放送作家鈴木おさむが書き下ろした小説「月王子」が原作になっている。

 

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原作小説は、ある一人の少女「遥」が大切に使っているマグカップの視点で少女の喜怒哀楽に満ちた半生を描写したものになっている。楽曲は、どんな時も少女を見守る存在であるマグカップの視点を反映し、ポップで優しい曲調になっている。それまでの楽曲とはまた違ったYOASOBIの一面が支持される形で「ハルカ」はストリーミング1億再生、MV3,000万再生を突破した。


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2021年

 

2021年は、前年末の紅白歌合戦出場の反響もあってYOASOBIの人気が更に拡大。アーティスト人気指標であるBillboard JAPAN TOP Artists2021年上半期1位を獲得するほどとなった。

 

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そんな2021年の幕開けを飾った作品が、1月に発売されたYOASOBI初のEP「THE BOOK」である。本作には2020年までに発表された配信シングル5曲と新曲1曲が収録されている。YOASOBIの作品で初めてCD化もされた本作だが、その形態は完全限定生産盤のみの発売となっており、コアファン向けのコレクターアイテムとしての価値を高めるものとなった。それでもCD売上12万枚をセールスしたほか、Billboard JAPAN Download Albumsでは2021年上半期1位、総合アルバムチャートBillboard JAPAN Hot Albumsでは2021年上半期2位に入るほどの人気作となった。

 

本作に収録されている唯一の新曲「アンコール」は7月になって配信でシングルカットもされている。本曲の原作は「monogatary.com」にて行われた「夜遊びコンテストvol.1」で「たぶん」とともに大賞作品に選ばれた「世界の終わりと、さよならのうた」である。

 

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原作小説は、世界が終わる最後の日に出会った音楽好きの男女のやり取りを描写したものになっている。男性は世界の終わりを前に諦観に包まれ、音楽にも意味はないと思うようになっていたが、音楽の力を信じる女性とのセッションを通じて再び生きたいと思うようになる。

 

「私、思うんです。きっと、音楽に世界を変える力なんて無いんですよ。平和を歌っていたレノンだって暴力の前には無力でした」

「そうだ」

「──でも、すぐ隣にいる人の、聴いてくれた人の背中をちょっとだけ押してくれるような、音楽にはそんなちっぽけな力がきっとあります」

「そんなもの、聴こえなければ、無いのと同じじゃないか」

「だから私たちは曲を奏でるんですよ。届かないかもしれない。響かないかもしれない。それでも、誰かに届くことを祈って」

 

小説から引用した二人のやり取りは、コロナ禍で音楽を楽しむ場が制限される中で疑義が生じがちな「音楽の力」とは何なのかを再認識させてくれるものでもある。

 

こうして音楽によって生気を取り戻すさまは「アンコール」のピアノを主体とした印象的な旋律にも反映されており、その美しさが支持される形で本曲はストリーミング1億再生、MV3,000万再生を突破した。


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EP「THE BOOK」の発売と同日に、EP未収録の新曲「怪物」も配信された。この曲はアニメ「BEASTARS」第2期オープニングテーマに起用されており、原作となる小説も「BEASTARS」の原作者板垣巴留による書き下ろしショートショート「自分の胸に自分の耳を押し当てて」となっている。同作は下記アニメHP内「MUSIC」項目から読むことができる。

 

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BEASTARS」は草食獣と肉食獣が共存する社会の中でウサギに恋をしたオオカミが捕食本能と葛藤しながら自身の役割を見出していく物語である。「怪物」の原作小説もその中の一場面に焦点を当てたものになっており、主人公のオオカミの心理がより深く掘り下げられている。綺麗事ばかりではない社会の中を生きる主人公の決意が曲調や歌詞に反映された楽曲の世界観に没入するリスナーが続出し、「怪物」はストリーミング2億再生、MV1.4億再生、フル配信10万ダウンロードを突破。2021年発売曲屈指の大ヒットとなった。


