浜崎あゆみは1998年に「poker face」でデビューした女性ソロアーティスト。デビュー後すぐにブレイクし、以降10年以上に渡りヒット曲を大量輩出した。
浜崎あゆみは活躍期間が長く、その間音楽業界もダイナミックな変化を複数回遂げているため、楽曲人気を計るうえで見るべき指標は一つではない。最も有名な記録は90年代~2000年代前半のCD売上記録だが、例えばCDシングル売上だけを見ていては人気規模を十分に把握できない楽曲もあるため注意しなければならない。
よってここではCD売上に比べ認知度が低いデジタル指標のデータを強調しながら、浜崎あゆみのヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、浜崎あゆみのデジタル人気楽曲ランキングは以下のとおりである。
(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)
1998年-2004年 ~CD売上全盛期~
この時期の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。過去曲の配信は2000年代に入ってから徐々に解禁されていき、人気が持続している楽曲は売上や再生回数を積み上げている。
当時はCDバブル真っ只中であり、CD売上が楽曲人気指標として機能しており、浜崎あゆみが多くのCDをヒットさせたことは既に周知の事実である。そのため、この時期の曲は基本的にCD売上で楽曲人気を把握することになるが、この記事ではまだ認知が進んでいないデジタル指標を強調していく。
なおCD売上も含む各時代の楽曲人気指標を総合的に考慮した人気楽曲ランキングは以下のとおりとなる。
(歴代アーティスト・トータル・楽曲人気ランキングは以下記事参照↓)
A song for xx~LOVEppears
浜崎あゆみはデビュー前までキッズモデルやアイドルとして活動していたが、当時のエイベックス会長松浦勝人にブレイクの可能性を見出され、デビュー当初から全力のプロモーションを受けたことで、すぐにカリスマ性が認知され、爆発的な支持を広げていった。
デビュー年の1998年は2ヵ月に一作のペースでシングルCDを発売するハイペースな活動を展開。このうち3rdシングル「Trust」は20万枚*1をセールスしている。
1999年元旦にはこれらのシングルを収録した1stアルバム『A Song for ××』を発売し、いきなり145万枚*2売り上げるミリオンヒットに。アルバム曲のうち、タイトルナンバーである「A Song for ××」がフル配信10万ダウンロード認定を受けている。この曲が浜崎あゆみの楽曲の中では最も古いデジタル人気曲となる。
浜崎あゆみ / A Song for ××(ayumi hamasaki countdown live 2000-2001 A)
その後はなんと7枚ものシングルを発売し、全て10万超えを達成。まず6th「WHATEVER」が21万枚、浜崎あゆみ/浜崎あゆみ & つんく名義で発売した7th『LOVE ~Destiny~/LOVE ~since 1999~』が68万枚、8th「TO BE」が35万枚をセールス。
最大売上シングル『A』収録曲中一番人気はどの曲なのか
続く9th「Boys & Girls」は103万枚、10th『A』は163万枚をセールスし、シングルミリオンセラーも達成。ミリオン達成順では『A』の方が早く、自身初のミリオンセラー達成作品となり、自身最多CDシングル売上記録作にもなった。
ただ『A』は4曲A面シングルであったことが売上を促進させた面もあり、人気も4曲に分散してしまったようで、収録曲が代表曲扱いされる場面はあまりない。そのせいか4曲何れもダウンロード認定等は受けていない。ベスト盤における扱いも異なっており、『A BEST』には3曲目「Trauma」、4曲目「End roll」のみ収録された一方、『A COMPLETE ~ALL SINGLES~』には1曲目「monochrome」のみの収録となっている。4曲のうちどれが一番人気なのか全く掴めない事態が続いている。参考程度だが、YouTubeには2曲目の「too late」と「Trauma」の2曲においてライブ映像が公開されており、再生回数は後者の方が多い。
