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2008年Billboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧

この記事では2008年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうち、オリコンと1位が異なった全12週をピックアップして回顧する。

 

Billboard JAPAN Hot 100とは、「社会への浸透度を計る」ことを明確に理念に掲げ、複数の要素も加味して作成されている総合チャートである。2008年の集計対象はCD売上ラジオエアプレイの2指標であった。

 

なお2008年のBillboard JAPAN年間チャートは下記記事内で総括している。

 

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1/16公開週1位 宇多田ヒカル「Stay Gold」

 

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この週は記念すべきBillboard JAPAN Hot 100発足第一週である。といっても、Hot 100が一般公開されるようになったのは2008年3月からであり、1月当時は公開されておらず、遡及公開という形となった。

 

1位は宇多田ヒカル「Stay Gold」が獲得した。この曲は2月発売の20thシングルHEART STATION/Stay Gold」の2曲目収録曲で、1月時点ではCD未発売だったが、ラジオエアプレイのみの加点で総合1位を獲得した。開始早々、CD売上だけのランキングとの特徴の違いが表れた形となる。なお「Stay Gold」は配信で10万ダウンロードを記録している。

 

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オリコンではAAA「MIRAGEがこの週の1位となったが、その枚数は2万枚と多くなく、当時の週間1位史上最低枚数記録であった。このためビルボードではラジオのみの加点で宇多田ヒカル「Stay Gold」が逆転することとなった。ちなみにこの週はすぎもとまさと「吾亦紅」もCD売上1位を争っていたが、週終盤に劣勢となったAAAが緊急CD販促イベントを実施する形での逆転となったため、所謂ドーピングだとして一部では炎上していた。

 

なおビルボードサウンドスキャン)ではイベント販売分のCD売上を集計対象外としていたためCD売上1位はすぎもとまさと「吾亦紅」が獲得した。ただ総合ではラジオエアプレイの加点が乏しかったためAAAらに逆転され9位となっている。そのAAAも宇多田ヒカルに阻まれ総合2位に終わる結果となり、何れにしてもビルボードでは1位争いが平和的に繰り広げられていた

 

1/23公開週1位 GReeeeN「BE FREE」

 

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この週はBillboard JAPAN Hot 100発足第二週宇多田ヒカル「Stay Gold」に続く週間1位となったのはGReeeeN「BE FREE」。この曲はこの週発売された5th両A面シングル「BE FREE/涙空」の1曲目収録曲で、青春を生きる若年層の背中を押してくれる歌詞や、爽快感と情緒性を両立したサウンド等が支持された。配信では25万ダウンロードを記録している。

 

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オリコンでは東方神起「Purple Line」が1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではファンクラブ限定盤の売上を集計対象外にしていたため、CD売上1位はAcid Black Cherry「冬の幻」が獲得した。ただ総合ではラジオエアプレイの加点が乏しかったため「BE FREE」らに逆転され5位となっている。「BE FREE」は25万ダウンロードを記録するほどの人気がラジオエアプレイで拾い上げられた形となった。


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1/30公開週1位 ケツメイシ出会いのかけら

 

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この週はBillboard JAPAN Hot 100発足第三週。発足から三週続けてオリコンと週間1位が異なる展開となった。この週の1位はケツメイシ出会いのかけらCD売上ではRADWIMPS「オーダーメイド」が1位だったが、その差は5,000枚程度と僅差だったため、総合ではラジオエアプレイの加点の差により逆転が生じた。

 

3/26公開週1位 宇多田ヒカル「Fight The Blues」

 

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この週の1位は宇多田ヒカル「Fight The Blues」。この曲は3月に発売された5thオリジナルアルバムHEART STATIONの一曲目を飾るナンバーである。CDシングル化はされていないものの、アルバムの注目度の高さによりラジオエアプレイが稼がれた。この週のCD売上1位は登場2週目安室奈美恵「60s 70s 80s」だったが、その売上は4万枚程度と多くなかったため、ラジオ加点のみでの総合1位が可能となった。

