L'Arc~en~Cielは1994年に「眠りによせて」でメジャーデビューした男性4人組ロックバンド。デビュー早々にブレイクし、以降2010年代前半にかけてヒット曲を大量輩出した。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は26曲で、認定総ダウンロード売上は365万(歴代32位タイ)となっている。これらのデータをランキング化した表は以下のとおりである。この表をもとにしながら、L'Arc~en~Cielのヒット史を振り返る。
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1994年-2006年
この期間の楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。
配信市場は2000年代中盤から後半にかけて拡大・定着していったが、2000年代前半までの過去曲をどのタイミングで配信解禁するかはアーティストそれぞれの判断により異なった。ラルクの場合は段階的に過去のヒット曲を一部ずつ解禁していく手法が採られた。
ラルクが凄まじいのは、配信解禁された過去のヒット曲の殆どが、解禁以降の売上の積み上げで10万ダウンロード以上を記録していることである。例えば90年代に発表された楽曲のうち、10万ダウンロード以上を売り上げたラルクの楽曲は11曲存在する。これは90年代以前発売曲のダウンロード認定曲数歴代1位記録である。
通常、90年代のヒット曲の人気は当時のシングルCD売上に表れる。当時はまだ配信市場が存在しなかった。いくら90年代の楽曲が人気でも、配信売上を重ねるためには、2000年代中盤以降も新たに楽曲を買い求める層が一定数出るほどの人気が維持されている必要があり、並大抵の人気では実現できない。
同時期に活躍したバンドの「90年代以前の楽曲で10万ダウンロード以上を売り上げている楽曲数」を調べると、サザンが7曲、B'z・ドリカム・スピッツが5曲、ミスチル・GLAYが0曲である。もちろん各アーティストごとにそもそも配信解禁に消極的だった等の個別事情はあるが、ラルクの11曲が抜けた数字になっていることは間違いない。
この記録からラルクは、90年代に全盛期を迎えたアーティストとしては特筆すべき規模で、2000年代に入ってからも新規ファンを獲得し続けていたことが窺える。
ただしラルクも全ての過去曲を配信市場に早期解放したわけではなく、例えば「NEO UNIVERSE」や「STAY AWAY」はなかなかフル配信解禁されなかった。
このような点に注意しつつ、この時期のラルクのヒット史をCD・配信双方の売上を基に時系列で振り返る。
結成~活動休止
L'Arc~en~Cielは1991年に兵庫県で結成された。その後はメンバーチェンジを経ながらもライブ活動を重ねて着実にファンを増やしていき、1994年7月にはビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューすることとなった。このときのメンバーはボーカルhyde、ギターken、ベースtetsuya(当時の名義はtetsu)、ドラムsakuraだった。
1994年10月には2ndオリジナルアルバム『Tierra』からアニメタイアップが付いた「Blurry Eyes」をシングルカット。CDシングルという形では今作がメジャー1枚目となった。カットという性質もありCD売上は10万枚を下回ったが、2006年に配信解禁されると、なんとその後の積み上げで2018年12月に10万ダウンロードを突破。CDシングル売上の数字を上回ってしまった。初期の人気曲としての確かな地位を築いていることはこのことから十分に窺える。
1995年9月には2ndシングル「Vivid Colors」などを収録した3rdオリジナルアルバム『heavenly』を発売。後の人気拡大とともに売上を伸ばすロングセールスで39万枚を売り上げた。
1996年は飛躍の年となった。まず7月に発売された4thシングル「風にきえないで」が21万枚をセールス。
畳みかけるように10月には5thシングル「flower」を発売し、自己最大セールスを更に更新する33万枚を売り上げた。この曲は初期の代表曲として認知が高く、ファン人気も非常に高い。それを証明するように、2006年に配信解禁されるとそこからの積み上げで2021年11月に25万ダウンロードを突破した。
L'Arc~en~Ciel「flower」-Music Clip-
間を空けず11月には6thシングル「Lies and Truth」を発売、29万枚を売り上げた。
そして12月にはこの年のヒット曲を収録した4thオリジナルアルバム『True』を発売。豪華な収録内容が後押しして登場週数110週の自身最大のロングヒットとなり、累計売上も142万枚となって自身初のミリオンセラーを記録した。年間でも1997年18位→1998年86位と推移した。