11月に発売された2ndアルバム『LOVEppears』は256万枚をセールスする大ヒットとなった。アルバム曲の中では、「Who...」がフル配信25万ダウンロードを売り上げるヒットを飛ばしている。この曲は「A Song for ××」同様ベストアルバムにも収録されている人気アルバム曲で、シングルCD化されていないためCD売上を見ても人気が把握できないが、デジタル指標で人気が可視化されている。
浜崎あゆみ / Who…[Live Lyric Video]【from『A BEST -15th Anniversary Edition-』】
この後、アルバム曲のうち「appears」「kanariya」「Fly High」の3曲が30万枚限定生産シングルとしてシングルカットされ、3曲とも28万枚~29万枚の売上となり、実質完売する凄まじい旋風を起こした。
Duty~A BEST
怒涛のリリースラッシュは止まらず、2000年4月からは「絶望3部作」と題して3ヶ月連続リリースを展開。第一弾「vogue」は76万枚、第二弾「Far away」は51万枚をセールス。
そして第三弾の「SEASONS」はCD136万枚を売り上げるミリオンヒットを記録し、サウンドスキャン年間シングルチャートでは2000年の9位を獲得した。デジタル指標でもフル配信10万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録している。若い世代のカリスマとしての地位を確立する中、平易な言葉で諦観を綴る歌詞や楽曲の雰囲気が共感を呼び大ヒットした。最高視聴率18%を記録したドラマ『天気予報の恋人』主題歌となったことも楽曲の普及を後押しした。
この3作を引っ提げて発売した3rdアルバム『Duty』は290万枚をセールスする大ヒットとなった。アルバム曲の中では、「teddy bear」がフル配信10万ダウンロードを記録している。この曲もCDシングル化されていない人気曲となる。
さらにアルバム曲からは「SURREAL」がシングルCDとしても同時発売され41万枚をセールスしたほか、「AUDIENCE」が30万枚限定生産でカットされ29万枚を売り上げ、実質完売した。
アルバムの大ヒットで勢いに乗る中、2000年12月に発売した新曲「M」はCD131万枚をセールス。携帯電話のCMソングとして大量OAされたことや、孤独な恋を綴った歌詞がやはり大きな共感を呼び大ヒットした。サウンドスキャン年間シングルチャートでは集計割れを起こし、2000年20位→2001年40位と推移した。
この曲はデジタル指標でもフル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV3,000万再生を記録している。CD売上では僅かに「SEASONS」の方が上回っているが、デジタル指標で「SEASONS」を逆転しているのは興味深い。
さらに2019年には自伝小説『M 愛すべき人がいて』を発売し、この曲の裏話が明かされて大きな話題を呼んだ。この小説は2020年にはドラマ化され更なる注目を集めた。こうして本曲にスポットが当たる機会が増えたこともあり、特にMV再生回数は自身最多記録となっている。これまで伯仲している「SEASONS」との代表曲争いであるが、今後は「M」がリードしていくことになりそうだ。
2001年3月にはこの曲までを収録範囲にした自身初のベストアルバム『A BEST』を発売し、429万枚をセールスする特大ヒットを記録した。チャートでは宇多田ヒカルの2ndアルバム『Distance』と同時発売されたことで対決が話題となり、両者競うようにして爆発的な売上を積んだ。
I am...
