Billboard JAPAN Hot 100の2020年上半期チャートが発表された。この記事では2020年上半期にヒットした楽曲を、音楽チャートの読み方とともに解説する。
Billboard JAPAN Hot 100の2020年上半期TOP10は以下のとおりとなった。
Billboard Japan 2020年上半期チャート発表 Official髭男dismが【TOP Artists】と【HOT 100】、King Gnuが【HOT Albums】首位に https://t.co/WHklFfEYfp pic.twitter.com/tjBYq7hWZD
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年6月4日
Billboard JAPAN Hot 100とは
Billboard JAPAN Hot 100は、国内の楽曲人気指標として最も有用な音楽チャートである。理由は以下の3点が挙げられる。
- 集計対象サービスが網羅されており、楽曲人気の捕捉漏れの心配がない
- チャートを決定するポイントが公開されており、順位だけでなく合計ポイントで絶対的な楽曲人気規模が把握可能*1
- 「社会への楽曲浸透度を計る」という思想のもとチャート設計されている
Hot 100の集計対象は、①CD売上、②ダウンロード売上、③ストリーミング再生数、④ラジオエアプレイ数、⑤ルックアップ(PCによるCD読取)回数、⑥ツイート数、⑦MV再生数、⑧カラオケ歌唱回数、の8指標である。これだけの指標があれば、音楽の聴き方が多様化した現代においても、どのサービスから楽曲人気が生じても取りこぼす心配がない。
上記8指標のうち、ポイントに大きな影響を及ぼす指標は①②③である。換算率は非公開だが、大雑把に「0.1ポイント=CD売上1枚=配信1ダウンロード=ストリーミング150回再生」と考えれば大きな差異は生じない。週間ポイントは公式サイトで確認することができる。
ビルボードはチャート設計思想に「社会への楽曲浸透度を計る」ことを明確に掲げている。この思想のもとに集計制度は適時変更されているが、2017年以降、楽曲人気指標として機能していないCD売上が多すぎる楽曲は換算率を引き下げる措置を取り始めたことで、ビルボードの楽曲人気指標としての権威が確立した。
各指標のレシオ(非公開)の平均値(半期毎)と、実数値とがかけ離れていないか毎週一般公表前に確認しています。その乖離が大きくなり過ぎる場合、全指標の計算係数を見直し、実数値と乖離が小さく、かつマーケットの占有率からも乖離が小さい計算係数を設定し、全指標を再計算しています。
そのため2017年度以降、前述の理由のためシングルポイントに係数をかける場合があります。
係数は非公開だが、当ブログの以下記事で大雑把な計算方法を推測している。
CD売上はかつて楽曲人気指標の筆頭だったが、2011年以降は楽曲人気ではなく「アーティスト人気」、それも「量」ではなく「濃度」を計る指標に変化している。ビルボードに限らず、音楽チャートは楽曲人気とアーティスト人気の掛け合わせで構成されるものであるが、一般的には前者の役割の方がより強く求められるため、「CD売上は集計対象にする必要があるが、多すぎる場合は反映率を引き下げる」という方針は理に適っている。
なおCD売上の集計で有名なオリコンは、ビルボードとは対照的に、人気ではなく売上を重視したチャート設計になっているので、楽曲人気指標としてはとっくの昔に使えなくなっている。現在の音楽業界は楽曲人気と売上が相関しないビジネスモデルとなってしまっており、これは要改善課題だが、ひとまず現状は「売上重視のオリコン」と「楽曲人気重視のビルボード」のどちらを参照するか、目的に応じて区別判断する必要がある。
この記事では、2020年上半期に「どの曲が売れたか」ではなく「どの曲が人気だったか」を把握することが目的であるため、ビルボードを取り上げる。
2020年上半期のビルボードTOP10
1位はOfficial髭男dism「Pretender」。映画「コンフィデンスマンJP -ロマンス編-」主題歌として2019年に発売された切ないラブソングで、印象的な韻を踏むメロディーや共感性の高い歌詞が支持されたことや、映画が興行収入29億円を記録する人気となったことなどから特大ヒットとなった。
- 累計ダウンロード売上75万、うち2020年上半期の売上は25万*2
- 累計ストリーミング再生数3.0億、うち2020年上半期の再生数は1.5億*3
- 累計MV再生数2.0億、うち2020年上半期の再生数は8,000万*4
この曲は2019年の楽曲ではあるが、2020年上半期集計期間は2019年12月~2020年5月であり、紅白歌合戦など年末歌番組の歌唱効果は2020年上半期チャートに色濃く表れた。実際に、Billboard JAPAN Hot 100では通算7週1位を獲得したが、うち5週は2020年に入ってから獲得している。
Official髭男dism - Pretender[Official Video]
