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続・第70回(2019年)NHK紅白歌合戦歌唱曲の楽曲人気データ【完全版】

2020年の紅白歌合戦も12月31日に無事本番が終了した。当ブログでは見どころの整理として、事前に判明していた歌唱曲の楽曲人気データをまとめた記事を書いていたところである。

 

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本番を終え全ての歌唱曲が判明したところで、改めて紅白歌唱曲の楽曲人気データリストをアップデートした。これが完全版となる。

 

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前半歌唱曲【完全版】

 

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後半歌唱曲【完全版】

 

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歌唱曲追加ピックアップ

 

ここでは当日判明した歌唱曲を中心にピックアップする。それ以外の楽曲のうち幾つかは先に上げた下記記事で触れているので併せて参照してほしい。

 

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前半

 

前半出演者のうち当日まで歌唱曲が不明だったのはメドレーのHey!Say!JUMP。2007年発売のデビュー曲「Ultra Music Power」と、2014年発売の13thシングルの両A面2曲目「明日へのYELL」を披露した。前者はデビュー曲とあってHey!Say!JUMPの代表曲的な位置づけを今も維持しており、紅白では2回目の歌唱となるほか、CDシングル売上36万枚も未だ自己最高を保っている。

 

2007年当時、既にCDシングル売上の楽曲人気指標としての機能は相当衰えていたが、「千の風になって」がCD限定発売でミリオンセラーとなるなど、楽曲人気指標として全く使用できないわけではないという段階だったので、その時期に出した売上で自己最高枚数となれば「Ultra Music Power」がHey!Say!JUMP最大の人気曲と考えて問題ないだろう。

 

「明日へのYELL」は今回の紅白のテーマ「今こそ歌おう みんなでエール」に合致していたゆえの選曲と思われる。

 

なお両曲とも、YouTubeに公式動画はアップされていない。ショートバージョンすらない。そのため検索上位には違法アップロード動画ばかり表示される。ジャニーズ全体に言えることだが、公式コンテンツの充実をおろそかにしたままでは違法を取り締まる説得力も下がるので、ライブ映像でも何でも良いから魅力の伝わる公式動画を上げてもらいたいところだ。

 

後半

 

Perfumeはメドレーで2008年発売曲の「Baby cruising Love」「Dream Fighter」をサビだけ披露、その後2020年発売の新曲「Time Warp」という流れ。過去曲2曲は何れも紅白初披露曲となった。このうちDream FighterCD10万枚、配信10万ダウンロードで合計20万を売り上げている。

 

企画枠で紅白初出場となったGReeeeNはまず事前予告通り2020年発売曲「星影のエール」を披露。NHK朝の連続テレビ小説「エール」主題歌、紅白のテーマも「今こそ歌おう みんなでエール」ということでNHK肝いり演出の一つだった。楽曲はGReeeeNにとって5年ぶりに配信10万ダウンロードを突破するヒット曲となっている。

 

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GReeeeN - 「星影のエール」MUSIC VIDEO

 

GReeeeNはメンバーが歯科医も務めている関係で、これまで一切顔出しをしていないことでも有名だが、紅白では明るい光とともに4人の風貌が映され、一瞬顔出し解禁か!?と騒がれた。しかしよく見るとそれは高度なCG技術により合成されたもので、顔出しNG方針は継続された。

 

そして「星影のエール」に続き2008年の歴史的ヒット曲「キセキ」がサプライズ歌唱された。この曲は歴代で唯一フル配信400万ダウンロードを突破している配信売上歴代1位ナンバーである。「Lemon」や「世界に一つだけの花」より多くの人が購入した楽曲と言えばその偉業は十分に伝わるだろう。この事実は当時高配信売上曲の人気が過小評価されていた影響であまり知られていないのが残念で、この機にさらに広まってほしいところである。

 

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Billboard JAPAN Hot 100でも嵐「truth」らを抑えて2008年の年間1位を獲得している。ビルボードはCD売上以外の要素から楽曲人気を拾い上げることを早くから実践しており、当時からCD売上だけの音楽チャートよりも楽曲人気指標として優れていた。

 

www.billboard-japan.com

 

愛に溢れたラブソングだった「キセキ」は時代を選ばない普遍性を有していたほか、最高視聴率19.5%を記録した人気ドラマ「ROOKIES」の主題歌だったことも後押しになったことで爆発的に普及した。


GReeeeN - キセキ

 

2020年12月31日限りで活動を休止したは同時刻開催していた配信でのラストライブから紅白にも参加し、メドレーで「カイト」「君のうた」「Happiness」の3曲を披露した。「カイト」はもし予定通り2020年に東京五輪が開催されTVで大量オンエアされていればヒットしていたのではないかと思うと残念だが、2020年12月になってようやくダウンロード販売、ストリーミング配信が解禁されたので、このパフォーマンスを機にもう一山人気のピークを築くかもしれない。

 

紅白出演の最後を締めた曲は2007年発売曲の「Happiness」。最高視聴率17.9%を記録した二宮和也主演ドラマ「山田太郎ものがたり」主題歌に起用されたこともあり、当時から人気となっていたナンバーである。CDシングル売上は29万枚。前述のとおり2007年はまだ辛うじてCD売上を楽曲人気指標の一要素として使用することは可能だった。

 

この後2010年代に入ると嵐に限らず全てのアーティストにおいてCDシングル売上が楽曲人気指標として完全に使用できなくなり、嵐も楽曲人気ではなくアーティスト人気の濃度の維持によって高いCDシングル売上を大連発した。そのため自身の楽曲を高CD売上順に並べただけでは大量の2010年代シングルに押し出されて「Happiness」は下位表示されてしまう。CDシングル売上だけで楽曲人気を計ることがないよう注意が必要である。

