Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

絢香の配信ダウンロード売上ランキング

絢香は2006年に「I believe」でデビューした女性ソロアーティスト。デビュー後すぐにブレイクを果たし、ヒット曲を大量輩出した。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は18曲で、認定総ダウンロード売上は685万(歴代12位)となっている。これらのデータをランキング化した表は以下のとおりである。この表をもとにしながら、絢香のヒット史を振り返る。

 

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(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちらを参照↓)

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2006年-2009年 ~ワーナーミュージック・ジャパン時代~

 

この時期は音楽の聴き方がCDから配信へと移行していたが、配信売上チャートが誕生しなかったために、CD売上を基準にした楽曲人気評価が実態と異なる形で行われ続け、配信中心に人気を得た多くの楽曲が人気を過小評価された時期でもある。絢香CDシングル売上が10万枚を超えた作品は2作しかないが、配信10万ダウンロード超えは18曲ある。改めてその人気にスポットを当てていく。

 

この時期に発表された楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。配信ダブルミリオンを含む多くのヒット曲を輩出しており、配信売上全盛期ともいえるのがこの時期である。

 

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2006年 ~「三日月」ダブルミリオン~

 

絢香は早くから歌手になりたいという夢を持ち、高校生の時に音楽プロデューサー西尾芳彦が主宰する音楽教育施設「音楽塾ヴォイス*1に通い、デビュー前から実力をつけていた。各レコード会社による争奪戦の末、コブクロなどが所属するワーナーミュージック・ジャパンからデビューした。

 

その期待から、デビュー作I believeはいきなりドラマ「輪舞曲」主題歌という好タイアップに抜擢された。このドラマが最高視聴率20.0%を記録する好調ぶりだったこともあり楽曲も注目を集め、その新人離れした落ち着きのある力強い歌唱力などから、いきなりのヒットを飛ばすことになる。

 

ヒットはまずCD売上で顕在化し、いきなりCD売上チャート初登場3位を記録。最終的には23万枚を売り上げた。しかし徐々に配信ダウンロード売上も伸ばしていき、2006年10月に25万ダウンロードを突破した後も売上を積み上げ続け、最終的に2014年1月に75万ダウンロードを記録するほどのヒットとなった。 

 

参考までにCD売上とダウンロード売上を合計すれば98万であり、ほぼミリオンに近いヒットである。CD売上だけでこの曲の人気規模を測ることがないように注意したい。


絢香 - I believe

 

7月には3rdシングル「Real voice」が発売され、表題曲は配信10万ダウンロードを売り上げた。それだけではなく、c/wの「Peace loving people」も2011年になって売上が配信10万ダウンロードに到達している。この曲はライブでもよく披露される人気曲で、c/wでありながら2007年の紅白歌合戦に出場した際にも歌唱曲に選ばれたほどである。

 

そして9月に発売されたシングル「三日月」は特大ヒットを記録。配信売上では歴代で9曲しか達成していない200万ダウンロードを達成した。推移は以下のとおり。

 

  • 配信開始1ヶ月後の2006年10月に10万ダウンロード突破
  • 配信開始2ヶ月後の2006年11月に25万ダウンロード
  • 配信開始3ヶ月後の2006年12月に50万ダウンロード
  • 配信開始5ヶ月後の2007年2月に75万ダウンロード
  • 配信開始7ヶ月後の2007年4月に85万ダウンロード
  • 配信開始1年後の2007年9月に110万ダウンロード(配信ミリオン達成)
  • 配信開始7年4ヶ月後の2014年1月に配信ダブルミリオン達成

 

見てのとおり非常に高水準な売上をコンスタントに半年間重ね続け、2007年2月に75万ダウンロードを突破。実は国内史上初のフル配信売上75万ダウンロードを達成したのはこの曲である。

 

そして2007年11月には、長いスパンで売れる楽曲が多い配信市場の中では早いペースである所要1年での配信ミリオン達成を果たした。その後も売上を積み上げ続け、2014年1月に200万ダウンロードに到達するに至っている。

 

