Billion Hits!

フル配信ダウンロード売上、MV再生回数、ストリーミング再生回数、Billboard JAPANランキングデータなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

2010年のヒット曲【配信ダウンロード売上ランキング】

この記事では2010に配信された楽曲のヒットをフル配信ダウンロード売上を通じて振り返る。

 

2005年までは音楽の聴き方の主流はCDを購入することだったため、楽曲人気を把握する主要な手段は依然としてCD売上チャートを確認することであった。しかし2006年以降は配信市場が無視できない規模に拡大。CDシングルでは出なくなったミリオンセラーがフル配信ダウンロードで続々誕生するようになり、完全にCDに代わる音楽の聴き方の主流に躍り出た。

 

そのような状況にも拘わらず、楽曲人気指標としての役割が期待されていたオリコンは配信売上の集計を一向に開始せず、CD売上チャートだけを提示し続けた。よって2006年以降のオリコンチャートは総合的な楽曲人気指標としては使用不可能になった。

 

累計配信売上は結局日本レコード協会のダウンロード認定でしか確認できないため、ここではこのデータを使って2010年のヒット曲を振り返る。2010年配信曲で最終累計50万ダウンロード以上を記録した全曲のデータをランキング化した表は以下のとおり。このうち16曲が配信ミリオンを突破している。

 

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(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちら↓) 

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(歴代アーティスト別ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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なお、ここではあくまでも配信された年で楽曲を振り分けて表を作成している。当時はまだ配信未解禁の楽曲も多いため、CDでは2010年に発売されていても配信では2011年以降に解禁された楽曲もあるが、そのような楽曲はここには含めていない。逆に2009年以前にCDで発売されていても配信解禁が2010年だった曲はここに含めている。

 

 

この年活躍したアーティスト

 

以下アーティストの活躍は個別記事を設けて詳細解説しているので、記事へのリンクをあいうえお順に並べた。

 

いきものがかり

AKB48

EXILE

加藤ミリヤ

KARA

コブクロ

清水翔太

JUJU

少女時代

Superfly

ナオト・インティライミ

西野カナ

ヒルクライム

ONE OK ROCK

 

ミリオン(100万)達成曲解説

 

「会いたくて 会いたくて」は5月に発売された西野カナの10thシングル。ラブソングを得意として既に若年女性層から絶大な支持を受けていた西野カナだが、本曲は宝飾品のCMソングに起用されたことや、「会いたくて震える」という歌詞が強い印象を残したことで、これまで以上にダウンロード売上が爆発し、110万ダウンロードを記録した。

 

配信ミリオン突破はなんと配信開始から僅か3ヶ月後の2010年8月に達成された。これは星野源「恋」、松たか子「レット・イット・ゴー~ありのままで~」、ヒルクライム「春夏秋冬」に並ぶスピード記録で、これらの曲より速く配信ミリオン認定を受けた作品はGReeeeN「キセキ」「愛唄」、米津玄師「Lemon」、EXILE「ふたつの唇」の4曲しかない。


西野カナ 『会いたくて 会いたくて(short ver.)』

 

西野カナはこの年「会いたくて 会いたくて」のほか、「Best Friend」「if」「君って」の合計4枚のCDシングルを発売したが、表題曲4曲が全て配信ミリオンを突破する快挙を達成し、歴史的な人気規模を示した。6月に発売した2ndオリジナルアルバム『to LOVE』72万枚を売り上げた。

 

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ヘビーローテーションは8月に発売されたAKB48の17thシングル。本曲は2010年選抜総選挙で番狂わせの1位を獲得した大島優子がセンターを務めたことや、ナポレオンジャケットやランジェリーに身を包んだMVが話題となったことで150万ダウンロードを売り上げる大ヒットとなった。


【MV full】 ヘビーローテーション / AKB48 [公式]

 

