Billion Hits!

ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、Billboard JAPAN Hot 100などのデータを通じて国内の楽曲人気動向を把握するブログ

青山テルマのデジタル人気曲【売上・再生回数ランキング】

青山テルマは2007年に「ONE WAY」でデビューした女性ソロアーティスト。デビュー後間もなく大ブレイクし、2008年のトレンドを築き上げた。

 

青山テルマがブレイクした2000年代後半はダウンロード購入が楽曲視聴方法の主流であったため、楽曲人気は主にダウンロード売上を通じて把握できる。青山テルマの累計フル配信ダウンロード売上430万歴代22位となっている*1。また、2020年代以降に新たな楽曲人気指標として台頭したストリーミング再生回数においても一定の規模を記録している。

 

ここではデジタル指標を参照しながら青山テルマのヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、青山テルマの人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

 

 

 

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)

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SoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ

 

青山テルマは高校生の頃より歌手デビューを目指してボイストレーニングを積んでいたほか、デビュー前から童子-Tなどの作品に参加するなどしていた。大学在学中の2007年9月に「ONE WAY」でデビューを果たしたが、この時点ではまだ全国的な知名度はなかった。

 

しかし、この2週間後に発売されたラッパーSoulJaのシングル「ここにいるよ」に客演参加したことが、飛躍の大きなきっかけとなった。『COUNT DOWN TV』の2007年9月度オープニングテーマにも起用されたこの曲は、不器用で正直な遠距離恋愛を綴った歌詞が話題となり、フル配信110万ダウンロードを記録する大ヒットとなった。推移は以下のとおり。

 

  • 配信開始から1ヶ月で25万ダウンロード突破
  • 3ヶ月後の2007年12月に50万ダウンロード
  • 5ヶ月後の2008年2月に75万ダウンロード
  • 配信開始から6ヶ月後の2008年3月に110万ダウンロード突破(ミリオン達成)

 

見てのとおり2007年内に50万ダウンロードを突破し、年が明けても後述する青山テルマの大ブレイクに沿って全く勢いを落とさぬままミリオンを突破した。

 

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SoulJa / ここにいるよ feat. 青山テルマ

 

「そばにいるね feat.SoulJa

 

2008年1月には、逆にSoulJaを客演に迎え、2ndシングル「そばにいるね」をリリース。この曲は「ここにいるよ」のアンサーソングとして制作され、遠距離恋愛を綴る歌詞が女性目線になっているほか、歌唱においてもメインパートを担当している。メロディは一部「ここにいるよ」のサビをそのまま取り入れており、楽曲の連続性を強調する仕上がりになっている。

 

この曲は当時遠距離恋愛を繋ぎ止める象徴的存在であった携帯電話のCMソング(NTT DoCoMoの2008年春季キャンペーンソング)に起用されたことで、元々「ここにいるよ」から有していた遠距離恋愛のリアルさがより大きな共感を生み出し、歴代で3曲しか達成していないフル配信300万ダウンロード突破を果たした。*2


その売上推移を見ると、発売5ヶ月後の2008年6月には225万ダウンロードを突破しており、これは国内史上初にして今なお最速記録でのフル配信200万ダウンロード達成であった。前例のない猛烈な売れ行きに対しては日本レコード協会のダウンロード認定作業も追いつかず、2008年2月に10万ダウンロード認定を出して以降は認定が暫く放置され、ダブル・プラチナ認定やミリオン認定をすっ飛ばしてダブルミリオン認定が出されたほどであった。その後も緩やかに売上を積み上げ続け、2014年3月にトリプルミリオン認定を受けるに至っている。

 

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他指標でも着うた300万ダウンロード、ストリーミング1.0億再生、MV5,000万再生を突破しているほか、CD売上においてはサウンドスキャンシングルチャート2008年年間1位を獲得している。当時はCD売上とダウンロード売上を総合したヒットチャートが国内に存在していなかったが、もし存在していれば本曲が問答無用で年間1位になっていたと当ブログでは推定している。

 

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青山テルマ feat.SoulJa / そばにいるね

 

「何度も」

 

2008年7月には3rdシングル「何度も」をリリース。この曲は昔の夏の恋を思い出す失恋ソングで、サビの印象的なリフレインとともに人気となり、フル配信60万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを売り上げるヒットを記録した。任天堂『大合奏!バンドブラザーズDXのCMソングとして多くオンエアされたことも楽曲の普及を後押しした。

 

フル配信ダウンロード売上推移を見ると、発売3週間で25万ダウンロードを突破しており、高い初動セールスを記録していたことが分かる。60万ダウンロード認定は配信開始から3ヶ月後の2008年10月度で、年内に達成されている。もし当時CD売上とダウンロード売上を総合したヒットチャートが国内に存在していれば、本曲は年間TOP10入りしていたと当ブログでは推定している*3。しかし当時は、以下記事で示したとおり、実態に沿わない形でCD売上にばかり注目が集まってしまっていた。

 

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「何度も」の売上もCDからダウンロードに移行していた分、CD売上が大きい規模とはならなかったため、ヒットしていることがなかなか認知されず、圧倒的な楽曲人気の過小評価を受けることとなった。もし青山テルマを「そばにいるね」の一発屋と認識している場合、それは当時の音楽チャートがもたらしたミスリードである。 


青山テルマ / 何度も

 

童子-T「約束の日 feat.青山テルマ

 

2008年9月には童子‐Tのコンピレーションアルバム『12 Love Stories』が発売されたが、そのリードトラック「約束の日」青山テルマは客演参加を果たした。この曲はフル配信10万ダウンロードを売り上げている。

 

「守りたいもの」「大っきらい でもありがと」

 

2008年11月には4thシングル「守りたいもの」をリリース。この曲は最高視聴率16%を記録したドラマチーム・バチスタの栄光主題歌に起用されたこともあり、フル配信10万ダウンロードを売り上げるヒットを記録した。

 

2008年12月には5thシングル「大っきらい でもありがと」を発売。この曲は恋愛バラエティー番組『あいのり』主題歌に起用されたほか、DREAMS COME TRUEから楽曲提供を受けたことでも話題となり、フル配信25万ダウンロードを売り上げるヒットとなった。これで2008年は発売した4枚のシングル全てが配信10万ダウンロード以上を売り上げたことになり、青山テルマにとって大活躍の一年となった。


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2009年以降

 

2009年7月には7thシングル「忘れないよ」をリリースし、フル配信25万ダウンロードを記録。2011年には3月には12thシングル「ずっと。」をリリースし、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

この曲を最後にダウンロード認定は途絶えたが、現在ではヴィジュアルのイメージチェンジを果たしたほか、サバサバしたキャラクターが受けたことでバラエティ番組への出演が増えているなど、活躍の幅を広げている。

 

まとめ

 

以上まで見てきたとおり、青山テルマはダウンロード売上の軽視による人気過小評価という理不尽な逆風に晒されていたものの、この時代に決して無視できない活躍を見せていた。米津玄師「Lemon」の歴史的ヒットによりダウンロード売上が大きく評価されているようになった今こそ、青山テルマの活躍は再評価されて然るべきである

 

以上まで紹介したヒット曲を手元に所有したい場合は、2011年に発売されたベストアルバム『SINGLES BEST』がおすすめ。

 

SINGLES BEST

SINGLES BEST

  • アーティスト:青山テルマ
  • 発売日: 2011/08/24
  • メディア: CD
 

 

この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイト日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。

 

 

*1:青山テルマ単独名義曲の集計値

*2:他の2曲はGReeeeN「キセキ」、米津玄師「Lemon」

*3:『2000年代のヒット曲10選』参照