この記事ではBillboard JAPAN上位アーティストの第75回(2024年)NHK紅白歌合戦出場動向を予測する。
本記事公開時点におけるArtist 100およびHot 100の2024年度年間暫定順位予想TOP50は以下のとおり。ここではこのチャートにランクインしているアーティストをピックアップする。
本記事の前提
紅白歌合戦の出場アーティスト選考基準として近年公式に謳われている判断材料は、「今年の活躍」「世論の支持」「番組の演出・企画に沿う」の3点である。この根拠となるデータとしては、「CD・DVD・Blu-rayの売り上げ」「ダウンロード・ストリーミング・MV再生回数」「有線・カラオケのリクエスト等」「ライブやコンサートの実績」「世論調査の結果」等が挙げられている。
そしてBillboard JAPANは上記選考基準にもあるCD売上、ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、MV再生回数、ラジオOA数、カラオケのリクエスト回数の6指標を集計対象として「今年の活躍」「世論の支持」を国内で最も分かりやすく可視化する総合ヒットチャートを作成している。よってこのチャートの上位にランクインしているアーティストは紅白歌合戦出場の可能性が十分にあり得る位置にいるのである。
ただしこれは選考基準の一部でしかない。このチャートにランクインしていなくとも番組の盛り上がりに欠かせない出場常連アーティストは多い。よって本記事は紅白歌合戦の全貌を網羅してはいない。当記事ではピックアップ対象をBillboard JAPAN上位アーティストに絞っている。
また、ここで活用しているBillboard JAPAN Artist 100およびHot 100の年間暫定順位TOP50は当ブログ管理人が独自に予想したものであり、実際の年間暫定順位と一致しているとは限らないが、Billboard JAPANが本年6月に公式発表した2024年上半期結果(以下記事参照)をベースに作成した予想であるため、大きな誤差は生じていないと考える。
【白組】出場が期待される主なアーティスト
バンド・ユニット
Mrs. GREEN APPLEはArtist 100年間1位、Creepy Nutsは「Bling-Bang-Bang-Born」でのHot 100年間1位の獲得が確実な状況となっている。年間1位アーティストが出場しないとなると番組にとって大きな痛手となることは言うまでもない。この2組は出場確実であり、逆に言えば当年の紅白歌合戦がマストで出場させなければならないアーティストである。
Creepy Nutsは出場となれば自身初だが、他に初出場が期待されるアーティストとしては、当年に人気楽曲を輩出したOmoinotake、MY FIRST STORY、SPYAIRが挙げられる。
Mrs. GREEN APPLEの他に連続出場が期待されるアーティストとしてはOfficial髭男dismが挙げられる。
back number、King Gnuなどは当年も実績十分であり再出場が期待されるものの、過去傾向から言えば両者ともに出場辞退の可能性が高いとみる。
Mrs. GREEN APPLE
Mrs. GREEN APPLEは男性3人組ロックバンド。
Hot 100では2023年発売曲「ケセラセラ」が2024年上半期5位を獲得した。2024年発売曲においては特に「ライラック」が自己最速でのストリーミング2億再生、MV5,000万再生突破を果たすとともに自身初のHot 100週間1位も獲得する大ヒットとなっており、年間TOP10入りも確実な状況である。
Creepy Nuts
Creepy NutsはR-指定とDJ松永により結成され2017年にデビューした男性ヒップホップユニット。アニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期「神覚者候補選抜試験編」の主題歌として1月に配信した「Bling-Bang-Bang-Born」がストリーミング4億再生、MV2.2億再生、フル配信25万ダウンロードを突破する爆発的人気を獲得した。Spotifyでは国内デイリー再生回数歴代1位記録を樹立している。Hot 100では通算19週1位を獲得した。
Omoinotake
Omoinotakeは男性3人組ロックバンド。ドラマ『Eye Love You』の主題歌として1月に配信した「幾億光年」がストリーミング2億再生、MV5,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。Hot 100では上半期7位を獲得しており、年間ではさらに浮上しTOP5入りすることが見込まれている。