2位はOfficial髭男dism「I LOVE...」。ドラマ「恋はつづくよどこまでも」主題歌として2020年1月に配信で発売され、2月にはCDでも発売された。恋人に限らない様々な形の愛をテーマにした普遍的な歌詞が支持されたほか、ドラマが最高視聴率15.4%を記録する人気となったことなどから大ヒットした。
- 累計ダウンロード売上75万
- 累計ストリーミング再生数1億
- 累計MV再生数7,000万
2020年発売曲なので当然だが、これらの記録は全てこの2020年上半期の間に達成されたもので、いかに猛烈な人気となっていたかが読み取れる。Billboard JAPAN Hot 100では歴代2位タイ記録となる通算7週1位を獲得した。正真正銘の2020年のヒット曲である。
Official髭男dism - I LOVE...[Official Video]
3位はKing Gnu「白日」。ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」主題歌として2019年2月に配信で発売された。かねてより音楽ファンの間では注目を集めていたバンドだったが、ドラマ主題歌への起用やメディア出演を機に認知が普及し、洗練されたサウンドやボーカル井口理のファルセットに耳を奪われた人が続出し大ヒットした。
- 累計ダウンロード売上50万
- 累計ストリーミング再生数2.3億、うち2020年上半期の再生数は1.3億
- 累計MV再生数2.2億、うち2020年上半期の再生数は1.1億
2019年発売曲ながら、紅白歌合戦など年末歌番組の歌唱効果に加え、2020年1月にアルバム『CEREMONY』が発売されたタイミングで人気に加速がかかったことで高順位となった。
4位はLiSA「紅蓮華」。表題曲はアニメ「鬼滅の刃」主題歌として起用され、2019年4月に配信ダウンロード発売、2019年7月にCD発売、2019年10月にストリーミング解禁と段階的に主要サービスで発売された。楽曲がアニメにマッチしていたことや、「鬼滅の刃」が社会現象と呼べるほどのブームとなったことから大ヒットした。
- 累計ダウンロード売上75万、うち2020年上半期の売上は25万
- 累計ストリーミング再生数1.1億、うち2020年上半期の再生数は1.0億
- 累計MV再生数4,000万
2019年発売曲ながら、年末にストリーミング解禁されたことや紅白歌合戦など年末歌番組への出場でアニメファン以外への訴求機会が増えたことで、むしろ2020年に入り人気が一段と加速した。
LiSA 『紅蓮華』 -MUSiC CLiP YouTube EDIT ver.-
5位はOfficial髭男dism「宿命」。表題曲は熱闘甲子園のテーマソングとして2019年7月に発売された。「Pretender」がヒットした直後の新曲だったことで注目度が高かったこともあるが、ブラスアレンジが印象的なサウンドや、高校球児の葛藤や情熱を表現した歌詞に支持が集まり、大ヒットした。
- 累計ダウンロード売上25万
- 累計ストリーミング再生数1.6億、うち2020年上半期の再生数は9,000万
- 累計MV再生数8,000万、うち2020年上半期の再生数は3,000万
この曲も2019年発売曲だが、2020年に入っても、新たな音楽番組「CDTVライブ!ライブ!」の初回4時間スペシャルで披露されるなど、引き続き脚光を浴びる機会が多く、この高順位となった。
Official髭男dism - 宿命[Official Video]
6位はSnow Man「D.D.」。2012年に結成された9人組男性ダンス&ボーカルグループ待望のメジャーデビューシングルである。
ここまでの高順位となった主因はCD売上であるが、前述のとおりCD売上は楽曲人気の証拠にならないので、ここでは取り上げない。
では何でこの曲の人気を計るかだが、この曲は配信ダウンロードやストリーミングで解禁されていない。しかし、YouTubeでMVが公開されている。(短く編集されているのが残念ではあるが)
YouTubeのMV再生数は2010年代に入り新たな楽曲人気指標としての認知が普及している。そこで「D.D.」もMV再生数を見ると、現在2,600万再生となっている。
この指標では「1億再生」が大ヒットの基準として社会的コンセンサスが取れているが、一方で大ヒットとまではいかずとも何回再生されればヒットと言えるのかについては、まだ定まっていない。しかしヒントとなるのが、日本レコード協会が2020年4月より開始したストリーミング認定で、ここでは3,000万再生以上を記録して初めて認定資格が得られる制度になっている。この基準を仮にビデオストリーミングにも当てはめれば、3,000万再生以上でヒットと言うことができる。
「D.D.」の再生数を見ると、まだその基準には達していないが、公開から半年も経っていないことを考えれば将来的な3,000万再生突破は確実であり、楽曲人気も伴ったヒットであると言える。
Snow Man「D.D.」MV (YouTube ver.)
