Billion Hits!

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ヒルクライムの人気曲【配信ダウンロード売上ランキング】

ヒルクライムは2009年に「純也と真菜実」でメジャーデビューした男性ヒップホップユニット。デビュー間もなく大ブレイクを果たし、2010年前後のヒットシーンを彩った。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は6曲で、認定総ダウンロード売上は280万(歴代39位タイ)となっている。これらのデータをランキング化した表は以下のとおりである。この表をもとにしながら、ヒルクライムのヒット史を振り返る。

 

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(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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(歴代アーティスト別ダウンロード売上ランキングはこちら↓) 

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2009年

 

ヒルクライムは2006年に新潟でラップ&ボーカルのTOCとDJのKATSUにより結成された。イベント出演を重ねて地元で確かな人気となるなど実績を積み、2009年にメジャーデビューを果たすこととなった。デビュー曲「純也と真菜実」は6月にCDに先駆けてフル配信され、後の大ブレイクに沿ってジワジワと売上を伸ばし、9ヶ月後の2010年3月に10万ダウンロードを突破した。

 

「春夏秋冬」配信ミリオン

 

その大ブレイクをもたらした曲が、9月に発売された2ndシングル「春夏秋冬」である。本曲は印象的なサビのメロディーに乗せた変わらない愛を綴った歌詞が瞬く間に支持を広げ、125万ダウンロードを突破する大ヒットとなった。

 

配信売上推移は以下のとおり。

 

  • 配信2週間で10万ダウンロード突破
  • 発売1ヶ月で50万ダウンロード突破
  • 発売2ヶ月で75万ダウンロード突破
  • 発売3ヶ月後の2009年12月に110万ダウンロード突破(配信ミリオン達成)
  • 発売7ヶ月後の2010年4月に125万ダウンロード達成

 

特筆すべきはダウンロードミリオン到達までの早さである。僅か3ヶ月でのミリオン達成は、星野源「恋」松たか子「レット・イット・ゴー~ありのままで~」西野カナ「会いたくて 会いたくて」に並ぶスピード記録で、他にこれより短い所要月数でミリオン認定を受けた曲はGReeeeN「キセキ」「愛唄」米津玄師「Lemon」EXILE「ふたつの唇」の4曲しかない。国内史上でダウンロードミリオンを達成した全94曲の中でも一際猛烈な人気となっていたことが分かる。

 

本曲は9月のフル配信に先駆けて8月に着うたで先行発売されたが、有線の8月度月間問合せランキングで早くも1位を獲得した。この前評判により9月以降CDTVエンディングテーマなどのタイアップが続々付くこととなり、ダウンロード売上のロケットスタートに繋がった。なお上表の数字に切り売りの着うたの売上は含めていない。フル配信だけで125万ダウンロードである。

 

ここまでの大人気となっていたにも拘らず、当時は実態と異なりCD売上が楽曲人気指標として重視されていたため、本曲を始めとした多くの高配信売上曲が人気を過小評価される事態に陥っていた。本曲もCD売上では僅か13万枚であり、CDから配信への音楽の聴き方の移行が適切に考慮されないまま、人気が過小評価された。実際、本曲の爆発的配信売上は年末のMステスーパーライブや紅白歌合戦に当然出演していて然るべき成績だが、何れも実現しておらず、異論の声も大きくはならなかった。

 

ちなみに、2009年に発売された曲で年内に配信ミリオンに到達した曲は、「春夏秋冬」のほかEXILE「ふたつの唇」GReeeeN「遥か」木村カエラ「Butterfly」JUJU with JAY'ED「明日がくるなら」があるが、これら5曲は全てCD売上の年間チャートではTOP10にも入っていない。こんな人気指標として機能していないCD売上チャートを前面に見せられては、2009年はヒット曲がなかったという誤解が生じても仕方のないことであった。実際には下記記事で示したとおり大量のヒット曲がこの年も輩出されている。

 

