Billion Hits!

配信ダウンロード売上、MV再生数、Billboard JAPANランキングなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

2018年Billboard JAPAN年間チャート総括【2018年のヒット曲】

この記事では2018のヒット曲をBillboard JAPAN年間ランキングを通じて振り返る。

  

看板チャートであるBillboard JAPAN Hot 100とは、国内の楽曲人気指標として最も有用な総合音楽チャートである。当時の集計対象は、CD、ダウンロード、ストリーミング、ラジオエアプレイ、ルックアップ(PCによるCD読取数)、Twitter、MVの7指標であった。広範な集計対象を強みとしており、2017年以降は高人気楽曲をほぼ漏れなくチャート上位表示させることに成功している。

 

そんなBillboard JAPAN Hot 100の2018年の年間TOP30は以下のとおりとなった。

 

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www.billboard-japan.com

 

  

Hot 100

 

米津玄師「Lemon」ーヒット認識基準の変革ー

 

2018年のヒットシーンを語る上では何と言っても米津玄師「Lemon」の存在が欠かせない。2月に配信された本曲は、最高視聴率13.3%を記録した人気ドラマ「アンナチュラル」主題歌に起用された。他界した祖父への想いをベースに「死」をテーマに作られた本曲はドラマの内容ともリンクし、とてつもない人気を獲得した。


米津玄師 MV「Lemon」

 

Billboard JAPAN Hot 100では週間1位を通算7週獲得2018年から2019年にかけて2年連続年間1位に輝く快挙を達成した。

 

(2018年に「Lemon」が週間1位を獲得した各週の詳細は以下記事でピックアップしている↓)

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その歴史的な人気規模を可視化していた指標がダウンロード売上MV再生数である。この2指標がBillboard JAPAN Hot 100の年間1位も牽引した。

 

まずダウンロードでは配信から僅か2ヶ月後の4月に日本レコード協会からミリオン認定を受けたが、これはGReeeeN「キセキ」「愛唄」に次ぐ史上3位のスピード記録となる*1。ダウンロード市場の縮小が進んでいたことを踏まえれば驚異的な勢いで売上が積み上げられていたことが分かる。最終的には配信トリプルミリオン認定を受けているが、これはGReeeeN「キセキ」、青山テルマ feat.SoulJa「そばにいるね」に次いで歴代で3曲目の達成となる大偉業であった。

 

Billboard JAPANのダウンロード集計でも年間1位を獲得している。 

 

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MV再生数においても、公開から僅か105日後の6月11日に1億再生、251日後の11月4日には2億再生を突破したが、これらは何れも当時歴代1位のスピード記録であった。その後も再生数を伸ばし続け、2020年12月31日時点では6.4億再生を突破しているが、これは国内MV史上ダントツで歴代1位の再生数となる。以下は2018年公開MVのうち5,000万再生を突破した曲を並べたランキングだが、これを見てもその突出ぶりが際立っている。

 

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(歴代MV再生数ランキングはこちら↓) 

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こうした記録からも分かるとおり「Lemon」の人気は歴史的な規模であった。その規模は音楽チャートを見ていなくとも体感可能だったが、それだけにとどまらず、「Lemon」が上位に入った音楽チャートが楽曲人気指標として認知度を上昇させることにも繋がった。通常は音楽チャート上位に入った曲が人気曲として認知度を上昇させるものだが、これは何とも皮肉な逆転現象であった。

 

日本では長らくCD売上を重視した音楽チャートが楽曲人気指標として最前面で用いられ続けてきたが、実態としてCD売上は楽曲人気指標として一切使用できないデータになっており、チャート設計者と使用者の双方の意識改革が遅々として進んでいなかった。2017年にようやくCD以外の指標も重視したBillboard JAPAN Hot 100が楽曲人気指標としての合格点を満たしたが、その知名度はまだ拡大途上であった。

 

そのような中で「Lemon」が2018年のBillboard JAPAN Hot 100の年間1位となったことは、2018年の楽曲人気1位という体感と一致していたことにより、Billboard JAPAN知名度を大きく上昇させることとなった。同様にダウンロードMVも楽曲人気指標としての知名度を上昇させた。

 

特にダウンロードは2006年から楽曲人気指標として機能していたにも拘らず、長らく誰も全国網羅的ダウンロード売上チャートを作成しなかったことで、高ダウンロード売上曲の高人気がしばしば見過ごされていた。Billboard JAPANが2016年にようやく全国網羅的ダウンロード売上をHot 100の集計対象に加えることに成功し、2017年から週間ダウンロードチャートも公開するようになったが、当時は順位のみの公開で、数字は非公開となっていた。*2

