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2010年Billboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧

この記事では2010年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうち、オリコンと1位が異なった全15週をピックアップして回顧する。

 

Billboard JAPAN Hot 100とは、「社会への浸透度を計る」ことを明確に理念に掲げ、複数の要素も加味して作成されている総合チャートである。2010年11月までの集計対象はCD売上ラジオエアプレイの2指標であったが、12月からは新たにiTunesダウンロード売上が集計対象に追加された。

 

なお2010年のBillboard JAPAN年間チャートは下記記事内で総括している。

 

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1/13公開週1位 Rake「Fly Away」

 

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この週の1位はRake「Fly Away」オリコンではこの週の集計期間は2009/12/28-2010/1/10の二週間で所謂合算週だったが、ビルボードでは2009/12/28-2010/1/3の期間は集計休止となっており、2010/1/4-2010/1/10の一週間のCD売上とラジオエアプレイで順位が決められた。この期間のビルボードにおけるCD売上1位は福山雅治「はつ恋」だったが、発売4週目だったこともあり売上は1万枚程度と多くなく、総合では全国FMラジオ月間最多記録となるパワープレイ43局を獲得していた「Fly Away」がラジオ加点を稼いで総合1位となった。

 

1/20公開週1位 Rake「Fly Away」

 

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この週の1位もRake「Fly Away」。前述のとおり全国FMラジオ月間最多記録となるパワープレイ43局を獲得したことで高ラジオ加点を稼ぎ、2週連続総合1位となった。この週のCD売上1位は水樹奈々「PHANTOM MINDS」だったが、その売上は5万枚と多くなかったため、総合では逆転が生じた。

 

3/17公開週1位 嵐「Troublemaker」

 

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この週はCD発売2週目嵐「Troublemaker」が前週に続き2週連続1位を獲得した。CD売上では遊助「ライオン」が1位だったが、「Troublemaker」との差は1万枚程度と僅差だったため、ラジオ加点の差により総合では逆転が生じた。

 

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3/24公開週1位 MONKEY MAJIK「SAKURA」

 

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この週の1位はMONKEY MAJIK「SAKURA」。自身初にして唯一の1位獲得となった。オリコンでは渡り廊下走り隊「アッカンベー橋」が1位になったが、CD発売3週目嵐「Troublemaker」とは数千枚程度の僅差であり、ビルボード集計のCD売上では「Troublemaker」が「アッカンベー橋」を上回り返り咲き1位となった。しかし何れも売上は2万枚程度と多くなかったため、総合ではラジオ加点の差により「SAKURA」がこれらの2曲を上回った。

 

5/12公開週1位 いきものがかり「ありがとう」

 

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この週の1位はいきものがかり「ありがとう」。この曲はNHK朝の連続テレビ小説ゲゲゲの女房」主題歌に起用され、大切な人への感謝を歌う普遍性がお茶の間に浸透したことで大きな支持を受け、配信ミリオン、CD20万枚を売り上げる2010年屈指の大ヒット曲となった。

 

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オリコンではAAA「逢いたい理由/Dream After Dream ~夢から醒めた夢~」が「ありがとう」との大接戦を制して1位となったが、劣勢となっていたAAAが集計最終日にCD販促イベントを実施しその会場での販売分を大幅に上乗せする形での大逆転1位となったため、その手法により大炎上が生じた。この大炎上は両者のレコード会社のトップが応酬を交わすという事件にまで発展した(「エイベックスがCD買い占め」 いきものがかり事務所社長が批判: J-CAST ニュース【全文表示】)。

 

しかしビルボードサウンドスキャン)においてはAAAのイベント会場販売分やmu-mo等販路限定販売分の売上が集計対象外となっていたためAAAの売上は2万枚程度にしかならず、「ありがとう」がCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。AAAはCD売上6位、総合ではなんとTOP10入りすらも逃しており、オリコンとは全く異なる順位結果となっている。

 

いきものがかりの事務所社長はオリコンやAAA陣営を批判するのではなく、ビルボード1位をアピールすれば良かったのであるが、当時はオリコンの権威が過剰に肥大しており、ビルボード知名度も乏しかったため、このような事態となってしまった。「ありがとう」のビルボード1位は楽曲人気上妥当かつ平和的な結果であり、もしビルボードが当時から注目されていればこの炎上騒動は防げていたはずである。


いきものがかり 『ありがとう』Music Video

 

6/9公開週1位 シド「レイン」

 

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この週の1位はシド「レイン」CD売上ではYUI「to Mother」が1位だったが、「レイン」との差は数千枚程度と僅差だったため、ラジオ加点の差により総合では逆転が生じた。「レイン」はアニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」オープニングテーマとして人気となり、配信25万ダウンロードを記録している。

