Billion Hits!

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2023年Billboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧

この記事では2023に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートを回顧する。

 

Billboard JAPAN Hot 100とは、「社会への浸透度を計る」ことを明確に理念に掲げ、複数の要素も加味して作成されている総合チャートである。集計対象は、CD売上ラジオエアプレイダウンロード、ストリーミング、MV、カラオケの6指標である。

 

2023年のBillboard JAPAN年間チャートは以下記事内で総括している。

 

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本記事連載シリーズの執筆意図は、オリコン等の不適切なCD偏重チャートが日本国内に未だ多く残存することにより、高CD売上曲の陰に隠れがちになってしまう「配信指標を主力とした人気曲」に適切に光を当てることにある。日本音楽チャートのCD偏重問題に関しては以下記事で詳説している。

 

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この観点から本記事連載シリーズでは、CD偏重チャートの代表であるオリコン*1と比較して1位が異なった週を回顧対象としてピックアップしている。その週数はこれまで10年以上概ね10週~15週程度で推移していた。

 

しかし、2021年までCD偏重問題が残存していたBillboard JAPAN Hot 100は2022年にこれを解決し、高人気楽曲が高CD売上曲に過度に阻まれることなく週間1位を獲得できるチャート設計を確立した。これにより、依然CD偏重設計を維持するオリコンとは決定的に週間1位結果が異なるようになった。

 

オリコンと比較して1位が異なった週の数は、2022年に合計28週を数えて過去最高記録を更新していたが、2023年はその数が更に増え、なんと合計40週となった。年間約8割の週でオリコンBillboard JAPANで週間1位結果が異なったのである。

 

そのため昨年までと比べ本記事は文量が増加しているが、なるべく冗長にならぬよう、本年は楽曲人気検討上の重要性に応じ週によって文量に思い切ったメリハリをつけている。解説を割愛した週もあれば、1位だけでなく2位にも着目した週もある。

 

 

 

1/11公開週1位 Official髭男dism「Subtitle」

 

 

1/11公開週1位はOfficial髭男dism「Subtitle」オリコン合算1位はNewJeans『OMG』だったが、これは表題曲「OMG」とc/w曲「Ditto」の2曲で稼がれたポイントが同じCDシングルに収録されている2曲であることを理由に合算されたことによる影響が大きかった。作品単位ではなく楽曲単位の集計となっているビルボードでは、引き続きストリーミング1,404万再生を記録する圧倒的高動向となっていた「Subtitle」が6週連続通算10週目の1位を獲得した。

 

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「Subtitle」はドラマ「silent」の主題歌として書き下ろされた壮大なラブバラード。ろう者とのラブストーリーを描いた「silent」は泣けるドラマとして大きな話題となり、民放公式テレビ配信サービス「TVer」の配信再生数の記録を大きく塗り替えるほどの支持を集めた。タイトルには「字幕」という意味があり、歌詞では音のない世界で想いを届けようとする純粋な感情が丁寧に表現されている。圧倒的な共感を集め爆発的楽曲人気を獲得した「Subtitle」はストリーミング5億再生、MV1.2億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。


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1/18公開週1位 Official髭男dism「Subtitle」

 

 

1/18公開週1位はOfficial髭男dism「Subtitle」引き続きストリーミング1,348万再生を記録する圧倒的高動向を見せ7週連続通算11週目の1位を獲得した。この週の1位により「Subtitle」は星野源「恋」に並び当時の1位獲得週数最多タイ記録に到達した。なおOfficial髭男dismはこの週新曲「ホワイトノイズ」も5位に登場させ、10位の「ミックスナッツ」とともに3曲同時週間TOP10入りを達成した。

 

1/25公開週1位 Official髭男dism「Subtitle」

 

 

1/25公開週1位はOfficial髭男dism「Subtitle」引き続きストリーミング1,261万再生を記録する圧倒的高動向を見せ8週連続通算12週目の1位を獲得した。この週の1位により「Subtitle」は星野源「恋」を抜き当時の1位獲得週数最多記録を樹立した。

