Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

平井堅の配信ダウンロード売上ランキング

平井堅は1995年に「Precious Junk」でデビューした男性ソロアーティスト。2000年代に入ってからブレイクを果たし、以降約20年に渡りヒット曲を大量輩出している。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は20曲で、認定総ダウンロード売上は385万(歴代27位タイ)となっている。これらのデータをランキング化した表は以下のとおりである。この表をもとにしながら、平井堅のヒット史を振り返る。

 

f:id:musicnever_die:20200824212858p:plain

 

 

(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

billion-hits.hatenablog.com

 

(歴代アーティスト別ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

billion-hits.hatenablog.com

 

 

デビューから2006年まで ~CD売上全盛期~

 

平井堅がブレイクした2000年はまだCDが音楽市場の中心だったため、楽曲人気はCD売上に反映された。2000年代中盤までの楽曲人気を計るためにはCD売上をメインに見ていくことになるが、一方で配信でも長期に渡り人気が持続している楽曲はコツコツと売上を積み上げて認定を受けている。

 

デビューから2006年までに発売された楽曲を配信開始日順に並べた配信売上データは以下のとおり。

 

f:id:musicnever_die:20200825162006p:plain

 

THE CHANGING SAME

 

平井堅は1995年にデビューして以降なかなかヒット曲に恵まれず、5年が経過した2000年には次で売れなければ契約終了という崖っぷちにまで追い込まれていた。そんな中で歌手生命を懸けた1曲として2000年1月に放たれたのが8thシングル「楽園」である。この曲がCD53万枚、配信10万ダウンロードを記録する起死回生のヒットとなったことで平井堅知名度は全国区となったのだが、この曲のヒットの裏には限られた予算を駆使したギリギリのプロモーション戦略が打たれていた。

 

  • 平井堅のシンガーとしての魅力に焦点を絞るため、初めて本人作詞作曲ではなく外部提供曲で勝負することに決定
  • 大量の候補曲の中から、宇多田ヒカルのブレイクでトレンドが訪れていたR&Bナンバーを選択し、それまでのポップス路線を転換
  • 移動費を自己負担とするなどして100万円の予算でMVを制作(当時の平均MV制作費は500万円)
  • 札幌と福岡に限定して残った宣伝費予算200万円を集中投入し、両地方のラジオパワープレイを通じて楽曲人気の全国的な自然伝播を企図
  • 両地域限定かつ広告費が安い深夜の時間帯に同じ事務所所属の江角マキコをノーギャラで起用したTVスポットをオンエア

 

以上の壮絶なストーリーはプロモーション戦略の教科書の題材になっても良いような内容になっている。それまでソングライティングも手掛けていた平井堅本人にとっては外部提供曲で勝負することへの悔しさもありながら、R&Bナンバーへの路線変更にも適応する高いシンガーとしての能力を見せた。日中にラジオのパワープレイ、深夜にTVスポットという流れで地方に爪痕を残すことに成功すると、目論見通り楽曲人気は全国に自然伝播していき、発売4ヶ月後のCD売上チャートで最高7位を記録する上昇型ロングヒットとなった。*1 


平井 堅 『楽園』MUSIC VIDEO

 

「楽園」が人気のピークを迎えていた5月にはすかさず次のシングル「why」を発売し、こちらも21万枚をセールス。間を空けず6月にはこの2曲を収録した3rdオリジナルアルバム「THE CHANGING SAME」を発売し、いきなり126万枚を売り上げるミリオンセラーとなった。年間でも2000年18位→2001年73位と推移するロングヒット。こうして間一髪のところで契約終了の回避どころか大ブレイクに成功した。

 

gaining through losing

 

以降しばらくの間はR&B路線が続けられ、2000年10月には10thシングルLOVE OR LUST26万枚をセールス。

 

12月には同11th「even if」が期間限定発売ながらも33万枚を売り上げた。この曲は2004年に配信解禁され、そちらでも売上をコツコツと積み上げて2018年5月に10万ダウンロードを突破している。発売日順では「楽園」に続く2曲目の配信10万ダウンロード突破作となっている。


平井 堅 『even if』MUSIC VIDEO

 

