Billion Hits!

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2023年度以降のSNS更新予定告知

昨年の今頃以下記事を発信してから約一年が経ちました。この一年の間もブログ及びSNSをフォローいただいた皆さまに改めて感謝申し上げます。

 

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本記事はこの時以来となる今後のSNS更新予定告知となります。

 

 

 

2022年振り返り

 

上半期

 

一年前に決めたとおり2022年は、2021年の週間チャートのCD偏重問題悪化を受けて、週間チャート予想や結果の発信を全面休止し、楽曲人気指標として不適切な週間チャート結果の分析を続けてしまったことで蓄積した疲労の回復に努めました。

 

第1四半期は心穏やかな日々が続きました。Aimer「残響散歌」が歴史的ヒットを記録し週間1位を独走したことは楽曲人気チャートとして完璧なアウトプットでした。

 


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そのため分析の手も捗りましたが、分析結果の発信は、事前に決めていたとおり一切しませんでした。発信内容の客観中立性に説得力を持たせるうえでは、発信対象を恣意的に選ばないことが重要であるためです。そのため「残響散歌」の歴史的ヒット模様をリアルタイムで発信することは一切せず、上半期チャート発表タイミングで総括するのみとしました。

 

ただこの「残響散歌」の週間1位独走は、たまたまこの時期に高CD売上アーティストの新作発売数が少なかったから実現しただけでではないかとも感じており、CD偏重問題が本当に解消できいているのかは確信が持てていませんでした。

 

この悪い予感は第2四半期により一層強まりました。高CD売上アーティストの新作発売が続いたことで高CD売上曲の週間1位が続出し、高人気楽曲による1位獲得週数の順調な増加に急ブレーキがかかりました。

 

加えて第2四半期はストリーミングチャートにおけるファンダム過熱問題という新しい深刻な問題が顕在化しました。詳細は以下記事にまとめたとおりです。

 

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楽曲視聴を主目的としていない再生回数や、楽曲を聴いた回数と換言できない再生回数を主力としたストリーミングチャート週間1位獲得結果は、2021年は僅か1週生じたのみでしたが、2022年第2四半期から連発され始めました。数週発生するだけなら許容可能と考えていた私も危機意識を抱き始めました。

 

(以下、具体例を出しますが、以下はアーティストやファンダム過熱自体を批判するものではありません。私は一貫して音楽チャート設計の在り方の話をしています。)

 

危機感がピークに達したのはINI「CALL 119」が配信4週目の先ヨミでも1位独走を続けていたときです。この時期、ファンダム過熱ツールとして有名だったのは専らLINE MUSICでしたが、「CALL 119」はこのとき既にLINE MUSICでも(上位ではあったものの)1位ではなくなっており、それだけでは1位の説明がつかなくなっていました。

 

チャート結果の不透明性が看過できないレベルになったことを受け、私は要因を調査しました。そしてINIのファンダムがAWAのラウンジ機能を用いた大量再生を実行していることを確認しました。私はこの実態を念のためBillboard JAPANにも報告しましたが、Billboard JAPANがチャート集計方法を変えるタイミングは各四半期初週であることが多かったため、少なくとも第2四半期の間は「CALL 119」の独走が続くことを覚悟しました。

 

しかし本件に対するBillboard JAPANの措置はこの週から実行されました。四半期の切れ目を待たずしてのチャート設計変更は非常に頼もしい対応でした。

 

しかし程なくしてLINE MUSICでのファンダム過熱には未対応であることがめいちゃん「ラナ」の独走により顕在化しました。これに対するBillboard JAPANの措置は、係数適用タイミングをHot 100集計時とし、ストリーミングチャートには手を加えない内容だったことから、有効性に疑問符がつくものでした。

 

めいちゃんのファンダム規模はCDアルバムで言えば約4万枚程度(8月発売の3rdアルバム『Humor』の初動売上)です。この程度のファンダム規模を有するアーティストは他にもたくさん存在します。そんなファンダムでもLINE MUSIC再生回数キャンペーン実施によって2週連続ストリーミング週間1,000万再生超えという爆発的数値が出せてしまう状況は、今後も同手法を採るアーティストが続出すること、それにより現代の主要な音楽の聴き方であるはずのストリーミングの週間チャート1位が楽曲人気指標として使用できなくなっていくことを想像させるに十分でした。まだ総合週間チャートがCD偏重問題により楽曲人気チャートとして使用可能かどうか未判明だった中でのこの未来予想は、日本の週間楽曲人気チャート復活が見通せなくなったことを意味し、私を絶望に陥いれました。

 