2001年1月には20thシングル「evolution」を発売。表題曲は本人が出演するコーセー『VISSE』CMソングとして起用され、ショートヘアへのイメージチェンジや尻尾の付いた衣装が話題となった。楽曲も21世紀の始まりを象徴するような勢いのあるロックナンバーとなっている。
各指標の累計はCD95万枚、フル配信10万ダウンロードを記録しており、参考程度ではあるが両者の売上を合算すればミリオンとなる。サウンドスキャン年間シングルチャートでは2001年の8位を記録した。
その後も2ヶ月おきに新曲が発売されていき、「NEVER EVER」が75万枚、「Endless sorrow」が76万枚、「UNITE!」が57万枚を記録。
そして2001年9月に発売された「Dearest」は75万枚をセールス。表題曲はアニメ『犬夜叉』主題歌に起用されたラブバラードとして支持された。売上はこの年に発売されたシングルの中では特段抜きでいていたわけではないが、この曲で2001年の日本レコード大賞を受賞した*3。デジタル指標でもフル配信10万ダウンロードを記録している。
2001年12月にはglobeのボーカルKEIKOとのコラボが実現し、浜崎あゆみ&KEIKO名義で発売したシングル「a song is born」が44万枚をセールスした。
2002年元旦にはここまでの5枚のシングルを収録した4thアルバム『I am...』を発売し、230万枚を売り上げた。
RAINBOW
2002年4月にはシングル「Free & Easy」が48万枚をセールス。
3曲A面シングル『H』収録曲中一番人気はどの曲なのか
7月にはシングル『H』を発売。ジャケットを変えたミリオン出荷記念盤を追加発売するなどの販促商法も功を奏し、101万枚を売り上げる大ヒットとなった。サウンドスキャン年間シングルチャートでは2002年の2位を記録した。
ただ、本作は『A』のように複数A面シングルであったことがセールスを押し上げた面もある。収録曲は「Independent」「July 1st」「HANABI」の3曲だが、やはり人気が分散してしまい、収録曲が代表曲扱いされる場面はあまりない。3曲ともMVは制作されておらず、どれが一番人気なのか全く掴めない事態が続いていた・・・のだが、なんとデジタル指標では、2015年1月になって3曲目の「HANABI」が3曲中唯一となるフル配信10万ダウンロードを突破した。3曲の人気は拮抗していると思われるが、ダウンロード売上を見ればこの曲が一番人気であることが分かる。本曲は携帯電話のイメージソングに起用されたラブバラードで、別れた恋人を想う女性の気持ちを綴った歌詞が共感を呼んだ。
9月にはシングル「Voyage」を発売し、67万枚をセールス。サウンドスキャン年間シングルチャートでは2002年の7位を獲得した。表題曲は人生を旅に例えた歌詞で綴られた壮大なバラードナンバーで、ドラマ主題歌や本人主演短編映画の原作にもなるなどのメディア展開が成されヒットを飛ばした。この曲で2002年の日本レコード大賞を受賞。2年連続の大賞受賞となった。ノミネート作品の中では最多CD売上であったこともあり、この結果は文句なしであった。デジタル指標でもフル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録している。
ここまでの3枚のシングルを収録した5thアルバム『RAINBOW』は185万枚を売り上げた。
Memorial Address~MY STORY
3曲A面シングル『&』収録曲中一番人気はどの曲なのか
7月には前年の『H』に続く3曲A面シングル『&』を発売し、59万枚をセールス。サウンドスキャン年間シングルチャートでは2003年の9位を獲得した。
さて、例によって3曲の中でどの曲が一番人気なのかを探る作業に移るが、3曲ともダウンロード認定等は受けていない。一方でMVはこの手のシングルでは初めて3曲とも制作されている。そこで3曲のMV再生回数を見ると、最も再生回数が多い曲は2曲目の「Greatful days」となっている。例によって団栗の背比べ感は否めないが、この曲が一番人気と見て良さそうだ。『A』『H』『&』全てにおいて、1曲目が一番人気という結果にならなかったことは興味深い。
8月にはシングル「forgiveness」を発売し、22万枚をセールス。
11月にはシングル「No way to say」が37万枚をセールス。この曲で2003年の日本レコード大賞を受賞した。この年は本曲が僅差ながらもノミネート作品中最多CD売上*4だったため、当時の判断としては*5妥当と言える。デジタル指標でもフル配信10万ダウンロードを記録している。