配信ミリオン認定は発売から8ヶ月後の2011年4月だが、これは自身最速記録となる。また本曲はダウンロード売上だけでなく、新たな音楽の聴き方として台頭し始めたYouTubeでも突出したMV再生数を稼ぎ、国内MV史上初の1億再生を達成した。

 

www.oricon.co.jp

 

なお2010年以前に公開されたMVの2023年12月31日時点の再生回数ランキングTOP20は以下のとおりである。

 

 

(歴代MV再生回数ランキングはこちら↓) 

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AKB48はこの年発売したポニーテールとシュシュ」「Beginner」配信ミリオンを突破しており、この年西野カナと双璧を成す大活躍を見せていた。ダウンロード購入とMV再生に握手券等の特典は付属していないため、これらはCD売上とは異なり楽曲人気相応の数字である。

 

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「ミスター」は8月に発売された女性K-POPアイドルグループKARAの日本デビューシングル。韓国では前年に大ヒットしていた「Mr.」を日本語詞にした本曲は、ヒップダンスと呼ばれる特徴的な振り付けやポップな曲調が日本でも大きな支持を受け、配信125万ダウンロードを売り上げる自身最大の大ヒットとなった。 


KARA - ミスター M/V

 

KARAは11月に発売した2ndシングル「ジャンピン」配信ミリオンを突破しており、この年大活躍していた。

 

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植村花菜トイレの神様は2010年3月に発売された自身5枚目のミニアルバム『わたしのかけらたち』収録曲である。実体験をもとに祖母への想いを綴った本曲は涙なしには聴けない曲として話題を呼び、反響を受けて7月にはフル配信ダウンロード解禁、11月にはCDシングルでもカットされた。この曲は10分近い大作であったが、物語性の高い歌詞を踏まえ、同年の紅白歌合戦で歌詞パートのカットなく披露されたことも反響を増幅させ、最終的に配信ミリオンを突破する大ヒットになった。 


トイレの神様/植村花菜

 

「Gee」は10月に発売された女性K-POPアイドルグループ少女時代の2ndシングル。KARAとともに台頭したことで注目度が上昇する中発売された本曲は、美脚が強調されたカラフルなスキニージーンズ衣装や、サビの歌詞にあえて残した韓国語のキャッチーな語感が大きな人気を獲得し、配信ミリオンの大ヒットとなった。 


Girls' Generation 少女時代 'Gee' MV (JPN Ver.)

 

少女時代はデビューシングル「GENIE」50万ダウンロードを突破しており、KARAとともにこの時期大活躍していた。

 

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「ありがとう」は5月に発売されたいきものがかりの18thシングル。NHK朝の連続テレビ小説ゲゲゲの女房主題歌に起用された本曲は、大切な人への感謝を歌う普遍性がお茶の間に浸透したことで大きな支持を受け、配信ミリオンを達成した。 


いきものがかり 『ありがとう』Music Video

 

いきものがかりは11月に発売した自身初のベストアルバム『いきものばかり〜メンバーズBESTセレクション〜』140万枚を売り上げるなど、この年大活躍を見せた。

  

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「もっと強く」は9月に発売されたEXILEの34thシングル。本曲は7分以上にも及ぶ入魂のバラードナンバーで、同年公開の邦画実写映画では第1位となる興行収入80.4億円を記録したヒット映画「THE LAST MESSAGE 海猿主題歌に起用されたこともあり配信ミリオンの大ヒットを記録した。


EXILE / もっと強く (full ver. / オフィシャル動画)

 

なおEXILEは続く35thシングル「I Wish For You」でも配信ミリオンを達成しており、2007年から続く圧倒的な大人気を持続させていた。

 

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「流星」は11月に発売されたコブクロの19thシングル。表題曲は最高視聴率15.8%を記録したドラマ「流れ星」主題歌に起用された。本曲はコブクロが得意とする壮大なバラードで、ドラマの内容とリンクした楽曲内容に共感が集まったことで大ヒットし、自身4曲目となる配信ミリオンを記録した。 


コブクロ - 流星

 