ここまではこれぞというきっかけがあったわけではないながらも、着実な活動を通じてジワジワと支持を広げることに成功しており、一過性の人気に留まらない下地が作られていたと言える。
しかし1997年2月にドラマーsakuraが覚醒剤取締法違反で逮捕されたことで、バンドは一時的な活動休止を余儀なくされた。このため、アニメ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」主題歌としてアルバム『True』からシングルカットされる予定だった「the Fourth Avenue Café」の発売も白紙となった。このシングルは2006年にデビュー15周年記念企画の一環で29thシングルとして発売が叶っている。配信も同年に解禁されると、そこからの積み上げで2014年3月に10万ダウンロードを突破する人気曲となっている。
全盛期
活動再開
1997年10月に活動を再開してからは一気に全盛期に突入していくこととなる。まずこの月に7thシングル「虹」を発売。ドラマーにはサポートメンバーyukihiroを迎え、3人体制で発表された楽曲となった。待望の活動再開ということもあって売上は一気に72万枚に達した。配信でも2006年に解禁され、そこからの積み上げで2014年1月に10万ダウンロードを突破した。
本曲は重低音の効いたロックバラード。バンドの状況や今後の歩みに向けた想いを示唆するhydeの叙情的な歌詞やMVの世界観が支持を集めた。
L'Arc~en~Ciel「虹」-Music Clip- [L'Arc~en~Ciel Selected 10]
1998年1月には8thシングル「winter fall」を発売。アルバム発売が控えていたにも拘わらず前作を更に上回る84万枚を売り上げた。配信は2007年に解禁され、そこからの積み上げで2021年12月に25万ダウンロードに到達。CDと配信の売上を合計すれば109万となりミリオンを超えている。このシングルからドラマーyukihiroが正式にメンバーに加入した。
L'Arc~en~Ciel「winter fall」-Music Clip-
2月には5thオリジナルアルバム『HEART』を発売し、155万枚を売り上げてまたも自己最高セールスを更新した。
この後も怒涛のリリース展開が続き、3月には9thシングル「DIVE TO BLUE」が発売されて85万枚をセールス。配信でも2006年に解禁され、そこからの積み上げで2015年7月に10万ダウンロードを突破した。
L'Arc~en~Ciel「DIVE TO BLUE」-Music Clip-
シングル3枚同時リリース
そして7月には歴史に残るヒットが誕生した。なんとCDシングル3枚同時発売を敢行したのである。これは同年4月にGLAYがシングル「誘惑」「SOUL LOVE」を2枚同時発売し商業的成功を収めたことに感化されてのものとも言われている。しかし3枚同時発売は殆ど前例がなかったため大きな注目の的となり、それに対応するように多くの広告も打たれた。この戦略の成功によってラルクはGLAYとともに1990年代後半のロックバンド全盛時代を築き上げることとなった。
3枚の中でどころか、今に至るまで自身最大のセールスとなったのが10thシングル「HONEY」。CDでは当時122万枚、のちの再発盤を加えて累計123万枚のセールスとなり、自身初のシングルCDミリオンセラー達成曲となった。年間でも1998年の7位を記録。配信では2006年に解禁され、そこからの積み上げで2016年12月に25万ダウンロードを突破。過去曲の中でも抜けたダウンロード売上になっている。
本曲はhyde作詞作曲のストレートなロックナンバー。高速回転するMVも印象的な疾走感溢れるキャッチーな仕上がりとなっているが、歌詞は死を迎えようとしている主人公が愛する人への想いを綴ったものになっているなど、分かりやすさだけでなく奥深さにも支持が集まった。
L'Arc~en~Ciel「HONEY」-Music Clip- [L'Arc~en~Ciel Selected 10]
3枚中2番目の売上となったのは11thシングル「花葬」。CDでは当時103万枚、のちの再発盤を加えて累計104万枚のセールスとなった。配信は2006年に解禁され、そこからの積み上げで2016年12月に10万ダウンロードを突破した。
本曲はken作曲のロックバラード。楽曲の雰囲気は非常に退廃的で明るい要素はほとんどないながらも、間奏でkenのギターソロが奏でる必殺のメロディーラインなどで構成された耽美的な世界観に大きな支持が集まることとなった。MVもその構成要素の一つで、この撮影のためにhydeが眉毛を全て剃り落としたことも話題となった。
