Billion Hits!

ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、Billboard JAPAN Hot 100などのデータを通じて国内の楽曲人気動向を把握するブログ

平井堅のデジタル人気曲【売上・再生回数ランキング】

平井堅は1995年に「Precious Junk」でデビューした男性ソロアーティスト。2000年代に入ってからブレイクを果たし、以降約20年に渡りヒット曲を大量輩出した。

 

平井堅は活躍期間が長く、その間音楽業界もダイナミックな変化を複数回遂げているため、楽曲人気を計るうえで見るべき指標は一つではない。最も有名な記録はCD売上だが、2000年代以降の主要楽曲人気指標であるダウンロード売上やストリーミング再生回数も見なければ人気規模を十分に把握できない楽曲もあるため注意しなければならない。

 

よってここではCD売上に比べ認知度が低いデジタル指標のデータを強調しながら、平井堅のヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、平井堅のデジタル人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

 

 

 

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)

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デビューから2006年まで ~CD売上全盛期~

 

この期間の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

 

 

平井堅がブレイクした2000年はまだCDが音楽市場の中心だったため、楽曲人気はCD売上に反映された。よって2000年代中盤までの楽曲人気を計るためにはCD売上をメインに見ていくことになるが、一方でデジタル指標でも長期に渡り人気が持続している楽曲はヒットを記録している。

 

なおCD売上も含む各時代の楽曲人気指標を総合的に考慮した人気楽曲ランキングTOP5は以下のとおりとなる。

 

 

THE CHANGING SAME

 

平井堅は1995年にデビューして以降なかなかヒット曲に恵まれず、5年が経過した2000年には次で売れなければ契約終了という崖っぷちにまで追い込まれていた。そんな中で歌手生命を懸けた1曲として2000年1月に放たれたのが8thシングル「楽園」である。この曲がCD54万枚*1、フル配信10万ダウンロードを記録する起死回生のヒットとなったことで平井堅知名度は全国区となったのだが、この曲のヒットの裏には限られた予算を駆使したギリギリのプロモーション戦略が打たれていた。

 

  • 平井堅のシンガーとしての魅力に焦点を絞るため、初めて本人作詞作曲ではなく外部提供曲で勝負することに決定
  • 大量の候補曲の中から、宇多田ヒカルのブレイクでトレンドが訪れていたR&Bナンバーを選択し、それまでのポップス路線を転換
  • 移動費を自己負担とするなどして100万円の予算でMVを制作(当時の平均MV制作費は500万円)
  • 札幌と福岡に限定して残った宣伝費予算200万円を集中投入し、両地方のラジオパワープレイを通じて楽曲人気の全国的な自然伝播を企図
  • 両地域限定かつ広告費が安い深夜の時間帯に同じ事務所所属の江角マキコをノーギャラで起用したTVスポットをオンエア

 

以上の壮絶なストーリーはプロモーション戦略の教科書の題材になっても良いような内容になっている。それまでソングライティングも手掛けていた平井堅本人にとっては外部提供曲で勝負することへの悔しさもありながら、R&Bナンバーへの路線変更にも適応する高いシンガーとしての能力を見せた。日中にラジオのパワープレイ、深夜にTVスポットという流れで地方に爪痕を残すことに成功すると、目論見通り楽曲人気は全国に自然伝播していき、見事に上昇型ロングヒットを記録した。*2 


平井 堅 『楽園』MUSIC VIDEO

 

「楽園」が人気のピークを迎えていた5月にはすかさず次のシングル「why」を発売し、こちらも21万枚をセールス。間を空けず6月にはこの2曲を収録した3rdオリジナルアルバム『THE CHANGING SAME』を発売し、いきなり126万枚*3を売り上げるミリオンセラーとなった。こうして間一髪のところで契約終了の回避どころか大ブレイクに成功した。

 

gaining through losing

 

以降しばらくの間はR&B路線が続けられ、2000年10月には10thシングルLOVE OR LUST26万枚をセールス。

 

12月には同11th「even if」が期間限定発売ながらも33万枚を売り上げた。この曲は2004年にダウンロード販売解禁され、そちらでも売上をコツコツと積み上げて2018年5月にフル配信10万ダウンロードを突破している。発売日順では「楽園」に続く2曲目の10万ダウンロード突破作となっている。


平井 堅 『even if』MUSIC VIDEO

 

2001年はまず2月に12thシングル「Miracles」24万枚をセールス。5月には13thシングル「KISS OF LIFE」が最高視聴率20%を記録したドラマ『ラブ・レボリューション』の主題歌として話題になり55万枚を売り上げた。

 

7月には4thオリジナルアルバム『gaining through losing』を発売。前作以降に発売されたヒット曲4曲を収録した豪華な内容だったことで、108万枚を売り上げて前作に続くミリオンセラーとなった。

 

LIFE is...