コブクロはこれ以前にも永遠にともに「桜」「蕾(つぼみ)」の3曲が配信ミリオン以上を記録している。

 

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「この夜を止めてよ」は11月に発売されたJUJUの15thシングル。最高視聴率15.4%を記録したドラマギルティ 悪魔と契約した女主題歌に起用された本曲は、ドラマに沿った楽曲内容のほか、印象的なタイトルや歌詞の表現などが支持を集め、配信ミリオンの大ヒットを記録した。 


JUJU 『この夜を止めてよ』

 

JUJUはこの年カバーアルバム『Request』47万枚を売り上げるヒットさせており、そのリードトラックである「Hello, Again~昔からある場所~」50万ダウンロードを記録するなど、オリジナルとカバーの双方で大活躍を見せた。

 

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トリプル・プラチナ(75万)達成曲ピックアップ

 

ベイビー・アイラブユーは10月に発売されたTEEの2ndシングル。本曲は優しい歌声で奏でられたストレートなラブソングとしてタイアップやラジオなどを通じて人気を拡大させ、75万ダウンロードを記録した。


TEE - ベイビー・アイラブユー

 

なお翌年にはシェネルベイビー・アイラブユー(English Ver.)」としてカバーしており、こちらも75万ダウンロードを記録してシェネルのブレイク作となった。

 

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ダブル・プラチナ(50万)達成曲ピックアップ

 

Sunshine Girlは5月に発売されたmoumoonの7thシングル。満天の青空の下で初夏の日差しを浴びながらお出掛けしたくなる気分にさせてくれる本曲は、資生堂ANESSA」のCMソングに起用されたことでもその魅力を増幅させたことで50万ダウンロードを売り上げるヒットとなった。 


moumoon「Sunshine Girl」(Official Music Video)

 

lecca「TSUBOMI feat.九州男」は男女のすれ違いを描いたラブバラードとして4月に発売されたデュエットナンバー。同系統の楽曲は2008年頃からトレンドとなっていたが、本曲はleccaの透明感と力強さが両立した歌声や九州男との息の合った共演が個性となっており、50万ダウンロードを記録するヒットとなった。 


lecca / TSUBOMI feat.九州男 from BEST ALBUM 『BEST POSITIVE』

 

「まなざし」は5月に発売されたHoney L Daysの4thシングル。最高視聴率10.5%を記録したドラマタンブリングの主題歌に起用された本曲は、熱い想いで男臭く夢を追いかけることを歌った内容になっており、ドラマともリンクする形で支持を広げ、50万ダウンロードを記録した。


Honey L Days / まなざし

 

「行くぜっ!怪盗少女」は5月に発売されたももいろクローバーのデビューシングル。発売当初から売れたわけではなかったが、翌年以降ジワジワとグループの知名度が上昇するうちに、突き抜けた元気さでパフォーマンスされる本曲が代表曲として認知されていき、50万ダウンロードに至るまでに売上を積み上げた。これはサラバ、愛しき悲しみたちよに並ぶ自己最高ダウンロード売上タイ記録である。


【ももクロMV】行くぜっ!怪盗少女 / ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER/IKUZE! KAITOU SYOUJO)

 

もし当時CDと配信を合算した年間チャートがあったらどうなっていたか

 

上記で挙げた配信ヒット曲は、当時楽曲人気指標として最も有名だったオリコンが配信売上の集計を一向に開始しなかったことにより、音楽チャート上で人気が十分に可視化されず過小評価された。国内に総合楽曲人気チャートが存在しないという不健全な状況は2006年以降約10年に渡り継続した。

 

2010年当時楽曲人気が適切に可視化されなかった歪な歴史を少しでも修復すべく、ここではもし当時CDと配信を合算した売上チャートが存在していたら年間ランキングはどのような様相になっていたのか推定し、適切な2010年間楽曲人気チャートを再構築することを試みる。

 

具体的には、2010年の年間シングルチャートで計上された各曲のCD売上に、2010年配信曲2010年12月までに認定されたダウンロード数*1を加算することで年内の合算売上を推定し、ランキング化した。その結果は以下のとおりである。