一聴だけではあまりに難解でアンキャッチーな本曲がミリオンセラーとなるほどの大ヒットとなったことは時代・人気・戦略が合わさった奇跡と思えなくもないが、配信で2000年代以降も一定の売上を重ねていることを見れば、決して当時でないと受け入れられない曲というわけでもないことが分かる。
L'Arc~en~Ciel「花葬」-Music Clip- [L'Arc~en~Ciel Selected 10]
3枚中3番目の売上となったのは12thシングル「浸食 〜lose control〜」。3番目ながらもCD売上は93万枚であり、十分なヒットを記録した。この曲もken作曲で、変拍子を多用した非常にアンキャッチーなハードロックナンバーだったがやはり「花葬」同様に支持された。発売当初は「花葬」を上回る売上だったため週間最高位は「HONEY」に次ぐ2位を記録している。
なお「花葬」は週間最高4位となったが、ラルクの3枚同時発売に割り込んだのが同日発売されたB'z「HOME」で、ラルクの3枚と壮絶なデッドヒートを繰り広げた。発売週ではB'zが1位となったが翌週に「HONEY」が逆転して1位に浮上している。しかし「HOME」も負けじと96万枚を売り上げて「浸食 〜lose control〜」には売上で勝利している。これは音楽チャートの歴史に残る出来事と言えるだろう。
シングル2週連続リリース
興奮冷めやらぬ中、10月にはシングル2枚同時リリースを実施。第一弾となる13thシングル「snow drop」は114万枚を売り上げるミリオンセラーとなった。配信でも10万ダウンロードを記録。なお本曲はtetsuya作曲のキャッチーなナンバーで、これでデビュー当時からのメンバーであるhyde、ken、tetsuyaの3人全員がミリオンナンバー作曲者となった。メンバー全員がそれぞれ高い作曲能力を持っていることもラルクの大きな強みである。
L'Arc~en~Ciel「snow drop」-Music Clip-
第二弾となる14thシングル「forbidden lover」はken作曲のアンキャッチーなナンバーだったが、やはり当時の勢いは絶大で83万枚を売り上げた。
アルバム2枚同時リリース
1999年も精力的な活動が続いた。4月には15thシングル「HEAVEN'S DRIVE」を発売。自己最高の初動売上となる63万枚を記録し、最終累計112万枚を売り上げた。年間では1999年の9位を獲得。配信でも2006年に解禁され、そこからの積み上げで2019年9月に10万ダウンロードを突破している。本曲はhyde作曲のストレートなロックナンバー。
L'Arc~en~Ciel「HEAVEN'S DRIVE」-Music Clip-
6月には16thシングル「Pieces」を発売。アルバム先行シングルという性質もあり売上は下がったが、それでも73万枚を売り上げるヒットとなった。
7月にはここまで溜まったヒットシングルをまとめるべく、オリジナルアルバム2枚同時リリースを敢行した。これも当時非常に珍しかったため大きな注目を集めることとなり、また発売日もノストラダムスの大予言における世界滅亡の日に合わせたことも話題性に拍車をかけた。結果として6thオリジナルアルバム『ark』が227万枚を売り上げ1999年の年間4位、同7th『ray』が213万枚で1999年の年間6位に入る特大ヒットを記録した。
8月には『ray』に収録されていたアニメ「GTO」主題歌「Driver's High」をシングルカットし、34万枚を売り上げた。カットという性質上売上は少なくなったが、tetsuya作曲のキャッチーでノリの良いこの曲はCD売上枚数以上の楽曲人気を有することとなり、ライブでは盛り上がる定番曲として披露され続けているほか、カラオケでの人気も高い。
このことを証明するように、配信では2006年に解禁されるとそこからの積み上げで2015年3月に25万ダウンロードに到達している。90年代のラルクの楽曲の中では「Driver's High」が最短の所要日数で25万ダウンロードに到達していることから、本曲はラルクの代表曲と言って差し支えない。
L'Arc~en~Ciel「Driver's High」-Music Clip- [L'Arc~en~Ciel Selected 10]
ミレニアム~実質的な活動休止
10月には18thシングル「LOVE FLIES」を発売し、51万枚をセールス。
翌2000年1月には2000年代突入第一弾シングルとして両A面の19thシングル『NEO UNIVERSE/finale』を発売。1曲目の「NEO UNIVERSE」はken作曲で、新時代突入を象徴するように打ち込みが多用されているほか、MVも近未来都市をイメージして制作された。これまでのkenの楽曲にはあまり見られなかった開放感が特徴の本曲は資生堂のCMソングとしてもオンエアされ、時勢を捉えた曲として支持を集めた。
