Billion Hits!

ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、Billboard JAPAN Hot 100などのデータを通じて国内の楽曲人気動向を把握するブログ

2025年のヒット曲【Billboard JAPAN年間チャート総括】

この記事では2025年のヒット曲Billboard JAPAN年間チャートを通じて振り返る。

 

2025年のBillboard JAPAN Hot 100年間TOP30は以下のとおりとなった。

 

 

 

 

 

Hot 100

 

年間上位曲ピックアップ

 

Mrs. GREEN APPLEライラック

 

1位はMrs. GREEN APPLEライラック

 


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2024年4月にリリースされた本曲は、アニメ『忘却バッテリー』の主題歌に起用されたことや、「青と夏」アンサーソングとして位置づけられる青春ポップロックナンバーだったことから大人気を博し、2024年の年間5位を獲得していたが、2025年度に入ってからも人気が衰えないどころか、2024年の日本レコード大賞を受賞したことなどをはじめとした年末音楽番組での披露によって人気が再び拡大を始めた。

 

さらにMrs. GREEN APPLEは、年明けに放送されたバラエティ特番『さんま・玉緒のあんたの夢かなえたろか30周年SP』に出演した。番組は、休校が決まり新年度から離れ離れになることとなった北海道標茶町の小学校の児童4名のもとへメンバーがサプライズ訪問し、児童たちを勇気づける内容。そこでの温かい交流や、児童たちに真摯に向き合うメンバーの人柄は大きな評判を呼んだ。

 

この番組内では「ライラック」と「ケセラセラ」が児童たちのために演奏され、感動する児童たちの涙にもらい泣きする視聴者も続出した。この番組の大反響と、前年末の音楽特番出演効果が重なり、ライラック」の楽曲人気は発売から9ヶ月が経過した2025年1月に絶頂を迎えた。Hot 100の総合ポイント週次推移にその模様ははっきりと表れている。

 

 

特にバラエティ番組への出演は、普段音楽番組を見ない層へのリーチも可能とし、既存のリスナー層を超えた楽曲認知拡大に寄与したと思われ、それもあってのここにきてのピーク更新となった。

 

こうした動向によって「ライラック」は高水準の楽曲人気の「持続力」が歴史的な規模となった。Billboard JAPAN Streaming Songsでは、通算31週週間再生回数1,000万超えを記録したが、これはYOASOBI「アイドル」の29週を上回る歴代最多記録となった。

 

 

各指標の累計は既にストリーミング8億再生、MV2億再生、フル配信25万ダウンロードを突破しており、今なお自身最速ペースで記録更新を続けている。この高水準の持続力により、本曲は2024年上半期リリース曲でありながら2025年の年間1位を獲得するに至った。

 

Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」

 

2位はMrs. GREEN APPLE「ダーリン」NHK主催イベント『18祭』の2024年のテーマソングとしてリリースが待ち望まれ、1月に満を持してリリースされた壮大なバラードナンバーである。誰もが一度は感じたことがあるであろう、自分らしさとは何なのかと思い悩む孤独に寄り添い、自立を支えてくれるような内容が支持され、累計は早々にストリーミング2億再生を突破した。


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ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」

 

3位はロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」BLACKPINKROSÉと、Bruno Marsによるコラボ曲であり、2024年10月にリリースされた。韓国の飲み会でのゲームから着想を得て制作されており、コールのようにタイトルを繰り返すサビが全世界的にインパクトを与えた。日本国内でも大人気を博し、その累計はストリーミング2億再生を突破している。


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米津玄師「IRIS OUT」

 

4位は米津玄師「IRIS OUT」

 


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アニメ映画チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として書き下ろされた本曲は「KICK BACK」以来となるチェンソーマン』主題歌とあってリリース前から期待が高まっており、それが爆発的な初動楽曲人気記録に変換された。まず本曲は映画公開4日前の2025/9/15(月)にリリースされ、同日のSpotifyデイリーチャート59.6万再生を記録配信初日再生回数歴代最多記録を樹立した。

 

 

その後も楽曲の評判の拡大や映画公開とともに再生回数はうなぎ登りに上昇し、リリース4日目の2025/9/18(木)では75.8万再生を記録Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の74.6万を上回り、デイリー再生回数歴代最多記録を更新した。さらにリリース7日目の2025/9/21(日)付では101.9万再生を記録し、史上初のデイリーミリオンを達成。リリース9日目の2025/9/23(火・祝)付ではピークとなる106.6万再生を記録した。

 

 

DSPの再生回数を集計しているBillboard JAPANでもこの猛烈な勢いが反映され、なんと初登場から僅か所要4週ストリーミング1億再生を突破。YOASOBI「アイドル」の所要5週を上回り、ストリーミング1億再生達成所要週数歴代最速記録を樹立した。

 

 

本曲では、ピアノサウンドとラップによってエッジを効かせた高速ビートに、衝動的かつ狂気的な愛情を表現した歌詞と歌唱を載せたことで濃密な世界観が演出されており、僅か2分半の演奏時間でありながら聴き所満載となっている。累計は既にストリーミング2億再生、MV1億再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。

