ポルノグラフィティは、ボーカル岡野昭仁、ギター新藤晴一を中心に結成され、1999年に「アポロ」でメジャーデビューしたバンド。すぐにブレイクを果たし、以降15年以上に渡りヒット曲を大量輩出した。
ポルノグラフィティは活躍期間が長く、その間音楽業界もダイナミックな変化を複数回遂げているため、楽曲人気を計るうえで見るべき指標は一つではない。最も有名な記録はCD売上だが、2000年代以降の主要楽曲人気指標であるダウンロード売上やストリーミング再生回数も見なければ人気規模を十分に把握できない楽曲もあるため注意しなければならない。
よってここではCD売上に比べ認知度が低いデジタル指標のデータを強調しながら、ポルノグラフィティのヒット史を振り返る。当ブログ独自の計算式により作成した、ポルノグラフィティのデジタル人気楽曲ランキングは以下のとおりである。

(ランキング作成方法および歴代デジタルヒット曲ランキングは以下記事参照↓)
1999-2007年
この期間の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。

デジタル市場は2000年代中盤から後半にかけて拡大・定着していったが、2000年代前半までの過去曲をどのタイミングでダウンロード販売解禁するかはアーティストそれぞれの判断により異なった。ポルノグラフィティの場合は2007年にそれまでの過去楽曲を一斉にフル配信ダウンロード販売解禁し、2018年には同様にストリーミング配信解禁を果たしている。このため、2007年までの楽曲人気は主にCD売上に表れているが、人気が長期に渡り持続している楽曲はフル配信ダウンロード売上やストリーミング再生回数でも多くの数字を積み上げている。
なおCD売上も含む各時代の楽曲人気指標を総合的に考慮した人気楽曲ランキングTOP5は以下のとおりとなる。

ロマンチスト・エゴイスト
ポルノグラフィティのデビュー当時のメンバーはボーカル岡野昭仁(アキヒト)、ギター新藤晴一(ハルイチ)、ベースTamaの3人で、全員広島県因島市出身の同郷であった。数年間の下積みを経た後、プロデューサー本間昭光(ak.homma)のもと1999年9月に「アポロ」でメジャーデビュー。デビュー曲はak.homma作曲のキャッチーなメロディーとハルイチ作詞のインパクトのある歌詞がタイアップやメディア出演を通じて話題となり、CD42万枚*1を記録。いきなりブレイクを果たした。デジタル指標でもフル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を突破している。
続いて2000年1月にリリースした2ndシングル「ヒトリノ夜」もCD24万枚を記録。デジタル指標でもフル配信10万ダウンロードを突破している。
foo?
2000年7月にリリースした3rdシングル「ミュージック・アワー」は大塚製薬『ポカリスエット』2000年度CMソングにも起用された夏うたで、ラジオ番組でリスナーからの投稿を取り上げるパーソナリティーを描いた歌詞も話題となりロングヒット。CD46万枚を売り上げたほか、デジタル指標でもフル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録した。この曲のヒットにより「アポロ」の一発屋イメージが定着する懸念は完全に払拭された。
「ミュージック・アワー」のロングヒットで注目度が更に高まる中、9月にリリースした4thシングル「サウダージ」は自身最多記録となるCD98万枚を売り上げた。デジタル指標でもフル配信50万ダウンロード、ストリーミング2.1億再生、MV6,000万再生*2を記録している。
フル配信50万ダウンロード達成は2021年11月となっており、ダウンロード販売解禁された2007年11月から実に14年を経ての到達となった。それだけ長きに渡り支持されている楽曲と言えるが、到達が2021年11月のタイミングとなった理由の一つには、直前の2021年9月に人気YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に出演し「サウダージ」を披露した反響が大きかったことが挙げられる。
『THE FIRST TAKE』はアーティストの歌唱を一発撮りで収録した動画を定期的にアップしており、各アーティストの演奏の魅力を存分に引き出すチャンネルとして支持が高い。YouTubeは2010年代以降に本格的に普及した楽曲視聴方法であり、ポルノグラフィティがブレイクした時期より後の世代に親しまれているが、このチャンネルの出演によりその世代に訴求した。この新たな支持層の開拓が「サウダージ」のフル配信50万ダウンロード到達を後押ししたほか、ストリーミング・MV再生回数で自身最多記録を樹立することに繋がったと考えられる。
楽曲は別れの後の心情を描いた歌詞がテンポの速いラテン調のサウンドにのせて歌われており、ノリの良さと哀愁を両立させた仕上がりになっている。カラオケでの人気も非常に高く、特に上述した反響の後は再びカラオケチャートTOP10常連となる定番人気を得ていることがBillboard JAPANのChart Insightにて可視化されている。