CDでは110万枚を売り上げるミリオンセラーとなり、年間でも2000年の10位を獲得。配信では2012年に至るまで解禁されなかったためなかなか売上を積むことができなかったが、解禁から約10年5ヶ月経過した2023年4月に10万ダウンロードを突破。息の長い人気を示した。
L'Arc~en~Ciel「NEO UNIVERSE」-Music Clip-
6月にはドラマーyukihiroによるリミックスアルバム『ectomorphed works』が発売され、22万枚をセールス。
7月には20thシングル「STAY AWAY」を発売し、73万枚をセールス。本作はGLAY「MERMAID」、サザンオールスターズ「HOTEL PACIFIC」との同時発売が話題となった。結果は初動が52万枚でGLAY(ラルクは50万枚で惜しくも2位)、累計が82万枚でサザンに軍配という結果になったが、実は同日には中島みゆき『地上の星/ヘッドライト・テールライト』も発売されていて、数年かけてこの3作を上回る最終累計111万枚を記録するという、音楽チャートの歴史に残る週となった。
8月には8thオリジナルアルバム『REAL』を発売し、109万枚を売り上げた。
今作を区切りとして、それまでの怒濤のリリースペースから一転してラルクの活動は極端に停滞するようになり、数年間は各メンバーのソロ活動がメインとなった。そんな中でも、2001年3月には自身初のベストアルバム『Clicked Singles Best 13』を発売し、124万枚をセールス。同年9月には21stシングル「Spirit dreams inside -another dream-」を発売し、28万枚を売り上げている。
2001年10月にはボーカルhydeが大文字表記HYDE名義でソロデビューし、1stシングル「evergreen」が33万枚をセールス。翌2002年3月にはこの曲も収録した1stオリジナルアルバム『ROENTGEN』が20万枚をセールスした。
ここまでのHYDEのソロ曲は静かな曲がメインだったが、翌2003年は激しい曲をメインにした活動にシフトし、6月発売の4th「HELLO」は14万枚をセールス。12月にはこの曲も収録した2ndオリジナルアルバム『666」が13万枚を売り上げた。
2度目の活動再開
特に公式発表されていたわけではないが実質的な活動休止状態となって数年が経過した2003年には復活の兆しを見せ始め、3月には3枚のベストアルバムを同時発売。『The Best of L'Arc-en-Ciel 1994-1998』が18万枚、『The Best of L'Arc-en-Ciel 1998-2000』が19万枚、『The Best of L'Arc-en-Ciel c/w』が14万枚を売り上げた。6月には2年半ぶりのライブを開催し、解散説を一蹴、翌年の活動に向けた告知が行われた。
2004年2月には2年5ヶ月ぶりとなる22ndシングル「READY STEADY GO」を発売。本曲は人気アニメ「鋼の錬金術師」第2期主題歌にも起用されたことでアニメファンにも親しまれた。testuya作曲の楽曲も活動再開を象徴するように勢いあるスタートダッシュがイメージされるようなリズミカルなロックナンバーになっていたことで支持が拡大し、前作を上回る31万枚を売り上げた。
配信でもこの曲の人気を証明するように一際好調な売上となり、2005年に解禁されるとそこからの積み上げで2012年4月に25万ダウンロードを突破。認定所要日数自身2位のペースでの達成であり、2000年代のラルクを代表する曲と言って差し支えないだろう。
L'Arc~en~Ciel「READY STEADY GO」-Music Clip-
間髪入れず3月には23rdシングル「瞳の住人」を発売。アルバム先行シングルという性質がありながらも17万枚をセールスした。配信は2007年に解禁され、そこからの積み上げで2011年9月に10万ダウンロードを突破している。珠玉のロックバラードである本曲だが、カラオケで歌おうとすると肝心のサビにおいて使われる音程裏声hihiAが常人にはなかなか出せないというのが悩ましいところだ。
同月には9thオリジナルアルバム『SMILE』を発売し、37万枚を売り上げた。なお本作は、時期悪く当時のCD不況対策として導入されていた悪名高いCCCDの中でも特にガードが固いレーベルゲートCD2が採用されてしまっており、PCには取り込むことができないので、CDで入手する際には後発されている通常CDを選んだほうが良いことに注意が必要だ。
6月には24thシングル「自由への招待」が発売され、21万枚をセールス。配信も同月に解禁され、コツコツと売上を積み上げて2014年1月になって10万ダウンロード認定を受けた。
