この記事では2000年代のヒット曲10選を選出することを試みた。先に結果を示すと以下のとおりとなった。

- 2000年代の楽曲人気指標
- 選出方法
- 2001年 宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」
- 2002年 元ちとせ「ワダツミの木」
- 2004年 平井堅「瞳をとじて」
- 2005年 ケツメイシ「さくら」
- 2005年 オゾン「恋のマイアヒ」
- 2006年 倖田來未「恋のつぼみ」
- 2007年 宇多田ヒカル「Flavor Of Life」
- 2008年 青山テルマ feat.SoulJa「そばにいるね」
- 2008年 GReeeeN「キセキ」
- 2009年 EXILE「ふたつの唇」
- まとめ
2000年代の楽曲人気指標
選出にあたって考慮した指標は以下のとおりである。
- CDシングル売上
2000年代中盤までの楽曲視聴方法の主流。当時CD売上指標として最も有名だったのはオリコンシングルランキングであったが、ここでは楽曲人気指標としてより優れた結果を出していたサウンドスキャンシングルチャートを参照する。参考までに両者の年間1位結果を比較した表を以下に示す。

当時オリコンとサウンドスキャンでは複数種販売施策への対応が異なっており、オリコンは同一タイトルの盤種を合算する一方で、サウンドスキャンは同一タイトルでも盤種が異なる場合は別集計としていた。オリコンのCD売上枚数は、複数種販売施策の影響が強く出ており、実際の購入者数と乖離していると思しきケースが散見されていた。楽曲人気の広がりを計るうえではサウンドスキャンの方がより解像度が高い結果を見せていた。
- 着うた売上
2000年代中盤の楽曲試聴方法の主流
- フル配信ダウンロード売上
2000年代後半~2010年代の楽曲視聴方法の主流。
上記内容は基本的に当ブログの以下記事に準拠している。
選出方法
基本的に各年の楽曲人気年間1位相当曲を選出する。2005年まではCDシングル売上枚数が楽曲人気指標として機能していたため、基本的にサウンドスキャンシングルチャートの年間1位を選出する。ただし、選出時点でYouTubeに公式動画*1が公開されていない2曲は、その他の諸事情も踏まえたうえで選出を見送った。*2
2006年以降においては、「日本音楽ヒットチャートのCD偏重問題」が発生していた。これは「国内に楽曲人気指標として使用可能な総合ヒットチャートが存在しない」という最悪の事態であった。詳細は以下記事で説明している。
このため当該期間においては楽曲人気年間1位相当曲を独自推定するほかない。当ブログではRIAJダウンロード認定に着目し、各年内に発売された楽曲の、当該年末までにRIAJより認定されたフル配信ダウンロード売上・着うた売上と、各年のサウンドスキャン年間シングルチャートで記録されたCD売上枚数を「人気10点=CD10万枚=フル配信10万ダウンロード=着うた50万ダウンロード」として合算して推定した。
新たな楽曲人気指標として登場したフル配信ダウンロード売上と着うた売上においては、それぞれRIAJ認定数最多を記録した歴代1位楽曲が2000年代に輩出されているため、この2曲を空いている2枠にあてがった。
これらの結果と、その他の主な指標の年間1位結果を並べた「2000年代の主要楽曲人気指標 年間1位変遷表」は以下のとおりである。

2001年 宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」

2001年の年間1位は宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」。本曲は2001年2月に発売された。最高視聴率36%を記録した大ヒットドラマ『HERO』の第1期主題歌となったことや、リズミカルなメロディーと想像をかき立てる歌詞が強い印象を残したこと等により、大ヒットに至った。
2002年 元ちとせ「ワダツミの木」

2002年の年間1位は元ちとせ「ワダツミの木」。オリコンの年間1位は浜崎あゆみ『H』であり、「ワダツミの木」は年間3位であったが、その売上差は比較的小さかったうえ、サウンドスキャンでは追加発売された『H』のミリオンヒット記念盤を別集計としていたこと等から異なる結果となった。なおオリコン年間2位の宇多田ヒカル「traveling」は前年11月発売曲であり、集計期間の違いから、サウンドスキャンでは集計割れを起こした。
「ワダツミの木」は2002年2月に発売された元ちとせのデビューシングル。元ちとせは鹿児島県奄美大島出身で、奄美民謡をルーツにした歌唱法が独特かつ幻想的な世界観を確立していたことから徐々に支持を広げていき、デビュー曲にして年間1位を獲得する大ヒットとなった。
2004年 平井堅「瞳をとじて」

2004年の年間1位は平井堅「瞳をとじて」。本曲は2004年4月に発売された。興行収入85億円を記録した映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌に起用されたことで注目が集まり、映画にもリンクする切ない歌詞や持ち前の個性的な歌声による表現が涙腺を刺激する形で支持を拡大した。
2005年 ケツメイシ「さくら」

