Billion Hits!

ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、Billboard JAPAN Hot 100などのデータを通じて国内の楽曲人気動向を把握するブログ

Superflyのデジタル人気曲【売上・再生回数ランキング】

Superflyは2007年に「ハロー・ハロー」でデビューした女性ソロアーティスト。デビューして1年でブレイクし、以降10年以上に渡りヒット曲を大量輩出している。

 

Superflyがブレイクした2000年代後半はダウンロード購入が楽曲視聴方法の主流であったため、楽曲人気は主にダウンロード売上を通じて把握できる。Superflyの累計フル配信ダウンロード売上530万となっており、これは歴代17位記録である*1。また、2020年代以降に新たな楽曲人気指標として台頭したストリーミング再生回数においても一定の規模を記録している。

 

ここではデジタル指標を参照しながらSuperflyのヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、Superflyの人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

 

 

 

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)

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2007年-2009年

 

この時期の曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

 

 

Superflyは当初ボーカルの越智志帆とギターの多保孝一による2人組ユニットとしてデビューしていた。デビュー曲「ハロー・ハロー」発売時はまだ認知度が低い状態だったが、期待の新人としていきなりミュージックステーションへの出演を果たしたこともあり、早々に話題性を獲得していた。累計はフル配信10万ダウンロードを突破している。

 

その後、3rdシングル発売を以て多保が編曲業に専念するため表舞台から退き、以降は越智のソロプロジェクトに移行した。

 

2008年2月には、ソロプロジェクト移行後初のシングルとなる「愛をこめて花束を」を発売。これがフル配信125万ダウンロード、着うた100万ダウンロードを突破する自身最大ヒットとなり、完全にブレイクを果たした。売上推移は以下のとおり。

 

  • 配信開始から1ヶ月後の2008年3月に10万ダウンロード突破
  • 2ヶ月後の2008年4月に20万ダウンロード
  • 3ヶ月後の2008年5月に35万ダウンロード
  • 9ヶ月後の2008年11月に60万ダウンロード
  • 1年1ヶ月後の2009年3月に75万ダウンロード
  • 4年2ヶ月後の2012年4月にミリオン突破
  • 配信開始から5年3ヶ月後の2013年5月に125万ダウンロード達成

 

見てのとおり2008年内に60万ダウンロードを突破。4年後にはミリオンを突破した。ここまでの大ヒットとなった理由は、最高視聴率12%を記録したドラマエジソンの母主題歌に起用されたことで一気に認知度が拡大したことも大きい。しかし何より相手への思いやりにあふれた幸せな雰囲気に包まれた楽曲内容や、越智のパワフルながらも心地よいボーカルが多くの支持を集めたことに尽きる。現在では結婚式の定番曲にもなった。

 

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Billboard JAPAN Hot 100の年間では2008年27位、2018年83位→2019年89位と推移。本曲の人気の息の長さが可視化されている。リリースから10年を経て年間TOP100に再登場する推移の原動力となったのは、2017年末の紅白歌合戦にて、体調不良による休養からの復帰後初のTV出演という形で本曲が歌唱された効果が表れたためである。この様子はBillboard JAPANの指標別動向閲覧サービスChart Insightの本曲の推移で確認できる。

 

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このような長期人気の持続により、他指標でもストリーミング2.5億再生、MV1.8億再生を突破している。本曲は2000年代後半以降の主要楽曲人気指標全てで絶大な数字を叩き出しており、2000年代を代表する大ヒット曲であることに疑いの余地はない。


Superfly - 愛をこめて花束を

 

「愛をこめて花束を」の大ヒットを受け、続けて2008年4月に発売された5thシングルHi-Fiveは配信開始から1ヶ月で10万ダウンロードを突破。最終的な累計はフル配信25万ダウンロードを記録した。

 

2008年9月には6thシングル「How Do I Survive?」をリリースし、フル配信20万ダウンロードを記録。2009年5月には7thシングルMy Best Of My Lifeをリリースし、フル配信25万ダウンロードを記録した。

 

翌2009年6月には自身初の配信限定シングル「Alright!!」を発売。これがフル配信50万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録するヒットとなった。本曲は最高視聴率20%を記録した大ヒットドラマ『BOSS』のオープニングテーマに起用され、印象的なメロディや圧倒的な歌唱力が存分に堪能できるサビが人気となった。

 

「愛をこめて花束を」と違い、この曲は時間をかけて人気が浸透していく形となり、20万ダウンロード突破までには配信開始から1年4か月を要した。2011年4月にはドラマ『BOSS』の2ndシーズンが始まり、引き続きこの曲がオープニングに起用され、このタイミングで35万ダウンロードを突破。50万ダウンロード達成は配信から3年11ヶ月後の2013年5月となっている。


Superfly - Alright!!