 

このBillboard JAPANの動きを意識したためか、それまで一貫してダウンロード売上集計の必要性を否定し続けていたオリコンが2018年からダウンロード売上チャートを発足させた。オリコンでは期間限定とはいえ数字も一般公開していたため、「Lemon」の歴史的ダウンロード売上ペースが週間単位の売上で可視化され、リアルタイムで特大人気を掴むことを可能にした。

 

オリコンは長らくCD売上が最重要ヒット指標であるという時代錯誤な思想を堅持していたが、皮肉にも自ら始めたダウンロード売上チャートが「Lemon」の特大ヒットを可視化し、ヒット指標としてのダウンロード売上の重要性を広めることとなった。同時に、2017年までダウンロード売上の集計を開始しなかった自身の判断が致命的な誤りであったことも自ら露呈した。

 

オリコンは2018年以降の記録だけをもって「Lemon」の配信トリプルミリオンがダウンロード売上歴代1位と謳っているが、実際には2008年発売のGReeeeN「キセキ」が歴代1位となるフル配信400万ダウンロードを売り上げている。

 

これはCD売上で例えれば、2007年から集計を開始し、90年代の大量のミリオンセラーを全無視して秋川雅史千の風になって」が(当時)CD売上歴代1位だと言うようなものである。当然、2017年以前と2018年以降でダウンロード売上の扱いを変える合理的な理由もない。昔も今も「フル配信1ダウンロード」を「フルサイズの楽曲購入者1名」と言い換え、流行の指標として使用することは可能である。したがって、大部分の時代が集計期間から欠落しているオリコンの歴代ダウンロード売上記録には一切の価値がない

 

2017年以前に配信され、ダウンロードミリオンを達成した曲は全部で89曲存在するが、これらの楽曲一覧は日本レコード協会ダウンロード認定で確認することができる。

 

billion-hits.hatenablog.com

 

オリコンがこの89曲の大ヒットを人気過小評価し続けた中、2006年から認定を出し続けていた日本レコード協会は、唯一全国網羅的なダウンロード売上が把握可能な指標となっていたが、知名度は乏しく、CD売上に代わる人気指標として用いられる場面はほとんどなかった。しかし「Lemon」が異例の早さで日本レコード協会からミリオン認定を受けたことは大きな話題となり、ダウンロード認定の知名度はこれを機に大きく上昇した。

 

こうして「Lemon」の超特大ヒットは音楽チャート史において、遅々として進んでいなかったヒット認識基準のCDから配信への変革を強力に促進したのである。

 

DA PUMP「U.S.A.」

 

「Lemon」に次いでHot 100年間2位となったのはDA PUMP「U.S.A.」。本曲はイタリア人歌手ジョー・イエローにより1992年に発売された同名ユーロビートナンバーのカバーである。まず4月に本シングルのジャケットが公開されると、それがダサかっこいいとして話題を呼んだ。2018年5月にMVが公開されると、インパクト抜群のサビメロと歌詞、振り付けのいいねダンスが大人気となり、一大ブームを巻き起こすまでに至った。 


DA PUMP / U.S.A.

 

特にMVは2.3億再生を突破しているほか、ストリーミングでも5,000万再生を突破しており、2018年の年間2位にも入っている。1位のDAOKO×米津玄師「打上花火」は前年発売曲なので、2018年発売曲としては年間最高位となる。なお「Lemon」は当時ストリーミング未解禁だったためここには入っていない。

 

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乃木坂46シンクロニシティ」ー日本レコード大賞が大炎上ー

 

シンクロニシティは4月に発売された乃木坂46の20thシングル。センターポジションは白石麻衣が務めたほか、生駒里奈の卒業シングルとしても話題となった。清楚性と透明感を最大限に高めたような曲調やダンスパフォーマンスが支持され、配信10万ダウンロード、MV4,000万再生、ストリーミング3,000万再生を記録した。


乃木坂46 『シンクロニシティ』

 

本曲はBillboard JAPAN Hot 100年間6位となっているが、この順位を牽引した指標はCDである。参考までにCDシングル売上チャートTop Singles Salesの年間TOP10を以下に示す。

 

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年間上位は多少の入り繰りはあるもののほぼAKB48乃木坂46欅坂46という構図となっている。これはCD購入者が参加可能な握手会の規模がAKB48乃木坂46欅坂46となっていることを意味しており、楽曲人気は全く関係がない。

