Billion Hits!

配信ダウンロード数などのデータを中心に日本の流行歌を追うブログ

歴代配信ダウンロード数ランキング

米津玄師「Lemon」日本レコード協会より史上最速のトリプルミリオン配信認定を受けた。この一報を受けて、「歴代配信売上ダウンロード数ランキングはどうなってるのだろう?」と考えた人も多いのではないだろうか。

 

www.oricon.co.jp

 

日本レコード協会の配信ダウンロード認定は、一定のボーダーラインを超えるごとに認定される。具体的には、10万、25万、50万、75万、100万、以降は100万上積みされるごと、である。つまり、同じ300万認定でも、実際の累計が301万なのか、399万なのかはわからない。

 

CD売上の集計で有名なオリコンは長らく配信ダウンロードの集計を実施しておらず、2018年になってようやく開始した。しかしご存知のように今や音楽の聴き方はダウンロードからストリーミングに移っており、市場が縮小してから集計を始めても意味は乏しい。CD売上の集計を2007年から始めて、秋川雅史千の風になって」が史上初のCDミリオンです!と言うようなものだ。

 

日本レコード協会は着うたが普及した2000年代当初からダウンロード数の認定作業をしているのだが、上述のように細かい実数が分からないことから、歴代CD売上ランキングのように、歴代配信ダウンロード数ランキングを作ることは不可能だと思っていた。

 

しかし、「Lemon」の記事で「史上最速」という煽りを見て、その視点で作れるじゃないか!と気づいた。

 

つまり、同じ100万認定でも、1年で100万を突破した曲の方が、10年かけて100万を突破した曲より多くダウンロードされていることがほとんどだろう、という仮定のもと、配信開始日から認定までの日数がより早かった曲を上位に並べることで、ランキング化することができる。何より、日本レコード協会が公式に「史上最速」は偉業だと言わんばかりにプレスリリースしているので、この考え方へのお墨付きはバッチリだ。

 

認定は月次で行われているが、例えば2019年9月度の認定であれば、認定日は2019年9月末日(2019/9/30)として計算されているようだ。これは「Lemon」の最速200万認定記事で具体的な認定所要日数の言及がされたことから明らかになっている。

www.fnn.jp

(ただし、このニュースリリースは、昔の曲で着うたフルのみで200万となった曲を含めていない点に注意。それも含めれば、最速200万は青山テルマ feat.SoulJa「そばにいるね」となる。後ほどグラフでも示す。)

 

ということで、上記要領で、これまで日本レコード協会から配信ミリオン以上の認定を受けている全89曲を歴代ランキング化したところ、以下のとおりとなった。 

 

 

1位-20位

 

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1位は認定所要日数関係なく、唯一の400万ダウンロードを記録しているGReeeeN「キセキ」。ドラマ「ROOKIES」主題歌として特大ヒット。2008年のBillboard JAPAN Hot 100年間チャートでは文句なしの1位となった。ミリオン認定は2015年だが、2017年には楽曲をもとに映画化もされるなど非常に長く愛されていることから、将来の500万認定も夢ではないだろう。なおGReeeeN「愛唄」もダブルミリオンを記録。配信ダブルミリオン以上認定曲を2曲持っているのはGReeeeNだけとなっている。他にも、「遥か」(18位)と「歩み」(84位)がミリオンとなっている。

 

300万ダウンロード以上を記録した曲は「キセキ」、「Lemon」、青山テルマ feat.SoulJa「そばにいるね」の3曲しかないが、記事のとおり「Lemon」は最速300万認定を受けているので、「キセキ」同様将来400万を突破する可能性はある。参考までに、3曲の認定までの道のりグラフ化したものが以下の表となる。最速100万は「キセキ」、最速200万は「そばにいるね」が記録している。

 

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200万ダウンロード以上を記録した曲は合計9曲。うち7曲は着うた全盛時代の2000年代後半発売曲である中、「Lemon」と星野源「恋」の奮闘が際立つ。着うたバブル崩壊後であることを考えればとんでもない大ヒットだ。CD売上で言えば、CDバブル崩壊後にミリオンを記録したSMAP世界に一つだけの花修二と彰青春アミーゴのような立ち位置といえる。

 

10位以下は、100万ダウンロード認定曲を、認定所要日数が短い順で並べている。筆頭はEXILE「ふたつの唇」。これは個人的に少し意外に感じたが、2009年はこの曲よりも「Someday」を推しており、レコード大賞受賞曲や紅白歌唱曲としていたからだろう。その陰で実は物凄い勢いで大ヒットしていたのである。ちなみに「Someday」の認定は50万ダウンロードとなっている。

 

11位以下もどこかで聴いたことがあるレベルの大ヒット曲が並んでいる。

 

13位の西野カナ「会いたくて 会いたくて」2010年発売曲で唯一、年内に配信ミリオン認定を受けた大ヒット曲。2010年はオリコン年間チャートが嵐とAKB48に独占され、オリコンが楽曲人気指標としての役目を終えた年だが、その年間1位であるAKB48「Beginner」のCD売上は94万、ダウンロードは年末時点で25万だったので、配信と単純合算すればかなり張り合うと思われる。「会いたくて 会いたくて」はCD売上10万、ダウンロードは8月で既にミリオンになっている勢いを考えると普通に年間1位になっている気がする。もっとも、「Beginner」も2011年以降ダウンロード数が飛躍し、最終的には配信ミリオンの大ヒットとなっている(本ランキングでは47位)。

  

15位のback number「クリスマスソング」は月9ドラマ「5→9〜私に恋したお坊さん〜」主題歌として大ヒット。Billboard JAPAN Hot 100では、なんと1位常連のKinKi Kidsを2位止まりにする形で週間1位を獲得。一冬でミリオンとなった。クリスマスソングの定番となってきていることから、毎冬ダウンロードされることを考えれば、将来の200万ダウンロード認定に現状最も近い存在なのではないかとみている

 

本ランキングは冒頭で述べたとおり、現行基準の認定ボーダーラインごとの認定所要日数でランキング化しているが、2013年までは着うたフルとPC配信で別々の認定がされていたので、当時の曲の一部はより細かなダウンロード数を窺い知ることができる。例えば17位の宇多田ヒカルFlavor Of Lifeは原曲(アップテンポの方)のことで、着うたフルで100万、PC配信で25万認定を受けた。一方大ヒットドラマ「花より男子2」に使われたバラードバージョンは別途着うたフル75万、PC配信10万認定されている。合算すればダブルミリオンとなる。

 

また、松たか子「レット・イット・ゴー~ありのままで~」(11位)、浦島太郎(桐谷健太)「海の声(16位)、木村カエラ「Butterfly」(20位)など、非シングルCD化曲も目立つ。CD売上だけ見ていては、これらのヒットに気づくことはできなかったであろう。

 

21位-50位

 

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21位以下もミリオンナンバーがずらり。RADWIMPS前前前世興行収入250億超えの特大ヒット映画「君の名は」主題歌として大ヒット。2016年のBillboard JAPAN Hot 100年間2位となった。なおこの年はビルボードAKB48の劇場盤の集計を開始した年で、当時は反映率制限を設けていなかったことから、年間1位はAKB48となっている。翌年以降は制限がかけられ、AKB48がCD売上だけで年間1位となることはなくなったことから、制限適用が一年早ければ「前前前世」が年間1位であり、もはや実質的な年間1位と言って差し支えないのではなかろうか。

 

AKB48についてはAKB商法が度々批判されているが、全盛期は握手券が付属していない配信でもミリオンを多数輩出しており、25位のヘビーローテーションを筆頭に恋するフォーチュンクッキー29位、フライングゲット36位、Everyday、カチューシャ41位、「Beginner」47位、ポニーテールとシュシュ52位となっている。CD売上に惑わされることなく、人気楽曲を抽出できるのはダウンロードチャートの良いところだ。ちなみに配信ミリオン認定数では1位のEXILE(8作)、2位の西野カナ(7作)に次いでAKB48が3番手(6作)となっており、全盛期の凄まじい人気が見て取れる。