唯一救いだったのはこの対応の背景思想をBillboard JAPANが丁寧に説明してくれたことです(上の記事に載せたとおり)。これにより余計な誤解が生じることは避けられ、私も絶望から少し回復し、思考を前に進めることができ、上の記事で示した解決案の提示に至りました。

 

下半期

 

SNS運用要否の再考

 

第3四半期には当SNSアカウントの運用要否を再考させられる出来事がありました。きっかけはビルボードが多すぎるCD売上に適用する係数処理の発動条件を若干緩和したことでした。この変更は告知なく実施されたため、当初は純粋に係数適用条件のボーダーが引き上げられたかのように映りました。実際にはこの変更で係数処理適用対象から外れるケースはそこまで多くは発生しないため、チャートに与える影響は軽微でしたが、当時はCD偏重問題の悪化を招くチャート設計の改悪ではないかと推測せざるを得ませんでした。

 

もしこの推測が当たっていれば、従前よりCD偏重を問題視している当アカウントの発信内容は、CD偏重問題に対する批判が増加することが予想されました。他方、週間チャート結果の発信は、どれだけ歴史的高人気楽曲が誕生していても一律休止していたため、このままではファンダム過熱問題と併せて発信内容がネガティブなものに偏ることが予想されました。

 

問題の指摘や批判は必要な行為ではあるものの、発信内容がそればかりになってしまうと、疲労も溜まり不健康な精神状態になってしまいます。何よりも発信していて全く楽しくないので、私は改めてSNSアカウントの運用継続要否や方針を再考しました。

 

まず私の全ての言動の大元にある「楽曲人気チャートが面白い」というモチベーションですが、これは全く揺らいでませんでした。楽曲人気チャートが存在する限り、私は一生それを追い続けるでしょう。

 

次にその内容をSNSで発信する理由ですが、私がSNSアカウントを立ち上げたきっかけは以前述べたとおり「オリコンビルボードに代わって不適切に普及しないよう、例え微力でもビルボードの話題を発信すること」でした。この当初の目的は、無事にビルボード知名度と権威を確立しオリコンが没落した今となっては既に果たされていました。それでも今でもSNSアカウントを消していない理由は「楽曲人気チャートの面白さを少しでも広めたいから」でした。

 

では発信を継続するとしてその発信内容をどうするか考えたときに、やはり週間単位以下のチャート情報発信を一律休止としてしまっていては、ポジティブなことを伝える機会が減り、チャート設計等への問題提起の割合が高くなってしまい不健全なSNS運用になってしまうと思いました。そこで私は、週間単位以下であっても、その動向が客観的データ上歴史的なものである場合や極めて珍しいと見出せる場合に限り(これにより分析発信対象選択の恣意性を極力排除)、それを発信する方針に変更しました。

 

そして(偶々)この方針を決めて以降、事態は急激に明るい方向に変わり始めます。

 

ファンダム過熱問題の解消

 

まずストリーミングチャートのファンダム過熱問題に関しては、Billboard JAPANがメディアKAI-YOUによるインタビュー記事を通じて明確に問題提起する姿勢を打ち出しました。

 

kai-you.net

 

この記事は非常に大きな話題となり、ファンダム過熱問題が一気に広く知れ渡ることとなりました。記事に対する反応は賛否両論あったものの、否定的意見のほとんどは言語表現に対する反発や、もっと大きな背景にある問題(メディアにおける特定勢力の厚冷遇等)に言及するもので、賛成意見を見ても問題提起内容の本質は概ね理解されている印象でした。

 

そもそも音楽チャート作成者がこうしたチャートハック行為に対し意見を表明する機会はこれまでの日本ではほとんど見られなかったことでした。ジャニーズ商法やAKB商法が普及したときですら、当時のオリコンは何も言わず黙認し続けました。そのため、これらの商法がチャートに与える影響への批判が本来矛先となるべき音楽チャート作成者ではなくしばしばアーティスト本人に向けられるなど、日本では音楽チャート設計に関する議論が未成熟を極めていました。よって例え賛否両論あろうとも、Billboard JAPANのこの記事が歴史上非常に大きな意義を持つことは紛れもない事実でした。

 

9月には東洋経済からもこの問題に焦点を当てた記事が発信され、ここでも多くの読者に問題が周知されました。この記事では初めてLINE MUSICへの直撃インタビューが実現していますが、この時点ではLINE MUSICが問題意識を持っているとは明言されていませんでした。

 

toyokeizai.net

 

しかし10月にKAI-YOUもLINE MUSICへの直撃インタビューを実施。より深く問題に切り込んだためか、初めてLINE MUSICも問題意識を持っていることが明かされます。そして実際に再生回数カウント方法を改良したことが明言されました

 