12月には5thシングル「サボテン」を発売し、CD47万枚をセールス。これまでのシングル表題曲は全てak.hommaの作曲だったが、本曲はメンバーTamaの作曲である。翌2001年2月にはこれら3枚のヒットシングルを収録した2ndオリジナルアルバム『foo?』を発売し、112万枚*3を売り上げて自身初のミリオンセラーを達成した。
雲をも掴む民
2001年6月には6thシングル「アゲハ蝶」を発売。本曲の歌詞では高嶺の女性に対する叶わぬ恋をする男性の苦悩が描かれており、ラテン調のサウンドがそれを情熱的に盛り立てている。考察性の高い歌詞はメロディーへのハマり具合も秀逸で、ノリの良さも際立ったこの曲は「サウダージ」同様に大ヒット。サウンドスキャン年間シングルチャートでは2001年の5位にランクインした。
各指標の累計はCD91万枚、フル配信50万ダウンロード、着うた50万ダウンロード、ストリーミング1.3億再生を記録している。CD売上は「サウダージ」に惜しくも及んでいないが、フル配信ダウンロード売上では「サウダージ」よりも早い2018年2月のタイミングで50万に到達している。「サウダージ」と「アゲハ蝶」がポルノグラフィティの代表曲として双璧を成していることは間違いない。
なお本曲はフルMVが制作されていない。MV撮影地にて悪天候が続くなどスケジュールの都合がつかなかったため、ラスサビの1分弱しか完成しなかったのである。
10月には7thシングル「ヴォイス」を発売し、CD34万枚を売り上げた。
WORLDILLIA
2002年5月には9thシングル「Mugen」を発売し、CD25万枚をセールス。『2002 FIFAワールドカップ NHK放送テーマソング』として親しまれたことでヒットした。
PORNO GRAFFITTI BEST BLUE'S
2003年9月には12thシングル「メリッサ」を発売。人気アニメ『鋼の錬金術師』主題歌に起用されたこの曲はCD37万枚をセールス。デジタル指標でもフル配信25万ダウンロード、着うた50万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録している。ノリの良い曲調、特にインパクト抜群のサビの入りも支持された本曲はアニメファンに限らず幅広く普及した。
本曲は2004年7月に2枚同時発売されたベストアルバムのうち『PORNO GRAFFITTI BEST BLUE'S』に収録されており、本作は101万枚を売り上げた。
PORNO GRAFFITTI BEST RED'S
「メリッサ」発売から僅か2ヶ月後の2003年11月には13thシングル「愛が呼ぶほうへ」を発売。「メリッサ」とは曲調が正反対の温かみのあるバラードナンバーだったが、「メリッサ」とともにロングヒット。CD29万枚、フル配信10万ダウンロードを記録している。ノリの良いアップテンポナンバーのヒットが多かったポルノグラフィティにとってバラードナンバーのヒットは大きな収穫と言えるものであった。
THUMPx
2004年からはメンバーのTamaの脱退によりボーカル岡野昭仁とギター新藤晴一による2人体制での活動が始まった。そんな中でも好調な売上は維持され、15thシングル「シスター」がCD24万枚、16thシングル「黄昏ロマンス」がCD13万枚、17thシングル『ネオメロドラマティック/ROLL』がCD22万枚を記録した。
m-CABI
2005年8月に発売した18thシングル「NaNaNa サマーガール」はCD11万枚をセールス。
同年11月に発売した19thシングル『ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY』はCD19万枚をセールス。このうち1曲目の「ジョバイロ」は自身が得意とするラテン系ナンバーになっており、デジタル指標でもフル配信10万ダウンロードを記録する人気となった。
2006年6月に発売した20thシングル「ハネウマライダー」はCD20万枚をセールス。デジタル指標でもフル配信25万ダウンロード、着うた50万ダウンロードを記録した。着うた売上の50万到達は自身最速となっており、こうした記録から、本曲が2000年代後半以降の楽曲では頭一つ抜けた人気曲となっていることが窺える。
本曲は疾走感が際立つ爽やかなロックナンバーで、歌詞も若い世代が人生を駆け抜けるさまが勢い良く表現されている。「ミュージック・アワー」「サウダージ」に続いて大塚製薬『ポカリスエット』2006年度CMソングに起用されたこともあり、新たな夏うたの代表曲としても普及した。
2006年10月には21stシングル「Winding Road」を発売し、CD14万枚を売り上げた。
ポルノグラフィティ
2007年7月には22ndシングル「リンク」を発売し、CD11万枚を売り上げた。
2008年以降
2008年以降の楽曲をリリース順に並べたデジタル人気データは以下のとおり。この頃になると、それまでak.hommaの作曲が多かったシングル表題曲をメンバー2人が作曲するようになるなど、メンバーの楽曲制作への関与量が増加し、音楽活動の充実を見せていく。また、音楽を聴く環境が大きく変わり、デジタル市場の普及と定着によりCD売上よりもフル配信ダウンロード売上の方が多くなるケースが増えていった。