2001年はまず2月に12thシングル「Miracles」24万枚をセールス。5月には13thシングル「KISS OF LIFE」が最高視聴率20.3%を記録したドラマ「ラブ・レボリューション」の主題歌として話題になり、「楽園」を超え当時の自己最高となる55万枚を売り上げた。

 

7月には4thオリジナルアルバム「gaining through losing」を発売。前作以降に発売されたヒット曲4曲を収録した豪華な内容だったことで、108万枚を売り上げて前作に続くミリオンセラーとなった。

 

11月には自身初にして唯一のリミックスアルバム「Kh re-mixed up 1」が発売され、18万枚を売り上げている。

 

LIFE is...

 

2002年はまず1月に14thシングル「Missin' you ~It will break my heart~」11万枚をセールス。

 

続く5月発売の15thシングル「Strawberry Sex」はブレイク後初めてCD売上10万枚を割ってしまったが、次の8月発売の16thシングルでこれまで続けていたR&Bイメージから転換し、有名な童謡大きな古時計をカバー。これが77万枚を売り上げるヒットとなり、更なる知名度の上昇に寄与した。長くヒットを出し続けるためには新たな一面を見せ続ける必要があるという判断が奏功した。

 

11月発売の17thシングル「Ring」32万枚をセールス。翌2003年1月には5thオリジナルアルバム「LIFE is...」を発売し、81万枚を売り上げた。年間でも2003年の10位にランクインした。

 

アルバム収録曲のうち、表題曲「LIFE is...」が好評となり、4月クールのドラマ「ブラックジャックによろしく」主題歌に起用されることとなった。この際楽曲にアレンジが加えられ、「LIFE is... 〜another story〜」として5月にシングルカットで発売された。ドラマが最高視聴率16.0%を記録する人気だったこともあり、売上は19万枚を記録。配信でもコツコツと売上を積み上げ、2017年1月に10万ダウンロードを突破した。発売日順では「楽園」「even if」に続く3曲目の配信10万ダウンロード突破作となっている。


平井 堅 『LIFE is... ~another story~』MUSIC VIDEO

 

2003年12月には過去にライブで披露されていたカバー曲をレコーディングしたコンセプトカバーアルバム「Ken's Bar」を発売し、49万枚を売り上げている。

 

SENTIMENTALovers

 

2003年7月に発売された19thシングル「style」は「Strawberry Sex」以来となるCD売上10万割れとなってしまったが、この次の20thシングル瞳をとじてが2004年4月に発売されると大ヒットを記録した。この曲は興行収入85億円を記録したヒット映画「世界の中心で、愛をさけぶ」主題歌に起用されたことで注目が集まり、映画にもリンクする切ない歌詞や持ち前の個性的な歌声による表現が涙腺を刺激する形で支持を拡大していった。

 

CD売上は89万枚を記録して自己最高セールスを樹立。年間でも2004年の1位に輝いた。この曲は完全本人作詞作曲ナンバーでもあり、このヒットでシンガーだけでなくソングライターとしての実績も確かなものとなった。

 

配信では2006年6月に着うたフルが解禁され、そこからの積み上げで2017年4月にPC配信と合計して50万ダウンロードを突破した。これは自己最高配信売上タイ記録でもある。参考記録だがCD売上と合算すれば139万となってミリオンを突破する。


平井 堅 『瞳をとじて』MUSIC VIDEO

 

瞳をとじて」がロングヒットしている間にも新曲が続けて発売されており、5月発売の21stシングル「キミはともだち」16万枚、10月発売の同22nd「思いがかさなるその前に・・・」CD27万枚、配信10万ダウンロードを売り上げた。

 

11月にはこれらのヒット曲を収録した6thオリジナルアルバム「SENTIMENTALovers」を発売し、オリジナルアルバムでは自己最高となる166万枚をセールス。年間でも2005年の3位を獲得した。

 

Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 歌バカ

 

10周年を迎えた2005年には10月に23rdシングル「POP STAR」を発売。最高視聴率21.1%を記録したドラマ「危険なアネキ」の主題歌に起用され、CD24万枚、配信25万ダウンロードをセールスするヒットとなった。

 