 

2010年に突如登場し大人気を博したK-POPからは、26位にKARA「ミスター」、31位に少女時代「Gee」がランクイン。51位以下にも、KARA「ジャンピン」が57位、少女時代「MR.TAXI」が71位に。不自然なほど相当量のメディアプッシュが行われていたとも言われているが、それで人気が出ると保証されているものではないので、素晴らしい需要と供給の一致であったといえる

 

27位の植村花菜トイレの神様は当時紅白で9分弱の楽曲をノーカットで歌いたいと望んだことに対し賛否両論を起こしていたが、「CDが全く売れていない」ことを理由にした批判も多かった。少なくともその点についてはダウンロードに目を向けられていなかったという点で明確に誤りであることがわかる。配信100万ダウンロードはそれだけ尺を取ってもおかしくない大ヒットである。ちなみに本曲のWikipediaは充実しており、『歌詞中では「女神様」と歌われているのになぜタイトルが「神様」なのか』についての独自研究まで載っている(2019/11/19現在)。

 

28位のB'z「イチブトゼンブ」はドラマ「ブザー・ビート」主題歌として大ヒット。2009年のBillboard JAPAN Hot 100年間1位となった。ただし、当時のビルボードは配信を集計しておらず、CDとラジオが集計対象であったが、この曲はCDでもオリコン年間6位となっており、2009年にオリコン年間TOP10入りを果たした曲では唯一の配信ミリオンとなっていることから、納得できる結果といえよう。

 

30位のキマグレン「LIFE」はCD売上とダウンロードで売れ行きの乖離が凄まじく、CDはオリコン最高14位で年間TOP100圏外だが配信でミリオンを記録。過小評価しないよう注意したい。なおBillboard JAPAN Hot 100では2008年の年間4位を記録した。上述のB'zでもいえるが、ラジオはけっこう侮れないヒット指標だ。

 

33位のテイラー・スウィフト私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない洋楽では最高順位を記録。「テラスハウス」の主題歌にも起用されるなど大ヒットした。同じ洋楽では、レディー・ガガ「ボーン・ディス・ウェイ」も43位を記録。大ヒット曲として2011年のMステスーパーライブのトリに抜擢され、圧巻のパフォーマンスを見せた。洋楽の国内配信ミリオンはこの2曲にカーリー・レイ・ジェプセン「CALL ME MAYBE」(67位)を加えた3曲となっている。

 

40位の三代目 J Soul Brothers「R.Y.U.S.E.I.」は発売年の2014年末時点での認定は25万ダウンロードとそこそこのヒットだったが、年末にレコード大賞を受賞、年末特番でも歌いまくった結果、2015年に入り人気が爆発し、2015年のBillboard JAPAN Hot 100年間1位となった。「ランニングマン」のダンスが話題となったこともヒットを後押しする大きな要因となった。

 

48位の坂本冬美また君に恋してるビリー・バンバンのカバー曲。演歌唯一の配信ミリオンとなっている。この曲は当初「アジアの海賊」のc/wであったが、人気が出るにつれて特に曲順を変えていないにもかかわらず表記が「また君に恋してる/アジアの海賊」と逆転した。

 

49位の西野カナ「トリセツ」は歌詞が女性版「関白宣言」のようだと話題になり大ヒット。西野カナは着うたバブル期に「会いたくて 会いたくて」(13位)、「君って」(46位)、「if」(50位)、「Best friend」(53位)、「もっと…」(59位)、「Dear...」(60位)とミリオンナンバーを連発したが、着うたバブル崩壊後にもダウンロードミリオンを出していることは特筆すべき点であり、第2の全盛期といえる。「トリセツ」の前後の曲もヒットしていて、「Darling」は75万、「もしも運命の人がいるのなら」は50万認定を受けている。

 

51位-89位

 