 

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2010年に配信された楽曲のうち年内にフル配信ダウンロードミリオン認定を受けた曲は西野カナ「会いたくて 会いたくて」1曲のみ西野カナはこの曲以外にも「if」「Best Friend」が年内75万ダウンロード、「君って」が年内50万ダウンロードを記録しており大ヒット曲を大量輩出した。

 

西野カナは本来であれば同じくヒット曲を大量輩出していたAKB48最低でも同等のVIP待遇を受けて然るべき活躍を残したが、配信ヒットが過小評価されていたことにより、この年のMステスーパーライブや紅白歌合戦ではAKB48と嵐より一段下に扱われ、歌唱曲数は両者と比較して少なかった。

 

オリコンではこの年AKB48と嵐の2組の楽曲だけで年間TOP10が埋め尽くされた。この異常事態は、AKB48と嵐がCD売上チャートで楽曲人気に関係しない要因*2により相対的な優位性を持っていたために生じたもので、CD売上を楽曲人気指標として使用することが不可能になったと言うには十分な現象であった。

 

事実、オリコンではSMILE-UP.所属アーティストとAKB48がTOP20中17曲を占めたが、CD配信合算ランキングを作成することによって、実際には両勢力がそこまで楽曲人気を独占していたわけではなかったことが分かる。合算ランキングTOP20においては両勢力のランクイン曲数は10曲に減少する

 

CD売上の楽曲人気指標としての機能が終焉したことは、前年の2009年に同一アーティストによる2年連続年間ワンツーフィニッシュという前例のない規模の独占が生じたことを以て判断できた。そのため、2010年のCD配信合算ランキングを作成する必要性があるのかは議論の余地がある。それでも上記のとおり作成したのは、オリコンが2010年までで集計を区切った歴代チャートブックを出版しているためである。

 

www.amazon.co.jp

 

この歴代チャートブックは毎年作成されているわけではなく、この後新たな歴代チャートブックは発行されていない。その中で、オリコンが2010年までで集計を区切ったチャートブックを発行したことは、2010年までを一つの時代の区切りとして捉えるには丁度良い出来事である。

 

実際に、2011年以降はAKB48がAKB商法を確立し、楽曲人気に関係なくCDミリオンセラーを常時達成する体制を整えた。2010年までという区切りは、オリコンが楽曲人気指標として使用できなくなる直前ギリギリのタイミングだったと言える。

 

そのため当ブログでは、CD売上を楽曲人気指標として使用する余地が残っていた期間は2010年までと判断し、2011年以降のCD売上データは誰であっても*3楽曲人気の証拠としては一切取り上げないこととした。CD配信合算ランキングの作成も2010年を以て終了する。

 

本来は世間的にもこのような形でCD売上チャートの楽曲人気指標としての使用を停止する必要があったのだが、オリコンAKB48と嵐が年間TOP10を独占した要因となる各種商法を一切説明せず、メディアもこの結果に疑問を呈すことなくひたすら両者の人気を持ち上げたため、使用停止の動きは起きなかった。

 

この歪な事態を招いた責は全面的に当時の音楽チャート作成者に帰属しており、AKB48や嵐に直接批判を向ける話ではない。両者が当時ヒットしていたこと自体は事実である。嵐のヒットに関しては以下記事でまとめている。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

AKB48も、CD配信合算ランキングでヘビーローテーションが1位を獲得している。オリコンで年間1位となった「Beginner」は2位となっており、合算ランキングを作成することで、実際には「ヘビーローテーション」の方が人気があったことを可視化できる。

 

ちなみに、もしCD売上を一切除外して年内のダウンロード売上だけでランキングを作成した場合は、西野カナ「会いたくて 会いたくて」が年間1位となるが、「ヘビーローテーション」も配信売上だけで年間TOP10に入る計算となる。

  

2010年のBillboard JAPAN年間チャート

 