ここまでの大ヒットとなった理由は、充実した楽曲内容とタイアップとの間の親和性が高かったことで、楽曲の魅力の普及にこの上ない成功を収めたことが挙げられる。楽曲はデビュー前に既に完成していて、絢香がデビューのため上京するにあたっての思いをベースに作成された遠距離恋愛を歌うラブバラードとなっている。タイアップはauLISMO」CMソングだったが、当時若者の間で急速に普及していた携帯電話は遠距離恋愛でも活用されており、楽曲に感情移入させるにはピッタリのタイアップであった。

 

年末歌番組で注目を浴びる機会も多く、この曲で文句なしの日本レコード大賞の新人賞を受賞したほか、年末の紅白歌合戦でもこの曲を歌唱したことで、年末年始にかけて配信売上は全く衰えることがなかった。

 

当時はこの配信売上データにおける偉業が、新しい指標だったためあまり注目されなかったが、一応CD売上でも24万枚をセールスしたほか、自身初のCD売上チャート1位も獲得したことで、CD売上だけ見ていてもヒットしていることは把握できた。しかし24万と200万では約10倍もの開きがあり、人気を過小評価しないためにダウンロード売上は必ず押さえるべき知識である。


絢香 - 三日月

 

「三日月」の特大ヒットにより、11月に発売された1stオリジナルアルバム「First Message」もいきなり120万枚をセールスする大ヒットとなった。CD売上の年間チャートでは集計割れを起こしており、2006年13位→2007年22位と推移した。

 

2007年 ~「WINDING ROAD」ミリオン~

 

2007年に入っても活躍は続いた。まず2月にコブクロとのコラボが実現し、絢香×コブクロ名義でシングルWINDING ROADを発売。コブクロも前年に「ALL SINGLES BEST」が大ヒットして勢いに乗っており、上昇気流にある両者のコラボということで抜群の相乗効果が発揮され、配信ミリオンの大ヒットを記録した。推移は以下のとおり。

 

  • CD発売から2ヵ月後の2007年4月に配信解禁
  • 2007年4月末時点で早くも10万ダウンロード突破
  • 2007年6月に25万ダウンロード
  • 2007年12月に35万ダウンロード
  • 2008年4月に60万ダウンロード
  • 2008年11月に75万ダウンロード
  • 発売3年6ヶ月後の2010年10月に配信ミリオン達成(着うたフル+PC配信)

 

留意すべきは、配信解禁がCD発売から2ヶ月後となったことである。これはなるべくCDに売上を集中させるために今でも多くのアーティストが採っている戦略である。その甲斐あってか、CD売上でも35万枚をセールスし、年間11位を記録した。

 

しかし、ヒット曲の楽曲人気は世代を超えて継がれてゆくものである。配信解禁が遅れたためか、2007年内のダウンロード数は35万に留まっているが、2008年になってもダウンロード数を積み上げ続けて75万に到達、そして2010年に配信ミリオンを達成するに至った。

 

絢香コブクロも、大ヒット曲はバラードナンバーが多いイメージであるが、アップテンポナンバーでも持ち前の歌唱力を存分に活かし、ヒットの実績を残した。

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コブクロ - WINDING ROAD(絢香×コブクロ)

 

7月には5thシングルJewelry day」配信35万ダウンロードを記録するヒットとなった。

 

9月には6thシングル「CLAP & LOVE/Why」を発売。1曲目と2曲目を入れ替えたシングル「Why/CLAP & LOVE」も併せて発売され、2曲が等しくリードナンバーとして扱われた。配信では「Why」2008年12月に10万ダウンロード「CLAP & LOVE」2014年1月に10万ダウンロードに到達。同じ売上でも、到達所要時間を比較すると「Why」の方が売れ行きが良かったようだ。

 

11月には配信限定シングル「For today」を発売し、10万ダウンロードを記録した。

 

2008年 ~「おかえり」75万ヒット~

 

2008年3月には7thシングル「手をつなごう/愛を歌おう」を発売。1曲目の「手をつなごう」35万ダウンロードを記録するヒットとなった。CD売上の年間チャートではTOP100圏外だが、この年から始まったBillboard JAPAN Hot 100ではCD売上だけでなくラジオエアプレイ数が集計対象となっていたことで、配信売上の代わりに楽曲人気を吸い上げることに成功し、2008年の年間チャート65位にランクインした。

 