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なお「怪物」は3月にYOASOBI初のCDシングル「怪物/優しい彗星」としても発売されているが、やはり限定盤2種類のみの販売となっており、コアファン向けのコレクターアイテムとして位置づけられている。「怪物」とともに収録された「優しい彗星」はアニメ「BEASTARS」第2期エンディングテーマに起用されており、「怪物」とともに人気を博し、ストリーミング5,000万再生を突破している。

 

5月には9th配信シングル「もう少しだけ」を発売。「めざましテレビ」のテーマソングに起用された本曲は、「monogatary.com」にて行われた「夜遊びコンテスト vol.3 with めざましテレビ」の大賞作品である「めぐる。」が原作になっている。

 

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「おはよう。」をお題に募集された本コンテストで大賞に選ばれた「めぐる。」は、慌ただしい朝に普段接点のない三人の登場人物がそれぞれ邂逅し、ささやかな親切をし合うことで笑顔が生まれていくさまを描写した小説になっている。コロナ禍でギスギスしがちな世相に癒やしをもたらしてくれるような作風が楽曲にも反映されており、「もう少しだけ」は一日の始まりを優しく彩るようなボーカルと軽快なメロディで仕上げられている。こうした要素が支持され、本曲もストリーミング1億再生を突破した。なおMVは絶賛制作中となっており、公開されればまた一段と本曲の人気が増すかもしれない。


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7月発売の10th配信シングル「三原色」フル配信10万ダウンロード、ストリーミング3,000万再生を突破しており、将来的なストリーミング1億再生突破も確実と言える人気を足元で示している。こちらは脚本家の小御門優一郎が書き下ろした小説「RGB」が原作になっている。

 

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楽曲と小説はNTTドコモ「ahamo」とタイアップしており、人と人とのつながりがテーマとなっている。小説は疎遠になっていた昔の仲良し3人組の再会を感情豊かに描いている。楽曲も久々の再会に対する胸の高鳴りや喜びを表現した躍動感ある仕上がりになっており、CMソングとして大量OAされたこともあり広く人気を博した。


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8月以降も毎月1曲のペースで新曲が発売され続けており、YOASOBIの話題性は未だ途切れることがない。以降の新曲に関しても、節目となる数字を突破し次第、本記事に情報を追記していく予定である。

 

まとめ

 

以上まで見てきたとおり、YOASOBIは小説を原作とした楽曲制作によりリスナーをその世界観に没入・共感させることで圧倒的な大人気を獲得している。その大活躍は各指標の歴代データを塗り替えながら現在進行形で続けられている。

 

ヒットの歴史を塗り替え続けているYOASOBIの活動形態は前例がないものが多い。アルバムのヒットに拘らず単曲ヒットを重視することもその一つである。これはストリーミングの普及により音楽の聴き方が「アルバム単位」から「楽曲単位」に変化したことを捉えた活動形態であると言える。もはやアルバム売上はコアファンによるアーティスト人気の濃度を計る指標に変化しており、作品人気量を計る指標としての機能性はほとんど消失している。CDアルバム売上を稼がなくとも、配信で楽曲ヒットが持続し、広く普及し続けていれば、人気の観点からは何も問題ないのである。今後のヒットシーンは楽曲単位でのヒットを重視して追うことが必要となっている。

 

そんな中でもYOASOBIのヒット曲を手元に所有したいという場合は、EP「THE BOOK」がマストアイテムであり、かつ本作の購入が最も手っ取り早い入手手段となっている。CDはコレクターアイテムとしての価値を最大限高めた仕様になっているため、高額で手が出しにくいという場合は配信ダウンロードでの購入を勧める。

 

 

この記事で紹介したストリーミングやダウンロードのデータはBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会HP内の下記サイトの認定から検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。

 

www.billboard-japan.com

 

www.riaj.or.jp

 

*1:認知の急拡散度合を可視化したランキング