 

2002年8月発売の16thシングルでは、これまで続けていたR&Bイメージから転換し、有名な童謡大きな古時計をカバー。これが77万枚を売り上げるヒットとなり、更なる知名度の上昇に寄与した。長くヒットを出し続けるためには新たな一面を見せ続ける必要があるという判断が奏功した。

 

11月発売の17thシングル「Ring」32万枚をセールス。

 

翌2003年1月には5thオリジナルアルバム『LIFE is...』をリリース。アルバム曲の中では、表題曲「LIFE is...」が好評となり、4月クールのドラマブラックジャックによろしく主題歌に起用されることとなった。この際楽曲にアレンジが加えられ、「LIFE is... 〜another story〜」として5月にシングルカットで発売された。ドラマが最高視聴率16%を記録する人気だったこともあり、売上はフル配信10万ダウンロードを突破した。リリース順では「楽園」「even if」に続く3曲目のフル配信10万ダウンロード突破作となっている。


平井 堅 『LIFE is... ~another story~』MUSIC VIDEO

 

SENTIMENTALovers

 

2004年4月に発売された20thシングル瞳をとじては自身最大規模の大ヒットを記録した。この曲は興行収入85億円を記録したヒット映画世界の中心で、愛をさけぶ主題歌に起用されたことで注目が集まり、映画にもリンクする切ない歌詞や持ち前の個性的な歌声による表現が涙腺を刺激する形で支持を拡大していった。

 

CD売上は89万枚を記録して自己最高セールスを樹立。サウンドスキャンシングルチャートでも2004年年間1位に輝いた。この曲は完全本人作詞作曲ナンバーでもあり、このヒットでシンガーだけでなくソングライターとしての実績も確かなものとなった。

 

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デジタル市場においてもフル配信50万ダウンロード、着うた100万ダウンロード、ストリーミング1.0億再生を記録しており、本曲が平井堅最大人気曲となっていることに疑いの余地はない。


平井 堅 『瞳をとじて』MUSIC VIDEO

 

瞳をとじて」がロングヒットしている間にも新曲が続けて発売されており、5月発売の21stシングル「キミはともだち」16万枚、10月発売の同22nd「思いがかさなるその前に・・・」CD27万枚、フル配信10万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを売り上げた。

 

11月にはこれらのヒット曲を収録した6thオリジナルアルバム『SENTIMENTALovers』を発売し、166万枚を売り上げた。

 

Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 歌バカ

 

10周年を迎えた2005年には10月に23rdシングル「POP STAR」を発売。最高視聴率21%を記録したドラマ危険なアネキの主題歌に起用され、CD24万枚、フル配信50万ダウンロード、着うた100万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV3,000再生を記録する大ヒットとなった。本曲はリスナーを楽しい気分にさせてくれる明るいポップナンバーで、高低差のある難しい音域を軽やかに歌いこなすボーカルも聴きどころとなっている。


平井 堅 『POP STAR』MUSIC VIDEO

 

2007年以降 ~ダウンロード売上全盛期~

 

2007年以降になると本格的に音楽市場がCDからダウンロードにシフトした。2007年以降でCDシングル10万枚以上を記録した作品は2作しかないが、フル配信10万ダウンロード以上を記録した曲は以下のとおり14曲も存在する。2010年代後半に至るまでほとんどヒット曲の輩出を途切れさせなかった平井堅の手腕は特筆すべきものになっているが、この時期は実態に沿わない形でCDヒット重視・ダウンロードヒット軽視が続いていたこともあって、なかなかその実績は音楽チャートで可視化されなかった。ここで改めてスポットを当てていくこととする。

 

この期間の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

 

 

FAKIN' POP

 

2007年はまず1月に25thシングル「哀歌 (エレジー)」を発売し、フル配信25万ダウンロード、CD11万枚を記録。続けて3月には26thシングル「君の好きなとこ」を発売し、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、CD10万枚を記録した。短い間隔で発売された両曲は前者が陰、後者が陽という形で全く対照的な曲調となったが、それぞれヒットを記録したことからは平井堅のシンガーとしての高い表現力が改めて窺える。

 

なおCDシングル売上10万枚以上を記録した作品は「君の好きなとこ」が最後となり、以降の楽曲の人気は専らデジタル指標に表れることとなる。

 

9月には27thシングル「fake star」が発売され、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2008年はまず2月に28thシングル『キャンバス/君はス・テ・キ♡』を発売し、このうち1曲目の「キャンパス」フル配信10万ダウンロードを記録。

 

3月には前作以降のヒット曲を収録した7thオリジナルアルバム『FAKIN' POP』をリリース。アルバム曲のうち「いつか離れる日がきても」が4月に29thシングルとしてカットされ、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

JAPANESE SINGER

 