2008年は5枚ものシングルをリリースする精力的な活動を展開。このうち「あなたがここにいたら」「Love, too Death, too」の2曲はBillboard JAPAN Hot 100の週間1位も獲得した。
さらに12月に発売した27thシングル「今宵、月が見えずとも」は人気アニメ映画『劇場版BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ』主題歌に起用されたこともあって普及し、CD14万枚、フル配信10万ダウンロードを売り上げた。
2011年2月には32ndシングル表題曲「EXIT」をデジタル先行リリースし、フル配信10万ダウンロードを記録。最高視聴率12%を記録したドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』の主題歌として普及した。本曲はサビでの岡野昭仁の切ない叫びのようなボーカルが聴きどころのミディアムバラード。また、本曲ではak.hommaが久々に作曲に関与(新藤晴一との共作)しているが、現時点でこれがak.hommaが作曲に関与した最後の楽曲になっている。
2015年4月には42ndシングル「オー!リバル」を発売。この曲は興行収入44億円を記録した人気アニメ映画『名探偵コナン 業火の向日葵』の主題歌。この映画では主人公の探偵江戸川コナンとそのライバル怪盗キッドの対決が描かれているが、楽曲もそれに合わせてこのライバル関係を歌詞のテーマにしているほか、映画の設定に沿って曲調も自身の得意とするラテン調になっている。こうした要素が人気を呼び、本曲はフル配信25万ダウンロードを超え、2人体制となって以降の楽曲では「ハネウマライダー」に並ぶ自身最多タイ、2010年代以降の楽曲では自身最多売上を記録した。
2016年5月には43rdシングル「THE DAY」を発売し、フル配信10万ダウンロードを記録。人気アニメ『僕のヒーローアカデミア』の初代オープニングテーマである。このアニメはヒーローになる才能に恵まれなかった主人公が、それでもヒーローになることへの強い憧れと信念により未来を切り拓くストーリーだが、本曲の歌詞にその世界観が秀逸に落とし込まれており、テンポの速いロックサウンドと合わせて前向きなエネルギーを有した仕上がりになっている。
まとめ
以上まで見てきたとおりポルノグラフィティはデビューから15年以上に渡ってヒット曲を大量輩出しており、その人気は2000年代まではCD、2010年代からはダウンロード売上で把握することができた。2020年代に入ってからも世代を超えた積極的な訴求が続いており、今後の更なる活躍にも期待がかかる。
ここで紹介したヒット曲を手元に所有したい場合は、2024年に発売されたベストアルバム『ポルノグラフィティ全書 ~ALL TIME SINGLES~』がおすすめ。
この記事で紹介したデータのうちストリーミング再生回数やダウンロード売上はBillboard JAPANの公式サイトや日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。