11月には10周年を記念した自身初のベストアルバム「Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 歌バカを発売。「POP STAR」も含むヒット曲満載の内容だったことで累計210万枚をセールスする特大ヒットとなり、年間でも2006年の1位に輝いた。

 

2007年以降 ~配信売上全盛期~

 

2007年以降になると本格的に音楽の聴き方がCDから配信にシフトしていく。2007年以降でシングルCD10万枚以上を記録した作品は2作しかないが、配信10万ダウンロード以上を記録した曲は以下のとおり14曲も存在する。2010年代後半に至るまでほとんどヒット曲の輩出を途切れさせなかった平井堅の手腕は特筆すべきものになっているが、この時期は実態に沿わない形でCDヒット重視・配信ヒット軽視が続いていたこともあって、なかなかその実績は音楽チャートで可視化されなかった。ここで改めてスポットを当てていくこととする。

 

この時期の楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。

 

f:id:musicnever_die:20200825162119p:plain

 

FAKIN' POP

 

2007年はまず1月に25thシングル「哀歌 (エレジー)」を発売し、配信25万ダウンロード、CD11万枚を記録。続けて3月には26thシングル「君の好きなとこ」を発売し、配信25万ダウンロード、CD10万枚を記録した。短い間隔で発売された両曲は前者が陰、後者が陽という形で全く対照的な曲調となったが、それぞれでほぼ同等のヒットを記録したことからは平井堅のシンガーとしての高い表現力が改めて窺える。

 

なおシングルCD売上10万枚以上を記録した作品は「君の好きなとこ」が最後となり、以降の楽曲の人気は専ら配信売上に表れることとなる。

 

9月には27thシングル「fake star」が発売され、10万ダウンロードを記録した。

 

2008年はまず2月に28thシングル「キャンバス/君はス・テ・キ♡」を発売し、このうち1曲目の「キャンパス」10万ダウンロードを記録。

 

3月には前作以降のヒット曲を収録した7thオリジナルアルバム「FAKIN' POP」を発売し、33万枚をセールス。CDアルバムも市場縮小が進んでいたがその中でも一定のヒットを記録した。アルバム曲のうち「いつか離れる日がきても」が4月に29thシングルとしてカットされ、配信で10万ダウンロードを記録した。

 

2009年5月にはカバーアルバム第二弾「Ken's BarⅡ」が発売され、12万枚を売り上げている。

 

JAPANESE SINGER

 

2009年9月から10月にかけては2ヶ月連続シングルリリースを実行。このうち第二弾である31stシングル僕は君に恋をするが頭一つ抜けるヒットとなり、発売1ヶ月で25万ダウンロード、最終累計50万ダウンロードを記録した。この数字は「瞳をとじて」に並ぶ自己最高配信売上タイ記録であり、2007年以降の楽曲では最大のセールスとなる。達成所要日数を比べると「瞳をとじて」よりも早いため、冒頭に示したダウンロード売上ランキングでは本曲を1位としている。

 

本曲は興行収入21億円を記録した映画「僕の初恋をキミに捧ぐ」の主題歌に起用されたラブバラードで、サビの印象的なリフレインもフックとなり支持を集めた。

 

CD売上は僅か7万枚に留まったため、数字が見える配信チャートがなかった当時はこの曲の人気が可視化される機会はほとんどなかった。しかし当時発足2年目の総合音楽チャートBillboard JAPAN Hot 100ではCD売上以外にラジオも集計対象に入っていたことで本曲の人気を拾いあげることに成功しており、同チャート自身初にして唯一の週間1位を獲得している。同週のCD売上1位はAKB48「RIVER」であったが、ラジオの加点により総合では逆転した。今ではかなりの知名度を得ているビルボードチャートだが、当時は発足間もなかったこともありほとんど知名度がなかったことは残念だった。


平井 堅 『僕は君に恋をする』MUSIC VIDEO

 

2010年は2枚のシングルを発売。このうち33rdシングル「アイシテル」10万ダウンロードを売り上げた。

 

2011年は34thシングルいとしき日々よを発売。最高視聴率26.1%を記録した大人気ドラマ「JIN-仁-」の主題歌になったこともあり、25万ダウンロードを売り上げるヒットとなった。

 