2009年9月から10月にかけては2ヶ月連続シングルリリースを実行。このうち第二弾である31stシングル僕は君に恋をするが頭一つ抜けるヒットとなり、フル配信50万ダウンロードを記録した。これは自身最多タイ記録であり、2007年以降の楽曲では最大のセールスとなる。さらに配信開始から50万突破までに要した日数は「瞳をとじて」や「POP STAR」よりも早く、自身最速記録である。

 

本曲は興行収入21億円を記録した映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』の主題歌に起用されたラブバラードで、サビの印象的なリフレインもフックとなり支持を集めた。


平井 堅 『僕は君に恋をする』MUSIC VIDEO

 

なおCD売上は僅か7万枚に留まったため、ダウンロード売上を集計したヒットチャートが存在しなかった当時は本曲の人気が可視化される機会がほとんどなかった。しかし当時発足2年目の総合音楽チャートBillboard JAPAN Hot 100ではCD売上以外にラジオエアプレイ数も集計対象に入っていたことで本曲の人気を拾いあげることに成功しており、同チャート自身初にして唯一の週間1位を獲得している。

 

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2010年は2枚のシングルを発売。このうち33rdシングル「アイシテル」フル配信10万ダウンロードを売り上げた。

 

2011年は34thシングルいとしき日々よを発売。最高視聴率26%を記録した大人気ドラマJIN-仁-の主題歌になったこともあり、フル配信25万ダウンロードを売り上げるヒットとなった。

 

THE STILL LIFE

 

2012年は5月に35thシングル「告白」を発売し、フル配信10万ダウンロードを記録した。

 

2014年は4月に発売された36thシングル「グロテスク feat. 安室奈美恵フル配信25万ダウンロードを記録。安室奈美恵とのコラボが話題を呼んだ。

 

2016年6月には40thシングル「魔法って言っていいかな?」をリリースし、フル配信25万ダウンロードを記録した。

 

Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2

 

2017年も2月に発売した41thシングル「僕の心をつくってよ」フル配信10万ダウンロードを記録。

 

そして同年5月にリリースした42thシングル「ノンフィクション」も支持を集め、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、MV4,000万再生を記録した。この曲は最高視聴率16%を記録したドラマ小さな巨人の主題歌にも起用されたミディアムバラードナンバー。人生の葛藤に迫るメッセージ性の強い歌詞がシンプルなサウンド平井堅の情緒溢れる歌声に乗せて表現された本曲は多くの人の心を打った。


平井 堅 『ノンフィクション』 MUSIC VIDEO

 

なお本曲のMVは長らくショートバージョンしか公開されていなかったが、2025年11月にようやくフルMVが公開されている。「いとしき日々よ」までの過去曲は2020年5月にフルMV公開されていたが、それ以降フルMV未公開となっていた楽曲はこのタイミングでの公開となった。

 

あなたになりたかった

 

2018年になってもヒットが継続し、10月にリリースした45thシングル「half of me」フル配信10万ダウンロードを記録した。この曲は2000年のヒット曲「even if」の続編として作られたことも話題となった。

 

今のところ、この曲が最後の10万ダウンロード突破曲となっているが、2019年以降はストリーミング指標で楽曲人気が可視化されるようになっている。2020年3月にリリースした「怪物さん feat.あいみょんあいみょんとのコラボが話題となり、ストリーミング5,000万再生、MV3,000万再生を記録した。


平井 堅 『怪物さん feat.あいみょん』MUSIC VIDEO

 

まとめ

 

以上のとおり、平井堅は2000年にブレイクして以降ほとんど毎年欠かさずヒット曲を輩出することに成功している。その人気は2006年まではCD売上に、2007年以降はダウンロード売上をはじめとしたデジタル指標に表れており、両者を並べて見ないことには掴めない。ある程度キャリアを重ねたアーティストは、既存ファンの支持だけでも活動していけるようになることもあり、ヒット曲が出なくなることも多いが、そのような中で平井堅が成し遂げている約20年間に及ぶヒットの継続は偉業である。

 

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ここで紹介した数々のヒット曲を手元に所有したい場合は、2017年に発売されたベストアルバム『Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2』の初回盤Aがおすすめ。「ノンフィクション」までのヒット曲が全て収録されている。 

 

Ken Hirai  Singles Best Collection 歌バカ 2(初回生産限定盤A)

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  • アーティスト:平井 堅
  • 発売日: 2017/07/12
  • メディア: CD
 

 

この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイト日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。

 

 

*1:累計シングル売上は、2012年オリコン・リサーチ社出版『SINGLE CHART-BOOK COMPLETE EDITION 1968~2010』p.639記載値を引用し、1万枚未満切り捨て表示。以下同様。

*2:http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/ss/08jasrac/kouki/12/kougi12.htm

*3:累計アルバム売上は、2006年オリコン・リサーチ社出版『ALBUM CHART-BOOK COMPLETE EDITION 1970~2005』p.526記載値を引用し、1万枚未満切り捨て表示。以下同様。