 

年間チャートにおいては、集計期間の短さが不利となる下半期リリースだったことで4位となっているが、むしろ短期間で年間4位に上り詰めるほどの勢いであったと捉える方が正確で、一連の記録からしても本曲は2025年度リリース曲としては最大ヒットであると言って良い。

 

HANA「ROSE」

 

6位はHANA「ROSE」

 


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HANAは、ちゃんみなプロデュースのもと、ガールズグループオーディション番組『No No Girls』から誕生し当年デビューした女性ダンス&ボーカルグループ。このオーディションは、体型・声・年齢等の応募条件を設けないことで、これまで拾われなかった参加者の個性や才能を活かし、世界で活躍できるガールズグループへと導くことをコンセプトとしており、多くの視聴者を引き込むストーリー性を有していた。

 

その中でデビュー曲として4月にリリースされた「ROSE」は、『どんな姿でも、どんな環境でも、力強く生き抜きたい』という『強い意志』を表現した楽曲となっており、上述のコンセプトを体現する内容でリスナーに大きなインパクトを残した。累計はストリーミング2億再生を突破しており、国内女性ダンス&ボーカルグループの楽曲としてはNiziU「Make you happy」以来史上2曲目の快挙を達成している。

 

サカナクション「怪獣」

 

7位はサカナクション「怪獣」。アニメ『チ。-地球の運動について-』主題歌として書き下ろされ、2月にリリースされた。アニメは中世ヨーロッパを舞台に、当時弾圧されていた地動説に信念を懸け、次世代に継承していく「異端」の人々の生き様を描いており、それを「怪獣」に喩えた秀逸な歌詞や、ロマンと不穏が同居したようなサウンド等が本曲のフックとなった。サカナクションの楽曲としても、ボーカル山口一郎の体調不良を経てリリースされる約3年ぶりの新曲として渇望されていたことも合わさり、初動楽曲人気はロケットスタートを記録。累計はストリーミング2億再生を突破している。

 


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米津玄師「Plazma」

 

10位は米津玄師「Plazma」。人気アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』および同年1月公開のその劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』の主題歌として書き下ろされ、1月にリリースされた。登場人物が運命の邂逅を経ながら魂をぶつけ合う世界観を表現した歌詞や、初期ボカロP時代を彷彿とさせる高速ビートやリリースカットピアノを駆使したサウンドが本曲のフックとなった。映画が興行収入35億円を突破するヒットとなったことも後押しし、各指標の累計はストリーミング1億再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。

 


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CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」

 

12位はCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」

 


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本曲はFRUITS ZIPPERなども所属するアイドルプロジェクトKAWAII LAB.』から誕生したCUTIE STREETが2024年9月にリリースしたデビュー曲である。他にFRUITS ZIPPERCANDY TUNEも輩出しているこのプロジェクトは、メンバー全員が主役という発想で、各自の個性的な可愛さを前面に押し出しながら、印象的かつ自己肯定感を高める歌詞をフックとした楽曲を複数輩出し、一大ムーブメントを築き上げた。その中でもTikTokでの反響も大きかった本曲が特に高人気となり、累計はストリーミング2億再生を突破。国内女性ダンス&ボーカルグループの楽曲としてはNiziU「Make you happy」、HANA「ROSE」に続く史上3曲目の快挙を達成した。

 

国内女性ダンス&ボーカルグループは、ストリーミング時代に突入して以降、久しく楽曲人気の盛り上がりから遠ざかっており、K-POPアーティストに代表される国外勢に楽曲人気の国内シェアを大きく譲り渡していた。その中で台頭したCUTIE STREETの人気は、本ジャンルの今後の盛り上がりを占う観点からも見過ごせない現象であるが、当年の『NHK紅白歌合戦』にCUTIE STREETは選出されなかった。本曲の人気過小評価と本ジャンルの発展志向の乏しさが非常に懸念される状況となっている。

 

HANA「Blue Jeans」

 

13位はHANA「Blue Jeans」

 


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「ROSE」に続くHANAの2ndシングルとして7月にリリースされた本曲は、自身初のミドルバラード・ラブソング。着飾らない恋の甘酸っぱい記憶が、印象的なサビの歌詞やダンスパフォーマンスで表現されており、音数の少ないクールなサウンドもその表現力を際立たせた。ありのままの自分を大切にする軸を維持しつつ「ROSE」とはまた異なる新たな魅力を打ち出したことで、HANAの人気はますます拡大した。

 

本曲は「ROSE」をも上回る初動楽曲人気となっており、国内女性ダンス&ボーカルグループとしては「週間ストリーミング再生回数歴代最多記録」および「ストリーミング1億再生突破所要週数歴代最速記録」を樹立している。年間順位上は「IRIS OUT」同様、下半期リリースだったことによる集計期間の短さが不利となったが、実際のヒット規模は「ROSE」に匹敵する年間TOP10級だと言える。

 

