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中島美嘉の配信ダウンロード売上ランキング

中島美嘉は2001年に「STARS」でデビューした女性ソロアーティスト。デビュー後すぐにブレイクし、以降10年以上に渡りヒット曲を大量輩出した。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は20曲で、認定総ダウンロード売上は600万(歴代14位)となっている。これらのデータをランキング化した表は以下のとおりである。この表をもとにしながら、中島美嘉のヒット史を振り返る。

 

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(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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(歴代アーティスト別ダウンロード売上ランキングはこちら↓) 

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2001年-2006年 ~CD売上全盛期~

 

この時期はまだCD売上が楽曲人気指標の主流だった時期で、配信サービスは普及の途上であった。しかし、2000年代中盤に差し掛かると配信売上がCD売上を上回る楽曲もチラチラと現れてくるようになる。

 

この時期に発表された楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。

 

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中島美嘉のデビューはソニー主催のボーカルオーディションに勝ち抜いたことがきっかけで、併せてドラマのヒロイン役オーディションも勝ち抜いたことで、ドラマ「傷だらけのラブソング」で女優デビューするとともに、そのドラマ主題歌が自身のデビュー曲「STARS」になるという鮮烈なスタートを飾った。ドラマも中島美嘉が扮するヒロインが歌手を目指し、最後には「STARS」でデビューするという現実に強くリンクした内容だった。

 

そのような高い話題性や、個性的な歌声、楽曲が深みのあるバラードだったことなどが支持され、2001年11月にCDで発売された「STARS」はいきなり46万枚をセールスするヒットとなった。配信では2004年に解禁され、10万ダウンロードを記録している。


中島美嘉 『STARS』Music Video

 

最高のスタートダッシュを切った中島美嘉は、2002年に入っても、「STARS」に次ぐドラマ主題歌となった「WILL」CDで14万枚、配信で10万ダウンロードを売り上げるヒットを記録。その勢いで、8月に発売された1stオリジナルアルバム「TRUE」117万枚をセールスするミリオンヒットとなった。年間チャートでは若干集計割れを起こしたものの、2002年の年間チャート8位にランクインした。

 

2002年11月には1stミニアルバム「RESISTANCE」を発売。CDは20万枚限定生産とされたが、19万枚を売り上げて実質的に完売した。配信は2006年に解禁されたが、このタイミングで表題曲「RESISTANCE」がオムニバスドラマ「翼の折れた天使たち」の主題歌に起用されたことでリバイバルヒット。ドラマは2006年と2007年の春に放送され、楽曲も2007年4月に10万ダウンロードを突破した。

 

2003年に入っても好調は持続し、6thシングル「愛してる」CDで10万枚、9thシングル「FIND THE WAY」CDで12万枚、配信で10万ダウンロードを売り上げた。

 

そして同年10月には代表曲が誕生した。10thシングルとして発売された雪の華は美しいメロディーと歌声で奏でられた極上のウィンターラブバラードとして、ノンタイアップにもかかわらず*1絶大な支持を受け、配信ミリオンを記録した。

 

楽曲人気は最初にCD売上に表れた。CDシングル売上は、アルバム発売1ヶ月前先行シングルだったため、24万枚とそこそこの数字に留まっているが、登場週数28週のロングヒットで「STARS」に次ぐ売上となった。そして人気はCDアルバム売上の爆発という形で顕在化し、2ndアルバム「LØVE」が1stを上回る141万枚のセールスとなった。なおアルバムは年間チャートでは集計割れを起こし、2003年14位→2004年12位と推移している。

 

配信売上は長期間に渡る楽曲人気の持続が可視化される形で以下のように推移した。

 

  • 配信開始2年11ヶ月後の2006年9月に10万ダウンロード突破
  • 配信開始4年1ヶ月後の2007年11月に25万ダウンロード
  • 配信開始6年6ヶ月後の2010年4月に50万ダウンロード
  • 配信開始9年1ヶ月後の2012年11月に60万ダウンロード
  • 配信開始10年3ヶ月後の2014年1月に75万ダウンロード
  • 配信開始13年後の2016年10月に配信ミリオン達成

 

このように一度に一気に売れるのではなく、緩やかなペースを非常に長い期間維持し続けて100万ダウンロードに到達している。13年かけてのミリオンは、中島みゆき「糸」の15年10ヶ月に次ぐ歴代2位のスロー記録である。

 

中島美嘉最大のヒット曲はシングルCD売上自己最高の「STARS」とされることが多いが、「雪の華」も配信ミリオン実績や、収録CDアルバム売上が自己最高を記録したことを考えれば、雪の華中島美嘉最大のヒット曲と言っても間違いではないどころか、そう言った方が適切ではないかと思える。


中島美嘉 『雪の華』

 

2004年は3枚のシングルと1枚のミニアルバムをリリース。このうち、2ndミニアルバムとして発売された「朧月夜〜祈り」11万枚をセールスした。

 