MY FIRST STORY × HYDE
MY FIRST STORYは男性5人組ロックバンド。アニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』主題歌「夢幻」ではL'Arc~en~CielのボーカルHYDEとのコラボが実現し、MY FIRST STORY × HYDE名義でのリリースとなった。本曲はフル配信10万ダウンロードを突破するヒットを記録した。
SPYAIR
SPYAIRは男性4人組ロックバンド。興行収入100億円を突破した大人気アニメ映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』主題歌として2月に配信した「オレンジ」が自身初となるストリーミング1億再生を突破する大ヒットとなった。
ダンス&ボーカルグループ
Number_iは「GOAT」がHot 100で上半期11位を獲得しており、これは全てのダンス&ボーカルグループの楽曲中最高順位である。Da-iCEは「I wonder」がSpotifyの国内デイリー再生回数で国内ダンス&ボーカルグループ歴代1位記録を樹立した。顕著な人気楽曲輩出実績を記録しているこの2組は出場確実である。Number_i、Da-iCE何れも出場となれば自身初となる。
2組の出場の障壁となり得る妥当性の高い要因は現状見当たらないため、逆にもしこの2組が今年出場できないとなれば、男性ダンス&ボーカルグループというジャンルでは楽曲人気が異常に軽視されていると換言できてしまう。
連続出場が期待されるアーティストとしては、SEVENTEEN、BE:FIRST、Stray Kidsが挙げられる。
Number_i
Number_iは当年デビューした男性3人組ダンス&ボーカルグループ。2023年に旧ジャニーズ事務所を退所した元King & Princeのメンバーである平野紫耀・神宮寺勇太・岸優太の3人により結成された。デビュー曲「GOAT」はいきなりHot 100初登場1位を獲得し、累計でもストリーミング5,000万再生、MV5,000万再生を突破している。
Da-iCE
Da-iCEは男性5人組ダンス&ボーカルグループ。ドラマ『くるり〜誰が私と恋をした?〜』主題歌として4月に配信した「I wonder」がロングヒットとなっており、累計では自身3曲目のストリーミング5,000万再生突破を果たしている。
ソロシンガー・ボーカルグループ
「タイムパラドックス」が大ヒットしたVaundy、「さよーならまたいつか!」が大ヒットした米津玄師(2024/11/2更新;後述するとおり出場予測に変更)、「満ちてゆく」が大ヒットした藤井風などは再出場が期待されるものの、過去傾向から言えば出場辞退の可能性が高いとみる。
「鬼ノ宴」がヒットしている友成空は気になる存在ではあるが、本人のTV出演実績がまだないことや、白組や本ジャンルの枠の競争が激しいことを鑑みると、出場が実現する可能性は低めと見る。
ヒップホップグループのBAD HOPは「Last Party Never End (feat. Tiji Jojo, YZERR, Vingo & Yellow Pato)」等が当年ヒットを記録しているが、既に解散している。
【紅組】出場が期待される主なアーティスト
バンド・ユニット
YOASOBIはArtist 100で上半期2位を獲得し、Hot 100では「アイドル」が前年の年間1位に引き続き上半期3位、「勇者」が上半期9位を獲得した。加えてNHKタイアップとしてパリ五輪テーマ曲「舞台に立って」を書き下ろしていることもあり、当年も出場確実と言える。
その他、連続出場が期待されるアーティストとしては緑黄色社会が挙げられる。
再出場が期待されるアーティストとしてはSEKAI NO OWARIが挙げられる。SEKAI NO OWARIは男性ボーカル曲がメインではあるが男女混合グループであるため、2年前に出場した際は紅組での出場であった。女性バンド・ユニットの出場有力組数が少ないため、ここでは2年前と同様紅組での出場を予測する。
ヨルシカは「晴る」が大ヒットしたが、過去傾向から言えば出場辞退の可能性が高いとみる。
ダンス&ボーカルグループ
今年4月にデビューを果たしたILLITは「Magnetic」がいきなりSpotifyのデイリー再生回数で女性ダンス&ボーカルグループ史上最多記録を更新し、このジャンルで歴史的国内楽曲人気動向を見せた。グローバルアーティストであるためスケジュール調整の壁はあるものの、それがクリアできれば出場確実と予測する。
連続出場が期待されるアーティストとしてはNewJeans、LE SSERAFIM、MISAMO(TWICE)、NiziUが挙げられる。*1