取締役COOの高橋明彦さんによれば、「再生数キャンペーン」に対して具体的な対策もすでに取られているという。

「合理的に考えて異常な再生は再生数に入れなかったり、ランキングにカウントしないような形を模索しながら進めている状況です。ただ、いたちごっこな部分もあって、具体的な対策は公表しづらい部分もあります」(高橋)

kai-you.net

 

この改良により、実際に2022年下半期はLINE MUSICキャンペーンを主力とした上位進出事例が激減し、問題は全く見られなくなりました。こうしてBillboard JAPANは、チャートハックを問題提起する姿勢を鮮明にしたことで、この問題を完全解決に導いたのでした。

 

CD偏重問題の解消

 

CD偏重問題に関しても、解消のサインがはっきりと現れ始めました。Billboard JAPAN Hot 100は、8月以降本格化したAdo「新時代」の歴史的楽曲人気動向を、週間1位大量獲得という結果で完璧にアウトプットすることに成功しました。「新時代」は1位常連の高CD売上アーティストであるKis-My-Ft2乃木坂46Sexy ZoneNMB48=LOVEらを退け週間1位を合計6週獲得しました。

 


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これにより、金曜日発表予定の年間チャートTOP20ランクイン見込曲の1位獲得週数実績は以下のとおりとなり、適正水準目安の20週を超える見込みとなりました。

 

  • 9週 Aimer「残響散歌」
  • 2週 King Gnu「一途」
  • 3週 Official髭男dism「ミックスナッツ」
  • 1週 SEKAI NO OWARI「Habit」
  • 6週 Ado「新時代」

    →合計21週

 

私がこの2022年に何よりも欲しかったのは、「現行チャート設計で楽曲人気チャートとして適切な結果を出すことが可能である」と言い切るための確かな実績でした。年間チャート上位が適切な結果となった2019年以降、「年間TOP20ランクイン曲の1位獲得週数20週以上」が達成された年は2020年だけでしたが、これはコロナ禍突入を受けた一時的な高CD売上アーティストの新作発売数減少という音楽業界外の特殊要因により実現したもので、本質的な解決とは言えませんでした。他方2022年の適正基準充足はこうした業界外の特殊要因ではなく、チャート設計の着実な調整と歴史的人気楽曲の誕生という音楽業界内の要因で実現したもので、2020年とは中身が決定的に異なります。

 

「新時代」以降も、米津玄師「KICK BACK」、Official髭男dism「Subtitle」と続けて歴史的人気楽曲が誕生し、Billboard JAPAN Hot 100ではこの2曲が1位常連の高CD売上アーティストであるJO1、AKB48、日向坂46、SixTONES、なにわ男子を次々と退け週間1位を独走しました。これまでCDシングル表題曲が必ず発売週に1位を獲得するという歪に偏ったチャート設計の恩恵に与っていたアーティストが次々と1位を逃したことは、定性的にもCD偏重問題解消を印象付けてくれました。

 


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更に2023年度からは、一部高CD売上曲の主要加点源となっていたルックアップ指標(CDのPC読取り数)の集計が廃止されました。

 

 

これらの実績と2023年度からのチャート設計変更により、Billboard JAPAN Hot 100は週間チャートも楽曲人気指標として使用可能であると自信を持って言うことが可能になりました。その信頼は過去に例を見ないほどに最も強いものになりました。

 

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2006年に発生し、以降16年という長きに渡って継続した日本音楽ヒットチャートのCD偏重問題は、2022年、Billboard JAPAN Hot 100の手によってついに完全解決に至ることとなりました。これは本当に歴史的な出来事です。私の音楽チャート趣味人生の中で最も嬉しいことと言っても過言ではないかもしれません。第2四半期から第3四半期前半にかけて抱いた絶望を考えると今でも信じられないくらい急転直下の事態好転でした。音楽ヒットチャート文化の明るい未来がはっきりと見通せるようになったことが、ただただ嬉しく幸せなことです。

 

2023年度以降の更新予定

 

こうなると、楽曲人気動向を追うことを趣味とする私はBillboard JAPAN Hot 100の動向が気になって仕方ないと同時に、このチャートの面白さを積極的に発信したいという意欲に溢れて仕方ありません。

 

よって2022/12/14公開週分から、1年間休止していたBillboard JAPAN Hot 100の週間チャート予想・結果発信、およびそれに付随する週間ストリーミングチャート・YouTubeチャート等の結果発信を全面的に再開します。

 

ただし、Billboard JAPAN Hot 100の週間チャート予想に関しては、原則として週途中の一次発信を廃止し、発表前日にのみ発信する方法に切り替えます。これは週途中に予想を出すことにより高熱量ファンダムを悪戯に過熱させないためです。

 