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特に「春夏秋冬」のオリコン成績は、週間で最高位6位、年間で2009年の53位という全く大人気の実態を表していない酷いものであった。ただし、Billboard JAPAN Hot 100では少しだけマシな結果になっており、週間で最高位2位、年間で2009年の22位になっている。これは当時のビルボードがCD売上以外にもラジオエアプレイ数を集計対象としていたことによる。ダウンロード売上はまだ集計対象外だったが、代わりにラジオで人気を拾い上げたことで、CD売上のみのチャートよりも人気指標に近い結果を出すことに成功していた。無論これでもまだ不十分であり、当時数字付きのダウンロード売上チャートが存在しなかったことは大問題であった。


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12月には3rdシングル「もうバイバイ」を発売し、大ブレイクの勢いのまま25万ダウンロードを売り上げた。ちなみにCD売上チャートでは週間で最高位18位。冒頭で示したように、実際はこの後も暫く高配信売上が続くことになるのだが、結局シングルCD売上で10万枚を超えた作品は「春夏秋冬」だけになっている。CD売上だけ見て「春夏秋冬」の一発屋と評価することは間違いなので十分に注意してほしい。

 

2010年以降

 

2010年はまず1月に1stオリジナルアルバム『リサイタル』を発売。「春夏秋冬」が売上を牽引する形でいきなり21万枚を記録するヒットとなった。

 

「大丈夫」配信75万ヒット

 

4月には4thシングル「大丈夫」を発売。本曲は辛いときに身近に立って励ましてくれる内容の歌詞がキャッチーなサビに乗ったことで「泣ける曲」として支持を獲得し、75万ダウンロードを売り上げるヒットとなった。

 

配信売上推移は以下のとおり。

 

  • 配信2週間で10万ダウンロード突破
  • 発売1ヶ月で25万ダウンロード突破
  • 発売8ヶ月後の2010年12月に50万ダウンロード突破
  • 発売1年6ヶ月後の2012年10月に60万ダウンロード突破
  • 発売3年9ヶ月後の2014年1月に75万ダウンロード達成

 

見てのとおり本曲も好調な初動売上となり、年内に50万ダウンロードを突破する勢いを見せていた。この年のCD売上チャート年間TOP10のボーダーラインは51万だったので、もし配信売上も加算した音楽チャートが存在していれば年間上位入りも十分あり得たと思われるが、実際にはそのようなチャートは一向に作られず、本曲もCD売上チャートでは年間TOP100圏外という圧倒的過小評価を受けることとなった。


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「ルーズリーフ」配信35万ヒット

 

5月には5thシングル「ルーズリーフ」がCDに先駆けて先行フル配信された。本曲は最高視聴率13.6%を記録したドラマ「ヤンキー君とメガネちゃん」の主題歌にも起用され、引き続き1ヶ月で25万ダウンロードを売り上げる好調な初動を記録した。累計認定総数は35万ダウンロードとなっている。


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以降の楽曲は暫く新たなダウンロード認定から遠ざかったが、2013年1月に発売された13thシングル「想送歌」が久々に10万ダウンロード認定を受けている。本曲は単発2時間ドラマ「ゆりちかへ ママからの伝言」の主題歌に起用されたことでも話題となった。

 

2018年にはDJ KATSUが不祥事でグループを脱退、暫くの間活動休止を余儀なくされるという苦難もあったが、同年9月にTOCによるソロユニットとして活動を再開。2019年にメジャーデビュー10周年を迎え、2020年代に入っても新作の発売が続けられている。

 

まとめ

 

以上まで見てきたとおり、ヒルクライムは「春夏秋冬」の大ヒットを始めとして当時のヒットシーンを語るうえでは外せない活躍を見せていた。実際にヒップホップアーティストとしてはSEAMOに次ぐ歴代2位のダウンロード認定総数となっており、日本を代表するヒップホップユニットであると言っても大袈裟ではない。

 

ここで紹介した曲を手っ取り早く入手するには、2012年に発売されたベストアルバム『Best of Hilcrhyme 〜GOLD〜』がおすすめ。10万ダウンロード以上を記録している6曲のうち「想送歌」以外の5曲を1枚のCDで聴くことができる。

 

 

この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp