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2012年Billboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧

この記事では2012年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうち、オリコンと1位が異なった全11週をピックアップして回顧する。

 

Billboard JAPAN Hot 100とは、「社会への浸透度を計る」ことを明確に理念に掲げ、複数の要素も加味して作成されている総合チャートである。2012年の集計対象はCD売上ラジオエアプレイiTunesダウンロード売上の3指標であった。

 

なお2012年のBillboard JAPAN年間チャートは下記記事内で総括している。

 

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2/8公開週1位 長渕剛「ひとつ」

 

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この週の1位は長渕剛「ひとつ」CD売上ではCNBLUE「Where you are」が1位だったが、その差は2万枚程度と僅差だったため、ラジオやiTunesの加点の差で総合では長渕剛が1位となった。

 

「ひとつ」は2011年に発生した東日本大震災を受けて制作されたレクイエムであり、同年末の紅白歌合戦にて被災地からの中継という形で出演した際に初披露された。悲しみを受け止めつつも、これからも共に生きていこうと歌う本曲は、シンプルながらも魂のこもった歌唱で被災者をはじめとした多くのリスナーの心を打ち、強い印象を残した。配信は紅白1日前の2011年12月30日から解禁されており、紅白の反響もあって10万ダウンロードを突破。CDシングルは2012年2月に発売され、そのタイミングでHot 100首位獲得となった。


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4/18公開週1位 Perfume「Spring of Life」

 

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この週の1位はPerfume「Spring of Life」オリコンではSexy ZoneLady ダイヤモンドが約11万枚の売上で1位だったが、一般流通分CD売上のみが集計対象のビルボードサウンドスキャン)ではレコード会社直販分の売上が集計対象外だったためその売上は7万枚程度に留まった。そのため約8万枚を売り上げたPerfumeがCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。

 

「Spring of Life」はタイトルのとおり春に合う心躍るポップチューンになっている。今作から世界展開を見据えてレコード会社を移籍するなど、自身の環境も新しくなるなかで放たれた第一弾シングルだったこともあり、新生活始動を爽やかに告げる曲としての印象も強めた。配信では10万ダウンロードを記録する人気となっている。 


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5/9公開週1位 指原莉乃「それでも好きだよ」

 

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この週の1位は指原莉乃「それでも好きだよ」オリコンでは乃木坂46おいでシャンプーが約15万枚の売上で1位、指原莉乃は約12万枚で2位だったが、一般流通分CD売上のみが集計対象のビルボードサウンドスキャン)では劇場盤の売上が集計対象外だったため乃木坂46の売上は7万枚程度に留まった。指原莉乃も劇場盤が集計対象外になる条件は同じだったが、別の理由でオリコンでも劇場盤の売上が集計対象外となっており、オリコンと比較した売上の減少はほとんど生じず、結果が逆転した。

 

6/6公開週1位 AKB48真夏のSounds good!

 

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この週は発売2週目AKB48真夏のSounds good!が前週に続き2週連続1位を獲得した。オリコンではNot yet西瓜BABYが1位だったが、その差は約1万枚と僅差であり、ビルボードでは結果が逆転した。

 

真夏のSounds good!」はメンバーが水着で歌唱するMVや、卒業を既に発表していた前田敦子がセンターを務めた話題性から人気を集め、配信50万ダウンロード、MV3,000万再生を突破するヒットとなった。

 

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こうしてダウンロード指標で人気を示していた「真夏のSounds good!」だが、当時はオリコンがダウンロード売上の集計を一向に開始しなかったことなどからその人気は可視化されず、所謂AKB商法によって積み上げられた莫大なCD売上が不適切に注目を浴びる状況となっていた。当然、大量のCD売上枚数からは楽曲人気が読み取れないため、本当に人気なのか(=音楽チャート上位独走状態は適切な結果なのか)に関して疑問が噴出するという不健全な事態が生じることとなった。

 

この事態は、①特典商法による販促の影響力が大きくなったCD売上と楽曲人気が相関しなくなったこと、②オリコンに代表されるCD売上チャート発表者がその説明をしないまま、楽曲人気指標として機能していないチャート設計を維持し続けたこと、③オリコンに代わる総合楽曲人気チャートが国内に存在しなかったこと、以上三点によって引き起こされたものである。AKB商法が目立ちすぎたことによりアンチAKBが大量発生し、ファンとファン以外の層との間で分断が加速、最新音楽文化の受容理解発展が阻害されたことを考えれば、音楽チャートの責任は重大である。

 

そのような中でビルボードは新時代の楽曲人気チャートを目指すべく試行錯誤を重ねており、AKB商法に関しては、劇場盤集計対象外とすることでその影響力を幾分抑制する事に成功していた。加えて、ラジオやiTunesダウンロード売上というCD売上以外の指標からも一定程度の楽曲人気動向を拾うことができていた。

 

まだチャート設計上の課題は多く、楽曲人気チャートとしての合格点には達していなかったもの、CD売上だけのチャートと比べれば楽曲人気指標としての機能不全が緩和されており、ビルボードは既に当時国内で最も楽曲人気チャートに近い存在になっていたのである。当時まだほとんどビルボード知名度が普及していなかったことは残念であった。

 

劇場盤を集計対象に含めていたオリコンでは「真夏のSounds good!」で自身の歴代最高初動売上記録を上書きすることとなった。その際はしばしば過去のCD売上記録も引き合いに出されたが、同じ指標でも、中身が変質したのなら、時代横断的に比較しても、楽曲人気を考える上では何の意味も見出せない。2011年以降はCDシングル売上が楽曲人気指標として一切機能していないため、2011年以降の人気曲を語るうえでCDシングル売上データを用いることは不適切な行為である。AKB48の楽曲人気を語る際は特に注意が必要である。


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6/27公開週1位 前田敦子「君は僕だ」

 

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この週の1位は前田敦子「君は僕だ」オリコンではEXILE「ALL NIGHT LONG」が約20万枚の売上で1位だったが、その内訳は販路限定パッケージ15種類を含む17種類の複数種販売であり、ビルボードサウンドスキャン)では一般流通分2種のみが集計対象だったため、その売上は約6万枚に留まった。その結果、劇場盤の売上を除外しても約9万枚の売上を記録した前田敦子がビルボードではCD売上1位となり、総合でも1位となった。

 

「君は僕だ」は配信で10万ダウンロードを記録しており、確かな楽曲人気を示していた。アップテンポかつキュートな仕上がりとなっていた本曲は、AKB48のセンターという重圧から解放されたこともあってか、歌唱やMVで見せる表情がより軽やかな自然体で表現されており、楽曲の魅力を引き立てた。


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7/4公開週1位 少女時代「PAPARAZZI」

 

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この週の1位は少女時代「PAPARAZZI」CD売上ではKAT-TUN「TO THE LIMIT」が1位だったが、その差は約1万枚と僅差であり、ラジオやiTunes指標の加点の差により総合では逆転が生じた。ビルボードではKAT-TUNスペシャル盤(レコード会社直販)が集計対象外だったこともこの逆転を可能とした。

 

「PAPARAZZI」は少女時代の日本4thシングル。配信では10万ダウンロードを記録しており、確かな楽曲人気を示していた。

 

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本曲はクールなダンスチューンに仕上がっており、MVではメンバー9人のダンスパフォーマンスを堪能することができる。


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7/11公開週1位 山下智久「LOVE CHASE」

 

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この週の1位は山下智久「LOVE CHASE」オリコンではキム・ヒョンジュン「HEAT」が約18万枚の売上で1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではCD発売フラゲ日及びその週の土曜日に開催された握手会イベント会場での販売分を集計対象外としていたため、その売上は約9万枚に留まった。山下智久山下智久SHOP限定盤及びローソン限定盤の売上が集計対象外だったものの、オリコンと比較した売上減少幅はキム・ヒョンジュンより小さかったため、山下智久がCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。

 

なお山下智久オリコン上では本作で初めて1位を逃すこととなったが、ご覧のとおりビルボードでは1位を獲得できていたのである。

 

7/18公開週1位 ケツメイシ「LOVE LOVE Summer」

 

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この週の1位はケツメイシ「LOVE LOVE Summer」CD売上では東方神起「ANDROID」が1位で、オリコンでは約15万枚の売上を記録したが、ビルボードサウンドスキャン)ではファンクラブ限定盤を集計対象外としていたため、その売上は約8万枚に留まった。ケツメイシのCD売上は2万枚程度であったが、ラジオやiTunes指標で高得点を稼いだことから、総合ではCD売上差を逆転した。

 

「LOVE LOVE Summer」はケツメイシavex移籍後第一弾となるシングル。自身が得意とする爽やか夏うただが、従来よりもメロディーパートが多く且つダンスチューンとなっていたことが新鮮な一曲になっている。配信では10万ダウンロードを記録し、確かな楽曲人気を示した。


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10/24公開週1位 KARA「エレクトリックボーイ

 

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この週の1位はKARA「エレクトリックボーイオリコンでは指原莉乃 with アンリレ「意気地なしマスカレードが1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)では劇場盤を集計対象外としていたため、その売上は4万枚程度に留まった。その結果、KARAがCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。

 

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10/31 公開週1位 鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー「Life is SHOW TIME」

 

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この週の1位は鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー「Life is SHOW TIME」オリコンでは倖田來未「Go to the top」が1位だったが、ビルボードサウンドスキャン)ではmu-moショップ限定盤を集計対象外としていたため、その売上は1万枚程度に留まった。オリコン2位のSUPER☆GiRLS「赤い情熱」も同様にmu-moショップ限定盤が集計対象外であった。その結果、ビルボードではオリコン3位の鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー「Life is SHOW TIME」がCD売上1位となり、そのまま総合でも1位となった。

 

なお本曲は25万ダウンロードを記録している人気曲である。

 

11/28公開週1位 ももいろクローバーZサラバ、愛しき悲しみたちよ

 

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この週の1位はももいろクローバーZサラバ、愛しき悲しみたちよCD売上では渡辺麻友「ヒカルものたち」が1位だったが、その差は数千枚程度しかなかったため、ラジオやiTunes指標の加点の差により総合では逆転が生じた。

 

布袋寅泰が作編曲を務めたことで話題となった「サラバ、愛しき悲しみたちよ」は、布袋らしさ溢れるギターサウンドとキャッチーなメロディーにメンバーの凛々しい歌声とパフォーマンスが乗ったことで魅力が引き出されており、最高視聴率13.6%を記録したドラマ「悪夢ちゃん」主題歌に起用されたこともあって人気の広がりを見せ、50万ダウンロードを記録した。 


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まとめ

 

以上が2012年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうちオリコンと1位が異なる週の振り返りとなる。 当時はまだ知名度が乏しく、ほとんど注目されていなかったビルボードだが、2010年代後半になると知名度が高まり、楽曲人気指標としての権威を確立した。2012年の週間チャートも、最も楽曲人気指標に近い公式なチャートとして、今からでも押さえておきたいところである。

 

(次年2013年のBillboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧はこちら↓)

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(前年2011年のBillboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧はこちら↓)

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