Billion Hits!

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MISIAの配信ダウンロード売上ランキング

MISIAは1998年に「つつみ込むように…」でデビューした女性ソロアーティスト。すぐに大ブレイクを果たし、以降20年以上に渡りヒットシーンを走り続けている。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は9曲で、認定総ダウンロード売上は285万(歴代38位)となっている。これらのデータをランキング化した表は以下のとおりである。この表をもとにしながら、MISIAのヒット史を振り返る。

 

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(ランキング作成方法および歴代ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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(歴代アーティスト別ダウンロード売上ランキングはこちら↓)

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1998年-2001年

 

MISIAがデビューした1998年はCD市場全盛期であり、当時の楽曲人気指標の主流はCD売上だった。したがって、デビュー初期の楽曲人気を把握するには、CD売上を中心に見ることになる。一方で、2000年代に入り配信でもMISIAの楽曲が順次解禁されると、初期の楽曲も、人気が継続している楽曲はダウンロード売上を積み上げた。

 

Mother Father Brother Sister

 

1998年1月に発売されたデビュー曲「つつみ込むように…」も特に人気が継続している楽曲の一つである。本曲はまだ当時の日本では珍しかったR&B調の楽曲だったが、全編日本語詞で構成した歌詞やリズム感が親しみやすさを有しており、MISIAの歌唱力がそれを際立たせていたことで、クラブ・シーンを中心にして支持を広げていき、デビュー曲にしてCD67万枚、配信10万ダウンロードを売り上げた。

 

これはR&Bという新しい音楽文化をメジャーシーンに昇華させた衝撃のデビューであった。5オクターブの音域を存分に見せつけた冒頭のホイッスルボイスも、そのインパクトを象徴する圧巻の歌唱である。

 

本曲は8cmCDと12cmCDの両形態で発売されていたが、当時のCD売上チャートでは別々に集計され、8cmCDが40万枚、12cmCDが26万枚となっている。このため、週間最高位は8cmCDで記録した11位が最高となっているが、もし合算されていれば通算7週TOP10入りを果たしていた。

 

この最高11位を記録したのは発売から約半年後の6月であり、じわじわと楽曲が浸透していたさまが読み取れる。配信でも、2006年2月に解禁して以降の積み上げで、7年3ヶ月後の2013年5月に10万ダウンロードを突破した。最近では2018年の紅白歌合戦でこの曲が事前予告なしにサプライズ歌唱され、大きな反響を呼んだ。このように、20年以上に渡り楽曲人気が維持され、存在感が示され続けている。


MISIA - つつみ込むように...

 

この曲がヒットしている最中の5月には2ndシングル「陽のあたる場所」も発売され、こちらは22万枚を売り上げた。なお本曲では8cmCDでの発売はなく、12cmサイズのみでの発売であった。

 

このヒットシングル2曲を引っ提げて6月には1stオリジナルアルバム『Mother Father Brother Sister』を発売。注目度の高まりはこのアルバムセールスの爆発を呼び、いきなり258万枚を記録する特大ヒットとなった。1年以上に渡るロングセールスにもなり、年間チャートでは1998年8位→1999年82位と推移した。

 

アルバム曲の中では「キスして抱きしめて」が特に人気となり、2003年10月に配信解禁されると、そこからの息の長いセールスの積み上げで2015年11月に10万ダウンロードを突破した。これはCD売上だけ見ていては気づけない楽曲人気である。

 

THE GLORY DAY

 

11月には1stミニアルバム『THE GLORY DAY』を発売し、74万枚を売り上げた。本作にはMVが制作された「KEY OF LOVE 〜愛の行方〜」のほか、2019年の紅白歌合戦でサプライズ歌唱され話題を呼んだ「INTO THE LIGHT」、2020年のMステスーパーライブで歌唱曲された「THE GLORY DAY」などを収録している。

 

LOVE IS THE MESSAGE

 

1999年4月には3rdシングル「BELIEVE」を発売し、34万枚をセールス。本作は8cmCDと12cmCDの両形態で発売されたが、8cmCDが6万枚、12cmCDが28万枚となり、8cmCDの方が売れた1stシングルとは逆に12cmCDの方が圧倒的に高いセールスとなった。この後徐々に8cmCDは時代の流れとともに姿を消すことになる。

 

11月には4thシングル「忘れない日々」と5thシングル「sweetness」を同時発売し、前者が40万枚、後者が22万枚をセールス。CMタイアップが付いていた「忘れない日々」の方が好調な売上となった。

 

2000年元旦にはこれら3枚のヒットシングルを収録した2ndオリジナルアルバム『LOVE IS THE MESSAGE』を発売し、229万枚をセールス。前作に続いてダブルミリオンを突破する特大ヒットとなり、年間でも2000年の4位に入った。

 

4月には2ndリミックスアルバムMISIA REMIX 2000 LITTLE TOKYO』を発売。リミックスアルバムでありながら83万枚の高セールスとなり、勢いを見せた。

 

MARVELOUS ~「Everything」CD+配信でダブルミリオン~

 