Hot 100

 

Billboard JAPAN Hot 100「社会への浸透度を計る」ことを明確に理念に掲げ、CD売上以外の要素も加味して作成されている総合楽曲チャートである。CD売上チャートによる楽曲人気のミスリードが続く中、2008年に誕生したこの音楽チャートは楽曲人気の可視化を目指してひっそりと試行錯誤を続けていた。

 

とはいえ発足当初の集計対象指標はCD売上ラジオエアプレイの2指標に留まり、ダウンロード売上はまだ集計対象にできていなかった。それでもラジオで配信ヒット曲の人気を拾い上げることにより、CD売上だけのチャートよりは楽曲人気チャートに近い存在になっていた。

 

2010年のBillboard JAPAN Hot 100年間TOP10は以下のとおり。参考記録として、各曲のダウンロード売上も併記した。

 

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当時のビルボードもCD売上の比重が高いことは否めないが、年間TOP10がAKB48と嵐だけで埋め尽くされたオリコン年間シングルチャートと比べれば偏りが緩和されている。

 

AKB48は年間TOP10内にヘビーローテーションしかランクインしていない。これは当時のビルボードオリコンと異なるAKB商法への対応を採っていたことによる。すなわち、所謂劇場盤と呼ばれる販路限定握手券付きCDの売上を集計対象外としていたのである。

 

一方で配信ヒット曲を十分に上位に送り込むことはできていない。特に西野カナの大ヒットはラジオ指標では捕捉することができなかった。このAKB商法の抑制配信ヒット可視化の失敗により、年間1位は「Troublemaker」となった。なお嵐はこれが初のビルボード年間1位となる。

 

また、この時期のビルボード順位を決定する総合ポイントが非公開になっている。こうした欠点により、当時のビルボード楽曲人気チャートとしての合格点には達していなかった。それでも、配信限定曲やアルバム曲、c/w曲など全楽曲がランクイン可能という集計対象の網羅性ではCDシングル売上チャートに勝っていた。

 

この集計対象の網羅性が楽曲人気チャートとして最も重要な要件であること*4や、一部の配信ヒット曲をCD売上に頼らず上位に送り込むことはできていることから、ビルボードは発足直後からCD売上チャートに代わり国内で最も楽曲人気チャートに近い存在に躍り出たのである。

 

当時は発足間もなかったこともあり知名度がなく、ほとんど注目されていなかったビルボードだが、2010年代後半になると知名度が高まり、楽曲人気指標としての権威を確立した。2010年の年間チャートも、最も楽曲人気指標に近い公式なチャートとして、今からでも押さえておきたいところである。

 

(2010年の主要週間チャート結果はこちら↓)

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Top Singles Sales

 

Hot 100の構成要素2指標それぞれの年間ランキングも紹介する。2010年のCDシングル売上チャートTop Singles Salesの年間TOP10は以下のとおり。

 

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AKB商法が上述のとおり抑制されていた一方、配信未解禁としていたSMILE-UP.所属アーティストの相対的上位進出構造が反映された結果、なんとが年間1位から6位までを独占した。これは前例のない規模の独占であり、オリコンビルボードかに拘らずCD売上が楽曲人気指標として使用不可能になったことを示している。

 

なお、ダブル・マキシ・シングルと銘打たれて発売されたEXILE『FANTASY』は新曲収録曲数の多さからオリコンではアルバム扱いされたが、ビルボードではアーティストの意向を汲んでシングル扱いされ、年間8位に入っている。

 

Radio Songs

 

続いてもう一つのHot 100構成要素、2010年のラジオエアプレイチャートRadio Songsの年間TOP10も紹介する。ラジオは楽曲人気指標として侮れない存在であり、実際にラジオが配信ヒットを拾い上げることに一定程度成功していることを示すため、各曲のダウンロード売上も併記した。

 