 

4/2公開週1位 安室奈美恵「NEW LOOK」

 

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この週の1位は安室奈美恵「NEW LOOK」。この曲は3月に発売された3曲A面シングル「60s 70s 80s」の一曲目収録曲で、この週はCD発売3週目であった。オリコンでは20th Century「オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ」が1位だったが、「60s 70s 80s」とは大接戦であり、集計最終日に理由不明の売上上昇を見せての逃げ切りとなっていた。ビルボードでは逆に1万近い差をつけてCD売上1位も「60s 70s 80s」が獲得しており、そのまま総合でも1位を獲得する運びとなった。

 

このように、「60s 70s 80s」はオリコンビルボードの双方で週間1位を獲得しているが、そのタイミングは異なっている。何れにしてもヒットしていたことは間違いなく、CD売上は29万枚、配信でも「NEW LOOK」は50万ダウンロードを記録した。オリコンでの1位は1998年のI HAVE NEVER SEEN以来10年ぶりとなり、再ブレイクを印象づけることとなった。

 

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このシングルは、60年代、70年代、80年代の洋楽から一曲ずつ選曲し、リメイクした3曲を収録している。現代風にアレンジされたサウンドとファッションが3曲それぞれ堪能できる本作はCMオンエアなども通じて人気を拡大させ、企画のヒットに繋がった。


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4/9公開週1位 244ENDLI-x「Kurikaesu 春」

 

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この週の1位は244 ENDLI-x「Kurikaesu 春」244 ENDLI-xKinKi Kids堂本剛がこの時期使用していたソロプロジェクト名である。CD売上ではL'Arc~en~Ciel「DRINK IT DOWN」が1位だったが、その差は2万枚程度と大きくなかったため、ラジオエアプレイの加点の差により総合では結果が逆転した。なおオリコン堂本剛のソロシングルが1位を逃すのはこれが初であったが、上記のとおりビルボードでは1位となっていた。

 

4/16公開週1位 羞恥心「羞恥心」

 

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この週の1位は羞恥心「羞恥心」。羞恥心はバラエティ番組「クイズ!ヘキサゴンII」から誕生した、上地雄輔つるの剛士野久保直樹による3人組期間限定ユニットである。当時の番組人気が絶大だったこともあり大きな話題性を獲得した本デビュー作は配信ミリオン、CD49万枚を記録するほどの大ヒットとなり、年間でも2008年の10位を獲得した。

 

オリコンでは浜崎あゆみ「Mirrocle World」が1位となったが、週終盤に劣勢となった浜崎あゆみがCD販促イベントを実施し、土日の売上を高騰させ逃げ切る形となったため、一部ではこの商法が界王拳と例えられ炎上していた。しかしビルボードではこうしたイベント限定販売分の売上を集計対象外としていたため、羞恥心がCD売上でも1位となり、そのまま総合でも1位となった。極めて平和的かつ楽曲人気上も妥当な結果と言える。

 

浜崎あゆみオリコン1位に拘った理由は、「Free & Easy」から続く17作連続1位記録を更新しないと外野が人気低下に紐付けて騒ぐことが予想されたためと思われる。当時はオリコン連続1位記録の権威が必要以上に肥大化し過ぎてしまっていた。しかし、そもそも順位は相対的な数字であるうえ、一度でも2位になれば途切れてしまうような記録が長期的な人気持続の指標になるはずがない

 

実際ビルボードに連続1位記録という概念は存在しない。シングルCD表題曲だけでなく、アルバム曲やc/w曲など全ての楽曲がランクイン対象だからである。人気の持続は「連続」よりも「通算」1位獲得週数でチェックすることが適切である。

 

4/30公開週1位 レオナ・ルイス「ブリーディング・ラブ」

 