2005年は2曲のヒット曲が誕生した。まず2月に14thシングル「桜色舞うころ」を発売。表題曲は桜の季節を情景豊かに表現したバラードで、この曲もノンタイアップであるにも関わらず人気が広がりCDで10万枚、配信で25万ダウンロードを売り上げた。

 

この曲はノンタイアップであること以外にも、アルバム発売1ヶ月前の先行シングルでありながらアルバム収録曲中最大売上を記録したことも「雪の華」と共通している。その3rdアルバム「MUSIC」54万枚を売り上げ、2005年の年間チャート16位にランクインした。


中島美嘉 『【HD】桜色舞うころ( ショートver.)』

 

そして8月にはNANA starring MIKA NAKASHIMA名義で16thシングル「GLAMOROUS SKY」を発売。この曲は自身がナナ役で主演した映画「NANA」の主題歌で、映画は興行収入40億円を記録するヒットとなった。楽曲もL'Arc~en~CielのHYDEが作曲とプロデュース、NANA作者の矢沢あいが作詞を担当するという豊富な話題性や、パンクロックに乗せたクールな歌声というギャップなどから、映画のヒットともに人気が普及した。

 

売上はCDで44万枚、配信で75万ダウンロードを記録。CD売上は「STARS」に僅かに及ばなかったが、この曲が出た2005年は「STARS」が出た2001年と比べCD市場の縮小と配信市場の拡大が進んでいた。参考程度ではあるが、両者の売上を合計すれば「STARS」を大きく上回り、ミリオンを突破している。

 

配信はCD発売から2週間遅れて解禁された。売上は「雪の華」同様長い年月をかけて積み上げられており、2006年8月時点ではCD売上よりも少ない25万ダウンロードだったが、2010年7月に50万ダウンロード、2013年10月に60万ダウンロードを突破。75万ダウンロード到達は配信開始から10年11ヶ月経過した2016年8月となっている。

 

それまでバラードナンバーのヒット曲が多かった中島美嘉にとって、ロックナンバーによるヒットが出たことは大きな収穫であった。


中島美嘉 『【HD】GLAMOROUS SKY( ショートver.)』

 

さらに、この曲のヒットの後という最高のタイミングで自身初のベストアルバム「BEST」が発売され、120万枚を売り上げる大ヒットとなった。年間チャートでは2006年の6位にランクインした。

 

2006年11月には同じくNANA starring MIKA NAKASHIMA名義で20thシングル「一色」を発売。表題曲は矢沢あいが作詞を、GLAYTAKUROが作曲とプロデュースを行っており、興行収入11億円を記録した続編映画「NANA2」主題歌として起用された。売上は配信で25万ダウンロードを記録している。このタイミングで同名義による楽曲をまとめたオリジナルアルバム「THE END」も発売され、18万枚をセールスした。

 

2007年- ~配信売上全盛期~

 

2007年以降は本格的に配信市場がメジャーな音楽購入手段となり、CD売上の楽曲人気指標としての機能は衰退していった。中島美嘉も、この時期の楽曲でCD売上10万枚を超えた作品は1作しかないが、配信では12曲が10万ダウンロード以上を記録している。

 

この時期に発表された楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。

 

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2007年はまず春に2枚のシングルと1枚のアルバムを発売。シングルは、ドラマ「ハケンの品格」主題歌「見えない星」25万ダウンロードNTTドコモCMソング「素直なまま」10万ダウンロードを記録した。4thオリジナルアルバム「YES」29万枚をセールスした。

 

夏には新たなヒット曲が誕生した。23thシングルとして発売された「LIFE」北乃きい主演ドラマ「ライフ」の主題歌となった。このドラマは学校のいじめをテーマにした壮絶な内容が話題となり、23時台のドラマであるにもかかわらず最高視聴率17.4%を記録した。楽曲もドラマに沿ったメッセージ性の高いシリアスなアップテンポナンバーに仕上がっており、ドラマとともに人気が普及した。

 

売上はCDで13万枚、配信で75万ダウンロードを記録した。特に配信売上のペースはこれまでの比ではないほど早かった。

 

  • 配信開始1週間で10万ダウンロード突破
  • 配信開始1ヶ月後の2007年9月に25万ダウンロード
  • 配信開始5ヶ月後の2008年1月に50万ダウンロード
  • 配信開始6年5ヶ月後の2014年1月に75万ダウンロード達成

 

これまでの楽曲と違い初動売上が非常に高く、その勢いで2008年1月には自身初の50万ダウンロード突破を果たしている。最終的には75万ダウンロードを記録した。

 

なおこの曲のバラードバージョン「LIFE(ballad)」もドラマの挿入歌に使用され、原曲に先駆けて配信されたこともあり、10万ダウンロードを記録している。本曲はCDのc/wにも収録された。 


中島美嘉 『【HD】LIFE( ショートver.)』

 

2008年には更なる大ヒット曲が誕生した。11月に27thシングルとして発売された「ORION」は、中島美嘉も出演した二宮和也主演ドラマ「流星の絆」挿入歌に起用された。ドラマが最高視聴率22.6%を記録する好調ぶりだったことから楽曲にも注目が集まり、歌い出しのフレーズにインパクトがあったことや、得意とする冬に合うバラードナンバーだったことなどから大きな支持を集め、配信ミリオンの大ヒットとなった。