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パワープレイの対象となった曲や洋楽アーティストの楽曲の割合が多くはなるが、 年間TOP10中半数が一定程度のダウンロード売上を記録していることが分かる。ダウンロード売上の集計体制が整うまでの間、ラジオはHot 100の構成要素として重要な役割を占めていたのである。

 

Top Albums Sales

 

最後に2010年のビルボードのCDアルバム売上チャートTop Albums Salesの年間TOP10も紹介する。

 

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年間1位は2009年12月に発売されたEXILE愛すべき未来へが獲得した。オリコンの年間アルバムランキングでは嵐『僕の見ている風景が年間1位となっていたが、ビルボードではオリコンより3週間だけ集計期間が前に倒れていたため、オリコンの年間で集計割れを起こして2009年4位→2010年16位と推移していた『愛すべき未来へ』の売上がビルボードでは全て2010年の年間集計期間内に計上され、異なる結果となった。完全なる結果論だが、『愛すべき未来へ』の大ヒットはビルボードの方が分かりやすい形で可視化されたと言える。

 

同じ背景により、2009年11月に発売されていたGReeeeN『いままでのA面、B面ですと!?』B'z『MAGIC』も集計割れを回避して2010年の年間TOP10入りを果たした。

 

また、2010年12月に発売されたMr.Children『SENSE』オリコンの年間では集計割れを起こして2010年5位→2011年36位と推移した一方、ビルボードでは全ての売上が2011年の集計期間内に計上され、2011年の1位を獲得している。やはり完全なる結果論だが『SENSE』のヒットもビルボードの方がより分かりやすく可視化できている。

 

このような集計期間のズレ以外の結果はオリコンとほとんど変わらない並びになっているが、オリコンで年間7位を獲得した東方神起『BEST SELECTION 2010』に関してはビルボードでは年間17位となっている。これはビルボードが販路限定盤を集計対象外としていたことによる。東方神起の場合はファンクラブ限定盤が該当し、売上がオリコンより減少している。

  

まとめ

 

以上が配信ダウンロード売上を用いた2010年のヒットシーンの振り返りである。既述のとおりこの時期になるとCD売上だけのランキングが実際の楽曲人気を網羅しきれなくなっているので、楽曲人気を語るうえでは配信ダウンロード売上のデータもマストでチェックするようにしたい。

 

(前年2009年配信曲のダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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(次年2011年配信曲のダウンロード売上ランキングはこちら↓)

billion-hits.hatenablog.com

 

この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp

 

 

おまけ・プラチナ(25万)達成曲一覧

 

「あとひとつ」 FUNKY MONKEY BABYS
「ルーズリーフ」 ヒルクライム
「ALWAYS」 中島 美嘉
「涙」 FUNKY MONKEY BABYS
「蛍」 福山 雅治
「一番綺麗な私を」 中島 美嘉
「One day」 THE ROOTLESS
「LOVE RAIN ~恋の雨~」 久保田 利伸
Ring a Ding Dong」 木村 カエラ
「ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー」 あやまんJAPAN
「ライオン」 遊助
「ポーカー・フェイス(LLG VS GLG ラジオ・ミックス)」 レディー・ガガ
「Last Love」 加藤 ミリヤ
「GO! GO! MANIAC」 放課後ティータイム
「このままで」 西野 カナ
「GLORIA」 YUI
「Anything Goes!」 大黒 摩季
「Best Friend's Girl」 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
「あなただけが」 倖田 來未
「Wildflower」 Superfly
「Utauyo!!MIRACLE」 放課後ティータイム
「NO, Thank You!」 放課後ティータイム
「Lollipop」 倖田 來未
「Please Stay With Me」 YUI
「LOVE IS BLIND」 西野 カナ
「VICTORY」 EXILE
「レイン」 シド
「キミがいる」 いきものがかり
「バクチ・ダンサー」 DOES
「don't cry anymore」 miwa
サクラサク」 北乃 きい
「桜の栞」 AKB48
「ティック・トック」 KE$HA
「いとしすぎて duet with Tiara」 KG
「アイ」 秦 基博
「瞬間センチメンタル」 SCANDAL
アルクアラウンド」 サカナクション
アイデンティティ」 サカナクション
ソラニン」 ASIAN KUNG-FU GENERATION
恋愛サーキュレーション」 化物語
「Listen!!」 放課後ティータイム