7位はOfficial髭男dism「イエスタデイ」。アニメ映画「HELLO WORLD」主題歌として、2019年9月に配信で発売された。10月に発売を控えていた2ndオリジナルアルバム『Traveler』のリードトラックとして注目を浴び、ピアノストリングスが印象的な煌びやかなポップサウンドが支持され大ヒットした。
- 累計ダウンロード売上10万
- 累計ストリーミング再生数1.3億、うち2020年上半期の再生数は9,000万
- 累計MV再生数7,000万、うち2020年上半期の再生数は3,000万
この曲も2019年発売だが、その楽曲人気の高さから多くの「歌ってみた」動画が投稿されており、2020年に入っても人気シンガーのそらるがカバーするなど話題が続いたことから高順位となった。
Official髭男dism - イエスタデイ[Official Video]
8位は菅田将暉「まちがいさがし」。ドラマ「パーフェクトワールド」主題歌として2019年5月に発売された。米津玄師が作詞作曲プロデュースを担当して話題となったことや、菅田将暉の力強くストレートな歌声に支持が集まったことから大ヒットした。
- 累計ダウンロード売上75万
- 累計ストリーミング再生数1.3億、うち2020年上半期の再生数は7,000万
- 累計MV再生数1.2億、うち2020年上半期の再生数は5,000万
それまでの歌番組への出演が少なかったこともあり、この曲は2019年末の紅白歌合戦の歌唱効果が表れる年始のストリーミングチャートで、TOP100ランクイン曲中最も高い前週比率を記録するなど、紅白出演の反響が特に大きかったことから、2020年上半期チャートでも高順位となった。
9位はSixTONES「Imitation Rain」。2015年に結成された6人組男性ダンス&ボーカルグループ待望のメジャーデビューシングルである。
この曲もSnow Man同様CD限定発売のため、楽曲人気はMV再生数で把握する。この曲のMVはエディットバージョンでありながらも2,100万再生を突破している。「D.D.」には後れを取っているものの、将来的に3,000万再生を突破して楽曲人気の証拠を得る可能性は非常に高いだろう。
ちなみに本曲は発売初週の動向では「D.D.」を上回ったため、「D.D.」が獲得できなかったBillboard JAPAN Hot 100の週間1位を獲得している。
SixTONES - Imitation Rain (Music Video) [YouTube Ver.]