 

しかしHot 100においてはAKB48の年間最高位は「Teacher Teacher」の10位である一方、乃木坂46シンクロニシティが6位、欅坂46「ガラスを割れ!」が3位となっており逆転が生じている。これは多すぎるCD売上の影響を抑制する措置が取られていることや、CD以外の指標の加点の差によるものである。多すぎるCD売上は依然としてHot 100の年間順位上昇を牽引するものの、それだけで年間上位独占は確約されなくなったことが分かる。

 

AKB48はこの年、10万ダウンロードや3,000万再生を超える曲が出せなかったが、「シンクロニシティ」は何れのボーダーラインも突破しており、一定の楽曲人気を有していると言える。このことが評価されてか、本曲は2018年の日本レコード大賞を受賞した。

 

ただ、日本レコード大賞の受賞に際しては、明らかに「シンクロニシティ」を上回る人気規模となっていたDA PUMP「U.S.A.」を差し置いての受賞であったため、異論の声が噴出大炎上した。

 

一応「優秀作品賞」と「日本レコード大賞」の受賞要件をよく読むと、「大衆の強い支持を得」という文言は共通している。違いは「芸術性、独創性、企画性に優れ」が「芸術性、独創性、企画性が顕著」になっている点と、「その年度を反映した」が「その年度を強く反映、代表した」になっている点である。何れも主観性が強く、定性的な表現になっている。

 

www.jacompa.or.jp

 

したがって単純な人気量の比較ではないのなら、上記で示したとおり一定の楽曲人気を有していると言える「シンクロニシティ」が大賞受賞でもロジックが成り立つ余地がありそうだが、受賞要件の周知が全く徹底されていないことや、既に日本レコード大賞の権威が失墜しており信用を失っていたため、大炎上に至ってしまった。これは日本レコード大賞主催者の責任である。

 

日本レコード大賞は毎年何だかんだ言われつつも、2012年までは一定の楽曲人気を有していることがデータ上明らかな楽曲を大賞に選出していた。しかし2013年、大賞選出時点で楽曲人気の証拠を全く有していなかったEXILEEXILE PRIDE~こんな世界を愛するため~」を受賞させたことで信頼が大きく損なわれた。高楽曲人気を証明するデータに富んでいたAKB48恋するフォーチュンクッキーきゃりーぱみゅぱみゅにんじゃりばんばんを差し置いて受賞させたことは当然の如く大炎上を巻き起こした。

 

そして2016年には、前年の2015年に「Unfair World」で大賞を受賞した三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE大賞を1億円で買収していたことが週刊文春により報道され、日本レコード大賞の権威は完全に失墜した。

 

このような大問題に対し何の対処もしないまま日本レコード大賞は存続を続け、2018年も大炎上を巻き起こす選出を再現した。このことにより当然DA PUMPの大賞受賞を期待していた視聴者からの批判が噴出した。それだけでなく、大賞を受賞した乃木坂46が直接批判を浴びる事態にもなった。

 

例え受賞アーティストと賞主催者が共犯関係にあったとしても、不可解な受賞が発生した場合に真っ先に矢面に立って説明責任を果たすべきは賞主催者である。共犯関係が明るみにならない限り、アーティストに直接批判を向ける話ではない。

 

しかし本件に対しても大賞主催者は何の事後的補足説明もしなかった。現実に乃木坂46への直接的な批判も生まれてしまったことで、日本レコード大賞は「U.S.A.」の人気過小評価だけでなく、乃木坂46のファンとファン以外の層との分断も深めることとなった。このことから分かるとおり、日本レコード大賞音楽文化の受容理解発展を阻害する存在になっているのである。

 

しかし残念ながら2019年以降も日本レコード大賞は存続している。これだけの問題を生みながらも視聴率や注目度が一向に衰えていないことも事実である。これは代替しうる十分な知名度と権威を有した国内総合音楽賞が存在しないことが大きい。音楽チャートにおいては、Billboard JAPANが台頭するまでオリコンが楽曲人気チャートとして不適切に使用され続けていた。音楽賞においても新たな賞の台頭がない限り問題の改善は難しいと言える。

 

このような状況のため未だ日本レコード大賞を完全無視することは難しいが、2019年以降も引き続き問題点の主張の継続、選出の妥当性の監視、代替しうる他の音楽賞の模索を続けていく他ない。

 