ILLIT
ILLITは今年デビューした5人組女性ダンス&ボーカルグループ。韓国の芸能事務所HYBE LABELS傘下のBELIFT LABに所属しており、韓国人3人、日本人2人で構成されたグローバルアーティストである。「Magnetic」は前述した記録の他にもBillboard JAPAN Streaming Songsで女性ダンス&ボーカルグループ史上最速となる初登場から所要11週でのストリーミング1億再生突破を果たした。
ソロシンガー
初出場が期待されるtuki.は「晩餐歌」がHot 100上半期2位を獲得するほどの大ヒットとなっているが、顔出しをしない活動スタイルを採っており、今のところTV出演で歌唱を披露したことは一度も無い。とはいえヒット規模を考えればTV初歌唱を紅白歌合戦とすることで期待される話題性は大きい。近年の紅白歌合戦は本番直前の追加出演者発表を目玉枠とする傾向があり、当該枠には十分適応する。昨今はAdoのように顔出しをしない出演形式も増えている。交渉と本人の意向次第とはいえ、初ステージの実現が期待される。
再出場が期待されるアーティストとしてはaikoが挙げられる。
連続出場が期待されるアーティストとしてはあいみょんが挙げられる。
Adoは当年も実績十分であり連続出場が期待されるが、過去に「うっせぇわ」「踊」クラスの大ヒットで出場しなかったことを考えれば、下半期に「新時代」「唱」クラスの歴史的ヒット曲がでない限りは出場辞退の可能性が高いとみる。
tuki.
tuki.はまだ中学生だった2023年からオリジナル曲の配信を始めた女性ソロシンガーソングライターである。「晩餐歌」はその最初のオリジナル曲として2023年9月に配信された。2024年1月にはソロ史上最年少のHot 100週間1位に到達。各指標の数値はストリーミング3億再生、MV6,000万再生を突破している。
aiko
aikoは女性ソロシンガーソングライター。興行収入100億円を突破した大人気アニメ映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』主題歌として4月に配信した「相思相愛」は累計でストリーミング5,000万再生を突破した。これは2010年代以降に発売した自身の楽曲で初の達成となる。
今後の予定
当ブログでは出場アーティストが発表され次第、その結果や歌唱曲予測を本記事に追記または別記事で発信する予定である。歌唱曲発表後は例年通り、その中で当年注目される主な歌唱曲をピックアップするとともに、紅白の勝敗を予想する。
(昨年の同記事は以下↓)
なお、出場アーティストが発表される11月中旬頃までに、本記事の予測に影響する大きな変化が生じた場合は、随時本記事に追記することがあり得る。
(以下、2024/11/2更新)
2024/11/2追加予測
本記事を公開した2024/8/30から2024/11/2までの間の動向を踏まえ、以下2アーティストの出場予測を追加する。
こっちのけんと
こっちのけんとは男性ソロシンガーソングライター。菅田将暉の実弟でもある。5月に配信した「はいよろこんで」が中毒性の高い楽曲として話題となり、YouTubeでは9月に自身初めてMV1億再生を突破。公開から所要126日での達成は国内MV史上8位のスピード記録であり、2024年公開MVでは「Bling-Bang-Bang-Born」に続く2曲目の達成となる。手元にある最新のBillboard JAPAN Hot 100の年間暫定順位予想でもTOP50圏内に浮上しているため、出場予測根拠は十分に揃う状況となった。
米津玄師
米津玄師は男性ソロシンガーソングライター。4月に配信した「さよーならまたいつか!」はNHK連続テレビ小説『虎に翼』の主題歌としても話題となり、ストリーミング1億再生、MV5,000万再生を突破する大ヒットとなった。米津玄師はTVでの歌唱が過去一度しかないものの*2、本曲がNHKのタイアップであることや、当年の紅白歌合戦の司会に同ドラマのヒロインを務めた伊藤沙莉が抜擢されたことで、出場に期待できる状況が整った。なお、出場の場合は特別企画枠として、11月中旬の出場者一斉発表のタイミングではなく後日追加発表となると予測する。
なお、10/16にNHKが起用再開を発表したSTARTO ENTERTAINMENT所属アーティストに関しては、当該事務所が現在抱えている問題から、当ブログでは一時的に当該事務所が提供するコンテンツの動向発信を見合わせているため、本記事においても言及しない。
以上で当ブログにおける2024年紅白歌合戦出場予測は最終版とする。
11/19追記:出場アーティスト一覧が公表されたことを受け、続編記事を公開↓