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ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、Billboard JAPAN Hot 100などのデータを通じて国内の楽曲人気動向を把握するブログ

2020年代前半のヒット曲10選 (+主要総合チャート 年間1位変遷表)

この記事では2020年代前半のヒット曲10選を選出することを試みた。先に結果を示すと以下のとおりとなった。

 

 

 

 

選出方法

 

本記事連載シリーズは、これまで「2000年代のヒット曲10選」「2010年代のヒット曲10選」という形で、10年ごとに区切り、各年の楽曲人気年間1位相当曲を選出すべく一年につき一曲をピックアップすることを基本として作成していた。

 

しかし2017年以降はBillboard JAPAN Hot 100が楽曲人気指標として使用可能な年間総合ヒットチャートを確立させているため、2020年代前半の各年の楽曲人気年間1位相当曲は、Billboard JAPAN Hot 100の各年の年間1位を参照すれば事足りる。

 

他方で、ストリーミング時代に突入し、聴かれた回数がヒットチャート結果決定主因になった2020年代前半は、楽曲のロングテール化が進行したことにより、例えば「下半期リリース曲が、半年間しか集計されない不利を乗り越えて、一年間集計される年初リリース曲を上回り年間1位になること」は現実的に困難となるなど、年間1位獲得にあたっては以前よりもリリースタイミングの有利不利が先鋭化している状況がある。

 

そのような中で、ヒットチャートの復活と充実もあり、2020年代前半は特に多くの歴史的人気楽曲の誕生とその可視化が実現している。

 

2020年代は上記背景を踏まえ、より多くの楽曲をピックアップすべく、前半と後半の5年で区切り、10曲ずつ合計20曲を選出することとした。

 

具体的な選出方法としては、まずこの5年間にBillboard JAPAN Hot 100で年間1位を獲得した5曲を選出した。次に、この5年間にBillboard JAPAN Artist 100で年間1位を獲得したアーティスト5組の楽曲と、Billboard JAPAN Hot Albumsで年間1位を獲得したアルバム5作の収録曲から、各年におけるBillboard JAPAN Hot 100の年間チャートで最高位を記録している楽曲を、各アーティスト・作品につき1曲ずつ抽出し、高位順に残りの5枠に当てはめた。

 

Hot 100は総合楽曲チャート、Artist 100は総合アーティストチャート、Hot Albumsは総合アルバムチャートである。これらの三大総合チャートの主な構成要素にはフル配信ダウンロード売上ストリーミング再生回数*1が挙げられる。

 

以上による選出結果と、Billboard JAPAN三大総合チャートの年間1位結果を並べた2020年代前半の主要総合チャート 年間1位変遷表」は以下のとおりである。

 

 

2020年 YOASOBI「夜に駆ける」

 


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「夜に駆ける」YOASOBIのデビュー曲として2019年12月にリリースされた。本曲はネット小説『タナトスの誘惑』が原作になっている。アニメ仕立てのMVや小説を踏まえた歌詞は視聴者の想像を掻き立てるものになっており、中毒性のある速いテンポのリズムも相まって話題を広げた。

 

 

Billboard JAPAN Hot 100では通算6週1位年間1位を獲得した。各指標の累計はストリーミング12億再生*2、MV2億再生、フル配信75万ダウンロード*3を突破している。特にストリーミング再生回数歴代最多記録である。

 

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2020年 Official髭男dism「Pretender」

 


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「Pretender」Official髭男dismの2ndシングルとして2019年4月にリリースされた。本曲は、興行収入29億円を記録した映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』主題歌に起用された切ないラブソングとなっており、印象的な韻を踏む歌詞とメロディーが支持された。

 

 

「Pretender」ストリーミング10億再生、MV5億再生、フル配信100万ダウンロードを突破しているほか、Apple Musicでは2020年の年間1位を獲得している。本曲が牽引する形で、Official髭男dismBillboard JAPAN Artist 1002020年の年間1位を獲得した。

 

2020年 米津玄師「感電」

 


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米津玄師「感電」は5thオリジナルアルバム『STRAY SHEEP』の先行シングルとして2020年7月にリリースされた。最高視聴率14%を記録したドラマ『MIU404』の主題歌に起用された本曲は、遊び心のある軽快なファンクナンバーとして支持された。

 

 

「感電」ストリーミング4億再生、MV2億再生、フル配信50万ダウンロードを記録した。そしてアルバム『STRAY SHEEP』は、ソロアーティストとしては宇多田ヒカル『HEART STATION』以来12年5ヶ月ぶりとなるCDミリオンセラーを達成する大ヒットとなり、Billboard JAPAN Hot Albums2020年の年間1位を獲得した。

 

2021年 優里「ドライフラワー

 


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ドライフラワー優里のメジャー2ndシングルとして2020年10月にリリースされた。前年にリリースし、男性目線の失恋ソングとして話題になっていた「かくれんぼ」アンサーソングとして、同じ失恋を今度は女性目線で歌っており、連続したストーリー性が一層の感情移入を呼ぶこととなった。

 

 

Billboard JAPAN Hot 100ではCD偏重問題により週間1位は獲得できなかったもののロングヒットにより年間1位を獲得した。各指標の累計はストリーミング11億再生、MV2億再生、フル配信50万ダウンロードを突破している。

 

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2021年 BTS「Dynamite」

 


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BTS「Dynamite」は自身初の全英詩曲として2020年8月にリリースされた。当時新型コロナウィルスの流行で落ち込みがちな世相を元気づけてくれるようなポジティブなダンスナンバーだったこともあり、Billboard Hot 100週間1位を獲得するなど、日本だけでなく世界的な人気の広がりを見せた。