 

6/16公開週1位 EXILE「VICTORY」

 

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この週の1位はEXILE「VICTORY」ダブル・マキシ・シングルと銘打たれたCD「FANTASY」のリード曲である。本作は新曲を8曲収録したシングルという既存のシングルの定義を揺るがす発想の商品であった。この前例のない商品に対して各音楽チャートの判断は異なり、オリコンは「シングルは新曲4曲まで」という定義を厳格に運用してアルバムチャートにランクインさせた一方、ビルボードではアーティストの意向を汲んでシングル扱いとした。

 

その結果、オリコンではアルバムチャートで「FANTASY」が1位となり、シングルは木村カエラRing a Ding Dongが1位となっていたが、ビルボード(サウンドスキャン)ではCDシングル売上で「FANTASY」が1位となり、CDアルバム1位は矢沢永吉「TWIST」となった。サウンドスキャンにおける「FANTASY」の初週CD売上は約24万枚であり、この圧倒的大差が活きて総合でもそのままリード曲の「VICTORY」が「Ring a Ding Dong」を抑えて1位となった。

 

「VICTORY」は2010FIFAワールドカップ財団法人日本サッカー協会公認日本代表応援ソングとして制作された楽曲で、アフリカを彷彿させるサウンドやラテンのリズムが4年に一度の祭典の雰囲気を大いに盛り上げた。本曲は配信で25万ダウンロードを記録したほか、Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2010年の7位に入っている。「FANTASY」のCD売上も47万枚を記録した。

 

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EXILE / VICTORY

 

6/23公開週1位 EXILE「VICTORY」

 

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この週は前週に続いてEXILE「VICTORY」2週連続1位を獲得した。オリコンではTOKIO「-遥か-」が1位となったが、Sound Horizon「イドへ至る森へ至るイド」との大接戦となり、週終盤に劣勢となったTOKIOが緊急的に店舗販売特典を追加し、土日の売上を高騰させ大逆転する形となったため、この手法が一部では炎上していた。

 

一般流通分の売上はビルボードでも反映されたため、ビルボードのCD売上でもTOKIOSound Horizonを上回る結果となったが、前述のとおりビルボードではオリコンと異なり「FANTASY」をシングル扱いしていたため、CD発売2週目の当週も約6万枚の売上を記録してTOKIOとSound Horizonを上回りCDシングル売上1位となり、そのまま総合でも「VICTORY」が1位となった。極めて平和的かつ楽曲人気上も妥当な結果だったと言える。

 

7/21公開週1位 嵐「To be free

 

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この週はCD発売2週目嵐「To be freeが前週に続き2週連続1位を獲得した。オリコンでは浜崎あゆみ「MOON/Blossomが1位だったが、ビルボードではイベント会場限定盤及びmu-moショップ限定盤を集計対象外としていたため数千枚差で「To be free」に及ばず「To be free」が2週連続CD売上1位となり、総合でも同様となった。

 

7/28公開週1位 SMAP「This is love」

 

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この週の1位はSMAP「This is love」。この週の時点ではCDシングル発売前であったが、ラジオエアプレイの加点のみで総合1位となった。CD売上1位はチームドラゴン from AKB48「心の羽根」であったが、その売上は6万枚程度と多くはなかったため、元々ラジオ加点でも高水準の数字を誇るSMAPが総合では逆転した。

 

9/8公開週1位 Superfly「Wildflower」

 

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この週の1位はSuperfly「Wildflower」。この曲は10thシングル「Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'」の表題曲で、本シングルは10枚目のシングルであることを記念した豪華な収録内容となり、シングル「Wildflower」とこれまでシングルのc/wで発表してきた洋楽のカバー曲をまとめたアルバム「Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'」をセットにした商品となった。

 

やや複雑な発売形態に対し音楽チャートの対応も異なり、オリコンでは収録曲の多さからアルバムとして扱われた一方、Billboard JAPANではアーティスト側が公式にシングルと銘打っていることが考慮されシングルとして扱われた。

 

この結果、ビルボードでは約12万枚の売上本作がCDシングル売上1位となり、総合でも「Wildflower」がそのまま1位となった。本曲が自身初にして唯一の週間1位となる。同週のオリコンシングルチャート1位はV6「only dreaming/Catch」だったが、初週CD売上は5万枚程度だったため、ビルボードでは「Wildflower」に及ばなかった。

 