 

2009年7月には8thシングル『恋する瞳は美しい/やさしい気持ちで』を発売。1曲目の「恋する瞳は美しい」フル配信20万ダウンロードを記録した。しかし実は2曲目の「やさしい気持ちで」は1曲目を上回るフル配信25万ダウンロードを記録しており、2曲目が1曲目を上回る人気となっているようである。

 

2009年11月には9thシングルDancing On The Fireをリリースし、フル配信10万ダウンロードを売り上げた。

 

2010年以降

 

この時期の曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

 

 

2010年6月には、『2010 FIFAワールドカップを含むNHKの2010年度サッカーテーマソングに起用されたタマシイレボリューションをCDシングル発売に先駆けてデジタルリリースした。大型タイアップにより楽曲は強力な後押しを得て普及していき、最終的にフル配信75万ダウンロードを突破するヒットを記録した。売上推移は以下のとおり。

 

  • 配信開始から1週間で20万ダウンロード突破
  • 1年1ヶ月後の2011年7月に35万ダウンロード
  • 2年後に2012年6月に50万ダウンロード
  • 配信開始から7年2ヶ月後の2017年8月に75万ダウンロード達成

 

見てのとおり、配信から僅か1週間という自己最速ペースで20万ダウンロードを突破している。その後も息の長い人気が続き、7年2ヶ月経過した2017年8月に75万ダウンロードに到達した。

 

持ち前のパワフルな歌唱力や、選手を前向きに鼓舞する楽曲は応援歌としてピッタリの内容であり、歴代のNHKサッカーW杯テーマソングの中でも屈指のダウンロード売上を記録する人気曲となっている。 他指標でもストリーミング5,000万再生、MV5,000万再生を記録している。

 

これだけの人気でありながら、なぜか本曲はCDシングル表題曲に据えられず、9月発売のシングル『Wildflower』のc/wという位置に収まった。このため、CDシングル売上が実態と異なり楽曲人気指標として重視されていた当時は、この曲の人気が可視化されなかった。「Alright!!」もそうだったが、Superflyの場合はシングルCDという形態に拘らない形でヒット曲を多く輩出しており、当時の音楽チャートの機能不全が目立つ結果となった。


Superfly - タマシイレボリューション

 

2010年8月には「タマシイレボリューション」に続き「Roll Over The RainbowをCDシングル発売に先駆けてデジタルリリースし、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2010年9月には、この2曲をc/wにした10thシングル『Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'』を発売。本作は10枚目のシングルであることを記念した豪華な収録内容となり、シングル『Wildflower』とこれまでシングルのc/wで発表してきた洋楽のカバー曲をまとめたアルバム『Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'』をセットにした商品となった。

 

やや複雑な発売形態に対し音楽チャートの対応も異なり、オリコンでは収録曲の多さからアルバムとして扱われた一方、Billboard JAPANではアーティスト側が公式にシングルと銘打っていることが考慮されシングルとして扱われた。この結果、Billboard JAPAN Hot 100では表題曲「Wildflower」にCD売上ポイントが加算され、本曲が自身初の週間1位を獲得することとなった。表題曲の累計はフル配信25万ダウンロードを記録している。

 

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Superfly 『Wildflower』Music Video

 

2010年12月には11thシングル「Eyes On Me」をリリースし、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2011年5月にはアルバム先行シングル「Rollin' Days」を配信限定リリースし、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2012年7月にはウルフルズトータス松本とのコラボが実現。Superfly & トータス松本名義でシングル「STARS」を発売し、フル配信10万ダウンロードを売り上げた。

 

8月には15thシングル『輝く月のように/The Bird Without Wings』が発売され、1曲目の「輝く月のように」フル配信25万ダウンロード、MV3,000万再生を記録した。

 

2013年には自身初のベストアルバム『Superfly BEST』をリリース。新曲も3曲収録されており、このうち「Bi-Li-Li Emotion」フル配信10万ダウンロードを記録する人気となった。

 

2014年は、10月にCDシングル発売に先駆けてデジタルリリースされた「愛をからだに吹き込んで」フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2015年は5月に5thオリジナルアルバム『WHITE』をリリース。アルバム曲のうち、リードトラックである「Beautiful」が特に人気となり、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV5,000万再生を記録している。

 

同年12月には、20thシングル『黒い雫 & Coupling Songs: 'Side B'』を発売。このシングルは「Wildflower」と似たような発売形態で、シングル『黒い雫』とカップリングベストアルバム『Coupling Songs: 'Side B'』がセットで発売された。表題曲「黒い雫」フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2016年7月にはボーカル越智が喉の不調に伴う休養に入ったが、2017年末に活動を再開。以降は安定した活動が継続している。2019年11月にはNHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』主題歌に起用された「フレア」が「黒い雫」以来久々にフル配信10万ダウンロードを記録した。

 

まとめ

 

以上まで見てきたとおり、2000年代後半にデビューしたSuperflyは、当時の音楽市場のCDからダウンロードへのシフトを象徴するように、CD売上ではなくダウンロード売上を中心にしてヒット曲を大量輩出していた。CDシングル売上が実態と異なり楽曲人気指標として注目されていた当時は、どの曲が一番人気なのか分かりにくい状況になっていたが、実際はダウンロードを見れば代表曲群は一目瞭然であった。

 

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これらのヒット曲を手元に所有したい場合は、2017年に発売されたベストアルバム『Superfly “LOVE, PEACE & FIRE” -Special Edition-』がおすすめ。1枚のCDに代表曲が厳選されている。

 

LOVE, PEACE & FIRE -Special Edition-

LOVE, PEACE & FIRE -Special Edition-

  • アーティスト:Superfly
  • 発売日: 2017/12/20
  • メディア: CD
 

 

この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイト日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。

 

 

*1:Superfly単独名義曲の集計値