 

 

「Dynamite」ストリーミング9億再生、フル配信50万ダウンロードを記録しているほか、Apple Musicでは2021年の年間1位を獲得している。本曲が牽引する形で、BTSBillboard JAPAN Artist 1002021年の年間1位を獲得した。さらに、本曲を収録*4した日本向けベストアルバムBTS, THE BEST』CDミリオンセラーを達成する大ヒットとなり、Billboard JAPAN Hot Albums2021年の年間1位を獲得した。

 

 

2022年 Aimer「残響散歌」

 


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Aimer「残響散歌」はアニメ鬼滅の刃 遊郭編』の主題歌として2021年12月にリリースされた。本曲は、遊郭編」の主要登場人物の派手なキャラクターを表現するような華やかなサウンドとAimerの独特な歌声により世界観が確立されていた。

 

 

Billboard JAPAN Hot 100では通算9週1位年間1位を獲得した。各指標の累計はストリーミング4億再生、MV2億再生、フル配信50万ダウンロードを突破している。

 

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2022年 Ado「新時代」

 


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Ado「新時代」は映画ONE PIECE FILM RED』の主題歌として2022年6月にリリースされた。興行収入180億円を超える大ヒットとなったこの映画では、主要オリジナルキャラクターであるウタの歌唱パートをAdoが担当した。作詞作曲は中田ヤスタカが担当しており、印象的なシンセサウンドとAdoの伸びやかな歌唱表現が多くのリスナーを惹きつけた。

 

 

「新時代」ストリーミング5億再生、MV1億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。本曲が牽引する形で、AdoBillboard JAPAN Artist 1002022年の年間1位を獲得した。

 

2023年 YOASOBI「アイドル」

 


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YOASOBI「アイドル」はアニメ『推しの子』主題歌として2023年4月にリリースされた。『推しの子』は芸能界の裏側を生々しく描いたヒューマンドラマで、その衝撃的な展開に即して制作されていた本曲にはアニメの話題性が大きく波及した。他にも、MVが精巧緻密なアニメーションムービーに仕上がっていたことや、癖になるikuraの歌唱表現、コーラス・掛け声等多くの要素が強い中毒性を有していた。

 

 

Billboard JAPAN Hot 100では1位獲得週数歴代最多記録となる通算22週1位年間1位を獲得した。各指標の累計はストリーミング9億再生、MV6億再生、フル配信50万ダウンロードを突破している。本曲が牽引する形で、YOASOBIBillboard JAPAN Artist 1002023年の年間1位を獲得した。

 

 

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2024年 Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」

 


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Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はアニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期「神覚者候補選抜試験編」の主題歌として2024年1月にリリースされた。本曲は国外でのTikTok人気が国内に先んじて沸騰し、逆輸入のような形で国内でも人気が急騰した。高速ビートに乗せて淀みなく展開される小気味よいラップや、タイトルを呪文のように繰り返すサビが中毒性のある仕様となっていた。

 

 

Billboard JAPAN Hot 100では通算19週1位年間1位を獲得した。各指標の累計はストリーミング6億再生、MV3億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。また、2025年より新しく発足した国内音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』では2025年の最優秀楽曲賞*5を受賞した。

 

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2024年 Mrs. GREEN APPLEライラック

 


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Mrs. GREEN APPLEライラックはアニメ『忘却バッテリー』主題歌として2024年4月にリリースされた。本曲は既に夏うたの定番ソングの座を獲得していた「青と夏」アンサーソングとして位置づけられる青春ポップロックナンバーとして支持を拡大した。

 

 

ライラックストリーミング6億再生、MV1億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。この特大人気が牽引する形で、Mrs. GREEN APPLEBillboard JAPAN Artist 1002024年の年間1位を獲得した。『MUSIC AWARDS JAPAN』では2025年の最優秀アーティスト賞も受賞した。

 

まとめ

 

以上が簡潔な2020年代前半のヒット曲総括となる。

 

2020年代前半は、ヒットチャートの復活とストリーミング時代突入が重なり、特に多くの歴史的人気楽曲が誕生した5年間となった。ここまでの活況を今後も継続的に再現していくハードルは高いかもしれない。しかしいつの時代も、音楽は身近にあり、ヒット曲は生まれていく。ヒットを映す鏡さえ見落とさなければ、音楽が終わることはない。2020年代後半も、引き続き多様な楽曲との出会いを楽しみにしながらヒットチャートを追い続けていきたい。

 

(『2010年代のヒット曲10選』は以下記事参照↓)

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*1:Hot 100の構成要素はCD売上、ダウンロード、ストリーミング、ラジオエアプレイ、MV、カラオケ。2022年度まではルックアップ(CDのPC読取数)、Twitterも構成要素であった。2020年代前半において、これらの指標の中で最もチャート結果決定への影響が大きい指標はストリーミングとなっている。Hot Albumsの構成要素はCD売上とダウンロード。2022年度まではルックアップも構成要素であった。Artist 100は、Hot 100とHot Albumsのポイントを合算して作成されている。ただしHot Albumsのポイントはシングルとアルバムの価格差を考慮し1.5倍されていた。

*2:累計ストリーミング再生回数はBillboard JAPAN公表値。1億再生未満切り捨て表示。以下同様。

*3:累計ダウンロード売上は日本レコード協会認定値。以下同様。

*4:CDにのみ収録されているボーナストラック。ダウンロード販売およびストリーミング配信においては未収録。

*5:2025年のMUSIC AWARDS JAPANの選考対象期間は2024年2月5日~2025年1月26日であり、実質的に2024年の音楽シーンに対する表彰となる。