実際に私の予想発信でファンダムが過熱してしまった例が2021/11/10公開週のBE:FIRSTINIによる1位争いでした。詳細は以下記事に譲りますが、私が予想を発信したことで週後半に両曲の各指標の数値が両ファンダムの応援活動激化により爆発的な伸びを見せ、ビルボードが本来在るべき姿の楽曲人気指標からファンダム熱量指標に道を外れてしまったのです。

 

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私が週間予想を継続発信していた目的はビルボードの存在や面白さを伝えることでしたが、その期待効果を上回るデメリットが発生してしまったとこの時感じました。実際に後日音楽ライターの方からこの事態を憂慮するツイートが以下のとおり発信されています。

 

 

私が興味を抱く対象は楽曲人気チャートでありファンダム熱量チャートではありませんので、意図せずともファンダムを焚きつけてしまうことは全く本意ではないですし、バズ狙いや影響力行使も目的とはしていません。よって週途中の週間予想発信は原則廃止とします。

 

ただし、ファンダムの熱量ではなく歴史的高人気楽曲による1位争いや1位独走動向でその推移や水準に客観的歴史性があれば例外的に発信する場合があります。これは本記事内で既述した整理に基づくものです。

 

まとめ

 

以上が2022年の振り返りと2023年以降の更新予定となります。

 

誤解のないように補足すると、私はファンダムが過熱すること自体は自由だと思っています。

 

私は「楽曲人気動向を追うこと」を趣味とするために「楽曲人気指標として相応しい指標は何か」を常に考えています。その中で楽曲人気指標として扱われているチャートの機能に問題があればチャート設計を批判することがあります。例えば「楽曲人気指標として扱われているチャート」の結果決定主因が「楽曲人気」ではなく「ファンダムの熱量」に変質することは明確に道理が通らないことです。「応援チャート」や「ファンダム熱量チャート」ではないからです。この批判の矛先はチャートであり、アーティストやその高熱量ファンダムではありません。

 

こうした高熱量ファンダム所属者の一部から一方的に敵視され嫌悪感情を抱かれることは極めて心外です。データに基づく建設的議論なら誰でも何時でも歓迎ですが、こうした嫌悪感情を私にぶつける人に対しては断固たる姿勢で対応します。

 

この点に関し、INIのファンダムに所属する方のブログ記事を以下引用します。

 

ファンダムの熱量だけで、グイグイ上位に押し上げて「イエーイ!!!」って内輪で喜んでいるよりも、市場シェアの高いストリーミングサービスで楽曲を聴くことを習慣づけて、順位的には下がったように見えるかもしれないけれど、今の現状に見合った順位でコツコツと、プレイリストに入るように努力をしたり、少しずつ世間に認知してもらうためのアクションを起こせている、今のほうがとても有益な応援をしているのでは!?という、超個人的ポジティブ解釈でございます。

これは余談ですが、私も2nd期間くらいまでは、Billboard JAPANのチャートポリシーの度重なる変更やチャート分析者などの熱狂的なファンダムの行動に対してのネガツイを見かけると腹が立っていましたし、「なんで好きなものを上位に上げたいと思ってるだけなのにいちいち文句言うの💢好きにさせて💢」みたいな過激派思考回路のオタクでした。しかし、物事の外から俯瞰して見るということを意識していけば、もっと新しい世界や考えが広がっていきます。チャート分析者たちは「本当に大衆的に流行っている曲をランキングとして可視化するためには何が最適なのか」を基準に、ただ討論しているだけなので、新しい世界や考えを知り、理解するということは、新規ファン獲得に向けて、もっと具体的に筋の通った行動ができるようになる、良いきっかけになるはずです!!!

note.com

 

私の立場は太字強調した上記箇所のとおりです。私は高熱量ファンダムを批判する意図は一切なく、ましてや喧嘩することなど望んでいません。上記のような健全な形で楽曲人気チャートに興味を持ち、応援活動を楽しむファンダム所属者が増えることは大歓迎です。

 

また、2022年になって、それまで私しかいなかった特定ファンダム所属者ではなくチャート好きという客観中立の立場で継続的にBillboard JAPAN Hot 100の予想と結果分析をする方が他にも現れるようになった(以下、紅蓮・疾風さん)ことも嬉しい出来事でした。

 

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16年間日本に存在しなかった「週間総合楽曲人気チャート」がBillboard JAPANによって復活した今、様々な立場からチャートに興味を持つ方が増え、ヒットチャート文化がかつてのように健全な盛り上がりを見せ始めていることは本当に嬉しいことです。こんなに面白い文化に16年間触れることができなかった日本人の皆さんには是非今から存分に触れてほしいと思います。

 

2023年はどんな人気楽曲が誕生するのか、その人気がどのようなチャートアクションで可視化されるのか、今から楽しみで仕方ないです!