以上のシングル3作を収録したミニアルバム『Memorial address』は106万枚を売り上げた。アルバム曲のうち、表題曲「Memorial address」がフル配信10万ダウンロードを記録している。
2004年は3枚のシングルを発売。「Moments」がCD30万枚、フル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロード、「INSPIRE」がCD32万枚、着うた75万ダウンロード、「CAROLS」がCD30万枚、着うた100万ダウンロードを記録している。この3曲の人気はかなり拮抗している模様だが、デジタル市場拡大を表すように売上は各指標に分散し始めていた。これら3曲を収録したアルバム『MY STORY』は113万枚を売り上げた。
2005年-2008年 ~デジタル市場移行期~
2005年になると音楽環境のデジタル市場へのシフトが本格化。多くのアーティストが売上をCDからダウンロードへシフトさせたが、ダウンロード売上ランキングがなかなかクローズアップされなかったため、CD売上の減少のみが目立つ不健全な事態となっていった。浜崎あゆみも、2005年以降になってCDシングル表題曲が軒並みフル配信10万ダウンロード以上を記録していくようになる。
この時期の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。
(miss)understood
2005年はまず4月に両A面シングル『STEP you/is this LOVE?』を発売し、CD34万枚をセールス。1曲目の「STEP you」がフル配信10万ダウンロード、着うた75万ダウンロードを記録した。その後も「fairyland」がCD31万枚、フル配信10万ダウンロード、着うた75万ダウンロード、「HEAVEN」がCD32万枚、フル配信10万ダウンロード、着うた100万ダウンロードをセールス。安定した人気を示した。
11月に発売された『Bold & Delicious/Pride』は13万枚を売り上げた。
Secret~A BEST 2
2006年3月には39thシングル『Startin'/Born To Be...』がCD18万枚をセールス。1曲目の「Startin'」はデジタル指標でフル配信10万ダウンロードを記録した。
2006年6月には40thシングル「BLUE BIRD」を発売。キウイのCMソングにも起用された。この曲は得意とする爽やかな夏うたに仕上がっており、フル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、CD25万枚を記録した。この時期の楽曲としては頭抜けた人気を獲得しており、冒頭でも示したとおり当ブログ独自の計算式で集計したデジタル指標のポイントでは本曲が自身最大人気を示している。
2006年11月には8thオリジナルアルバム『Secret』をリリース。アルバム曲のうち、「JEWEL」がフル配信25万ダウンロード、着うた75万ダウンロード、「momentum」がフル配信10万ダウンロードを記録している。前者は2006年末の紅白歌合戦でも歌唱曲に選ばれた。
2007年2月には2枚のベストアルバム『A BEST 2 -BLACK-』『A BEST 2 -WHITE-』をリリース。2枚のうち『A BEST 2 -BLACK-』にのみ新曲「part of Me」が収録されており、本曲はフル配信10万ダウンロードを記録した。
GUILTY~A COMPLETE
2007年7月には41stシングル『glitter/fated』を発売し、CD16万枚をセールス。このうち「glitter」がフル配信25万ダウンロード、着うた50万ダウンロード、「fated」がフル配信10万ダウンロードを記録した。このシングルで初めて表題曲のCD売上とフル配信ダウンロード売上が明確に逆転した。CD売上だけ見ると2年前までの水準からは落ち込んでいるが、ダウンロード売上ではここ数作で昇り調子になっていることが分かる。
当時はCD売上の音楽チャートしかなかったため、CD売上の減少のみが目立つ結果となってしまったが、表題曲は安定感のある爽やかな夏うたとして支持されており、CD売上の割に人気になっていると当時感じていた人は多かったのではないだろうか。その人気はデジタル指標で可視化されていた。CDとダウンロードの合算売上では数年前から全く衰えていないことが分かる。
2007年9月には42ndシングル「talkin' 2 myself」を発売し、CD10万枚、フル配信10万ダウンロードを売り上げた。
2007年12月には自身初の配信限定シングル「Together When...」を発売。配信限定だったこともあり、これまでにないペースでダウンロード売上を重ね、配信開始から僅か3週間でフル配信25万ダウンロードを記録した。これは自身最速記録となる。他指標でも着うた75万ダウンロードを記録している。