10位はあいみょん「マリーゴールド」。この曲は2018年8月に発売され、ノンタイアップでありながらも、音楽フェスでの披露を重ねながらストリーミングを中心に懐かしさを感じさせるサウンドが支持を広げていき、年末歌番組での連続的な披露を決定打に大ヒットに至った。
- 累計ダウンロード売上50万
- 累計ストリーミング再生数2.3億、うち2020年以降の再生数は6,000万
- 累計MV再生数1.8億、うち2020年以降の再生数は3,000万
2020年に入っても、淡麗グリーンラベルのCMソングでこの曲のアコースティックバージョンが採用されるなど、未だに脚光を浴びる機会が多いため、高順位となった。
あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
「今年はヒット曲が少ない」という誤謬
さて、1位の「Pretender」をはじめTOP10の多数が2019年以前の発売曲であったが、このことを以て「2020年はヒット曲が出ていない」という人がいる。この主張は間違いである。まずヒットの定義だが、ヒットのボーダーラインを高くし過ぎてしまうと非現実的な話になるので、一般的に大ヒットと言われる配信ミリオン、ストリーミング1億を基準にすると、2020年発売曲ではOfficial髭男dism「I LOVE...」が後者を達成している。
この事実だけでも反論には十分だが、もう一つ理解したい点がある。配信指標において、人気曲は非常に長い間売れ続ける傾向があることだ。その期間は2-3年に及ぶこともザラにある。つまり、集計期間をフルに使うことができる前年発売曲が必然的に有利になるということである。
このことをデータでも検証する。Official髭男dism「Pretender」の推移を用いて、仮に「Pretender」と同級のヒットが毎月1曲ずつ出ると仮定した場合、何月に発売されれば2020年の年間何位を獲得できるのかをシミュレーションしてみた。
Official髭男dism「Pretender」の総合ポイント推移を用いて、初登場時期を1ヶ月ずつ前後にずらした場合、2020年集計期間中に獲得できるポイントがどう変動するかを示した。ただし、ポイントの盛り上がりが必ず集計期間内に起きるよう、一部手を加えている(塗色箇所)ほか、将来の推移は足元の前週比率を適用し緩やかな減少を見込んだ。これをランキング表にすると以下のようになる。
この結果からは以下の示唆が得られる。
- 前年下半期以降に「Pretender」級のヒット曲が出た場合、今年発売の同級ヒット曲が今年の年間1位を獲得することはほぼ絶望的である。
- 今年下半期に発売された曲は、必ず前年の同級ヒット曲に年間チャート上位進出を阻まれる。
- 逆に言うと、今年下半期に発売された曲は、来年の年間TOP10に入る可能性が高い。
この現象はサービスの性質に依るところが大きく、音楽チャートの集計制度の調整で対応できることは限られている。一定期間ランクインした曲をチャートから除外するリカレントルールの導入は、楽曲人気可視化の阻害要因になり得るためあまり好ましくない。つまり、ある程度はそうなるものだと理解する必要がある。この理解が進まないと、永遠に「今年はヒット曲が少ない」と間違った嘆きを続けることになる。
販売のサイクルが短かったシングルCD売上の年間チャートと同じ感覚で現代のチャートを見てはいけない。誤ったデータの解釈で音楽業界をマウンティングする恥ずかしい事態にならないようにしたい。
今、音楽チャートが面白い
ビルボードが2017年に楽曲人気指標に相応しい集計制度を確立して以降、楽曲人気はビルボードチャートで可視化され、人気楽曲のチャート推移は追跡・分析しがいのある動向になっている。その面白さは、2000年代前半までの楽曲人気指標として機能していたCD売上チャートに匹敵するほどにまで復活していると思っている。
ただ、そんなビルボードも週間1位だけを見ると、2017年以降も、この10年の傾向と変わらず、高CD売上曲が獲得するケースが多い。これはCDと配信で販売サイクルが全然違うことが影響している。例えば、累計CD売上30万枚の曲がそのほとんどを発売初週で稼ぐのに対し、累計配信売上30万ダウンロードの曲は毎週1万ずつ30週に渡り売れ続けるケースが多いので、CD1枚と配信1ダウンロードを等価集計している現状では、1週間単位のチャートでは高CD売上曲が1位になるのである。
CDでしか楽曲を発売しないアーティストも多いので、「CD1枚=配信1ダウンロード」の式は崩せず、CD売上が多すぎる場合のみ反映率を減少する対応が理に適っていることは既述したとおりだ。この現象はある程度致し方ない部分もある。
なので、週間1位だけ見ると「CD売上チャートと変わらないではないか」という声もあるかとは思うが、実際は、CD売上チャートと違って上記例の「30週に渡り1万ダウンロードずつ売れ続ける曲」のロングヒットが2位以下で可視化され、年間チャートではしっかり上位になるので、チャートの面白さは段違いである。