 

おまけ・ゴールド(10万)達成曲一覧

 

ヤンバルクイナが飛んだ」 サーターアンダギー
A winter fairy is melting a snowman」 木村 カエラ
「真冬のオリオン」 INFINITY 16
「風見鶏」 コブクロ
LOL!」 黒木 メイサ
「ミツバチ」 遊助
「Can't Wait 'Til Christmas」 宇多田 ヒカル
「BYE BYE」 加藤 ミリヤ
「X.O.X.O.」 加藤 ミリヤ
「VOICE」 Perfume
「桜雨」 JUJU
「愛してる」 INFINITY 16 welcomez 若旦那
「アイシテル」 平井 堅
「Love Letter」 mihimaru GT
「少年」 福山 雅治
「ねぇ」 DREAMS COME TRUE
「Love song」 浜崎 あゆみ
「ハイビスカス」 MINMI
On Your Mark ~ヒカリのキセキ~」 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
「FAKE feat. 安室奈美恵」 AI
「MOON」 浜崎 あゆみ
「575」 Perfume
「Goodbye Happiness」 宇多田 ヒカル
「いつの日も」 阿部 真央
「ONE WAY LOVE」 西野 カナ
「好きだから」 ベッキー♪♯
「SCAR」 RIP SLYME
「わたしあうもの」 Love
「NAMIDA~ココロアバイテ~」 ゼブラクイーン
「Grateful Days feat.Noa」 LGMonkees
「風をさがして」 矢口真里とストローハット
クオリア」 UVERworld
「to Mother」 YUI
「Virgin Road」 浜崎 あゆみ
「ありったけのLove Song」 ナオト・インティライミ
「世界に一人のシンデレラ feat.U」 PENGIN
「集結の運命」 林原 めぐみ
乱舞のメロディ」 シド
「Trust In You」 JUJU
ノスタルジア」 いきものがかり
「Life feat.Noa」 LGMonkees
「Get Myself Back」 安室 奈美恵
「YOU & I feat. LOVE LOVE LOVE」 AZU
「SHIVER」 the GazettE
「アキラブ」 Juliet
「chAngE」 miwa
「どんなに離れても duet with AZU」 KG
SWORD SUMMIT」 T.M.Revolution
「ベイビー feat.リュダクリス」 ジャスティン・ビーバー
チャンスの順番」 AKB48
「U&I」 放課後ティータイム
「カリフォルニア・ガールズ feat.スヌープ・ドッグ」 ケイティ・ペリー
Sign」 FLOW
「あなたのうた」 ソナーポケット
マジスカロックンロール」 AKB48
「ハルラブ」 Juliet
「ラヴ・ザ・ウェイ・ユー・ライFEAT.リアーナ」 エミネム
マニフェスト」 RADWIMPS
「Period」 CHEMISTRY
「Onara はずかしくないよ」 オンナラブリー
「アリス」 アヴリル・ラヴィーン
「Tell Me Goodbye」 BIGBANG
「irony」 ClariS
「マイン」 テイラー・スウィフト
「BLESS」 L'Arc~en~Ciel
「フxxキン・パーフェクト(Explicit Version)」 P!NK
「Eyes On Me」 Superfly
「オトシモノ」 miwa
「ルパン」 KARA
ココ☆ナツ」 ももいろクローバー
「ひと」 遊助
「1/3の純情な感情」 Acid Black Cherry
「天使にふれたよ!」 放課後ティータイム
恋人たちのクリスマス(ニュー・ヴァージョン)」 マライア・キャリー
「crossroad」 浜崎 あゆみ
「ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー」 ブルーノ・マーズ
「め組のひと」 ラッツ & スター
「Re:birth」 Acid Black Cherry