Creepy Nuts「オトノケ」

 

16位はCreepy Nuts「オトノケ」。アニメ『ダンダダン』主題歌として2024年10月にリリースされた本曲は、オカルトをテーマにしたアニメの内容から着想が得られており、霊が人間の感情にシンクロして取り憑く設定をアーティストとリスナーの関係に当てはめ、「物の怪」ならぬ「音の怪」として表現している。こうしたユニークさが反響を呼んだことで、各指標の累計はストリーミング2億再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。

 


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週間1位結果の健全性確認

 

2025年の年間TOP20ランクイン曲の年度内週間1位獲得実績は以下のとおり。

 

    →合計25週

 

この25週という数字は、「年間TOP20ランクイン曲の1位獲得週数」適正水準目安としている20週を上回ってはいるが、前年の28週との比較では下回っている。「週間1位結果の健全性」は2年連続で前年比悪化となった

 

特に第3四半期前後はこの傾向が顕著となり、年間上位争いとは全く関係しない週間1位結果が続出した。その中で5月にはFRUITS ZIPPER「KawaiiってMagic」が、7月にはPLAVE「かくれんぼ」「週間1位の翌週TOP100圏外に大暴落する最極端異常推移」を記録。これを記録した楽曲数は前年の2曲と同数となっており、この観点でも改善は見られていない。

 

こうした状況は以下当ブログ別記事にまとめて問題提起している。

billion-hits.hatenablog.com

 

このため、Billboard JAPAN Hot 100のデータを取り扱ううえでは、週間1位獲得実績が楽曲人気検討上の重要性を100%担保するものではないことに十分注意する必要がある。

 

(2025年度のHot 100週間1位変遷表は以下参照↓)

 

 

リカレントルール導入効果

 

Billboard JAPANは2025年度下半期よりリカレントルール(旧譜のポイントを減算するルール)を導入した。これは「ストリーミングチャートの旧譜偏重問題」に対応する措置で、このルールによって当年のHot 100年間TOP10に占める新曲率が前年比および当年ストリーミングチャート比で改善し、「2025年のヒットチャート」として相応しい結果を生み出した。詳細は以下別記事で検証している。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

この記事でも詳説したとおり、リカレントルールを導入していない年間ストリーミングチャートの旧譜偏重は、もはや「その年のヒットチャート」としての使用は不適切と言えるほどのものとなった。その構成要素であるApple MusicSpotifyなどの年間チャートも同様である。その中でBillboard JAPAN Hot 100の年間チャートは、年間ストリーミングチャートに対し「ヒットチャート」として明確な違いを見せつけた

 

Hot Albums

 

2025年のBillboard JAPAN Hot Albums当ブログのスタンスに基づき解説を割愛する。なお当年度よりHot Albumsの構成要素にストリーミング指標が新たに追加されたことで、「アルバムチャートのCD偏重問題」については当年度上半期の時点で完全解決が確認されている

 

Artist 100

 

2025年のBillboard JAPAN Artist 100年間TOP30は以下のとおりとなった。

 

 

1位はMrs. GREEN APPLE。Hot 100では年間TOP10にライラック」「ダーリン」「クスシキ」ケセラセラ」「ビターバカンス」の5曲を送り込んだほか、11位に「Soranji」、14位に「青と夏」、17位に「点描の唄 feat.井上苑子、21位に「僕のこと」、24位に「familie」、25位にダンスホール、27位に「breakfast」、39位にインフェルノ、41位に「Magic」、45位に「天国」、48位にコロンブス、50位に「StaRt」、64位に「ANTENNA」、67位に「ロマンチシズム」、76位に「Carrying Happiness」、84位に「Dear」、99位に「夏の影」と、年間TOP100に合計22曲をランクインさせたこれは歴代最多記録である。さらにHot Albumsでは3位に『ANTENNA』、4位に『Attitude』、5位に『10』、29位に『Unity』、56位に『TWELVE』、63位に『Variety』、71位に『ENSEMBLE』、95位に『5』と、TOP100圏内に8作をランクインさせ、これらのポイントが牽引する形で1位を獲得した。

 

Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」

 

このうちHot 100年間5位となった「クスシキ」は、人気アニメ薬屋のひとりごとの主題歌に起用されたアップテンポナンバー。本曲は時をかける恋心を描いたファンタジックな歌詞や、オリエンタルなサウンドによって世界観が確立されており、タイアップ効果とも相まって支持され、各指標の累計は早々にストリーミング2億再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。


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まとめ

 

以上がBillboard JAPAN年間チャートを用いた2025年のヒットシーンの振り返りである。この期間でBillboard JAPANは二つの大きな決断(Hot Albumsへのストリーミング指標追加、Hot 100・Hot Albumsへのリカレントルール導入)を下し、2025年のヒットシーンの盛り上がりの可視化に大きく貢献した。2026年も、多様な楽曲のヒットがチャートに反映され、シーンが盛り上がっていくことに期待したい。

 

(前年2024年のヒットシーン振り返り記事はこちら↓)

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