5月には8thシングル「おかえり」を発売。表題曲は最高視聴率15.1%を記録したドラマ「絶対彼氏 〜完全無欠の恋人ロボット〜」主題歌で、「帰る場所」をテーマに作られた温かみのあるナンバー。これまで見せてきた持ち味の力強さとはまた違う自然体な歌唱も支持され、75万ダウンロードを記録するヒットとなった。売上推移は以下のとおり。

 

  • 配信開始2週間で10万ダウンロード突破
  • 配信開始1ヶ月後の2008年6月に25万ダウンロード
  • 配信開始3年1ヶ月後の2011年6月に50万ダウンロード
  • 配信開始6年1ヶ月後の2014年6月に75万ダウンロード達成

 

見てのとおり、この曲も長い時間をかけて売上を積み上げていることが分かる。「I believe」や「三日月」との違いは、CD売上が10万枚を超えなかったことで、このことは2006年と比べますますCDから配信へ楽曲視聴方法が移行していたことを示唆する。しかし当時は相変わらず実態と異なりCD売上を基準に楽曲人気が語られていたため、この曲の人気は「I believe」「三日月」よりもさらに過小評価されやすい。「I believe」と同じ75万ダウンロードを記録していることは重要な事実である。

 

実際にCD売上チャートではTOP100圏外だが、Billboard JAPAN Hot 100では2008年の年間チャートで49位にランクインしている。


絢香 - おかえり

 

この後6月に発売された2ndオリジナルアルバム「Sing to the Sky」61万枚をセールスするヒットとなった。このアルバムに収録されているシングルは「WINDING ROAD」以外CDシングル売上が10万枚を下回っていたため、当時はこのヒットを予想以上とする向きも多かったが、これまで見てきたとおり実際は配信75万1曲、35万2曲、10万3曲を収録した強力なヒットアルバムであり、このセールスは当然である。

 

アルバム曲の中では、アニメ映画「スカイ・クロラ」主題歌となった「今夜も星に抱かれて・・・」10万ダウンロードを記録した。

 

9月には絢香×コブクロとして2枚目のシングル「あなたと」を発売し、CDで14万枚、配信で50万ダウンロードを記録するヒットとなった。アップテンポナンバーだった「WINDING ROAD」とは180度異なるラブバラードで、既に楽曲は2007年からライブで披露されており、音源化を要望する声に応える形で発売された。


コブクロ - あなたと(絢香×コブクロ)

 

2009年 ~「みんな空の下」50万ヒット~

 

2009年はバセドウ病の治療に専念するための活動休止前最後の1年となった。

 

4月には9thシングル「夢を味方に/恋焦がれて見た夢」を発売。1曲目の「夢を味方に」10万ダウンロードを記録した。引き続きCD売上チャートでは年間TOP100圏外だが、Billboard JAPAN Hot 100では2009年の年間34位である。

 

7月には10thシングル「みんな空の下」を発売。この曲が活動休止前ラストシングルとなった。壁にぶつかったときに優しく寄り添い応援してくれるような楽曲内容は多くの支持を集め、50万ダウンロードを記録するヒットとなった。MVではアカペラ歌唱も見せており、歌声を存分に堪能することができる。

 

年末の活動休止前最後の紅白歌合戦ではこの曲で出演したほか、2年後に活動を再開した時の紅白でも再びこの曲を歌唱しており、重要な楽曲として位置づけられている。

 

Billboard JAPAN Hot 100では発売時に週間チャート最高4位を獲得。その後一度TOP100圏外に下がったが、後述するベストアルバム発売のタイミングで8位まで再浮上し、TOP10復帰を果たした。年間チャートでは43位にランクインし、以降も数週間ランクインを続けて登場週数19週のロングヒットとなった。


絢香 - みんな空の下

 

9月には初のベストアルバム「ayaka's History 2006-2009」を発売。94万枚を売り上げるヒットとなり、Billboard JAPAN Top Albums Salesの年間チャートでは2009年5位→2010年34位と推移した。

 

自主レーベル時代 ~「にじいろ」75万ヒット~

 

絢香は活動休止中にワーナーミュージック・ジャパンとの契約が終了し、2011年にはavexのバックアップのもと設立した自主レーベルA stAtionに活動拠点を移した。2011年末より活動を再開し現在に至っている。

 