 

  • CD発売2週間前の10月から配信開始され、1ヶ月で25万ダウンロード突破
  • 配信開始2ヶ月で50万ダウンロード
  • 配信開始2年1ヶ月後の2010年11月に75万ダウンロード
  • 配信開始4年1ヶ月後の2012年11月に85万ダウンロード
  • 配信開始5年6ヶ月後の2014年4月に配信ミリオン達成

 

配信解禁がCD発売より先行したことは考慮すべきではあるが、「LIFE」を上回る初動売上を記録し、僅か2ヶ月で50万ダウンロードを突破する凄まじい勢いを見せた。この初速が効き、その後は時間がかかりながらも根強い支持が続いたことで2014年にミリオンに到達した。「雪の華」のミリオン到達は2016年のため、この曲が自身初にして自己最速の配信ミリオン達成曲になっている。このことから冒頭に示したランキングではこの曲を1位としている。

 

なおCD売上は、例によってアルバムからの先行シングルという性質もあり僅か6万枚となっており、配信売上とは実に16倍もの開きが生じる事態となった。CD売上の数字が楽曲人気を表すことができなくなったことを示す楽曲の一つでもある。実際にCD売上の年間チャートではTOP100にすらランクインしていない。

 

また、現代の楽曲人気指標の主流であるBillboard JAPAN Hot 100が始まったのもこの年からであるが、当時のビルボードも黎明期だったためこの曲の人気捕捉には失敗しており、やはり年間TOP100圏外となった。

 

同じドラマの主題歌には嵐「Beautiful days」が起用されていたが、こちらはジャニーズなので配信解禁されずCD限定での発売となり、CD売上47万枚という結果だった。CDと配信の合計売上では、同じドラマのテーマソングであるにもかかわらず「ORION」が2倍以上上回る事態となったが、CD売上が実態と異なり楽曲人気指標として重視されていた当時の音楽チャートでは軒並み嵐のみが年間チャートで高順位にランクインしていた。当時蔓延していた「高配信売上曲の人気過小評価」を表す好例である。


中島美嘉 『ORION』

 

この曲を収録した5thオリジナルアルバム「VOICE」は前作を上回る34万枚をセールスした。

 

2009年は3枚のシングルと5万枚限定企画アルバムを発売。シングルから、「Over Load」「流れ星」の2曲が10万ダウンロードを記録した。

 

2010年は2枚のシングルと1枚のアルバムを発売。シングルは「ALWAYS」「一番綺麗な私を」の2曲とも25万ダウンロードを記録した。6thオリジナルアルバム「STAR」18万枚をセールスした。

 

2011年は2枚のシングルを発売。「Dear」25万ダウンロード「LOVE IS ECSTASY」10万ダウンロードを記録した。

 

2012年はシングル「明日世界が終わるなら」10万ダウンロードを記録。なお、これで2009年発売の27thシングル「流れ星」から32ndシングル「明日世界が終わるなら」まで、シングルCD表題曲が6曲連続で配信売上10万ダウンロードを突破することとなった。これは自己最高記録であり、この時期が配信売上全盛期であったことが良く分かるデータである。

 

以降は配信売上認定が途切れているものの、コンスタントに新作発表が続けられている。また、舞台「イノサンmusicale」で主演を務めるなど演技での活躍も引き続き目立っており、デビュー当初から活かされてきた多才ぶりは健在である。

 

まとめ

 

以上のように中島美嘉はCD売上もさることながら特に配信ダウンロード売上を中心にしてヒット曲を大連発しており、時代を形成したアーティストの一人として名を連ねてしかるべき存在である。2010年前後の女性アーティスト界は大人数アイドルの時代であったとはよく言われるが、中島美嘉をはじめとした女性ソロも非常に多くのアーティストが活躍していたことは配信売上で把握できる

 

中島美嘉の場合は敢えてアルバム発売の直前に勝負曲を出し、見事にその曲をヒットさせてアルバムセールスに結びつけていることが多く、非常に巧い戦略と言える。ただ、アルバム売上に誘導した分シングルCD売上が少ない場合が多い。配信売上で楽曲人気を把握する必要性が特に高いアーティストである。

 

以上までに紹介した大量のヒット曲を入手するには、2014年11月に発売された2枚のベストアルバムDEARS」「TEARS」がおすすめ。2枚合わせてそれまでの全シングル曲を収録した決定盤である。

 

DEARS(ALL SINGLES BEST)

DEARS(ALL SINGLES BEST)

  • アーティスト:中島美嘉
  • 発売日: 2014/11/05
  • メディア: CD
 
TEARS(ALL SINGLES BEST)

TEARS(ALL SINGLES BEST)

  • アーティスト:中島美嘉
  • 発売日: 2014/11/05
  • メディア: CD
 

  

この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp

 

*1:ただし2019年にこの曲をモチーフにした映画が公開されている