菅田将暉「さよならエレジー

 

「さよならエレジーは1月に配信された菅田将暉の3rdシングル。自身初のドラマタイアップが付き、山崎賢人主演ドラマ「トドメの接吻」の主題歌に起用された。石崎ひゅーいが作詞作曲しており、ドラマの内容を踏まえ、孤独の中で愛を探してもがくさまが描かれたロックナンバーになっている。菅田将暉のストレートに響くボーカルもその魅力を引き立てていたことで支持が広がり、配信50万ダウンロード、MV1.3億再生、ストリーミング1億再生を記録。Hot 100では年間9位を獲得した。 


菅田将暉 『さよならエレジー』

 

back number「瞬き」

 

「瞬き」は2017年12月に発売されたback numberの17thシングル。映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」主題歌にも起用された。印象的なフレーズとともに幸せについて歌う本曲は、興行収入28.2億円のヒットとなった映画の内容とリンクしていたこともあり人気となり、配信50万ダウンロード、MV4,000万再生を突破した。

 

Hot 100では2018年の年間15位に入っている。当時はMVがショートバージョンのみの公開、ストリーミングが未解禁という状況だったため、この2指標の加点が乏しかった。発売から約3年後の2020年12月になってようやくフルMVとストリーミングが解禁されている。


back number - 瞬き (full)

 

back numberは2018年に他にも2枚のシングル「大不正解」「オールドファッション」を発売しており、何れも25万ダウンロードを突破する活躍を見せた。「オールドファッション」はHot 100で週間1位も獲得している。

 

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星野源「アイデア

 

「アイデアは8月に発売された星野源の配信限定シングル。本曲はNHK朝の連続テレビ小説半分、青い。」の主題歌に起用されたが、その発売方法は趣向が凝ったものになった。具体的には、シングルCDでの発売をせず配信限定発売としたこと、発売直前までフル音源を一切解禁せず、発売と同時に一斉解禁したことである。

 

この施策により、配信発売前まで「アイデア」は毎朝ドラマで流れていた1コーラスしか全容が判明していなかった。1コーラスではマリンバを用いたイントロや自然と体が踊るリズムなど星野源のパブリックイメージが爽やかな朝に合う形で表現されていた。

 

しかしフル解禁で判明した2コーラス目はそれとは真逆のネガティブな歌詞や最新鋭の打ち込みを多用したトラックで構成されており、リスナーに驚きを与えることに成功した。さらにラスサビ前には初期の楽曲を彷彿とさせる弾き語りパートも挿入されており、まさに星野源の今昔が詰まった楽曲に仕上がっていた。MVがこれまでと違い広告を一切挿入しない形でフル解禁されたことも、これらの楽曲の魅力をより引き立てることとなった。

 

タイアップ効果に加えこの趣向も支持されたことで、本曲は配信50万ダウンロード、MV6,000万再生を記録するヒットとなり、Hot 100では2週連続1位も獲得して2018年の年間17位に入った。


星野源 – アイデア (Official Video)

  

星野源はこの年2月に発売した11thシングルドラえもん配信25万ダウンロード、MV6,000万再生を記録し、Hot 100の年間5位に入る活躍を見せた。「ドラえもん」はCDでも発売されていたため、その加点もあって「アイデア」よりも高順位となっている。

 

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Hot Albums

 

2015年下半期から発足したビルボードの総合アルバム売上チャートHot Albumsの年間TOP10も紹介する。

 

Hot Albumsの構成要素はCD、ダウンロード、ルックアップ(PCによるCD読取数)の3指標である。換算比率は非公開だが、大雑把に「CD売上100枚=配信36ダウンロード」として集計されているようである。

 

アルバムもかつてはCD売上が作品人気指標の筆頭だったが、シングルCDほどではないにせよ、徐々にその中身は「アルバム人気の量」から「アーティスト人気の濃度」に変化してきている。この傾向を踏まえてか、CDよりもダウンロードの方が約3倍ほど高いウェイトになっている。

 

アルバムのダウンロード市場は年間に10万ダウンロードを超える作品が出るかどうか程度の小さい規模であるため、CD売上が順位決定の大きな要素であることに変わりはない。それでもそのまま集計するよりはCD売上の人気指標としての機能不全を幾分緩和することができている。

 

このチャートの発足により、アルバムにおいてもCD売上だけで作品人気を計る時代は終了した

 