 

なお当週の2位は米津玄師「KICK BACK」。奇しくも「Subtitle」と同日に配信リリースされたこの曲はアニメチェンソーマン」主題歌として大人気となり、ストリーミング3億再生、MV1.4億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。1位常連のJO1などを退け通算2週1位を獲得した本曲だが、「Subtitle」に次ぐ2位も9週獲得しており、もし「Subtitle」がいなければ11週1位となりやはり当時の1位獲得週数最多タイ記録となっていた。歴史的ヒット曲が立て続けに誕生していたこの時期はヒットシーンがかつてない活況に沸いていた。

 

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「KICK BACK」はシリアスさとコミカルさが同居したようなアップテンポナンバー。目まぐるしい楽曲構成と純真な欲望を描いた歌詞で原作世界観が表現されている。その中には仕掛けが多く散りばめられており、例えば歌詞ではモーニング娘。のヒット曲そうだ!We’re ALIVEをサンプリングしたフレーズを織り込んでいる。King Gnu常田大希が参加していることもあってか、がなり立てる歌唱表現などから米津玄師の新たな一面を見出すことも可能となっている。


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2/15公開週1位 BSS (SEVENTEEN)「Fighting (feat. Lee Young Ji)」

 

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100&year=2023&month=02&day=20

 

2/22公開週1位 BE:FIRST「Boom Boom Back」

 

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100&year=2023&month=02&day=27

 

3/8公開週1位 Official髭男dism「Subtitle」

 

 

3/8公開週1位はOfficial髭男dism「Subtitle」引き続きストリーミング947万再生を記録する高動向を見せ6週ぶり返り咲き通算13週目の1位を獲得した。当時の1位獲得週数史上最多記録自己更新となり、参考までにオリコンシングルランキングの1位獲得週数記録と照らしても、1991年にCHAGE & ASKA「SAY YES」が記録して以来約32年ぶりとなる通算13週目の1位獲得であった。

 

なお当週の2位はVaundy「怪獣の花唄」。2020年5月に発売されて以来水面下で驚異的なロングヒットを続けていた本曲は2022年末の紅白歌合戦にVaundyが初出場した際に満を持してのTV初披露となったことをきっかけに人気が爆発しピークを迎えていたが、当週2位にまで上り詰め自己最高位を記録するに至った。各指標の累計はストリーミング5億再生、MV9,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。

 

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本曲はキャッチーなメロディーにエモーショナルな歌唱、忘れていた少年時代の情熱を取り戻そうとする歌詞等が聴きどころとなっており、それまでVaundyが存在感を見せていたシティポップ路線とは異なる王道J-POPとも言えるようなロックサウンドが展開されている。


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3/15公開週1位 NiziU「Paradise」

 

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100&year=2023&month=03&day=20

 

4/5公開週1位 TREASURE「Here I Stand」

 

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100&year=2023&month=04&day=10

 

4/19公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

4/19公開週1位はYOASOBI「アイドル」。アニメ「推しの子」主題歌の本曲はアニメ放送開始と同時に発売されるやいなや話題を搔っ攫い、週途中の水曜配信のため集計5日だったにも拘らず、初動でストリーミング886万再生、MV433万再生を記録するロケットスタートを見せて初登場1位を獲得した。

 

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「推しの子」は芸能界の裏側を生々しく描いたヒューマンドラマとして人気となっていた。その序盤では予想外の衝撃的な展開が繰り広げられているが、「アイドル」はその展開に即して制作されており、アニメの話題性が楽曲にも大きく波及した。そして本曲のMVはアニメ「推しの子」を制作する動画工房が直接手掛けたことで精巧緻密なアニメーションムービーに仕上がっており、話題性を益々増幅させることとなった。楽曲もそれまでのYOASOBIにない新境地と言えるような内容で、癖になるikuraの歌唱表現や、コーラス・掛け声等多くの要素を取り入れめまぐるしく変化する楽曲構成が強い中毒性を有していた。

 

こうした背景から本曲は日本音楽史上トップクラスの爆発的楽曲人気となり、数々のヒットレコードを更新した。先に言ってしまえばHot 100では1位獲得週数史上最多記録となる21週連続1位を獲得するとともに、文句なしで2023年の年間1位を獲得した。各指標の累計はストリーミング5.2億再生、MV3.9億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。


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しかしここまで前例のない歴史的楽曲人気規模となった本曲ですらも、CD偏重チャート設計となっているオリコン合算シングルランキングでは僅か1週しか1位を獲得していない。そのため本記事では「アイドル」が1位を獲得した全21週のうち20週を一つ一つ回顧していくこととなる。

 

なおこの21週のBillboard JAPAN Hot 100とオリコン合算シングルランキングの1位変遷対比表は以下のとおり。日本国内で有名なヒットチャートとされる両者の中身が全く異なっていることをこの表からも読み取ることができる。

 

 

4/26公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

4/26公開週1位はYOASOBI「アイドル」。前週で圧倒的な初動楽曲人気を掴んだ本曲は登場2週目の当週に急伸を見せ、特にストリーミング指標ではBTS「Butter」、Official髭男dism「Subtitle」に続く史上3曲目となる週間2,000万再生超えを達成。Spotifyではこの週の土曜に国内デイリー再生数歴代1位記録を樹立した。総合ポイントでは19,790点を獲得し、Billboard JAPANに『異次元の加点』と言わしめる圧倒的高動向で2週連続1位を獲得した。

 

5/3公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

5/3公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週も圧倒的な初動楽曲人気による伸びが続き、ストリーミング2,578万再生、MV903万再生を記録する『超ハイレベル』な動向で3週連続1位を獲得した。

 

なお当週は既に1位常連となっていたBE:FIRSTの新曲「Smile Again」がCDと配信の双方でリリースされており、LINE MUSIC再生回数キャンペーン等によりBESTYと呼ばれるファンダムの過熱を促す施策を実行していたため、当初の総合1位最有力候補だったが、「アイドル」が史上空前の楽曲人気規模となったため週前半時点で劣勢となっていた。しかし所属事務所BMSGの社長SKY-HIはなんと週後半土曜日の朝4時にファンコミュニティサイト(通称アキテク)向けインスタライブにて劣勢状況と諦めない姿勢を婉曲的にBESTYに向けて発信するという前例のない1位への異常執着を見せた。これを受けてBESTYは自主的な応援行動を更に強化し、特に追加複数ダウンロード購入の動きを顕著に見せた結果、ダウンロード指標における本曲の売上が週後半に暴騰を見せ、週間総合ポイントを19,494点にまで膨れ上がらせた。これは前週「アイドル」が記録しBillboard JAPANが『異次元の加点』と評した19,790点に肉薄する水準だった。しかしそれでも「アイドル」が当週更に総合ポイントを伸ばす前代未聞の歴史的楽曲人気を見せたため結局及ばず、CDシングル表題曲では自身初めて1位を逃すこととなった。なお「Smile Again」は週間単位でここまで高水準のポイントを叩き出したにも拘らず以降それに見合うロングヒットには至らず年間TOP100入りすら逃している。現代のヒットチャートでは週間単位成績への異常執着が長期的な成果に直結するとは限らないことを証明する好例となった。

 

5/10公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

5/10公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週も圧倒的な初動楽曲人気による伸びが続き、ストリーミング2,543万再生、MV857万再生を記録する『ダントツ』『異次元の強さ』で4週連続1位を獲得した。

 

5/17公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

5/17公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング2,586万再生を記録するなどの圧倒的高動向で5週連続1位を獲得した。週間ストリーミング再生数はこの週にピークを記録するとともに、この週で史上最速記録となる初登場から所要5週での累計ストリーミング1億再生突破を達成した。なおSpotifyではこの週の最終日に記録したデイリー再生数68.3万回がピークとなった