「負けない心」 AAA
「DJ・ガット・アス・フォーリン・イン・ラヴ feat. ピットブル」 アッシャー
「Brand New Days」 九州男
野菜シスターズ」 AKB48
Naked arms」 T.M.Revolution
「Break It」 安室 奈美恵
「Tales」 RIP SLYME
「クラブ・キャント・ハンドル・ミー(feat.デヴィット・ゲッタ)」 フロー・ライダー
「ちから」 lecca
「GOODBYE」 清水 翔太
「リプレイ」 アイヤズ
「ほんとのきもち」 高橋 優
「素直になれなくて... feat.Noa」 LGYankees presents DJ No.2
マジジョテッペンブルース」 AKB48
「逢いたい理由」 AAA
「ごはんはおかず」 放課後ティータイム
「マリー・ユー」 ブルーノ・マーズ
「ピラミッド(feat.アイヤズ)」 シャリース
「走れ!」 ももいろクローバー
「23:45」 Juliet
「もっと もっと キミを教えてよ」 Juliet
「For You」 AZU
「裏切りの夕焼け」 シアターブルック
「クラブ・キャント・ハンドル・ミー」 フロー・ライダー
「最後の言葉 feat.h」 ET-KING
「BREAK OUT!」 東方神起
PHANTOM MINDS」 水樹 奈々
「Way to Love」 唐沢 美帆
ぴゅあぴゅあはーと」 放課後ティータイム
24karats STAY GOLD」 EXILE
「love & smile」 西野 カナ
「GOLD」 UVERworld
「桜」 清水 翔太
「Baby I See You feat. VERBAL (m-flo)」 加藤 ミリヤ
「また出逢えたなら...duet with HanaH」 KG
「さよならの向う側」 山口 百恵
「夏空」 Galileo Galilei
「初恋」 奥 華子
「夜明けのBEAT」 フジファブリック
「ザ・タイム(ダーティー・ビット)」 ブラック・アイド・ピーズ
ミザリー」 マルーン5
「幸せな結末」 大滝 詠一
「さぁ」 SURFACE
「言えないよ」 倖田 來未
「恋におちて-Fall in love-」 小林 明子
「SEX ON THE BEACH」 SPANKERS
若者のすべて」 フジファブリック
「Roll Over The Rainbow」 Superfly
「ファイヤーワーク」 ケイティ・ペリー
秋桜」 山口 百恵
希望という名の光」 山下 達郎
「TRAIN」 ONE☆DRAFT
Over the clouds」 alan
「いい日 旅立ち」 山口 百恵
「できっこないを やらなくちゃ」 サンボマスター
「め組のひと」 倖田 來未
「虹」 福山 雅治
sugar sweet nightmare」 物語シリーズ
さよならメモリーズ」 supercell
「Dreamin'」 JASMINE

 

*1:最終累計ではなく、2010年内に計上された売上

*2:AKB48は所謂AKB商法、嵐の場合は複数種販売商法や配信未解禁とすることによるCDへの売上集中など。

*3:もちろん、楽曲を聴く目的でCDを購入する動きが完全になくなったわけではない。しかし、CD売上の楽曲人気指標としての信用は完全になくなっている。このため、CD売上で楽曲人気を語るために要する手間と労力は、一般人では対応できないほど膨大になった。具体的には、すべての作品の売上枚数を楽曲人気要因とそうでない要因で分け、前者のみのテーブルで相対的ヒット評価を下す必要がある。商法が複雑多様化する中、説得力ある形でこの作業を行うには論文級の調査量を要する。したがって、2011年以降に楽曲人気で増減しているCD売上動向を証明することは事実上不可能である。むしろ別の指標で人気を証明することを模索した方が早い。

*4:人気となっている曲が集計ルール上チャートにランクインできないという事態は最悪のケースであり、絶対に避けなければならないことであるため。特に当時は、配信限定発売曲の人気動向をCD売上チャート上で捕捉できないという問題があった。