そして最近では、新型コロナウィルスの流行に伴うCD発売の延期が多発しており、面白さをより強く可視化させている。高CD売上曲が出てこないため、配信でロングヒットしている曲が上昇してビルボード週間1位を獲得するケースが増えてきているのである。その例として、瑛人「香水」とYOASOBI「夜に駆ける」のビルボード推移を以下に示す。
- 瑛人「香水」
香水 / 瑛人 (Official Music Video)
- YOASOBI「夜に駆ける」
YOASOBIは直近で2週連続1位を獲得しているなど、ヒット曲が複数週に渡り1位を獲得するケースが2020年上半期は多かった。実際、集計期間26週のうち12週の1位をOfficial髭男dismが「Pretender」と「I LOVE...」で占めた。1位が毎週のように交代する不自然なチャートが10年以上続いていたことを考えると、これは劇的な変化である。
このような「上昇型ロングヒット」は、CD売上チャートでも、楽曲人気指標として機能していた時代にはよく見られた現象で、この存在が週間1位の予測を困難にし、音楽チャートにエンターテイメント要素を与えていた。
この現象が直近で立て続けに見られていることは、音楽チャートが本来持つべき楽曲人気指標としての役割により回帰していることが示唆される。
思い返せば2000年代後半以降の音楽チャートは、オリコンが配信売上集計を一向に開始しなかったこと、オリコンに代替しうるチャートがなかなか出てこなかったことから、楽曲人気指標としての機能が失われていた。当ブログの以下記事でまとめたとおり、これまでに90曲の配信ミリオンが誕生していたが、チャートの機能不全によりその多くの人気が可視化されずに過小評価された。
音楽チャートは特定ジャンルに偏った結果、負のイメージが根付き世間の興味を大きく失い、存在意義が揺らぐ事態となっていた。その頃を思えば、ここまで音楽チャートが本来の姿に戻ってきたことは非常に喜ばしい。音楽チャートに負のイメージを持っていた人も是非再び目を向けてほしいチャートになっている。
もちろんCD販売が復旧すれば再び週間1位は高CD売上曲が増えるかもしれないが、直近の面白さが普段週間2位以下で繰り広げられているチャート推移や年間順位レースの面白さに気づくきっかけになれば幸いである。
年間1位の行方を占う
今後の注目点は、「Pretender」がこのまま1位を守り年間1位となるのか、あるいは「I LOVE...」やLiSA「紅蓮華」が「Pretender」を逆転し年間1位となるのか、はたまた新興勢力が浮上して年間1位となるのか、といったところだろう。
そこで、「Pretender」と「I LOVE...」、LiSA「紅蓮華」、そして新興勢力の代表として、目下凄まじい勢いでチャートを席巻しているYOASOBI「夜に駆ける」を取り上げ、今後のチャート推移をシミュレーションしてみた。
シミュレーションでは、まず「Pretender」の今後の推移を、直近5週平均の前週比減少率-2.7%で試算。「I LOVE...」や「紅蓮華」は「Pretender」の前週比率推移を数週遅れて辿るものとした。「夜に駆ける」は「I LOVE...」の前週比率推移を適用し、今後数週ピークを維持するものと予想した。
結果は「Pretender」が年間でも1位を獲得するシナリオとなった。他、以下の示唆が得られる。
- ポイント漸減傾向にある「I LOVE...」は逆転年間1位のためには直近の「Pretender」との週間ポイント差を再び広げる必要がある
- ポイント維持傾向にある「紅蓮華」は12月まで5千点以上をキープできれば逆転年間1位の可能性が出る
- ポイント上昇傾向にある「夜に駆ける」は12月まで1万点以上をキープできれば逆転年間1位の可能性が出る
3曲の逆転1位のための条件のハードルは決して低くなく、「Pretender」の年間1位の可能性が高いようにも思えるが、「Pretender」の推移が想定を下回れば逆転年間1位のハードルは下がるうえ、今後の新たなバズの発生次第では3曲の推移が想定を上回ることも考えられる。この4曲以外に年間1位候補が現れるかも含め、今後のビルボード週間チャートから目を離すことはできない。
ビルボード週間チャートの動向は、ツイッターをメインにして更新を行っている。当サイトでは引き続きビルボードをはじめ配信売上やストリーミング再生数を基に国内楽曲人気の動向を追い続けていく。
【ビルボード週間結果(総合)】
— あさ(ブログ『Billion Hits!』管理人) (@musicnever_die) 2020年6月3日
集計期間:2020/5/25-5/31#YOASOBI「#夜に駆ける」V2#KingGnu「#白日」#関ジャム 効果で12%増#yama「#春を告げる」#TikTok 発で急浮上中
新譜は #レディー・ガガ、#ワルキューレ が上昇#ビルボード週間結果https://t.co/PNBa4Yb8jwhttps://t.co/P05ECUKV7S pic.twitter.com/4cQwLNt4LE
(12/4追記)年間チャート結果が公表されたため、結果分析記事をアップしている。
(前年2019年のヒットシーン振り返り記事はこちら↓)