6月には前作以降のヒット曲を収録した8thオリジナルアルバム「JAPANESE SINGER」を発売し、14万枚を売り上げた。なおアルバムでは本作が最後の10万枚突破作となっており、以降はますます楽曲単位でのヒットが音楽シーンの主流となっていく。

 

THE STILL LIFE

 

2012年は5月に35thシングル「告白」を発売し、10万ダウンロードを記録した。

 

2013年はソニー傘下内でのレーベル移籍もあり、新曲発売は配信限定の「桔梗が丘」1曲のみに留まった。ただしこの曲は配信認定を受けていない。

 

2014年は4月に発売された36thシングル「グロテスク feat. 安室奈美恵25万ダウンロードを記録。安室奈美恵とのコラボが話題を呼び、「いとしき日々よ」以来のプラチナ認定となった。

 

その後はインド人に扮したMVの制作など新曲発売が続いたもののしばらくダウンロード認定からは遠ざかった。しかし2016年6月に発売された40thシングル「魔法って言っていいかな?」が支持を集め、久々に25万ダウンロードを記録するヒットとなる。

 

Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2

 

2017年も2月に発売した41thシングル「僕の心をつくってよ」10万ダウンロードを記録し、ヒットを継続。

 

そして5月に発売された42thシングル「ノンフィクション」も支持を集め、25万ダウンロードを記録した。この曲は最高視聴率16.4%を記録したドラマ「小さな巨人」の主題歌にも起用されたミディアムバラードナンバー。人生の葛藤に迫るメッセージ性の強い歌詞がシンプルなサウンド平井堅の情緒溢れる歌声に乗せて表現された本曲は多くの人の心を打った。

 

2010年代後半にはダウンロード市場も縮小し、代わってMVなどのストリーミング市場が拡大を始めていた。本曲のMVは残念ながらショートバージョンしか公開されていないが、そんな中でも自身1位となるMV3,000万再生を記録する人気となっている。

 

なお平井堅はこれまであまり積極的にMVを公開してこなかったが、2020年5月に「いとしき日々よ」までの過去曲を初めてYouTubeにフルサイズでアップロードした。当初は期間限定との触れ込みだったが、好評につき無期限公開としたようだ。今後はMV再生数でも平井堅の人気曲がより可視化できるようになっていくかもしれない。


平井 堅 『ノンフィクション』MUSIC VIDEO (Short Ver.)

 

10thオリジナルアルバムの発売が待たれる

 

2018年になってもヒットが継続し、10月に配信がスタートした45thシングル表題曲「half of me」10万ダウンロードを記録した。この曲は2000年のヒット曲「even if」の続編として作られたことも話題となった。

 

今のところ、この曲が最後のダウンロード認定曲となっているが、2019年以降も新曲リリースと話題性の獲得に成功しており、将来的に認定を受ける可能性は大いにある。例えば2020年3月に配信リリースされた「怪物さん feat.あいみょん」はあいみょんとのコラボが話題となり、ストリーミングも含めた各指標で好調な動きが見られている。このようにして、10thオリジナルアルバム発売に期待が持てる活躍が続けられている。

 

まとめ

 

以上のとおり、平井堅は2000年にブレイクして以降ほとんど毎年欠かさずヒット曲を輩出することに成功している。その人気は2006年まではCD売上に、2007年以降はダウンロード売上に表れており、両者を並べて見ないことには掴めない。ある程度キャリアを重ねたアーティストは、既存ファンの支持だけでも活動していけるようになることもあり、ヒット曲が出なくなることも多いが、そのような中で平井堅が成し遂げている約20年間に及ぶヒットの継続は偉業である。改めてその偉業にはスポットが当たってほしいものだ。

 

ここで紹介した数々のヒット曲を手っ取り早く入手するには、2017年に発売されたベストアルバム「Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2」の初回盤Aがおすすめ。「ノンフィクション」までのヒット曲が全て収録されている。 

 

Ken Hirai  Singles Best Collection 歌バカ 2(初回生産限定盤A)

Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ 2(初回生産限定盤A)

  • アーティスト:平井 堅
  • 発売日: 2017/07/12
  • メディア: CD
 

 

この記事で紹介したダウンロード売上データは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード売上を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp