Billion Hits!

ダウンロード売上、ストリーミング再生回数、Billboard JAPAN Hot 100などのデータを通じて国内の楽曲人気動向を把握するブログ

第75回(2024年)NHK紅白歌合戦歌唱曲の楽曲人気データ

この記事では、第75回(2024年)NHK紅白歌合戦歌唱曲の楽曲人気データを整理し、注目曲をピックアップする。

 

事前発表された歌唱曲を人気順(詳細後述)に並べた全体表は以下のとおり。過去2年以内に発売された楽曲は発売年を赤字表記している。各項目で大ヒット基準を超えている数字も赤字で記載している。過去2年以内に発売された主要ヒット曲は行を黄色にしている。

 

 

 

なお当ブログでは本記事に先立って以下記事にて歌唱曲の予測を試みており、本記事はその答え合わせの役割も兼ねている。

 

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楽曲人気指標として使用可能なデータ

 

以下別記事で説明している。

 

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この内容に加えて、ここでは紅白過去歌唱回数も参照している。売上がさほど多くない過去の曲でも、長く歌い継いでいくにつれて人気が出る曲もある。紅白で複数回歌われているということは、それだけ世間の需要も大きいということであるとみなせる。過去1回以上歌われているならば人気曲と言えるだろう。

 

なお、以上で示したヒット基準に達していない曲は紅白出場の資格なしなどと言うつもりは毛頭ない。秋川雅史千の風になって」のように、紅白出場前はほとんど知名度がなくとも、紅白歌唱をきっかけに大ヒットに至る曲もある。そのような楽曲も視聴者を満足させる自信があってこその選出であると考える。

 

直近2年発売曲ピックアップ

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」

 

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はアニメ『マッシュル-MASHLE-』第2期「神覚者候補選抜試験編」の主題歌として1月に配信された。高速ビートに乗せて淀みなく展開される小気味よいラップや、タイトルを呪文のように繰り返すサビが中毒性のある仕様となっている。このリズムに合わせて踊るBBBBダンスがTikTok等を介して瞬く間に国内外で大流行したこともあり、本曲は自身どころか日本音楽業界の歴史上でもトップクラスの楽曲人気を獲得した。

 

Spotifyデイリーチャートでは歴代最多記録となるデイリー再生数74.6万回を3/16付で記録。Billboard JAPAN Hot 100でもCD売上初動ミリオンを記録したSnow Manを2位止まりにする等の圧倒的高動向を見せ通算19週1位を記録し、文句なしで2024年の年間1位を獲得。各指標の累計はストリーミング5.4億再生、MV2.9億再生、フル配信25万ダウンロードを突破している。


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tuki.「晩餐歌」

 

tuki.「晩餐歌」は自身初のオリジナル曲として2023年9月に配信された。繊細さと力強さが同居したような非凡な歌声と印象的なサビメロはTikTokで早くから注目を集めていたが、年初に躍進を期待するアーティスト10組を選出するSpotifyのプログラム「RADAR: Early Noise 2024」に選ばれ注目を集めたことで楽曲人気がピークを迎えた。Billboard JAPAN Hot 100では自身初の週間1位を獲得。各指標の累計ではストリーミング4億再生、MV9,000万再生を突破しており、弱冠15歳にして数々のソロアーティスト史上最年少記録を更新した。


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Mrs. GREEN APPLEライラック

 

Mrs. GREEN APPLEライラックはアニメ『忘却バッテリー』の主題歌として4月に配信された。「青と夏」アンサーソングとして位置づけられる青春ポップロックナンバーとして大人気を博し、Billboard JAPAN Hot 100では通算2週1位を獲得。各指標の累計はストリーミング3.2億再生、MV8,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。


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紅白歌合戦ではその「青と夏」も併せて2曲が披露される。これはMrs. GREEN APPLEBillboard JAPAN Artist 1002024年の年間1位を獲得した実績に相応しい待遇である。

 

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Omoinotake「幾億光年」

 

Omoinotake「幾億光年」はTBS火曜ドラマ『Eye Love You』の主題歌として1月に配信された楽曲。距離が離れてしまっても相手を想い続ける恋心を歌ったポップなラブソングとなっており、ドラマの内容ともマッチしていたため多くの支持を集めた。ドラマ終了後も根強い人気を示して各指標の累計を伸ばし続けており、その数値はストリーミング3.4億再生、MV7,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。


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こっちのけんと「はいよろこんで」

 

「はいよろこんで」こっちのけんとの6thシングルとして5月に配信された。中毒性の高さや、昭和風アニメーションで制作されたMV、キャッチーさの裏にある制作背景等が話題となり、YouTubeでは9月に自身初めてMV1億再生を突破。公開から所要126日での達成は国内MV史上8位のスピード記録であり、2024年公開MVでは「Bling-Bang-Bang-Born」に続く2曲目の達成であった。この他、ストリーミング1億再生も突破している。


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米津玄師「さよーならまたいつか!」

 

米津玄師「さよーならまたいつか!」NHK連続テレビ小説『虎に翼』の主題歌として4月に配信された。毎日の朝を彩る軽快なメロディに自身の信念を貫く強さを描いた歌詞を乗せた本曲はドラマとリンクする形で支持を集め、ストリーミング1億再生、MV6,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破する大ヒットとなった。米津玄師のTVでの歌唱は2018年に「Lemon」が歴史的ヒットを記録したときの紅白歌合戦以来であり、今回のステージは大変貴重なものとなる。なお米津玄師は企画枠での出場となる。

 

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Number_i「GOAT」

 

「GOAT」平野紫耀神宮寺勇太・岸優太の3人により結成されたNumber_iのデビュー曲として元旦に配信された。本曲はサビも含め全編ラップで構成された挑戦的な内容がファンダム内外に大きなインパクトを与え、男性ダンス&ボーカルグループのシーンに新たな潮流をもたらした。Billboard JAPAN Hot 100では初登場1位デビューを飾ったほか、各指標の累計はストリーミング1億再生、MV1億再生を突破している。


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ILLIT「Magnetic」

 

ILLIT「Magnetic」はデビューミニアルバム『SUPER REAL ME』のリード曲として3月に配信された。儚げで幻想的なイメージが支持されたことや、TikTokでのダンスチャレンジが盛り上がったことから大ヒットした本曲は、Spotifyデイリー再生回数女性ダンス&ボーカルグループ史上最高記録を更新。全体累計でもストリーミング2億再生を突破した。


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Da-iCE「I wonder」

 

Da-iCE「I wonder」はドラマくるり〜誰が私と恋をした?〜』主題歌として4月に配信された。キャッチーで覚えやすい「くる恋ダンス」や、歌い出しの歌詞に合わせた演出が話題となったこと等によりロングヒットを記録し、累計では自身3曲目のストリーミング1億再生突破を果たしている。旧ジャニーズ問題の悪しき象徴だった男性ダンス&ボーカルグループのキャスティング忖度という障壁もなくなったことで、今般満を持しての初出場となる。


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藤井風「満ちてゆく」

 

藤井風「満ちてゆく」は映画『四月になれば彼女は』主題歌として4月に配信された。シンプルなピアノサウンドとボーカルが沁みわたるラブソングとなっており、執着を手放すことで愛情に気づくさまを描いた歌詞とともにその美しい楽曲の世界観が支持された。Spotifyでは配信初日デイリー再生回数歴代5位を記録するスタートダッシュを見せ、全体累計ではストリーミング1億再生を突破する大ヒットとなった。


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過去曲ピックアップ

 

GLAY「誘惑」

 

GLAY「誘惑」CD162万枚をセールスし1998年の年間1位を獲得した大ヒット曲である。勢いのある骨太なギターロックサウンドと色気を感じるメロディーはバンドブームだった当時のリスナーから強い支持を集めたほか、SOUL LOVEと併せたシングル2枚同時リリースという発売方法も当時大きな話題となった。デビュー30周年を迎え久々の出場となる紅白歌合戦での本曲の歌唱は、発売当時以来26年ぶりとなる。


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Vaundy「踊り子」

 