2005年はハイペースでのリリースが続いた。まず1月に25thシングル「Killing Me」が19万枚を売り上げる。
4月には26thシングル「New World」が18万枚を売り上げた。配信でも同月解禁され、コツコツと売上を積み上げて2016年8月になって10万ダウンロードを突破している。本曲はドラマーyukihiroがhydeと共作という形で初めてシングル表題曲の作曲を担当した。
翌5月には27thシングル「叙情詩」が14万枚をセールス。6月には10thオリジナルアルバム『AWAKE』を発売し、35万枚を売り上げた。
7月には28thシングル「Link」を発売し、23万枚をセールス。本作はGLAY×EXILE「SCREAM」、サザンオールスターズ『BOHBO No.5/神の島遥か国』との同時発売が2000年の対決の再現だとして話題となった。結果は初動・累計ともにGLAY×EXILEに軍配が上がっている(ラルクは2000年の時と同じく2位)。なお同週にはBUMP OF CHICKEN「プラネタリウム」も新譜としてノミネートしていたが、まるで3者の対決に割り込むことを遠慮するかのように一日遅れて木曜に発売され、そのせいか僅差で4位発進となったものの、最終CD累計ではラルクとサザンを上回る…というやはり音楽チャートの歴史に残る週となった。
ただし、配信ではこの4曲の中でラルクが最も多い25万ダウンロード認定を2014年1月に受けていることも押さえるべき点である。「Link」は人気アニメの映画「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」主題歌に起用され、アニメファンにも親しまれたほか、作曲したtetsuyaが得意とする明るいナンバーとなっていたことで人気を博した。
全盛期を想起させる怒涛のリリース展開はこのシングルを以てストップし、以降は再びソロ活動が活発化する期間に入った。中でも2006年2月に発売されたHYDEの7thシングル「SEASON'S CALL」が10万枚を記録する活躍となり、この曲を収録した3rdオリジナルアルバム『FAITH』も12万枚を売り上げている。
2006年9月には結成15周年記念で過去の8cmシングルを12cmシングルとして一斉に再発売した。その中でも「the Fourth Avenue Cafe」の9年越しの発売が目玉となったことは上述したとおりである。
2007年 -KISS-
2007年はラルクとしての活動がメインとなった。この頃になると配信市場が音楽を聴く環境のメインとなり、CDと配信の同時発売が当たり前になっていったほか、多くの楽曲がCD売上よりもダウンロード売上の方が多くなる傾向が強くなっていった。ラルクの場合はCDと配信の双方で安定した売上を残している。
この年発売された楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。
2007年5月には再始動を飾る30thシングル「SEVENTH HEAVEN」が配信10万ダウンロード、CD14万枚をセールス。本曲はhyde作曲のナンバーで、楽曲構成やMVの世界観は非常に難解なものとなったが、不思議な中毒性もあったことで安定した売上を記録した。
8月には31stシングル「MY HEART DRAWS A DREAM」を発売し、配信10万ダウンロード、CD14万枚をセールス。本曲はkenの作曲で、イントロのギターラインをはじめとした開放的な雰囲気のある名曲。前曲とは対照的な楽曲内容だったが、変わらぬ安定的な支持を集めた。
10月には32ndシングル「DAYBREAK'S BELL」を発売し、配信25万ダウンロード、CD18万枚をセールス。特に配信では認定所要日数自身最短での25万ダウンロード認定となっており、このことを以て冒頭に示したダウンロード売上データでは本曲を1位としている。前後作品比好調な売上となった要因の一つには、人気アニメ「機動戦士ガンダム00」1stシーズンの主題歌となったことも挙げられる。女性目線の反戦歌という楽曲内容もMVの世界観と相まって支持を集めた。
L'Arc~en~Ciel「DAYBREAK'S BELL」-Music Clip-
11月には33rdシングル「Hurry Xmas」を発売し、配信10万ダウンロードを記録。hydeが作曲した、その名のとおりストレートなクリスマスソングである。CDでも12万枚を記録。以降、2010年にかけて毎年クリスマスの時期に仕様を変えて再発売され、それら再発盤を含めた合計CD売上は18万枚となっている。
同月には「Link」から「Hurry Xmas」までのヒットシングルを収録した11thオリジナルアルバム『KISS』を発売し、32万枚を売り上げた。
2008年-2012年 -BUTTERFLY-