繰り返しになるが、当時は数字が見える週間配信売上ランキングが国内に存在しなかったため、配信限定シングルは発売が認識されにくく、人気が過小評価されがちとなっていた。実際にはCD売上と遜色ない数字を叩き出しており、適正な人気把握のため参照必須のデータとなっていたのである。
2008年元旦には9thアルバム『GUILTY』をリリース。アルバム曲のうち、「MY ALL」がフル配信10万ダウンロードを記録した。この曲はファンの間で人気が高く、2015年にコンサート会場で実施したファン投票では1位にもなっている。
「Mirrorcle World」vs「羞恥心」
2008年4月には、『GUILTY』収録曲「Mirror」をアレンジのうえカットした43rdシングル「Mirrorcle World」を発売。CD19万枚、フル配信10万ダウンロードを記録した。
このシングルはオリコン週間シングルランキングにおいて、後にフル配信100万ダウンロードを達成する大ヒットになった羞恥心「羞恥心」に1位を攫われそうになっていたところ、緊急販促商法を実施して1位を奪取したことが有名であるが、この年から始まったBillboard JAPAN Hot 100では順当に「羞恥心」1位、本曲2位になっている*6。当時は知名度が低いビルボードであったが、今や楽曲人気指標としての権威と知名度が急拡大しており、当時のビルボードもCD売上チャートよりも楽曲人気指標として機能していた。ビルボードの結果が今後スタンダードになるならば、これ以上本曲の販促商法を批判する必要は一切なくなる。
当時はオリコンシングルランキングにおける連続1位記録の権威が必要以上に肥大化し過ぎてしまっていた。浜崎あゆみも「Free & Easy」から続く連続1位記録を更新しないと外野が人気低下に紐付けて騒ぐことが予想されたため、販促商法を実施したものと思われる。しかし、そもそも順位は相対的な数字であるうえ、一度でも2位になれば途切れてしまうような記録が長期的な人気持続の指標になるはずがない。
実際ビルボードに連続1位記録という概念は存在しない。シングルCD表題曲だけでなく、アルバム曲やc/w曲など全ての楽曲がランクイン対象だからである。人気の持続は「連続」よりも「通算」1位獲得週数でチェックすることが適切である。
更に言えば、音楽環境がCDから配信へ移行した今となっては、楽曲人気を確認したいときにシングルCD売上チャートの記録を時代横断的に参照することは一切意味のない行為である。
2008年- ~ダウンロード売上全盛期~
この時期以降のシングルは軒並みダウンロード売上がCD売上を上回るようになり、デジタル市場への売上シフトが確立した。2011年以降はシングルCDをあまり発売しなくなり、ダウンロード売上ランキング不在の影響で浜崎あゆみの存在感は小さくなっていたが、実際には配信シングルやアルバム曲が安定してフル配信10万ダウンロード以上を記録し続けていた。ダウンロード売上全盛期とも言えるのがこの時期である。
この時期の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。
2010年まで
2008年12月には44thシングル『Days/GREEN』を発売し、CD19万枚をセールス。このうち「Days」はフル配信25万ダウンロードを記録した。この年より新たに発足した音楽チャートBillboard JAPAN Hot 100では自身初の週間1位を獲得した。
「GREEN」もCD発売1ヶ月前から配信で先行発売されており、フル配信10万ダウンロードを記録した。
2009年2月には45thシングル『Rule/Sparkle』を発売し、CD13万枚をセールス。このうち「Rule」はフル配信25万ダウンロードを記録し、Billboard JAPAN Hot 100でも自身2曲目の週間1位を獲得した。現在までのところこの曲が最後のビルボード1位獲得曲となっている。
3月には10thオリジナルアルバム『NEXT LEVEL』をリリース。アルバム曲のうち、タイトル曲である「NEXT LEVEL」がフル配信10万ダウンロードを記録した。
8月には46thシングル『Sunrise/Sunset ~LOVE is ALL~』を発売し、CD11万枚をセールス。このうち「Sunrise ~LOVE is ALL~」は配信開始から2ヵ月で25万ダウンロードを達成した。これは配信限定シングルを除けば自身最速記録である。
「Sunset ~LOVE is ALL~」もフル配信10万ダウンロードを記録した。