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この週の1位はレオナ・ルイス「ブリーディング・ラブ」洋楽史上初のJAPAN Hot 100首位獲得曲となった。オリコンでは東方神起「Beautiful you/千年恋歌」が1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではファンクラブ限定盤の売上を集計対象外にしていたため、CD売上1位は坂本真綾「トライアングラー」が獲得した。ただ総合ではラジオエアプレイの加点が乏しかったため「ブリーディング・ラブ」らに逆転され5位となっている。

 

「ブリーディング・ラブ」はこの年Billboard Hot 100年間2位を獲得するなど世界的にヒットしていたが、日本でもMステ出演などを通じてそのスター性や歌唱表現力、愛を貫くことを描いた歌詞などが支持を広げた。配信では25万ダウンロードを記録するほどの人気となっており、ラジオエアプレイでその人気が拾い上げられた形となった。


Leona Lewis - Bleeding Love (US Version)

 

7/23公開週1位 新垣結衣「Make my day」

 

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この週の1位は新垣結衣「Make my day」オリコンでは東方神起どうして君を好きになってしまったんだろう?が1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではファンクラブ限定盤の売上を集計対象外にしていたため、「Make my day」がCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。

 

9/24公開週1位 アンジェラ・アキ「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」

 

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この週の1位はアンジェラ・アキ「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」。同年のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲として書き下ろされた本曲は、未来の自分との手紙のやり取りを通じて描かれたメッセージが老若男女の心を打ち、感動を引き立てるピアノ演奏とともに支持され、配信ミリオン、CD23万枚を突破する大ヒットとなった。

 

CD売上ではV6「LIGHT IN YOUR HEART/Swing!」が1位だったが、総合では「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」が逆転した。配信ミリオンとなるほどの人気がラジオエアプレイで拾い上げられた結果となった。ビルボードサウンドスキャン)ではV6のウルトラマン限定盤が集計対象外となっていたため、CD売上差が大きくなかったこともこの逆転を可能とした。


アンジェラ・アキ 『手紙~拝啓 十五の君へ~』

 

10/15公開週1位 ポルノグラフィティ「Love, too Death, too」

 

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この週の1位はポルノグラフィティ「Love, too Death, too」オリコンでは倖田來未「TABOO」が1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではファンクラブ限定盤の売上を集計対象外にしていたため、「Love, too Death, too」がCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。

 

10/22公開週1位 新垣結衣「赤い糸」

  

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この週の1位は新垣結衣「赤い糸」コブクロから楽曲提供を受けた本曲は配信25万ダウンロードを記録するヒットとなった。CD売上では東方神起「呪文 -MIROTIC-」が1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではファンクラブ限定盤の売上を集計対象外にしていたため「赤い糸」との差は数千枚程度しかなく、ラジオ加点の差により総合では「赤い糸」が1位となった。なおお気づきとは思うがこの構造(オリコン1位は東方神起ビルボード1位は新垣結衣)は当年2回目であった。

 

まとめ

 

以上が、2008年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうち、オリコンと1位が異なる週の振り返りとなる。 

 

オリコンはダウンロード売上の集計を一向に開始しなかったが、既にこの年はダウンロード売上の集計なしに楽曲人気を正確に把握することは不可能になっていた。オリコンはこの説明をせずにCD売上だけのチャートをヒットチャートとして世に提示し続け、多くの楽曲の人気を過大小にミスリードし続けた。

 

そんな中で2008年に発足したビルボードも、まだダウンロード売上を集計対象にできていなかったものの、ラジオ指標で人気を拾うことで、CD売上だけのチャートよりは楽曲人気チャートに近い存在になっていた。

 

当時は発足間もなかったこともあり知名度がなく、ほとんど注目されていなかったビルボードだが、2010年代後半になると知名度が高まり、楽曲人気指標としての権威を確立した。2008年の週間チャートも、最も楽曲人気指標に近い公式なチャートとして、今からでも押さえておきたいところである。

 

(次年2009年のBillboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧はこちら↓)

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