 

なお当週の2位はスピッツ「美しい鰭」。本曲は奇しくも「アイドル」と同週に発売され、初登場週で「アイドル」に次ぐ2位を記録していたが、その週以来となる2位返り咲きとなった。「美しい鰭」は次週も2位を記録し、「アイドル」に次ぐ2位を通算3週記録もし「アイドル」がいなければ通算3週1位を獲得していたことになる。

 

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本曲は興行収入138億円を記録したアニメ映画名探偵コナン 黒鉄の魚影」主題歌として書き下ろされた。同作でスポットが当てられた人気キャラクター灰原哀の心情を表現したような歌詞や清涼なサウンドは映画の大ヒットとともに多くのリスナーに支持され、各指標の累計はストリーミング2億再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。


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5/31公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

5/31公開週1位はYOASOBI「アイドル」。本曲は前週YouTubeにおいて国内史上最速でMV1億再生突破を達成するなど勢いが止まらず、当週もストリーミング2,406万再生、MV930万再生を記録するなどの圧倒的高動向で7週連続1位を獲得。これを以て「夜に駆ける」の6週を上回り1位獲得週数自己最多記録を更新した。週間MV再生数はこの週にピークを記録したが、これは当週本曲の英語バージョンがリリースされ、その再生数が合算された効果もあった。

 

6/7公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

6/7公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング2,321万再生を記録するなどの圧倒的高動向で8週連続1位を獲得した。当週はグローバルチャートBillboard Global Excl. U.S.でも国内楽曲として史上初の1位を獲得。もはや国内に留まらず国外でも特筆すべき楽曲人気規模となっていた。

 

なお当週の2位はMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」。本曲は奇しくも「アイドル」と同週に発売され、初登場週で4位を記録して以来ロングヒットを続けていたが、CDリリース週となった当週に最高位となる2位に浮上した。「絆ノ奇跡」は次週も2位を記録し、「アイドル」に次ぐ2位を通算2週記録もし「アイドル」がいなければ通算2週1位を獲得していたことになる。

 

本曲は5人組ロックバンドMAN WITH A MISSIONと女性ソロシンガーソングライターmiletによるコラボ曲で、大人気アニメ鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」主題歌として書き下ろされた。作詞作曲を手掛けたMAN WITH A MISSIONとしては珍しい全編日本語詞と和楽器サウンドが取り入れられた本曲はアニメとの相性も良く、それぞれのボーカルの個性が際立つ歌割りも心地よい疾走感をもたらしている。こうした要素がアニメファンからも支持された本曲はストリーミング1億再生、MV6,000万再生を突破した。


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6/14公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

6/14公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング2,322万再生を記録するなどの圧倒的高動向で9週連続1位を獲得した。なお当週を以て累計ストリーミング2億再生を史上最速で突破している

 

6/21公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

6/21公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング2,385万再生を記録するなどの圧倒的高動向で10週連続1位を獲得した。当週はApple Musicのグローバルチャートでも1位を獲得したことが話題となっていた。

 

6/28公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

6/28公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング2,258万再生を記録するなどの圧倒的高動向で11週連続1位を獲得した。当週はCDリリースもされたことでその売上が加点される形で総合ポイント24,359点を記録。これが総合ポイントのピークとなった。

 

7/5公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

7/5公開週1位はYOASOBI「アイドル」。アニメ「推しの子」が最終回を迎えた当週もストリーミング2,090万再生を記録するなどの圧倒的高動向で12週連続1位を獲得した。なお当週水曜には本曲のライブ映像が新規公開されたが、現在累計5,000万再生を超えているこの動画の再生回数がMV指標にて加点された形跡はなく、集計欠測状態になっているものと思われる。しかしMVはそんなアクシデントをものともしない勢いで再生数を積み上げており、当週YouTubeにおいて国内史上最速でMV2億再生を突破した

 

7/12公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

7/12公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,967万再生を記録するなどの圧倒的高動向で13週連続1位を獲得した。この週でOfficial髭男dism「Subtitle」が4ヶ月前に樹立した1位獲得週数歴代最多記録に並んだ。さらに、前週公開されたもののBillboard JAPANでは再生数集計欠測となったライブ映像に関しては、YouTubeチャートにて欠測なく再生数が加算され、それもあって「アイドル」は同映像公開後7日フル集計初週となったYouTubeグローバル楽曲チャート国内楽曲史上初となる1位浮上を果たした

 

なお当週2位の楽曲はLINE MUSIC再生回数キャンペーンダウンロード複数購入促進キャンペーンを主因とした上位進出だったが、キャンペーンが終了した次週はTOP100圏外に大暴落しており、もし「アイドル」がいなければ「1位→TOP100圏外」というヒットチャートとしてあってはならない大暴落推移が発生していた。もしこれが発生していた場合は今年2例目であり、1例目発生時既に問題提起済であったが、2例目発生となれば、不適切な週間チャート設計となっているBillboard JAPANへの批判を更に強めなければいけなくなっていた。

 

7/19公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

7/19公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,882万再生を記録するなどの圧倒的高動向で14週連続1位を獲得。この週で1位獲得週数歴代最多記録を更新した。また、当週を以て累計ストリーミング3億再生を史上最速で突破した。なお当週はMV指標において一部集計欠測があったため、前週比率は▲12.5%と比較的大きな下落となった。

 

なお当週の2位はJung Kook「Seven (feat. Latto)」。当週後半の金曜日に全世界でリリースされた本曲は集計3日ながら高初動楽曲人気となりいきなり初登場2位を獲得した。7日フル集計初週となった次週もポイントを伸ばしての2位となり、「アイドル」に次ぐ2位を通算2週記録もし「アイドル」がいなければ通算2週1位を獲得していたことになる。

 

「Seven」BTSの最年少メンバーJung Kookのソロ活動の本格的な幕開けを飾った一曲で、新世代女性ラッパーLattoをフィーチャーしている。1週7日間毎日常に愛する人と一緒にいたいと歌う情熱的な歌詞が甘美且つ優雅なダンスサウンドとボーカルによって奏でられている。世界的な支持を受けた本曲は、全英詞ながらサビのフレーズやメロディーがキャッチーなこともあり日本でもストリーミング1億再生を突破する人気となった。


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7/26公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

7/26公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,783万再生を記録するなどの圧倒的高動向で15週連続1位を獲得した。なお当週はMV指標において前週発生した一部集計欠測が解消したため、他指標が軒並み漸減となる中でも総合ポイント前週比率+2.4%となった。

 

8/2公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

8/2公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,657万再生を記録するなどの圧倒的高動向で16週連続1位を獲得した。なお当週は「アイドル」のアナログレコード盤が発売されたためCD売上指標において微増を見せた。

 

8/9公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

8/9公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,532万再生を記録するなどの圧倒的高動向で17週連続1位を獲得した。参考程度ではあるが、日本の有力総合ヒットチャートの歴史上、1位獲得週数17週ピンキーとキラーズ「恋の季節」がオリコンで記録して以来約54年ぶり歴代1位タイの大記録であった。

 

8/16公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

8/16公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,496万再生を記録するなどの圧倒的高動向で18週連続1位を獲得した。参考程度ではあるが、これでピンキーとキラーズ「恋の季節」がオリコンで記録した1位獲得週数17週を上回り、日本の有力総合ヒットチャートの歴史上最多となる1位獲得週数記録を樹立した。

 

なお当週の2位はタニタツヤ「青のすみか」。人気アニメ「呪術廻戦 懐玉・玉折」主題歌として7月のアニメ開始と同時にリリースされた本曲はいきなりTOP10内登場を果たす高初動楽曲人気を見せていたが、アニメが佳境になるにつれて本曲の人気も拡大していき、前週全5話の最終回を迎えた反響により登場6週目となる当週に自己最高位となる2位を獲得。総合ポイントもピークとなった。「青のすみか」は次週も2位となり、「アイドル」に次ぐ2位を通算2週記録もし「アイドル」がいなければ通算2週1位を獲得していたことになる。