「Wildflower」は配信25万ダウンロードを記録しているほか、CDでも31万枚を売り上げている。生命の雄大さを荒野に咲く花に例え、力強く伸びやかなボーカルで表現したこの曲は人生の応援歌として多くのリスナーを惹きつけた。

 

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9/29公開週1位 EXILE「もっと強く」

 

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この週はCD発売2週目EXILE「もっと強く」が前週に続き2週連続1位を獲得した。CD売上では浜崎あゆみ「crossroad」が1位だったが、その売上は4万枚程度に留まり、総合ではラジオ加点の差で逆転が生じた。

 

「もっと強く」は7分以上にも及ぶEXILE入魂のバラードナンバーで、同年公開の邦画実写映画では第1位となる興行収入80.4億円を記録したヒット映画「THE LAST MESSAGE 海猿」主題歌に起用されたこともあり、配信ミリオン、CD23万枚を売り上げ2010年屈指の大ヒットを記録した。

 

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EXILE / もっと強く (full ver. / オフィシャル動画)

 

10/6公開週1位 flumpool君に届け

 

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この週の1位はflumpool君に届けCD売上では浜崎あゆみ「L」が1位だったが、その売上は3万枚程度に留まり、総合ではラジオ加点の差で逆転が生じた。「君に届け」はMV再生数で自己最高となる2,700万再生を記録しており、flumpoolの代表曲と言って良い人気となっている。本曲の人気が牽引する形で、本曲を収録した2ndオリジナルアルバムFantasia of Life Stripe11万枚を売り上げた。

 

本曲は同名映画の主題歌として書き下ろされたラブソングで、映画が興行収入15億円を記録する人気となったことも楽曲の普及を後押しした。劇中主人公の男性視点でストレートに相手への想いを綴った歌詞や爽やかな曲調が支持された。


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12/1公開週1位 宇多田ヒカル「Goodbye Happiness」

 

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この週からビルボードの集計対象にiTunesダウンロード売上が加わった。

 

この週の1位は宇多田ヒカル「Goodbye Happiness」オリコンではタッキー&翼愛はタカラモノが1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではタキツバSHOP限定盤が集計対象外だったため、CD売上1位はYUI「Rain」が獲得した。しかしその売上も5万枚程度と多くなかったため、「Goodbye Happiness」がラジオとiTunesの加点で両者を逆転し総合1位を獲得する結果となった。

 

この曲は活動休止前に発売されたベストアルバムUtada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2」に収録された新曲である。過去を振り返りつつも今の自身を認め今後も歩んでいくことが歌われた本曲は、自然体な表現も支持され配信20万ダウンロードを売り上げる人気となった。

 

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宇多田ヒカル - Goodbye Happiness

 

12/29公開週1位 木村カエラA winter fairy is melting a snowman

 

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この週の1位は木村カエラA winter fairy is melting a snowmanオリコンではURATA NAOYA feat.ayumi hamasaki「Dream ON」が1位だったが、ビルボードではmu-mo等販路限定分の売上が集計対象外だったため、CD売上は発売2週目Hey!Say!JUMP「「ありがとう」~世界のどこにいても~」が前週に続いて2週連続1位を獲得した。しかしその売上は1万枚程度であったため、総合ではラジオとiTunesの加点により「A winter fairy is melting a snowman」が両者を逆転した。

 

本曲は楽しげな電子音が鳴るリズミカルなウィンターソング。NTTドコモのCMソングにも起用されたことも手伝い、配信20万ダウンロードを記録する人気となった。なおビルボード1位は本曲が自身唯一となっている。

 

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まとめ

 

以上が2010年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうちオリコンと1位が異なる週の振り返りとなる。 

 

オリコンはダウンロード売上の集計を一向に開始しなかったが、既にこの年はダウンロード売上の集計なしに楽曲人気を正確に把握することは不可能になっていた。オリコンはこの説明をせずにCD売上だけのチャートをヒットチャートとして世に提示し続け、多くの楽曲の人気を過大小にミスリードし続けた。

 

そんな中で2008年に発足したビルボードも、まだ全国網羅的なダウンロード売上を集計対象にできていなかったものの、ラジオやiTunesダウンロード売上の指標で人気を拾うことで、CD売上だけのチャートよりは楽曲人気チャートに近い存在になっていた。

 

当時は発足間もなかったこともあり知名度がなく、ほとんど注目されていなかったビルボードだが、2010年代後半になると知名度が高まり、楽曲人気指標としての権威を確立した。2010年の週間チャートも、最も楽曲人気指標に近い公式なチャートとして、今からでも押さえておきたいところである。

 

(次年2011年のBillboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧はこちら↓)

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(前年2009年のBillboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧はこちら↓)

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