続いて7月には6thシングル「Escape」を発売し、25万枚を記録。

 

そして10月には大ヒット曲が誕生した。7thシングルとして発売された「Everything」である。本曲は最高視聴率34.2%を記録した特大ヒットドラマ「やまとなでしこ」主題歌に起用されたことで人気が爆発し、CDシングルでは自身初のミリオンセラーとなる187万枚を記録した。年間では集計割れを起こし、2000年14位→2001年12位と推移した。

 

この大人気は当時だけに留まらなかった。配信でも2003年10月に解禁されると息の長いダウンロードセールスを積み上げていき、2014年1月にはなんと50万ダウンロード認定を受けた。参考までにCD売上と合計すればその数字は237万となり、ダブルミリオンを突破していることになる。

 

ここまでの大人気となったことにはもちろんドラマタイアップ効果も大きいが、これまでのヒット曲で見せていた高音域を抑えて常人でもカラオケを楽しめる音域となっていたことで親しみやすさが一層増していたことや、強い愛を描いた歌詞が時代を選ばない普遍性を有していたこと、それがMISIAの歌唱で説得力を持って表現されていたことが挙げられる。


MISIA - Everything

 

翌2001年元旦にはDREAMS COME TRUEとのコラボが実現。MISIA+DCT名義で8thシングル「I miss you 〜時を越えて〜」を発売し、43万枚を売り上げた。

 

4月にはこれらのヒットシングルを収録した3rdオリジナルアルバム『MARVELOUS』を発売し、163万枚を記録。3作連続のミリオンセラーとなり、年間でも2001年の8位に入った。

 

11月には3rdリミックスアルバムMISIA REMIX 2002 WORLD PEACE』を発売し、33万枚を売り上げた。

 

2002年-2009年

 

2002年からは所属レコード会社を移籍。3月には自身初のベストアルバムMISIA GREATEST HITS』を発売し、185万枚を記録。年間でも2002年の4位に入った。このベストアルバムは移籍前のレコード会社BMG JAPANから発売されており、所謂移籍に伴うベストアルバムである。

 

8月には10thシングル「眠れぬ夜は君のせい」を発売。表題曲は最高視聴率14.1%を記録したドラマ「恋愛偏差値」主題歌に起用されたことで人気が広がり、CDで32万枚をセールス。それだけでなく、配信でも徐々に売上が積み上がり、発売14年1ヶ月後の2016年9月になって10万ダウンロードを突破するに至っている。


MISIA - 眠れぬ夜は君のせい

 

9月にはこの曲も収録した4thオリジナルアルバム『KISS IN THE SKY』を発売し、83万枚を売り上げた。

 

2003年10月には1stライブアルバム『星空のライヴ 〜The Best of Acoustic Ballade〜』を発売し、20万枚を記録。

 

12月にはシングルコレクションMISIA SINGLE COLLECTION 5th ANNIVERSARY』を発売し、13万枚を売り上げた。このベストアルバムもBMG JAPANからの発売である。

 

2004年2月には5thオリジナルアルバム『MARS & ROSES』を発売し、25万枚をセールス。本作には12thシングル「心ひとつ」などを収録している。

 

6月にはバラードベストMISIA Love & Ballads 〜The Best Ballade Collection〜』を発売し、17万枚をセールス。このベストもBMG JAPANからの発売であり、これで3年連続で移籍前のレコード会社からベストアルバムが出たこととなった。

 

12月には6thオリジナルアルバム『SINGER FOR SINGER』を発売。本作は久保田利伸藤井フミヤなどの著名アーティストから提供を受けた楽曲で構成されたコンセプトアルバムであったことが話題となり、37万枚を売り上げた。玉置浩二から楽曲提供を受けた14thシングル「名前のない空を見上げて」などが収録されている。

 

2007年2月には7thオリジナルアルバム『ASCENSION』を発売し、12万枚をセールス。本作には16thシングル「Sea of Dreams 〜Tokyo DisneySea 5th Anniversary Theme Song〜」などを収録している。

 

2007年7月には17thシングル「ANY LOVE」を発売した。本作はCD売上2万枚で、表題曲もダウンロード認定を受けていない。しかし実は本作のc/wに収録されていた「そばにいて...」松嶋菜々子も出演するコーセー「雪肌精」CMソングに起用され、表題曲を上回る人気を獲得していた。その証拠に配信で10万ダウンロードを突破している。なお本作から所属レコード会社をBMG JAPANに戻している。

 

2008年1月にはこの曲も収録した8thオリジナルアルバム『EIGHTH WORLD』が発売され、前作を上回る13万枚を売り上げた。

 

「逢いたくていま」配信ミリオン

 

そして2009年11月には久々の大ヒット曲が誕生した。23rdシングル表題曲として発売された「逢いたくていま」である。この曲は最高視聴率25.3%を記録したドラマ「JIN-仁-」の主題歌に起用されたことで人気が広がり、自身初にして唯一となる配信ミリオンを達成した。

 

配信売上推移は以下のとおり。

 