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54位のコブクロ永遠にともには2004年発売曲。結婚式ソングとして支持され2006年末時点で25万ダウンロードだったが、2007年に陣内智則藤原紀香との結婚式にて弾き語りで披露したことから一段高の人気となり、ミリオンを達成。シングルCDだと一定時間経過すると店頭からなくなってしまうので、発売から間をおいて人気が出た曲がCD売上では捕捉しにくいが、店頭面積の制限がないダウンロードでは発売年関係なく人気になった曲が売れる。なおコブクロ「蕾」(6位)、「桜」(37位)、「流星」(45位)と合わせて4曲がミリオン以上に認定されている。絢香×コブクロWINDING ROAD(51位)も含めるならば5曲となる。

 

63位の高橋洋子残酷な天使のテーゼはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマとしてカラオケで長年上位に居座る人気曲だが、その人気を裏付けるように配信ミリオンを記録している。なお同アニメ映画主題歌である魂のルフラン」も75万ダウンロード認定を受けている。

 

64位のEXILE「I Wish For You」は2010年の日本レコード大賞を受賞し3連覇を達成。翌年2011年は辞退するも、56位にいる「Rising Sun」がやはり配信ミリオンの大ヒット。何かと言われることが多いレコ大だが、正直EXILEが4連覇していても全く違和感はないほどヒットを連発していたことがわかる。ミリオン以上認定曲は、上記2曲の他、「Ti Amo」(7位)、「ふたつの唇」(10位)、「もっと強く」(39位)、「Lovers Again」(55位)、「道」(73位)、銀河鉄道999(82位)となっている。

 

65位のJUJU feat. Spontania「素直になれたら」は、22位のSpontania feat. JUJU「君のすべてに」アンサーソングであり、2曲とも大ヒット。JUJUは23位に「明日がくるなら JUJU with JAY'ED」をランクインさせているなど、当時のヒットトレンドであったデュエットナンバーの印象が強いが、単独でも「この夜を止めてよ」(45位)、やさしさで溢れるように(85位)をミリオンヒットさせている。ミリオン4曲はEXILE西野カナAKB48に続き、GReeeeNコブクロに並ぶ認定曲数となっている。「君のすべてに」も含めれば5曲となる。

 

81位のAKINO創聖のアクエリオンは同名テレビアニメの主題歌として発売当初より人気だったが、発売から2年経過した2007年にSANKYOのCMソングに起用されたことで人気に火がつき、初めて10万ダウンロード認定を受ける。その後もダウンロード数を積み上げ続け、2011年に75万、2014年にミリオンとなった。

 

89位の中島みゆき「糸」はカラオケの人気曲であるが、この曲が現在、100万ダウンロード認定所要日数スロー記録となっている。配信開始の2002年から16年(!)での達成。10万~75万認定をすっ飛ばしていきなりミリオン認定だったので推移は読めないが、2013年代に入ってからカラオケの定番と化したことから、その時期から本格的にダウンロード数を伸ばしたものと思われる。

結論

以上までの89作品が配信ミリオン突破曲となる。

 

このランキング作成作業は発見の連続だった。なにせ2000年代後半~2010年代前半はリアルタイムで数字を出していたダウンロードチャートがなかったので、CD売上チャートだけ見ても実人気との乖離を感じていたのだが、その違和感がことごとく解消された。「この曲、あまりCD売れてない割に流行ってる感すごいな…」と思っていた曲が軒並みここにいた。「FREAKY」からCD売上が減少した割に周囲に大変好評だった倖田來未「愛のうた」、「Rolling star」のCD売上をギリギリ超えられなかったがやはりそれ以上の人気を感じていたYUI「CHE.R.RY」など挙げればキリがないが、とにかく2000年代~2010年代の人気曲を知りたいならCD売上だけではなくダウンロードデータをチェックすることは必須だ。特に2000年代後半~2010年代前半はAKB嵐EXILEしかいない時代などと言われることも多いが、見てのとおり全くそんなことはなく、配信ミリオンを記録した89曲もの大ヒット曲に華やかに彩られた時代なのである。

 

なお、上記データは日本レコード協会HP内の下記サイトで検索することができる。自分の好きな曲がどれだけダウンロードされているのか、検索してみるのも楽しいかもしれない。

 

www.riaj.or.jp