この時期に発表された楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。ワーナー時代には及ばないもののコンスタントにヒット曲を輩出している。

 

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2012年2月には3rdオリジナルアルバム「The Beginning」が発売され、活動再開直後で注目を集めていたこともあり、21万枚をセールスするヒットとなった。収録曲のうち、アルバム発売1週間前から先行配信されていたリード曲「はじまりのとき」25万ダウンロードを記録。この曲は2011年末のMステスーパーライブでも披露されており、再始動を飾る1曲として見事にヒットした。

 

2012年12月には、NEWS ZEROのエンディングテーマとなった配信限定シングル「ツヨク想う」10万ダウンロードを記録した。この曲は、同時発売された映像作品「絢香 LIVE TOUR 2012 “The beginning”〜はじまりのとき〜」にもCDで付属している。

 

2013年はまず2月に「みんな空の下」以来となるCDシングル「beautiful/ちいさな足跡」を発売。1曲目の「beautiful」は最高視聴率11.6%を記録したドラマ「シェアハウスの恋人」主題歌となり、配信で10万ダウンロードを記録した。

 

10月にはCMタイアップが付いた配信限定シングル「ありがとうの輪」を発売し、10万ダウンロードを記録した。

 

2014年には活動再開後では最大のヒット曲が誕生した。13thシングルとして発売された「にじいろ」NHK朝の連続テレビ小説花子とアン」の主題歌となり、一日の始まりに彩りを与えるような軽やかさと温かさを併せ持った楽曲内容が世代を問わず支持され、「おかえり」以来となる75万ダウンロードを記録するヒットとなった。売上推移は以下のとおり。

 

  • 2014年4月から配信で先行発売開始
  • 2014年6月にCDシングルでも発売され、このタイミングで配信売上も再浮上して配信10万ダウンロード突破
  • 2014年9月には「花子とアン」がクライマックスを迎えたことで配信売上が再浮上し、25万ダウンロード突破
  • 年末年始には紅白等の歌番組効果が発現し配信売上が再浮上、その勢いのまま2015年3月50万ダウンロード突破
  • 2016年7月になってUQ mobileのCMソングという新タイアップが付いたことで配信売上が再浮上し、その勢いのまま2016年10月75万ダウンロード達成

 

以上のようにきっかけがある度に配信売上を伸ばすという大変面白いロングセラー推移を記録している。これらの動きはBillboard JAPANが提供する指標ごとの動向が分かるサービスChart Insightで本曲の配信売上動向を検索することでも確認できる。

 

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この頃になると、Billboard JAPAN Hot 100も楽曲人気指標としての機能を向上させており、配信売上の比重を高めていた。CD発売のタイミングで最高5位を獲得した後も、配信売上を原動力にロングヒットし、上述の年末歌番組効果が出た2015年1月19日付チャートでは10位に再浮上しTOP10に返り咲いた。登場週数は66週を数え、年間チャートでも2014年27位→2015年44位と2年連続ランクインを果たした。

 

なおCD売上は僅か5万枚であり、2011年以降CD売上が楽曲人気指標としての機能を完全に失ったことを示す楽曲の一つである。


絢香 / にじいろ

 

配信売上認定はこの曲を最後に途絶えているが、以降も自主レーベルであることを活かしたスローペースで新作発売を続けている。

 

まとめ

 

以上のように絢香配信ダウンロード売上を中心にして大ヒット曲を連発しており、時代を形成したアーティストの一人として名を連ねてしかるべき存在である。2010年前後の女性アーティスト界は大人数アイドルの時代であったとはよく言われるが、女性ソロも十分に活躍していた。西野カナだけが当時人気だったわけでは決してないということは必ず押さえておきたい。

 

以上までに紹介した大量のヒット曲を入手するには、2016年7月に発売されたオールタイムベストアルバム「THIS IS ME 〜絢香 10th anniversary BEST〜」がおすすめ。

 

THIS IS ME ~絢香 10th anniversary BEST~(CD3枚組)

THIS IS ME ~絢香 10th anniversary BEST~(CD3枚組)

  • アーティスト:絢香
  • 発売日: 2016/07/13
  • メディア: CD
 

 

この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp

*1:この機関は絢香の他にYUI家入レオも輩出している。