2005年の年間1位はケツメイシ「さくら」。オリコンの年間1位は修二と彰「青春アミーゴ」だったが、サウンドスキャンでは『青春アミーゴ』の通常盤と初回限定盤を別集計としていたため、異なる結果となった。なお『青春アミーゴ』の通常盤と初回限定盤では付属するブックレットの内容等が異なっていた。
本曲は2005年2月に発売された。ノンタイアップでありながらも、春に舞う桜の情景とドラマが浮かぶ美しいメロディ&ライムが支持を集め、自身最大のセールスを記録。ケツメイシの代表曲となった。
2005年 オゾン「恋のマイアヒ」
「恋のマイアヒ」はモルドバ出身の音楽グループであるオゾンが2003年に発売した楽曲で、原題は「Dragostea Din Tei」である。ルーマニア発で世界的に人気を広げていた本曲は、日本でも2004年に名古屋のFMラジオ局でパワープレイされたことなどから広まり始め、空耳を元にしたFlashムービーが2ちゃんねるを中心に受けたこと等から、2005年に人気のピークを迎えた。

レコチョクフル配信ダウンロード・着うた売上ランキングでは2005年の年間1位を獲得。累計では着うた400万ダウンロード、フル配信35万ダウンロードを記録した。特に着うた売上は史上最多記録となる。
2006年 倖田來未「恋のつぼみ」
「恋のつぼみ」は2006年5月に発売された倖田來未の31stシングル。本曲は片想いの恋心をキュートな関西弁で綴った歌詞が支持された。最高視聴率19%を記録したドラマ『ブスの瞳に恋してる』の主題歌に起用されたことも楽曲の普及を後押しした。

本曲は2006年内にフル配信25万ダウンロード、着うた200万ダウンロード、CD28万枚を突破しており、特に年内の着うた200万ダウンロード突破は2006年発売曲で唯一であること等から、当ブログが推定する楽曲人気年間1位となった。
2007年 宇多田ヒカル「Flavor Of Life」
「Flavor Of Life」は2007年2月に発売された宇多田ヒカルの31stシングル。本曲のバラードバージョン「Flavor Of Life -Ballad Version-」は1-3月期に放送されたドラマ『花より男子2(リターンズ)』の挿入歌に起用された。ドラマが最高視聴率27%を記録するほどの大人気であったことや、いわゆる「良い所」で楽曲が流れる効果的な使われ方をしたことで、原曲にも大ヒットをもたらした。

2007年内の売上だけでダウンロードミリオンを突破しており、CD売上と併せて当ブログが推定する楽曲人気年間1位となった。iTunesダウンロード売上ランキングでも年間1位を獲得しているほか、バラードバージョンもレコチョク着うた売上ランキングで年間1位を獲得している。累計では、原曲がフル配信125万ダウンロード、着うた100万ダウンロード、バラードバージョンがフル配信85万ダウンロード、着うた200万ダウンロードを記録している。
2008年 青山テルマ feat.SoulJa「そばにいるね」
「そばにいるね feat. SoulJa」は2008年1月に発売された青山テルマの2ndシングル。本曲は前年に発売され大ヒットを記録していたSoulJa「ここにいるよ feat. 青山テルマ」のアンサーソングである。遠距離恋愛の切なさを歌う歌詞が支持され、NTT DoCoMoのCMソングに起用されたことも普及を強力に後押しした。

ダウンロード売上は2008年内にダブルミリオンを突破しており、CD売上と併せて当ブログが推定する楽曲人気年間1位となった。iTunesダウンロード売上ランキング、レコチョク着うた・フル配信ダウンロード売上ランキング、サウンドスキャンシングルチャートでも年間1位を獲得しており、各指標を席巻した。累計ではフル配信300万ダウンロード、着うた300万ダウンロードを記録している。
2008年 GReeeeN「キセキ」
「キセキ」は2008年5月に発売されたGReeeeNの7thシングル。本曲は最高視聴率19%を記録した人気ドラマ『ROOKIES』の主題歌として書き下ろされた。真っ直ぐに相手を想う歌詞が強く支持され、ドラマの人気も楽曲の普及を強力に後押しした。

Billboard JAPAN Hot 100では2008年の年間1位を獲得。主な各指標の累計はフル配信400万ダウンロード、着うた300万ダウンロードを記録した。特にフル配信ダウンロード売上は史上最多記録となる。
2009年 EXILE「ふたつの唇」
「ふたつの唇」は2009年11月に発売されたEXILEの32ndシングル『THE GENERATION~ふたつの唇~』の表題曲。本曲は「Lovers Again」や「Ti Amo」で絶大な人気実績を示した松尾潔とJin Nakamuraが三たびタッグを組んで作られた王道ウィンターバラード。最高視聴率18%を記録したドラマ『東京DOGS』主題歌に起用されたこともあり、顕著な人気が記録された。

10月リリースでありながら歴史的なスピードで売上が積み上げられ、年内にダウンロードミリオンを突破していること等から、当ブログが推定する楽曲人気年間1位となった。累計ではフル配信125万ダウンロード、着うた200万ダウンロードを記録している。
まとめ
以上が簡潔な2000年代のヒット曲総括となる。
2000年代後半は音楽ヒットチャートが迷走を始めていたため、「今年は大ヒット曲がなかった」というような論調が蔓延しつつあったが、こうしてデータを整理すれば、2000年代後半も毎年大ヒット曲が生まれていたことがはっきりと確認できる。いつの時代も、音楽は身近にあり、ヒット曲は生まれていく。ヒットを映す鏡さえ見落とさなければ、音楽が終わることはない。2010年代に入るとヒットチャートを巡る状況は最悪を極めることとなるが、それでもヒット曲が毎年生まれ続けていたことは、本記事の続きとなる以下記事『2010年代のヒット曲10選』で説明している。