12月には47thシングル『You were.../BALLAD』を発売し、CD11万枚をセールス。このうち「You were...」がフル配信25万ダウンロードを記録した。CDとダウンロードの合算では2004年から売上水準が殆ど変わらず維持されており、驚異的な人気の持続が見て取れる。なおCD売上では本作が最後の10万枚突破作となるが、ダウンロード売上はこの後も暫く10万以上を維持することになる。
7月には48thシングル『MOON/blossom』を発売。このうち「MOON」がフル配信10万ダウンロードを記録した。
9月には2週連続シングルリリースを展開。第一弾となる49thシングル「crossroad」はフル配信10万ダウンロードを記録した。
第二弾となる50thシングル『L』は久々の3曲A面シングルだが、デジタル指標を見ると、1曲目の「Virgin Road」のみフル配信10万ダウンロードを記録している。本作では順当に1曲目が1番人気となっているようだ。
12月には12thオリジナルアルバム『Love songs』を発売。アルバム曲のうち、リードトラック「Love song」がフル配信10万ダウンロードを記録した。
2011年以降
2011年8月には2ndミニアルバム『FIVE』を発売。収録曲のうち、リードトラック「progress」がフル配信25万ダウンロードを記録した。この曲は年末の紅白歌合戦でも歌唱曲に選ばれた。
2012年2月にはアルバム先行シングル「how beautiful you are」を配信限定で発売し、10万ダウンロードを記録した。
2012年8月には夏うたを集めたベストアルバム『A SUMMER BEST』を発売。新曲「You & Me」も収録されており、同曲はフル配信10万ダウンロードを記録した。
2012年11月には3rdミニアルバム『LOVE』を発売。リードトラック「song 4 u」がフル配信10万ダウンロードを記録した。
以降はなかなか10万を超える作品は出なくなるが、コンスタントな新作発売が継続している。2014年5月に発売された配信限定シングル「Hello new me」が現時点で最後の10万ダウンロード突破曲となっている。
まとめ
以上まで見てきたとおり、浜崎あゆみは大量の作品を輩出しながらもその殆どをヒットさせている。通常は楽曲リリース数が多いと1曲1曲の印象が薄まり売上のアベレージが低くなってしまうことが予想されるが、これだけ高水準の売上を維持し続けたことは、如何に本人のカリスマ性が支持されていたかということを示している。
また、これだけ大量の楽曲がCDシングル化されながらも、CDシングル化されていない楽曲がデジタル市場で人気となっていることは特筆すべき点であり、それだけ大量の人気曲を生み出していたことの証拠でもある。
これらの楽曲を手元に所有したい場合は、入口として2008年に発売されたシングルコレクション『A COMPLETE ~ALL SINGLES~』がおすすめ。ただし、複数A面曲は機械的に1曲目しか収録されていないので注意が必要だ。ここではその抜けを補完するアイテムとして、2001年発売の『A BEST』と2012年発売の『A SUMMER BEST』も推奨する。特に後者は2009年以降のヒット曲も適度に収録されており、時代網羅性が高い。
この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。
*1:累計シングル売上は、2012年オリコン・リサーチ社出版『SINGLE CHART-BOOK COMPLETE EDITION 1968~2010』p.604-605記載値を引用し、1万枚未満切り捨て表示。以下同様。なお8thシングルまでは、2001年に再発売された12cmCDの売上を合算している。
*2:累計アルバム売上は、2006年オリコン・リサーチ社出版『ALBUM CHART-BOOK COMPLETE EDITION 1970~2005』p.497記載値を引用し、1万枚未満切り捨て表示。以下同様。
*3:ただ、他のノミネート作品には桑田佳祐「白い恋人達」やEvery Little Thing「fragile」など本曲を上回るCD売上を記録した曲もあり、この結果に納得するにはやや相手が悪い。
*4:他のノミネート作品のうち、EXILE『Breezin'~Together~』は36万枚、氷川きよし「白雲の城」は32万枚、水森かおり「鳥取砂丘」は27万枚、中島美嘉「雪の華」は24万枚と、かなりの団子状態だった。
*5:後になって、中島美嘉「雪の華」がフル配信100万ダウンロードを突破しており、長期的な人気では大きく水を開けられている。
*6:当時の集計対象はCD売上とラジオエアプレイ数。ダウンロード売上が集計対象外だった代わりにラジオが楽曲人気の捕捉にしばしば貢献していた。