 

本曲はかつてボカロPとしても有名だった男性ソロシンガーソングライターのキタニタツヤがアニメのために書き下ろしたロックナンバー。登場人物の関係性を暗喩した歌詞は考察しがいのある非凡な表現となっており、爽やかながらもどこか不穏さも感じるサウンドも物語とリンクしていたことでアニメファンから強い支持を受け、ストリーミング1億再生を突破する人気となった。


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8/23公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

8/23公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,310万再生を記録するなどの圧倒的高動向で19週連続1位を獲得した。参考程度ではあるが、これはリル・ナズ・X「Old Town Road feat. ビリー・レイ・サイラス」が米ビルボードで記録した米史上最多記録にも並び、日米1位獲得週数歴代最多タイ記録であった。

 

8/30公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

8/30公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,239万再生を記録するなどの圧倒的高動向で20週連続1位を獲得した。参考程度ではあるが、これでリル・ナズ・X「Old Town Road feat. ビリー・レイ・サイラス」が米ビルボードで記録した米史上最多記録も上回り、1位獲得週数日米史上単独最多記録を樹立した。当週は火曜日に人気YouTuberのHIKAKINが「アイドル」MV完全再現動画を公開したことが大きな話題となり、その再生数も合算される形でMV指標で大きな伸びを見せ、総合ポイントも前週比率+8.3%となった。

 

9/6公開週1位 YOASOBI「アイドル」

 

 

9/6公開週1位はYOASOBI「アイドル」。当週もストリーミング1,181万再生を記録するなどの圧倒的高動向で21週連続1位を獲得した。当週が「アイドル」の約5ヶ月に及ぶ前人未踏の連続週間1位記録の最終週となった。なおこの週を以て累計でストリーミング4億再生MV3億再生をそれぞれ史上最速で突破した。

 

9/20公開週1位 BE:FIRST「Mainstream」

 

 

9/20公開週では、当週CDと配信の双方でリリースされたBE:FIRSTの4thCDシングル表題曲「Mainstream」が1位を獲得した。本曲においてもBESTYは従前同様に熱量の高い応援行動を見せ、前作「Smile Again」発売時の応援にて学習したこともあってか特にダウンロード購入の動きが非常に活発化し、この指標で自己最高初動売上となる5.4万ダウンロードを記録。総合ポイントは22,386点となり、前作「Smile Again」を更に上回る高得点で、楽曲別週間最高総合ポイントで見れば「アイドル」に次ぐ2023年度2位を記録した。しかし本曲も年間では辛うじてのTOP100入りとなる96位に留まっており、やはり現代のヒットチャートでは週間での成果が年間での成果に直結するとは限らないことを改めて証明した。

 

9/27公開週1位 Ado「唱」

 

 

9/27公開週1位はAdo「唱」。2週前に初登場8位を記録する高初動楽曲人気を見せた本曲は以降も急激なペースで人気拡大を見せ、当週ストリーミング1,205万再生を記録するなどの圧倒的人気規模となり1位に到達した。週間ストリーミング再生数1,000万超えは2023年発売曲では「アイドル」「美しい鰭」「Seven (feat. Latto)」に続く4曲目の快挙であった。

 

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本曲はユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィンショーイベント「ゾンビ・デ・ダンス」の主題歌に起用されたダンスナンバー。作詞はFAKE TYPE.TOPHAMHAT-KYO、作曲・編曲はGigaTeddyLoidが務めており、Adoにしか歌いこなせないような高難度楽曲となっている。縦横無尽に飛び跳ねながらも要所を締めるようなメロディーラインとEDMサウンドや、サビのキャッチーな振付けが多くの視聴者を虜にした。

 