大ヒット曲を多数持つVaundyは2024年を代表する一曲であるタイムパラドックスの歌唱を予想していたが、2021年に発売された大ヒット曲「踊り子」が選曲された。本曲はレトロで浮遊感のあるポップサウンドや、終始低いキー設定と抑えめな歌唱、印象的なフレーズが多用された歌詞が中毒性を生み出したことで支持を得ており、各指標の累計はストリーミング3億再生、MV1億再生を突破している。2024年においてはNewJeansがライブでカバーしたことも話題となった。

 

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楽曲人気データを用いた紅白勝敗事前予想

 

上表内記載のとおり、当ブログ記事「ヒット曲の定義」に準拠して「10ポイント=5,000万ストリーミング再生=5,000万MV再生=10万ダウンロードセールス=10万フィジカルシングルセールス=紅白過去歌唱数1回」で各楽曲の人気をポイント化し、歌唱曲を紅組と白組で分けて集計した結果は、紅組581点、白組1,246点であった。そのためここでは大差での白組優勝を予想する。

 

もっとも、そもそも紅白の勝敗は肩の力を抜いて楽しむ余興である。各アーティストによる素晴らしい楽曲パフォーマンスが見られるのであれば他に求めるものは無い。

 

結果振り返り(2025/1/2追記)

 

追加発表分や当日判明分も含め歌唱順に並べた歌唱曲人気データの完全版は以下のとおり。

 

 

最大のサプライズとなったのは企画枠で登場したB'z。直前に追加出演が発表された際は、NHK連続テレビ小説『おむすび』の主題歌に起用された新曲「イルミネーション」のみが歌唱曲として発表されていたが、同曲披露ののち会場のNHKホールに移動し、LOVE PHANTOMultra soulの2曲をサプライズ歌唱して会場を大いに盛り上げた。

 

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LOVE PHANTOMCD186万枚、フル配信25万ダウンロードを売り上げたダブルミリオン相当の特大ヒット曲であり、当ブログにおける楽曲人気ポイントでも全歌唱曲中最高ポイントとなっている。ストリングスで奏でられた1分を超える壮大なイントロ、息つく間もなく激情の歌詞で紡がれるAメロ、一気に畳みかけるサビなどがドラマチックに展開する本曲は絶大な支持を獲得している。


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ultra soulCD87万枚、フル配信25万ダウンロードを売り上げたミリオン相当の大ヒット曲である。サビを締めるタイトルシャウトの知名度は群を抜いており、誰もが盛り上がることができる楽曲としての力を存分に発揮した。なお、当ブログで作成した「歴代アーティスト・トータル・楽曲人気ランキング」ではB'zが歴代1位となっている。

 

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このほか、西野カナ「Best Friend」、MISIA「希望のうた」「明日へ」が当日判明分歌唱曲として場を盛り上げた。米津玄師「さよーならまたいつか!」の歌唱ではNHK連続テレビ小説『虎に翼』とのコラボが実現し、ダンスパフォーマンスや最後の決めポーズが話題を集めた。

 

最終的な当ブログ集計楽曲人気ポイントは、紅組713点、白組1,280点となり、やはり白組が優勢であったが、このデータのとおり実際の結果も視聴者審査員票、ゲスト審査員票の2部門を制した白組が優勝する結果となった。(会場審査員票は引き分け)

 

なお全歌唱曲の合計ポイントは2,467点となり、前年の2,957点を下回ったものの、上記のような演出等が功を奏してか、視聴率は前年を上回った。近年の視聴率の低下傾向は配信サービスに視聴動向が一部移行していることも背景にあるため、視聴率だけで全体像を結論づけることは早計であるが、引き続き圧倒的な存在感が示されたことは確かである。

 

encount.press

 

音楽業界にとって圧倒的高視聴率が見込める紅白歌合戦という番組の存在は非常に重要である。巨大なコンテンツであるがゆえに玉石混交の批判も多く受けているが、この番組を機に人気が大きく普及する楽曲やアーティストも多く、番組が存在するメリットは非常に大きい。時代の変化に応じて番組の形が変わることがあろうとも、多くの素晴らしい楽曲が多くのリスナーにリーチする場所として、紅白歌合戦は確固たる地位を築いているのである。

 

(前年2023年の紅白歌合戦歌唱曲楽曲人気データはこちら↓)

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