 

嵐陣営としても上記楽曲人気実態は把握しているようで、その証拠に、2019年の暮れに自身初めて配信市場に一部楽曲を解禁した際、解禁対象曲として厳選した自身の名刺代わりの5曲に「Happiness」を選んでいる。YouTubeのMVは現在1,800万再生となっているが、活動休止を惜しむ動きがMV再生数に反映されれば、今後更に再生数を伸ばす可能性もある。


嵐 - Happiness [Official Music Video]

 

松任谷由実は企画枠で出場し、まず「守ってあげたい」を歌唱。1981年発売曲で、シングル売上69万枚を記録し、自身では1975年発売の6thシングル「あの日に帰りたい」以来となる50万超えと当時の自己最高セールスを記録したヒット曲である。配給収入12億円を記録した薬師丸ひろ子主演のヒット映画「ねらわれた学園」の主題歌にも起用された本曲は純真無垢なラブソングとして支持された。


松任谷由実 - 守ってあげたい (WINGS OF LIGHT "THE GATES OF HEAVEN" TOUR)

 

事前の発表では「守ってあげたい」のみが歌唱曲として発表されていたが、当日はもう2曲が追加でサプライズ歌唱された。まず1曲がスモール3と松任谷由実「君のためにSuperman」で、この曲は2020年にTVでの共演をきっかけに実現した、松任谷由実とお笑い芸人出川哲朗田中裕二岡村隆史の3人によるコラボ曲である。

 

最後にやさしさに包まれたならも披露された。この曲は2018年に紅白で歌唱して以来2回目の歌唱となる。今でこそ超有名曲となっている本曲だが、1974年に発売された当時はシングルチャート週間100位圏外だった。しかしCMソングとしての起用が長く続いたことや、1989年にジブリ映画「魔女の宅急便」エンディングテーマに起用されたことなどから後年になればなるほど自身の代表曲としての地位を築くようになった。その証拠に、配信では2000年代以降の積み上げで25万ダウンロードを売り上げている。1970年代発売のシングルなのにレコード売上よりダウンロード売上の方が多いというのは凄まじい現象だ。


松任谷由実 - やさしさに包まれたなら (THE LAST WEDNESDAY TOUR 2006〜HERE COMES THE WAVE〜)

 

紅白1日前という驚きのタイミングで追加出演発表があった玉置浩二「田園」を歌唱。1996年に発売され、CDシングルで自己最高となる92万枚を売り上げた代表曲である。それだけでなく、配信でも2002年以降の積み上げで2016年に10万ダウンロードを突破している。CDと配信を合計すれば102万なので、実質ミリオンセラーの大ヒット曲と言って差し支えない。

 

メッセージ性の強い歌詞と説得力のある歌唱で落ち込んだときに励ましを与えてくれる本曲は最高視聴率21.5%を記録した自身主演ドラマ「コーチ」主題歌に起用されたこともあり広く普及した。今回の歌唱により何かと落ち込みがちな現代にも強い印象を残したものと思われ、この機に改めてその時代を超えた普遍性に注目したいところである。


玉置浩二 『田園』(HD)

 

紅白勝敗結果と紅白別楽曲人気データ【完全版】

 

2020年の紅白勝敗結果は、およそダブルスコアの差をつける形で紅組の圧勝となった。事前の下記楽曲人気データ紅白別比較でも、ストリーミング再生数やダウンロード売上の合計で紅組が白組に同じくらいの大差をつけていたため、納得の結果と言えるが、ここまで視聴者投票が事前のデータを用いた予測と一致した動きとなったことはポジティブな驚きでもあった。

 

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紅白別楽曲人気データの最終版を以下に示す。

 

紅組

 

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白組

 

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まとめ

 

繰り返しになるが、紅組圧勝という結果は楽曲人気データに沿った動きであり、楽曲人気の総計で紅白の勝敗が決まるという本来のあるべき姿が体現されたと言える。去年までは、楽曲人気ではなく白組出演アイドルの濃いアーティスト人気により歌唱曲に関係なく出演者決定時点で早々に結果が見えてしまっているのではないかという空気もあったが、この動きが今後も続くなら、ビルボード年間1位争いを楽しむのと同じ感覚で余興としては十分成立する。

 

今回の紅白からは投票方法が変更され、長時間紅白を見れば見るほど投票できる票数が増えるという、いわば安易な組織票や特定のアーティストしか興味がない層の影響を抑え、全体的な評価を重視することが可能な方式が取られたが、その効果は思ったより大きかったのかもしれない。是非とも来年以降もこの投票方式を継続してみてもらいたい。

 

無論、これも先の記事で既述したことだが、紅白の勝敗はあくまで余興であり、アーティストの素晴らしいパフォーマンスが何よりも第一である。その意味でも今回は、コロナ禍で演出が制限されたことも影響したのか、内輪的な出し物が少なくなり、歌唱に割く時間が十分に取られた印象である。ヒット曲の充実したラインナップと併せて、前年と比べて総じて満足度が高いものとなった。

 

角川ミュージアムから中継されたYOASOBIのTV初歌唱や、星野源の「うちで踊ろう」2番歌詞初披露など、印象に残ったステージは挙げればキリがないが、今回の紅白歌合戦も多くのヒット曲に彩られた素晴らしいステージであった。世の中が直面する困難は解決の兆しが見えないままだが、今回得られた経験により非常事態への耐性が上がったことをポジティブに捉え、2021年の年末も無事に開催されることを願いながら、楽しみにしていたい。