  • 発売3週間で10万ダウンロード突破
  • 発売3ヶ月後の2010年2月に25万ダウンロード突破
  • 発売4年2ヶ月後の2014年1月に75万ダウンロード突破
  • 発売9年2ヶ月後の2019年1月に配信ミリオン達成

 

発売1ヶ月足らずで10万ダウンロードを突破する勢いは、配信ではこれまでにないペースであり、CDで考えても、最後に10万枚を超えた「眠れぬ夜は君のせい」以来のこととなった。以降も長きに渡り支持が続いた結果、ダウンロード売上が積み上がり続け、2014年1月には75万ダウンロードを突破する。

 

ダメ押しは2018年末で、この年の日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞したことで同番組に出演し、この年のヒット曲「アイノカタチ feat. HIDE (GReeeeN)」とともに「逢いたくていま」も披露。この際の圧巻の歌唱が話題となったことで配信売上を伸ばし、2019年1月の配信ミリオン突破に至った。

 

ここまで息の長い大人気となったことには、大切な人との別れを描いた歌詞がドラマの内容にマッチしていたことのほか、その悲しみがサビのロングトーンをはじめとした各所の歌唱で表現されていたことが多くの感動を誘ったことが挙げられる。

 

なお本作のCDシングル売上は前後作品比では好調だったとはいえ僅か4万枚であり、CDシングル売上の楽曲人気指標としての機能はこの頃既にほとんど消失していたことが分かる。前述のとおりMISIAのCDシングル10万枚超えは「眠れぬ夜は君のせい」が最後であるが、音楽の聴き方はCDから配信に移行しており、MISIAもこの後配信で10万ダウンロード超えのヒットを出していくことになる。


MISIA - 逢いたくていま

 

12月にはこの曲を収録した9thオリジナルアルバム『JUST BALLADE』を発売し、前作を上回る14万枚を売り上げた。

 

2010年以降

 

2013年2月には15周年記念ベストアルバムMISIA Super Best Records -15th Celebration-』を発売し、17万枚をセールスした。

 

2014年1月には30thシングル「僕はペガサス 君はポラリスを配信で先行発売。本曲は最高視聴率18.9%を記録したドラマ「S -最後の警官-」の主題歌に起用されたことで人気が普及し、10万ダウンロードを突破。久々にダウンロード認定を受けた。

 

2015年11月には33rdシングルオルフェンズの涙を発売。本曲はアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のエンディングテーマに起用された。これまでドラマタイアップを中心にヒットを出してきたMISIAだったが、このアニメタイアップにより新たな支持領域が開拓され、10万ダウンロードを突破するヒットとなった。この年の紅白歌合戦に出場してこの曲を披露したことも楽曲の普及を後押しした。

 

「アイノカタチ」配信50万ダウンロード&ストリーミング1億再生

 

2018年7月には久々の大ヒット曲が誕生した。35thシングル表題曲として配信先行発売された「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」である。本曲は最高視聴率19.2%を記録したドラマ「義母と娘のブルース」主題歌に起用されたことで人気が普及し、75万ダウンロードを突破した。

 

配信売上推移は以下のとおり。

 

  • 配信1ヶ月で10万ダウンロード突破
  • 配信3ヶ月で25万ダウンロード突破
  • 配信10ヶ月後の2019年5月に50万ダウンロード突破
  • 配信3年1ヶ月後の2021年8月に75万ダウンロード達成

 

また、この時期は音楽の聴き方がダウンロードからストリーミングへ移行しつつあったが、そのストリーミングでも1億再生を突破しており、長く聴かれ続けていることが窺える。

 

本曲はGReeeeNから楽曲提供を受けたことでも話題となり、コーラスにHIDEも参加している。ドラマにもマッチした温かい愛を描いた歌詞がMISIAの優しい歌唱で表現されていたことで2010年代の自身の楽曲では突出したヒットとなった。2018年から連続出場している紅白歌合戦でもこの曲が3年連続で歌唱曲に選ばれており、こうしたTV出演の増加も楽曲の普及を後押ししている。


MISIA - アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)(Lyric Ver.)

 

まとめ

 

ここまで見てきたとおり、MISIAは1998年に19歳でデビューして以降20年以上に渡り第一線での活躍を続けている。TV番組で歌唱を披露することは2012年に紅白歌合戦に初出場するまで一切なかったが、近年では徐々に出演機会を増やし始め、その圧倒的な歌唱表現力を再認識する機会も増えてきている。社会貢献活動も活発に行っており、今後も多岐に渡る活躍の一層の可視化が期待される。

 

ここで紹介したヒット曲を手っ取り早く入手するには、2013年に発売されたベストアルバムMISIA Super Best Records -15th Celebration-』がおすすめ。

 

Super Best Records-15th Celebration-

Super Best Records-15th Celebration-

  • アーティスト:MISIA
  • 発売日: 2013/02/20
  • メディア: CD
 

 

ただ、2018年発売の「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」は時期的に入っていないので、この曲は別途入手することになる。

 

アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)

アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)

  • アーティスト:MISIA
  • 発売日: 2018/08/22
  • メディア: CD
 

 

この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。

 

www.riaj.or.jp