この期間のうちラルクの活動が活発だったのは2008年と2011年となり、2000年代突入以降の活動の活発化と停滞というサイクルはお馴染みとなりつつあった。音楽環境はますます配信市場が拡大し、CD市場は縮小していたが、配信売上になかなか注目が集まらずにCD売上ばかりが実態と異なる形で楽曲人気指標として重視される状況にますます拍車がかかり、高配信売上曲の人気過小評価が蔓延していた。そんな中でもラルクはCDと配信の双方で安定した売上を継続した。
この時期に発売された楽曲を配信開始日順に並べたダウンロード売上データは以下のとおり。
2008年4月には34thシングル「DRINK IT DOWN」を発売し、配信10万ダウンロード、CD12万枚をセールス。本曲はシングル表題曲としては初めてyukihiroが単独で作曲を担当しており、その個性は打ち込みなど多様な音を取り入れたサウンドに現れている。タイアップ先のゲーム「DEVIL MAY CRY 4」にもマッチしたダークな雰囲気も支持を集めた。
8月には35thシングル『NEXUS 4/SHINE』を発売。CD売上では前作を上回る13万枚を記録したが、両曲ともダウンロード認定は今のところ受けていない。
このシングルを区切りとして再びラルクとしての活動は停滞し、結成25周年の2011年までライブ活動を行わないことが宣言されたが、間の2010年1月には36thシングル「BLESS」を発売している。hyde作曲で、ストリングスを活用した壮大なバラードに仕上がっているこの曲は冬季バンクーバー五輪のNHKテーマソングとして親しまれ、配信10万ダウンロード、CD10万枚を記録した。
同年3月にはメンバーセレクトベスト『QUADRINITY~MEMBER'S BEST SELECTIONS~』が発売され、11万枚を売り上げている。
2011年6月には37thシングル「GOOD LUCK MY WAY」を発売。映画「鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星」主題歌というタイアップやtetsuya作曲のキャッチーな楽曲は「READY STEADY GO」を彷彿とさせる活動再開の幕開けとなった。配信売上は同年中に10万ダウンロードに到達する好調な売れ行きを記録。CD売上も安定して10万以上を記録していたが、この頃になるとAKB商法などの普及でシングルCD売上が楽曲人気指標としての機能を完全に失ったため、楽曲人気を知りたい場合にシングルCD売上に言及する必要性は完全に消滅した。
10月には38thシングル「XXX」を発売し、10万ダウンロードを記録。本曲はhyde作曲で、ラルクらしさ溢れる妖艶な一曲。2008年から始まった総合音楽チャートBillboard JAPAN Hot 100では自身唯一の週間1位を獲得している。
12月には39thシングル「CHASE」を発売し、10万ダウンロードを売り上げた。本曲はhydeとkenの共作によって作られた、疾走感のあるデジタルチックなロックナンバーとなっている。
翌2012年2月にはこの期間のヒットシングルを詰め込んだ12thオリジナルアルバム『BUTTERFLY』を発売し、23万枚を売り上げた。
今のところ本作が最後のオリジナルアルバム発売となっており、以降はラルクとしての活動は殆ど行われなくなっている。それでも数年に一度のペースでライブが開催されるなど、完全に活動休止しているというわけではなく、今後もソロ活動とのバランスを取りながらマイペースに活動を継続していくことが予想される。
まとめ
以上まで見てきたとおり、L'Arc~en~Cielは持続的な人気により多くの楽曲で好調な配信売上を記録しており、その源泉はメンバー全員に作曲能力があることによる多彩な楽曲群にあった。各曲の奥深く完成された世界観が支持されていることから、何度活動が停滞しても根強い人気を保つことに成功しており、次なるオリジナルアルバムの発売にも期待がかかっている。気長に待つこととしたい。
以上までに紹介したヒット曲を手っ取り早く入手するには、2003年に発売された2枚のベストアルバム『The Best of L'Arc-en-Ciel 1994-1998』『The Best of L'Arc-en-Ciel 1998-2000』がおすすめ。20世紀中に発表されたヒット曲が完璧に網羅されている。
21世紀のヒット曲をメインに収録しているベストアルバムは、今のところ2011年に発売された『TWENITY 2000-2010』のみとなっている。本作はヒットシングルの抜けが多いのだが、大味でもざっと歴史を辿れる作品としてはおすすめできる。
この記事で紹介したダウンロードデータは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのダウンロード数を検索してみることをおすすめする。