こうした背景から本曲は歴史的楽曲人気となり、先に言ってしまえばHot 100では通算12週1位を獲得し、1位獲得週数自己最多記録を大幅更新するとともに1位獲得週数ランキング歴代3位記録となった。各指標の累計はストリーミング1億再生、MV1億再生を何れも自身最速で突破している。なおこうした記録更新は現在進行形で続けられている。


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しかし本曲もCD偏重チャート設計となっているオリコン合算シングルランキングでは僅か1週しか1位を獲得していない。そのため本記事では「唱」が1位を獲得した全12週のうち11週を一つ一つ回顧していくこととなる。

 

なおこの12週のBillboard JAPAN Hot 100とオリコン合算シングルランキングの1位変遷対比表は以下のとおり。日本国内で有名なヒットチャートとされる両者の中身が全く異なっていることをこの表からも読み取ることができる。

 

 

10/4公開週1位 Ado「唱」

 

 

10/4公開週1位はAdo「唱」。当週も初動楽曲人気拡大が止まらず、ストリーミング1,343万再生を記録するなどの圧倒的高動向で2週連続1位を獲得した。

 

なお当週の2位はKing Gnu「SPECIALZ」。人気アニメ「呪術廻戦 渋谷事変」主題歌として9月のアニメ開始と同時にリリースされた本曲はいきなり初登場2位となる高初動楽曲人気を見せていたが、前週木曜に満を持して公開されたMVが大きな話題となったことで総合ポイントの力強い回復が起き当週2位に返り咲いた。なお「SPECIALZ」の最高位は通算2週2位となったが、初登場時の2位は高CD売上曲に阻まれての2位であった。

 

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本曲はアニメのストーリーに沿って主人公の敵側からの視点で書き下ろされており、呪いのこもったような不気味なサウンドやMVはその世界観への没入を誘うものとなっている。こうした仕掛けがアニメファンからも支持された本曲は自身最速ストリーミング1億再生、MV5,000万再生を突破する人気となった。


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10/11公開週1位 Ado「唱」

 

 

10/11公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,425万再生を記録するなどの圧倒的高動向で3週連続1位を獲得連続1位獲得週数では自身最多記録を更新した。

 

なお当週の2位はYOASOBI「勇者」。人気アニメ「葬送のフリーレン」主題歌としてアニメ開始と同時に前週リリースされた本曲は、「アイドル」を収録したアルバム『THE BOOK 3』の一曲目としてのリリースだったことも注目を集め、7日フル集計初週となった当週に最高位となる2位を記録する高初動楽曲人気を見せ、総合ポイントもピークを記録した。各指標の累計はストリーミング5,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。

 

「葬送のフリーレン」は、勇者とそのパーティーにより魔王を倒した後の後日譚を描いたファンタジーで、パーティーに属していた長寿種族エルフの主人公が、旅を通じて過去を振り返りながら登場人物の人生の機微に触れていく内容。「勇者」の歌詞にはそんな主人公の優しい想いが描かれており、ファンタジックなピアノサウンドとikuraの透明感のある歌唱も雰囲気を盛り立てている。


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10/18公開週1位 Ado「唱」

 

 

10/18公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,422万再生を記録するなどの圧倒的高動向で4週連続1位を獲得した。

 

11/1公開週1位 Ado「唱」

 

 

11/1公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,486万再生を記録するなどの圧倒的高動向で返り咲き通算5週目の1位を獲得した。総合ポイントは前週比+13.0%と大きく伸びているが、これは当週から次週にかけてハロウィンシーズンのピークが到来したことで本曲のタイアップ効果が最大化されたため。ハロウィン当日を迎えた次週には週間ストリーミング再生数1,500万超えを達成し、総合ポイントとともにピークを記録した。また、そのタイミングで自身最速での累計ストリーミング1億再生突破を果たしている

 

11/15公開週1位 Ado「唱」

 

 

11/15公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,372万再生を記録するなどの圧倒的高動向で3週連続通算7週目の1位を獲得。これで「新時代」で記録していた6週を上回り、通算1位獲得週数自己最多記録を更新した。