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1位はなんと安室奈美恵「Finally」が前年に続き2年連続年間1位を獲得した。2017年12月の紅白歌合戦への出演が大きな話題となったほか、2018年9月には前年の宣言通り引退を迎えており、2018年もこのベストアルバムに対する歴史的な需要が持続した。 累計売上は246万枚に達している。

 

特に紅白歌合戦歌唱曲に選ばれた「Hero」は2016年発売曲ながら再注目され各指標の数字が伸び、配信75万ダウンロード、MV4,000万再生を突破した。Hot 100では再浮上で週間1位を獲得し、2018年の年間26位に入った。 NHKリオデジャネイロ五輪パラリンピックのテーマ曲として親しまれたこの曲は、アスリートに限らない普遍的な応援歌で、希望をもらえる前向きな楽曲内容が根強く支持された。


www.youtube.com

 

なお本作は当時配信未解禁となっていたが、圧倒的なCD売上が牽引しての総合1位という形となった。しかし総合年間TOP10を見ると、このチャートがCD売上だけではなく配信売上も考慮して作成されていることが分かる。実際に、配信10万ダウンロード認定を受けている米津玄師「BOOTLEG」、宇多田ヒカル「初恋」、Various Artists「グレイテスト・ショーマン(オリジナル・サウンドトラック)」 がCD売上のみの年間順位に比して順位を上昇させている。

 

TOP Artists

 

Billboard JAPAN TOP Artistsは、国内のアーティスト人気指標として最も有用な音楽チャートである。

 

TOP Artistsは上記Hot 100とHot Albumsの週間TOP300圏内での獲得ポイントをアーティストごとに集計する形で作成されている。ただし集計にあたりアルバムのポイントはシングルとの価格差を考慮して1.5倍されている。

 

アーティスト人気もかつてはオリコンが発表するアーティスト・トータル・セールスが人気指標の筆頭だったが、高価格商品であるCDやDVDを多く売った方が有利な設計になっているため、やはりアーティスト人気の「濃度」は計れても「量」を計るには不適切な指標になっている。

 

Hot 100が楽曲人気指標としての合格点を満たしたことで、そのデータを用いて決定されるBillboard JAPAN TOP Artistsもトータル・セールスに代わりアーティスト人気指標として使用することが可能になった。

 

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1位は米津玄師。Hot 100の年間には1位となった「Lemon」のほか、前年からのロングヒットを続けていた「LOSER」「ピースサイン」「灰色と青(+ 菅田将暉)」「アイネクライネ」「orion」、そして10月発売の新曲「Flamingo」の合計7曲がランクインしたほか、Hot Albumsの年間でも前年以前に発売されていたBOOTLEG」「YANKEE」「Bremen」「diorama」の4作がランクインするロングセラーとなり、これらのポイントが牽引する形での1位獲得となった。

 

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このうち「Flamingo」配信50万ダウンロード、MV1.5億再生、ストリーミング3,000万再生を突破しており、Hot 100でも2018年の年間20位を獲得した。馴染みのない言葉を多くチョイスした歌詞や、MVで本人が踊る地に足のつかないようなダンスなど、楽曲は個性的な内容だったが、その中毒性から多くの人気を集めた。


米津玄師 MV「Flamingo」

 

まとめ

  

以上がBillboard JAPAN Hot 100を用いた2018年のヒットシーンの振り返りである。2018年も音楽チャートの歴史を語るうえで非常に重要なトピックが幾つも生じた一年であったが、ビルボードの普及はダウンロード売上やMV再生数の楽曲人気指標としての認知とともに次年以降もますます進んでいくこととなる。

 

(次年2019年のヒットシーン振り返り記事はこちら↓)

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(前年2017年のヒットシーン振り返り記事はこちら↓)

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*1:一部報道では「史上最速ミリオン」と言われており、日本レコード協会も同様のプレスリリースを発行しているが、この「史上最速」は厳密には正しくない。日本レコード協会の配信売上の集計は、2013年末まで「着うたフル」と「PC配信」に分けて集計しており、2014年以降はその2カテゴリを「シングルトラック」に統合して売上認定を出すようになった。「史上最速」はその「シングルトラック」カテゴリでミリオン認定を受けた楽曲の中では史上最速という意味である。しかし、「着うたフル+PC配信=シングルトラック」という数式が成立している以上、「着うたフル」カテゴリでミリオン認定を受けたGReeeeN「キセキ」「愛唄」の記録を除外して考えるのは適切ではない。

*2:2019年以降は週間TOP10のダウンロード数が結果記事中で公開されている。