 

なお当週2位の楽曲はCD売上と特定枠における大量ラジオオンエアを主因とした上位進出だったが、施策が極端にCD発売初週のみに特化していたため次週はTOP100圏外に大暴落しており、もし「唱」がいなければ「1位→TOP100圏外」というヒットチャートとしてあってはならない大暴落推移が発生していた。もしこれが発生していた場合は今年2例目であり、1例目発生時既に問題提起済であったが、2例目発生となれば、不適切な週間チャート設計となっているBillboard JAPANへの批判を更に強めなければいけなくなっていた。

 

11/22公開週1位 Ado「唱」

 

 

11/22公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,235万再生を記録するなどの圧倒的高動向で4週連続通算8週目の1位を獲得した。ハロウィンが終了して以降は全体的に数値が漸減傾向に突入した本曲だが、それでも依然として2位以下を寄せ付けない楽曲人気規模を維持していた。

 

11/29公開週1位 Ado「唱」

 

 

11/29公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,133万再生を記録するなどの圧倒的高動向で5週連続通算9週目の1位を獲得した。

 

12/6公開週1位 Ado「唱」

 

 

12/6公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,052万再生、MV329万再生を記録するなどの圧倒的高動向で6週連続通算10週目の1位を獲得した。連続1位獲得週数ではこれが本曲のピークとなった。当週土曜には「ベストアーティスト2023」に出演し「唱」を披露。顔出しをしないシルエットでの出演ではあるが、これがAdoにとってTVスタジオでの初歌唱となった。以降も年末歌番組へ出演し本曲を披露する機会が増えたことで、本曲の総合ポイント漸減ペースは緩やかに抑えられていった。

 

12/20公開週1位 Ado「唱」

 

 

12/20公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング1,035万再生を記録するなどの圧倒的高動向で返り咲き通算11週目の1位を獲得した。通算11週1位は2017年に星野源「恋」が記録して以来長らく1位獲得週数歴代単独最多記録であったが、2023年に入り「Subtitle」「アイドル」「唱」により立て続けにこの記録が達成・更新されていったことは、CD偏重問題の解消により歴史的人気楽曲がその人気に見合う1位獲得週数を記録できるようになったことを示すものであった。

 

12/27公開週1位 Ado「唱」

 

 

12/27公開週1位はAdo「唱」。当週もストリーミング970万再生を記録するなどの圧倒的高動向で2週連続通算12週目の1位を獲得した。これで1位獲得週数ランキングTOP3は「アイドル」「Subtitle」「唱」の順となり、全て2023年に更新された記録によって埋められた。当週は月曜にAdoがCDTVライブ!ライブ!に出演し「唱」など4曲を披露したことが話題となったほか、日曜にはYouTubeにて「アイドル」「Make you happy」「炎」「Lemon」に続く歴代5位のスピード記録となる公開から所要109日でのMV1億再生突破を果たした。

 

まとめ

 

以上が2023年に公開されたBillboard JAPAN Hot 100週間チャートのうちオリコンと1位が異なる週の振り返りとなる。本記事は週間チャート回顧シリーズ史上最多の文量となったが、それだけ本年はヒットチャートとして充実した週間1位結果になっていたということである。次年以降もBillboard JAPAN Hot 100週間チャートを通じた楽曲人気可視化体制が益々発展していくことを期待したい。

 

(前年2022年のBillboard JAPAN Hot 100週間チャート回顧はこちら↓)

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*1:2018年まではオリコンCDシングルランキング、2019年以降はオリコン合算シングルランキングと比較している。合算ランキングはCD売上だけではなくダウンロード売上とストリーミング再生回数も集計対象となっているが、CD売上過剰重視設計により、オリコンの合算ランキングとCD売上ランキングの週間上位はほとんど同一の結果になっている。そのため、実質的にはBillboard JAPAN Hot 100とCD売上チャートの比較を一貫して継続している。